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第13章:氏康君、首もらっちゃうよ♪【北条編佳境】
水際作戦開始
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1554年11月下旬
上野国厩橋城北3町(300m)
上泉秀胤
(まだまだ頼りない大胡の参謀)
ここ厩橋城北方4町余りの河原が、大軍が徒で渡れる唯一の渡し場となっている。ここから北へ2里半(10km)に小さな徒渡しのできる場所があるが、それ以外はすべての西岸が3間(6m)以上の断崖絶壁だ。
その小さな渡しもその目の前にある箱田城という城が行く手を阻み、渡河できるような少数の兵では落とせない。
厩橋城は小高い大地の上にあり、その3方を新旧利根川の流れによって守られている堅城だ。利根川の西岸と東岸を結ぶ重要な渡し場を、その厩橋城が睨みを効かせている。
現在、厩橋城主長野道安様率いる兵500が鉄砲300を構え、配置についている。
厩橋城に近づけば蜂の巣になるであろう。この城をすり抜けても後背を気にしながら戦うことになる。
非常に重要な城である。
大胡の主力部隊は、その射撃が届かぬ2町から4町までの2町(200m)足らずの狭い東岸に布陣していた。
この前面はこの時期の水量ならば、徒での渡河ができる場所だからだ。
勿論、渡河の際には足を取られぬように十分な注意が必要。
そこを鉄砲で狙い撃たれれば大損害を被る。
北条が使ってくるであろうと殿の仰せの仕寄り道具「竹を数十本括った盾」を使用するにも、流れが邪魔。
更にはこの付近の使えそうな舟も、ほとんど引き払っている。
ただ唯一、いわゆる地名の由来となった小さな仮設の橋、「厩橋」が平時の通行に使われている。
今、わざと落とさずに、集中砲火を浴びせるために架かっている。
「いでっちゃ~ん。あっちの様子は~??」
吾妻岩櫃周辺が大胡の支配下に落ち、上田など北信濃への道が開かれたこと、村上殿が越後に逃れたことから、出浦親子率いる村上素ッ破が大胡の支配下に置かれることになった。
直接の支配は真田殿であるが、今、厩橋方面は殿の直接指揮の下にある。
「は。物見を20名以上入れておりますが、警戒厳しく。
北条方総数14000程度、中心にいる本陣は小田原衆の精鋭3000。それに加え玉縄衆の生き残りが2500。
その程度しか判りませぬ」
「この前の戦が情報戦に負けたことが敗因と分かって対策立ててきたね。
流石関東の雄、北条氏康!
玉縄衆か~。綱成ちゃんの敵討ちに燃えているんでしょ~ねぇ、
きっと」
「それから……
異様に陣幕が多く、何やら中で作業をしている音がしまする。資材も多数運び込まれておる様子」
殿がそれを聞くと途端に真面目な表情になった。
顎を捻り、考えている。
段々といつもの様に髷を触り始めた。
周りの者が焦れるほどの時間、沈思黙考の後。
「さっぱり分からん!!
とりあえず、ここはたねちゃんに任せて厩橋城行ってくる。
上から見えるかも。何かあったら信号で知らせてね~」
今回は仮設の腕木式信号機を持ってきている。
殿の大声なら3町くらいは届くかもしれぬが、そろそろ北風が強くなる季節。
いつ強風になるやもしれぬ。
ここと、見晴らしの良い厩橋城の物見台に一対の信号機を取り付けた。
敵に知られては困るような秘密の通信をいつでもできるような仕組みだ。
これを使うようなことがあれば、それは大胡にとり大変な危険が迫ってきている時か、はたまた大攻勢に出られる時だ。
後者であることを天に祈った。
◇ ◇ ◇ ◇
厩橋城辰巳櫓(北西の矢倉)
長野政影
(まだツッコミスキルを取得していない側使え)
矢倉の上、3間(6m)四方の広さの北西端に、長野道安様(某の叔父でもある)と我が殿が肩を連ねて北条勢を見据えている。
道安様は、代々大柄な厩橋長野の血筋としては小柄な方であるが、それでも殿より7寸(21cm)程度は上背がある。
なんと小さき体に大きなもののふの魂が入っているのだろう。
以前、そのようなことをお伝えしたら
「もものふがいいなぁ。
もものふもものふ~♪
うふっ」
などと訳の分からぬ言葉ではぐらかされた。
「何か見える~?
お爺様??」
「見えぬな。ここからでは陣幕内は覗けぬ」
殿の背では、この櫓全面に廻らした矢盾の上から利根川を見下ろすには少しばかり難がある。
お立ち台を持ってくるべきであった。
ここは利根川本流が曲がりくねり、両脇にごろた石(20cm以内の丸石)が転がる場所がある。
その向こう岸の場所で陣幕が5か所張られている。
普通の陣幕よりも2倍以上高くまで張られたそれは、中で何かをしていてもここの高台の高さでも見えない。
「う~ん。考えられることは……」
ここにいる皆が聞き耳を立てる。それだけの存在感のある殿の発する言葉。
「右斜め上いく発想でしょ~、きっと♪」
結局、何が言いたいのかわからないうちに北条が動いた。陣幕と厩橋の中間、茂みの中から兵が50以上立ち上がった。
手には殿が警戒していた竹束を抱えている。
「来たね~。
たねちゃんにはこれ来たら集中砲火っ、と言っておいたから、そのうち何とかなるっしょ」
竹束の列が橋を続々と渡ろうと近づいて来た。
その場所までは2町近くあり、ここからの銃撃は無駄撃ちになる。
もう少し近くに橋を移動できればよかったが、ちょうどよい場所がなかった。
この新旧利根川が二股に分かれる場所は、北へ1町ほどの所に中州が南北に伸びており、そこを利用して橋を架けている。
川幅が他の場所よりも広い代わりに流れが緩い。その西側が本流で少し水深があるが、中州東の流れはとても渡りやすい。
本流まで1町半近くあり銃撃の威力が弱くなるため、この東の流れを北条の兵が渡る時に一斉射撃する計画である。
引き寄せてから撃つわけだ。
西の本流に架かる橋を渡り切り、北の支流に架かる橋に竹束が渡り始めた。
大胡の主力部隊1800の鉄砲隊の一斉射撃が、その50余りの竹束に襲い掛かる。
600丁を3射に分けての射撃で見る見るうちに竹束が弾け飛んでいく。
後ろで抱えていた北条兵は左右の河に飛び込み、難を逃れている。
「もう一回行くかな? たねちゃんも本気だから行っちゃうね~」
殿は何が来るのか、とても楽しみにしている様にも見える。
危険なことにならればよいが……
上野国厩橋城北3町(300m)
上泉秀胤
(まだまだ頼りない大胡の参謀)
ここ厩橋城北方4町余りの河原が、大軍が徒で渡れる唯一の渡し場となっている。ここから北へ2里半(10km)に小さな徒渡しのできる場所があるが、それ以外はすべての西岸が3間(6m)以上の断崖絶壁だ。
その小さな渡しもその目の前にある箱田城という城が行く手を阻み、渡河できるような少数の兵では落とせない。
厩橋城は小高い大地の上にあり、その3方を新旧利根川の流れによって守られている堅城だ。利根川の西岸と東岸を結ぶ重要な渡し場を、その厩橋城が睨みを効かせている。
現在、厩橋城主長野道安様率いる兵500が鉄砲300を構え、配置についている。
厩橋城に近づけば蜂の巣になるであろう。この城をすり抜けても後背を気にしながら戦うことになる。
非常に重要な城である。
大胡の主力部隊は、その射撃が届かぬ2町から4町までの2町(200m)足らずの狭い東岸に布陣していた。
この前面はこの時期の水量ならば、徒での渡河ができる場所だからだ。
勿論、渡河の際には足を取られぬように十分な注意が必要。
そこを鉄砲で狙い撃たれれば大損害を被る。
北条が使ってくるであろうと殿の仰せの仕寄り道具「竹を数十本括った盾」を使用するにも、流れが邪魔。
更にはこの付近の使えそうな舟も、ほとんど引き払っている。
ただ唯一、いわゆる地名の由来となった小さな仮設の橋、「厩橋」が平時の通行に使われている。
今、わざと落とさずに、集中砲火を浴びせるために架かっている。
「いでっちゃ~ん。あっちの様子は~??」
吾妻岩櫃周辺が大胡の支配下に落ち、上田など北信濃への道が開かれたこと、村上殿が越後に逃れたことから、出浦親子率いる村上素ッ破が大胡の支配下に置かれることになった。
直接の支配は真田殿であるが、今、厩橋方面は殿の直接指揮の下にある。
「は。物見を20名以上入れておりますが、警戒厳しく。
北条方総数14000程度、中心にいる本陣は小田原衆の精鋭3000。それに加え玉縄衆の生き残りが2500。
その程度しか判りませぬ」
「この前の戦が情報戦に負けたことが敗因と分かって対策立ててきたね。
流石関東の雄、北条氏康!
玉縄衆か~。綱成ちゃんの敵討ちに燃えているんでしょ~ねぇ、
きっと」
「それから……
異様に陣幕が多く、何やら中で作業をしている音がしまする。資材も多数運び込まれておる様子」
殿がそれを聞くと途端に真面目な表情になった。
顎を捻り、考えている。
段々といつもの様に髷を触り始めた。
周りの者が焦れるほどの時間、沈思黙考の後。
「さっぱり分からん!!
とりあえず、ここはたねちゃんに任せて厩橋城行ってくる。
上から見えるかも。何かあったら信号で知らせてね~」
今回は仮設の腕木式信号機を持ってきている。
殿の大声なら3町くらいは届くかもしれぬが、そろそろ北風が強くなる季節。
いつ強風になるやもしれぬ。
ここと、見晴らしの良い厩橋城の物見台に一対の信号機を取り付けた。
敵に知られては困るような秘密の通信をいつでもできるような仕組みだ。
これを使うようなことがあれば、それは大胡にとり大変な危険が迫ってきている時か、はたまた大攻勢に出られる時だ。
後者であることを天に祈った。
◇ ◇ ◇ ◇
厩橋城辰巳櫓(北西の矢倉)
長野政影
(まだツッコミスキルを取得していない側使え)
矢倉の上、3間(6m)四方の広さの北西端に、長野道安様(某の叔父でもある)と我が殿が肩を連ねて北条勢を見据えている。
道安様は、代々大柄な厩橋長野の血筋としては小柄な方であるが、それでも殿より7寸(21cm)程度は上背がある。
なんと小さき体に大きなもののふの魂が入っているのだろう。
以前、そのようなことをお伝えしたら
「もものふがいいなぁ。
もものふもものふ~♪
うふっ」
などと訳の分からぬ言葉ではぐらかされた。
「何か見える~?
お爺様??」
「見えぬな。ここからでは陣幕内は覗けぬ」
殿の背では、この櫓全面に廻らした矢盾の上から利根川を見下ろすには少しばかり難がある。
お立ち台を持ってくるべきであった。
ここは利根川本流が曲がりくねり、両脇にごろた石(20cm以内の丸石)が転がる場所がある。
その向こう岸の場所で陣幕が5か所張られている。
普通の陣幕よりも2倍以上高くまで張られたそれは、中で何かをしていてもここの高台の高さでも見えない。
「う~ん。考えられることは……」
ここにいる皆が聞き耳を立てる。それだけの存在感のある殿の発する言葉。
「右斜め上いく発想でしょ~、きっと♪」
結局、何が言いたいのかわからないうちに北条が動いた。陣幕と厩橋の中間、茂みの中から兵が50以上立ち上がった。
手には殿が警戒していた竹束を抱えている。
「来たね~。
たねちゃんにはこれ来たら集中砲火っ、と言っておいたから、そのうち何とかなるっしょ」
竹束の列が橋を続々と渡ろうと近づいて来た。
その場所までは2町近くあり、ここからの銃撃は無駄撃ちになる。
もう少し近くに橋を移動できればよかったが、ちょうどよい場所がなかった。
この新旧利根川が二股に分かれる場所は、北へ1町ほどの所に中州が南北に伸びており、そこを利用して橋を架けている。
川幅が他の場所よりも広い代わりに流れが緩い。その西側が本流で少し水深があるが、中州東の流れはとても渡りやすい。
本流まで1町半近くあり銃撃の威力が弱くなるため、この東の流れを北条の兵が渡る時に一斉射撃する計画である。
引き寄せてから撃つわけだ。
西の本流に架かる橋を渡り切り、北の支流に架かる橋に竹束が渡り始めた。
大胡の主力部隊1800の鉄砲隊の一斉射撃が、その50余りの竹束に襲い掛かる。
600丁を3射に分けての射撃で見る見るうちに竹束が弾け飛んでいく。
後ろで抱えていた北条兵は左右の河に飛び込み、難を逃れている。
「もう一回行くかな? たねちゃんも本気だから行っちゃうね~」
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更に彼は生まれつき身体が弱く、武術も魔導の才もないというハンディキャップを抱えていた。また、日本で得た知識を使った技術革新も、世界を崩壊させる危険な技術として封じられてしまう。
彼の代名詞である“微笑み”も単に苦し紛れの策に対する苦笑に過ぎなかった。
マティアスは愛する家族や仲間を守るため、大賢者とその配下の凄腕間者集団の力を借りつつ、優秀な友人たちと力を合わせて強大な敵と戦うことを決意する。
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あらすじにある通り、主人公にあるのは日本で得た中途半端な知識のみで、チートに類する卓越した能力はありません。基本的には政略・謀略・軍略といったシリアスな話が主となる予定で、恋愛要素は少なめ、ハーレム要素はもちろんありません。前半は裏方に徹して情報収集や情報操作を行うため、主人公が出てくる戦闘シーンはほとんどありません。
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