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第12章:高度成長します!
変な名前を付けられた
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1552年10月上旬
上野国吾妻郡岩櫃山城
宮代武蔵
(それはこの名前付ければ、どうなるかですよねぇ)
3年前元服した折、殿より苗字を名乗るように言われた。
もう幼名の平助ではいけなくなった。嬉しいと共に一抹の寂しさもある。
殿の命で賢祥様が各地で拾ってきた最初の孤児の中にいた俺は、平助という名前を殿に付けてもらった。
そしてこれからは殿が付けて下さる新しき名を名乗る。
春日部村の出身だと言ったら、
「近くに別の村とかある~?」
と尋ねられたので、
北にある宮代の地名を挙げた。
すると
「それいいねぇ、それつけたら~~?」
とはしゃいで、ついでに諱も名付けていただけた。
武蔵の国だから武蔵。
なんだか安直な感じもするが、殿が名付けてくれたことに意味がある。
誠勤に励み、必ずや殿のお役に立つ!
そしてこんなにも早くその機会が来るとは。
なんと18にして城代!?
「大胡ってさぁ、人材不足なんだよねぇ。
だから忠誠心があって能力がある、今後主力となって働いてくれ、信頼できる有能な友達もいる。そんな条件を考えたら武蔵君しかいないってことになったので~す。
ハイ」
後藤様や東雲殿、是政殿がいるのでは?
と思ったが、先回りされておっしゃられた。
「お仁王様と狐ちゃん、これちゃんはここで遊ばせる訳には行かないんだなぁ。
主力を率いてもらわないと。
だから、ここで武蔵君は統率・作戦・内政の訓練をしてね。たねちゃんが書いた手引き書があるから、それ使ってお勉強!
カリカリ」
ここには同期の親衛隊候補生12人が兵20名と共に配属される。
あとは雑兵を集めるか徴兵だ。全ての権限が俺に委ねられている。
同期の皆には相談はするが、最後の決断は俺がする。身震いすると同時に、これが最初の関門だと思った。
大将軍に俺はなる!
◇ ◇ ◇ ◇
1552年10月中旬
上野国白井城(今の子持村)
真田幸綱
(素ッ破の軍団作るのが至上命題)
「じゃあ、ゆっきー、北毛(群馬北部)は任せたね~。
来年の刈り入れ済ませたら直ぐに那波に戻ってね。できるだけ早く。
それと矢沢っちは大丈夫だと思うけど、岩櫃のあの子たちの面倒もヨロ」
そういうと殿は、護衛100を連れて大胡へと帰って行った。
この白井の長尾家は当主が弟に闇討ちされ、先月御家断絶した。
姻戚であった厩橋長尾家の一族から跡を継ぐ者を出したが、まだ幼いため実質上は儂が支配することとなった。
この城は沼田の弟と、宮代の坊主が守る岩櫃城を支援できる場所にある。
沼田は北の要、対越後の最前線。
弟にしか任せられぬと、殿の差配じゃ。
岩櫃は昨年、城主斎藤憲広に大胡へ向かう荷駄を襲わせ、それを口実に沼田と同時期に一気に攻め落とした。
ここは大胡の生命線の一つである草津鉱山(群馬鉄山)がある。
奴にそこを知られた。
昨年から交渉を続けていたが埒が明かず、今年になって北条との手打ちが済み、すぐさま侵攻に及んだのだ。
殿の計画では、多分来年刈り入れ後、早いうちに北条との開戦となるとの見立て。
まだ休戦は明けなくとも北条を追い詰めるという。
既に北条は内政ががたがた、領国はあと一歩で崩壊するところまで来ているという。
こちらからは仕掛けず、北条から戦端を開かせるとのこと。
うまくいくだろうか。
また松の間での円卓会議が開かれる。
そこで策が練られるのであろう。
儂は、その間に北部を『景虎が』攻めてきても、殿の後詰まで落ちないような態勢整えるのが使命じゃ。
頑張ろう。
吾妻には多くの素ッ破がいる。
これも糾合せねばな。
上野国吾妻郡岩櫃山城
宮代武蔵
(それはこの名前付ければ、どうなるかですよねぇ)
3年前元服した折、殿より苗字を名乗るように言われた。
もう幼名の平助ではいけなくなった。嬉しいと共に一抹の寂しさもある。
殿の命で賢祥様が各地で拾ってきた最初の孤児の中にいた俺は、平助という名前を殿に付けてもらった。
そしてこれからは殿が付けて下さる新しき名を名乗る。
春日部村の出身だと言ったら、
「近くに別の村とかある~?」
と尋ねられたので、
北にある宮代の地名を挙げた。
すると
「それいいねぇ、それつけたら~~?」
とはしゃいで、ついでに諱も名付けていただけた。
武蔵の国だから武蔵。
なんだか安直な感じもするが、殿が名付けてくれたことに意味がある。
誠勤に励み、必ずや殿のお役に立つ!
そしてこんなにも早くその機会が来るとは。
なんと18にして城代!?
「大胡ってさぁ、人材不足なんだよねぇ。
だから忠誠心があって能力がある、今後主力となって働いてくれ、信頼できる有能な友達もいる。そんな条件を考えたら武蔵君しかいないってことになったので~す。
ハイ」
後藤様や東雲殿、是政殿がいるのでは?
と思ったが、先回りされておっしゃられた。
「お仁王様と狐ちゃん、これちゃんはここで遊ばせる訳には行かないんだなぁ。
主力を率いてもらわないと。
だから、ここで武蔵君は統率・作戦・内政の訓練をしてね。たねちゃんが書いた手引き書があるから、それ使ってお勉強!
カリカリ」
ここには同期の親衛隊候補生12人が兵20名と共に配属される。
あとは雑兵を集めるか徴兵だ。全ての権限が俺に委ねられている。
同期の皆には相談はするが、最後の決断は俺がする。身震いすると同時に、これが最初の関門だと思った。
大将軍に俺はなる!
◇ ◇ ◇ ◇
1552年10月中旬
上野国白井城(今の子持村)
真田幸綱
(素ッ破の軍団作るのが至上命題)
「じゃあ、ゆっきー、北毛(群馬北部)は任せたね~。
来年の刈り入れ済ませたら直ぐに那波に戻ってね。できるだけ早く。
それと矢沢っちは大丈夫だと思うけど、岩櫃のあの子たちの面倒もヨロ」
そういうと殿は、護衛100を連れて大胡へと帰って行った。
この白井の長尾家は当主が弟に闇討ちされ、先月御家断絶した。
姻戚であった厩橋長尾家の一族から跡を継ぐ者を出したが、まだ幼いため実質上は儂が支配することとなった。
この城は沼田の弟と、宮代の坊主が守る岩櫃城を支援できる場所にある。
沼田は北の要、対越後の最前線。
弟にしか任せられぬと、殿の差配じゃ。
岩櫃は昨年、城主斎藤憲広に大胡へ向かう荷駄を襲わせ、それを口実に沼田と同時期に一気に攻め落とした。
ここは大胡の生命線の一つである草津鉱山(群馬鉄山)がある。
奴にそこを知られた。
昨年から交渉を続けていたが埒が明かず、今年になって北条との手打ちが済み、すぐさま侵攻に及んだのだ。
殿の計画では、多分来年刈り入れ後、早いうちに北条との開戦となるとの見立て。
まだ休戦は明けなくとも北条を追い詰めるという。
既に北条は内政ががたがた、領国はあと一歩で崩壊するところまで来ているという。
こちらからは仕掛けず、北条から戦端を開かせるとのこと。
うまくいくだろうか。
また松の間での円卓会議が開かれる。
そこで策が練られるのであろう。
儂は、その間に北部を『景虎が』攻めてきても、殿の後詰まで落ちないような態勢整えるのが使命じゃ。
頑張ろう。
吾妻には多くの素ッ破がいる。
これも糾合せねばな。
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