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第9章:調略でジワイジワリと
龍には酒飲ませよう
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1551年3月下旬
上野国大胡城松の間
長野政影(優秀な祐筆?かも)
毎月1日にこの松の間にて定例の「円卓会議」が開かれる。
なぜ「円卓」なのか殿に伺うといつもの如く「特に意味はない!」と拳を振り上げて決めの仕草を取る。
「気分キブンだよ~」とも言っている。
「では砥石城は武田が落としたと?」
智円殿の報告に秀胤殿が腕を組んでその言葉を繰り返した。今日はその報を受けての臨時会議である。
砥石崩れで負った晴信の手傷が思ったより浅く、永田徳本の手当により瞬く間に回復、取って返した武田勢に気を抜いていた(さらには志賀勢が上野に退転した)ため、容易に落ちてしまった。
信濃の均衡していた情勢が傾き始めた。
村上方の堅城砥石城が落ちたことにより、佐久方面から村上の本拠葛尾城が直接武田の攻勢を受けることになった。
そのことで家臣が動揺していると。自身の領地が危険にさらされたのであるから当然であろう。
「持ってあと1~2年ですねぇ。村上さんち。
どこかに逃げるしかないねぇ。
もう越後に逃げちゃうんじゃない?
管領も逃げ込んだら、義に厚いとか言っている景虎にゃんが山越えて飛んでくるかもね~きっと。これは武田と北条、大変だぁ。
怪獣大戦争~~~。
あ、ところで越後って石高どんくらい~?」
「およそ40万石かと」
「そのほかには独占販売の上布とか海運の中心、直江津や柏崎がある~裏山。最大1万あまりは動員できるねぇ。
あと金山とか見つけちゃったら……
あうあう、今のは無し」
金山?
何処かで見つかったのであろうか。
殿に聞いてもきっと「サンカがそれらしきもの見つけた~。でもまだわんない」とかはぐらかされるのであろう。
最近は分からない事をうっかり言ってしまうと、サンカのせいにするようになってきた。
それはともかく。
米1石でおよそ1人が住んでいるとして、最低40万人は人口がある。上野も40万石くらいだが、こっちはまとまっていないので戦力的に弱いだろう。
殿が以前、指揮系統が混乱していると、戦では同じ数でも弱くなるとおっしゃっていた。
大胡はやっと幾多の改革の成果で7千石から一躍5倍の3万5千石に。
他の勢力には確かな数字はまだ気取られていない。
他にも麦類の収穫もある。
さらには那波の領地約2万石の土地を、現在土壌改良をして徐々に4万石まで収穫を増やしていく手はずだ。
来年には合計8万石に届くはずだ。
それで常備兵1800を維持している。
勿論、東国の米流通を押さえ、大胡の多彩な特産品を流通させることで、莫大な利益を上げている蔵田屋と梁田屋から冥加金を得ている。
これを使い、兵の維持だけでなく装備の更新を行い、領地の開発・流入してくる逃散した者たちへの支援なども行っている。
瀬川殿はびっくりしておられたが、蔵田屋や梁田屋に委託生産販売をすることにより、人口の少ない大胡で生産した品を売るよりも多くの利益が出ているのだ。
殿の目論見通りだという。
「やっぱ。毒をもっと盛るか。アル中患者に。
智円の兄さま、おちゃけをいっぱい持って三国峠越えて景虎にゃんにご挨拶行ってくれる?」
「毒を入れるのですか?」
生真面目な秀胤殿がびっくりする。殿が毒を盛るとは考えられないからだ。正々堂々戦場で倒すのが理想だと常日頃言っておられる。
勿論それは建前で、影では晴信殿に斬首作戦を二度も実行しているが。
「一応戦場だから」だそうである。
「ちがうちがう~。
おちゃけののみすぎは
けんこうをそこなうおそれがあります。
のみすぎにちゅういしましょう!
にんぷさんもちゅうい~」
なんだかまたボケをかましているらしい。
「これから毎月定期的におちゃけをお送りしましょうね♪
最近、色々な種類できたでしょ?
麦米蕎麦焼酎だけでなく、色々なものに混ぜることのできる癖のない焼酎!
あれが飲みすぎるとのもっぱらの噂~。
ので、酔っぱらって戦場に出てきてくれると、あまり怖くないかも~」
噂によると景虎殿は、ご自身を「毘沙門天の化身」と呼び、その名に違わぬ戦ぶりと聞く。この噂を頼って管領殿と村上殿が自領地から追い出された時に、越後へ向かうと殿は見ている。
そうすれば上野国は越後勢と北条勢との戦場となり、どちらかにつかざるを得ぬ。
余りにも越後勢が強すぎると困るそうだ。
やはり未だ今後の殿の方針がよくわからぬ。
「わかり申した。
拙僧は越後に親善を目的として赴けばよろしいのか?」
智円殿も外交僧としての仕事に慣れてきつつある。里見も一時的にせよ北条と諍いを始め、半年は猶予を得ることができた。
そのために飢饉の影響をまともに受けた武蔵などを慰撫せねばならなくなり、北条の勢いが止まったのだ。
大胡の策略も効いている。
「んとね。
多分、今年中に平井は落ちちゃうと思う。あの陰険ポツコン管領はどこに逃げ込むと思う?」
某は普通、筆記をするのもであるが、ここでは口を挟ませていただく。
「大胡はあり得ませぬな。管領家とはあまりにも深い溝がありまする」
「それは如何様な溝であるか? 拙僧も知っておかねばならぬものか?」
「う~ん、もうこの面子では共通認識を持っていないといけない時期だよね。
政影くん」
某は、小さく頷いた。
「実は……
管領殿は殿の実父で、親の仇でもある。殿ご自身の仇でもある。
殿は一度殺されかけました」
「なんと!」
「!!!!」
秀胤殿はもちろん、智円殿ですら驚いている。
当たり前であろう。
「だからね、向こうも僕を認めたくないわけ。どんなに戦果、功績を残してもね。
自分の黒歴史?
馬鹿がみんなに知られるとやでしょ? だから大胡には逃げ込まないと思う。
流石にここまでいじめている僕に頼るほど誇りを捨てる行動には出ないと……思う」
歯切れが悪いのは、多分、何をするか分からない御仁だからであろう。
「あとは、武田の方はどう?」
「晴信がまた負傷したため、砥石を取ったあとは侵攻が止んでおります。
甲斐の菊蔵に情報を流せと伝えます?」
「いいや、そんな子ではないと思うよ。
仕事に集中してもらお~」
あくまでもあの子らには優しい。
他の者にも優しいが。
時に鬼にもなるのが殿ではあるが。
「砥石城ですが、乱取り(乱暴狼藉・略奪)が行われたようです」
晴信殿はよほど砥石城が、志賀の生き残りがお嫌いらしい。徹底的にいたぶることで見せしめにしているのであろう。
大胡も八斗島の渡し場で多くの血を流したが、その目的は兜首を取ること。参陣した武士を根絶やしにすれば、その武士団は再編が困難になる。
だから雑兵足軽は逃がし、武士の首を獲って全て北条や臣従した国衆豪族に送り返した。
憤慨して復讐を誓うにしても家臣が殆ど壊滅している。再編するには若者が戦場に出られるまで10年はかかろう。
その間に大胡は強く大きくなる。
同じように見えて、見せしめとは全く目的が違う。
乱取りもしない。
当たり前である。
そこを統治して、土地の皆を富ませて同胞にするのが目的であるのだから。
「……早く、武田も潰さないと地獄が続くね」
高々数万石の大胡が大大名の武田を潰すとか、通常ならばほら吹きどころか戯言と一蹴されるところであるが、殿は着々と実力を蓄えている。
その外交・戦略も四方八方に伸びている。
「あとは東だね。
目下の所邪魔なのは館林の赤井照光。
こいつだな。
そして、その向こうには最重要地点。関宿があるんだけど……
そこまで行くのにいつになるやら。
とりあえず佐野さんちと誼を結ぶのと、古河公方にも繋ぎを付けないとね」
利根川と渡良瀬川は関宿の手前で合流し、江戸湾に流れ込んでいる。
その込み入った水郷地帯の関所に当たるのが関宿である。ここを押さえる者は北関東の死命を制することになる。
関宿を締め付けられれば、またもや大胡は干上がってしまう。北条との争奪戦となるであろう。しかし、大胡より12里(48km)以上、当分手が出せない。
「佐野さんと手を組まないとね。
あっちから援軍とか頼まれたら恩に着せちゃうよ~」
これが今年の内に実現するとは、やはり殿は天眼を持っておられる。
上野国大胡城松の間
長野政影(優秀な祐筆?かも)
毎月1日にこの松の間にて定例の「円卓会議」が開かれる。
なぜ「円卓」なのか殿に伺うといつもの如く「特に意味はない!」と拳を振り上げて決めの仕草を取る。
「気分キブンだよ~」とも言っている。
「では砥石城は武田が落としたと?」
智円殿の報告に秀胤殿が腕を組んでその言葉を繰り返した。今日はその報を受けての臨時会議である。
砥石崩れで負った晴信の手傷が思ったより浅く、永田徳本の手当により瞬く間に回復、取って返した武田勢に気を抜いていた(さらには志賀勢が上野に退転した)ため、容易に落ちてしまった。
信濃の均衡していた情勢が傾き始めた。
村上方の堅城砥石城が落ちたことにより、佐久方面から村上の本拠葛尾城が直接武田の攻勢を受けることになった。
そのことで家臣が動揺していると。自身の領地が危険にさらされたのであるから当然であろう。
「持ってあと1~2年ですねぇ。村上さんち。
どこかに逃げるしかないねぇ。
もう越後に逃げちゃうんじゃない?
管領も逃げ込んだら、義に厚いとか言っている景虎にゃんが山越えて飛んでくるかもね~きっと。これは武田と北条、大変だぁ。
怪獣大戦争~~~。
あ、ところで越後って石高どんくらい~?」
「およそ40万石かと」
「そのほかには独占販売の上布とか海運の中心、直江津や柏崎がある~裏山。最大1万あまりは動員できるねぇ。
あと金山とか見つけちゃったら……
あうあう、今のは無し」
金山?
何処かで見つかったのであろうか。
殿に聞いてもきっと「サンカがそれらしきもの見つけた~。でもまだわんない」とかはぐらかされるのであろう。
最近は分からない事をうっかり言ってしまうと、サンカのせいにするようになってきた。
それはともかく。
米1石でおよそ1人が住んでいるとして、最低40万人は人口がある。上野も40万石くらいだが、こっちはまとまっていないので戦力的に弱いだろう。
殿が以前、指揮系統が混乱していると、戦では同じ数でも弱くなるとおっしゃっていた。
大胡はやっと幾多の改革の成果で7千石から一躍5倍の3万5千石に。
他の勢力には確かな数字はまだ気取られていない。
他にも麦類の収穫もある。
さらには那波の領地約2万石の土地を、現在土壌改良をして徐々に4万石まで収穫を増やしていく手はずだ。
来年には合計8万石に届くはずだ。
それで常備兵1800を維持している。
勿論、東国の米流通を押さえ、大胡の多彩な特産品を流通させることで、莫大な利益を上げている蔵田屋と梁田屋から冥加金を得ている。
これを使い、兵の維持だけでなく装備の更新を行い、領地の開発・流入してくる逃散した者たちへの支援なども行っている。
瀬川殿はびっくりしておられたが、蔵田屋や梁田屋に委託生産販売をすることにより、人口の少ない大胡で生産した品を売るよりも多くの利益が出ているのだ。
殿の目論見通りだという。
「やっぱ。毒をもっと盛るか。アル中患者に。
智円の兄さま、おちゃけをいっぱい持って三国峠越えて景虎にゃんにご挨拶行ってくれる?」
「毒を入れるのですか?」
生真面目な秀胤殿がびっくりする。殿が毒を盛るとは考えられないからだ。正々堂々戦場で倒すのが理想だと常日頃言っておられる。
勿論それは建前で、影では晴信殿に斬首作戦を二度も実行しているが。
「一応戦場だから」だそうである。
「ちがうちがう~。
おちゃけののみすぎは
けんこうをそこなうおそれがあります。
のみすぎにちゅういしましょう!
にんぷさんもちゅうい~」
なんだかまたボケをかましているらしい。
「これから毎月定期的におちゃけをお送りしましょうね♪
最近、色々な種類できたでしょ?
麦米蕎麦焼酎だけでなく、色々なものに混ぜることのできる癖のない焼酎!
あれが飲みすぎるとのもっぱらの噂~。
ので、酔っぱらって戦場に出てきてくれると、あまり怖くないかも~」
噂によると景虎殿は、ご自身を「毘沙門天の化身」と呼び、その名に違わぬ戦ぶりと聞く。この噂を頼って管領殿と村上殿が自領地から追い出された時に、越後へ向かうと殿は見ている。
そうすれば上野国は越後勢と北条勢との戦場となり、どちらかにつかざるを得ぬ。
余りにも越後勢が強すぎると困るそうだ。
やはり未だ今後の殿の方針がよくわからぬ。
「わかり申した。
拙僧は越後に親善を目的として赴けばよろしいのか?」
智円殿も外交僧としての仕事に慣れてきつつある。里見も一時的にせよ北条と諍いを始め、半年は猶予を得ることができた。
そのために飢饉の影響をまともに受けた武蔵などを慰撫せねばならなくなり、北条の勢いが止まったのだ。
大胡の策略も効いている。
「んとね。
多分、今年中に平井は落ちちゃうと思う。あの陰険ポツコン管領はどこに逃げ込むと思う?」
某は普通、筆記をするのもであるが、ここでは口を挟ませていただく。
「大胡はあり得ませぬな。管領家とはあまりにも深い溝がありまする」
「それは如何様な溝であるか? 拙僧も知っておかねばならぬものか?」
「う~ん、もうこの面子では共通認識を持っていないといけない時期だよね。
政影くん」
某は、小さく頷いた。
「実は……
管領殿は殿の実父で、親の仇でもある。殿ご自身の仇でもある。
殿は一度殺されかけました」
「なんと!」
「!!!!」
秀胤殿はもちろん、智円殿ですら驚いている。
当たり前であろう。
「だからね、向こうも僕を認めたくないわけ。どんなに戦果、功績を残してもね。
自分の黒歴史?
馬鹿がみんなに知られるとやでしょ? だから大胡には逃げ込まないと思う。
流石にここまでいじめている僕に頼るほど誇りを捨てる行動には出ないと……思う」
歯切れが悪いのは、多分、何をするか分からない御仁だからであろう。
「あとは、武田の方はどう?」
「晴信がまた負傷したため、砥石を取ったあとは侵攻が止んでおります。
甲斐の菊蔵に情報を流せと伝えます?」
「いいや、そんな子ではないと思うよ。
仕事に集中してもらお~」
あくまでもあの子らには優しい。
他の者にも優しいが。
時に鬼にもなるのが殿ではあるが。
「砥石城ですが、乱取り(乱暴狼藉・略奪)が行われたようです」
晴信殿はよほど砥石城が、志賀の生き残りがお嫌いらしい。徹底的にいたぶることで見せしめにしているのであろう。
大胡も八斗島の渡し場で多くの血を流したが、その目的は兜首を取ること。参陣した武士を根絶やしにすれば、その武士団は再編が困難になる。
だから雑兵足軽は逃がし、武士の首を獲って全て北条や臣従した国衆豪族に送り返した。
憤慨して復讐を誓うにしても家臣が殆ど壊滅している。再編するには若者が戦場に出られるまで10年はかかろう。
その間に大胡は強く大きくなる。
同じように見えて、見せしめとは全く目的が違う。
乱取りもしない。
当たり前である。
そこを統治して、土地の皆を富ませて同胞にするのが目的であるのだから。
「……早く、武田も潰さないと地獄が続くね」
高々数万石の大胡が大大名の武田を潰すとか、通常ならばほら吹きどころか戯言と一蹴されるところであるが、殿は着々と実力を蓄えている。
その外交・戦略も四方八方に伸びている。
「あとは東だね。
目下の所邪魔なのは館林の赤井照光。
こいつだな。
そして、その向こうには最重要地点。関宿があるんだけど……
そこまで行くのにいつになるやら。
とりあえず佐野さんちと誼を結ぶのと、古河公方にも繋ぎを付けないとね」
利根川と渡良瀬川は関宿の手前で合流し、江戸湾に流れ込んでいる。
その込み入った水郷地帯の関所に当たるのが関宿である。ここを押さえる者は北関東の死命を制することになる。
関宿を締め付けられれば、またもや大胡は干上がってしまう。北条との争奪戦となるであろう。しかし、大胡より12里(48km)以上、当分手が出せない。
「佐野さんと手を組まないとね。
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