首取り物語~北条・武田・上杉の草刈り場でざまぁする~リアルな戦場好き必見!

👼天のまにまに

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第12章:高度成長します!

日本初って気持ちいいよね

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 1553年4月12日
 上野国那波城
 瀬川正則
(経済再生金融大臣、なんという忙しさ草)


 銭がない。
 いや、大胡には巨額の「帳簿上の貸付」がある。倉の増築が追い付かないほど永楽銭が入っている。

 が、最近その永楽銭が「支払われ」なくなってきている。
 それらの商人にその理由を聞くと「永楽銭がない」そうだ。

「あちゃ~。こんな東国のちっこい国衆だから、には影響ないと思ったんだけどね。
 ショボン」

 なにか殿には思い当たることがあったらしい。

「このままいくと日ノ本中が益々デフレ……物が作れなくなっちゃう。
 作っても売れないんじゃ、産業が衰退する~~。
 どうしよっか……」

「永楽銭が足りなければ、金銀があるじゃない……とはいかないのですな」

「なぜ、そのセリフまわしを知っている??」

「いえ、なぜか某の頭の中に浮かんできました」

「これは……要考察。
 で、金銀はもっと足りなくてね。いっぱい掘ろうとすると、これがまた日ノ本以外に輸出する馬鹿……大名が出てくると思うんだよね。それで大陸の永楽銭や南蛮の硝石と交換するの。そのため日ノ本の金銀が海外に逃げて行っちゃう」

 某の見ているのは大胡のことだけだ。
 殿は日ノ本中、いや唐天竺、そればかりか最近頓に話に上る南蛮などにも目が行っているようだ。

 益々尊崇の念が沸く。

 殿は
「崇め奉られるのは嫌い。僕を超える、もしくは近づくように勉強して。僕だって気づかないこといっぱいあるんだし、僕がいつでもどこにでもいるとは限らないんだから」
 というが、自然とそうなるのは詮無きこと。

「では代わりの銭を作るのはいかがでしょう?」

「できればいいんだけどね~。それ、みかどの専権事項。
 勝手に作ると益々「れえと」が複雑に……。今ね、この前の献金のお礼として官位じゃなくて、銭を作る許可を貰うために智円のあんちゃんにお出かけしてもらっている~。
 それで」

「銭を作るのでしょうか?」

「いあいあ。銅が入手できませぬ~。
 一応ね、桐生の山奥の足尾ってとこに、銅山がありそうなのはサンカの皆様に見つけてもらったんだけどね。
 まだ掘れないよ~、あそこ大胡じゃないから。なので大胡にいっぱいあって誰でも欲しい物、何がある?
 それなら銭の代わりになる~」

 某は考えた。
 思いつくものは、焼酎・石鹸・生糸、あとは鉄か?

「生糸か鉄でしょうか?」

「うんうん。布なんかは昔お金の代わりになっていたけどね。すぐダメになっちゃう。鉄で銭作ってもいいんだけどね」

「鉄は錆まする」

「そ~なんだよ~。
 だから……おお、やっぱこれだよん!
 鉄は使うとなくなっちゃうけどね。絶対使うし、大胡うちで生産量を調節できる! でね、紙でお金作っちゃうの。この紙持ってきたら鉄何貫文分と交換しちゃうよ~と」

 某は全く新しい仕組みを聞き、眼が回るとともに
「それは上手く行くのではないのか?」
 と直感で分かった。

 と共に、問題点にも思い当った。

「されど、それではその紙を偽造する者が出るのでは?
 あとは紙では破れたり、濡れたりして毀損?
 いたしまする」

「うん。毀損は自己責任デス! 
 はい。
 で、偽造対策なんだけど、ここで帝の権威を借りるけど、ダメ押しでそれと共に
 伊勢神宮
 熊野大社
 稲荷神社
 赤城神社の印を押すのです!
 すると皆はどう思う?」

 それは畏れ多いし、神に祟られる、恩恵を受けられなくなると思えば偽造する者は極端に少なくなろう。

「だから今、印刷局作っているわけ♪ 
 おふだと一緒ですね。
 作ろう日銀、中央銀行! 
 そして最速資本主義経済成立!」

 とりあえず実施してダメなら、それまでに銭の供給を増やせる方法を考えると、殿は続けた。
 まさか大胡18万石が、日ノ本の銭を動かすとは思ってもみなかった。

 改めて振り返ってみると、東国すべての米の価格を大胡が決めてしまう仕組みがこんなに儲かるとは、うまやばし屋と父とで仕組みを考案した時には思いも寄らなかったのだ。
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