首取り物語~北条・武田・上杉の草刈り場でざまぁする~リアルな戦場好き必見!

👼天のまにまに

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第6章:陰謀するよ

信玄、鉄砲の有用性を身に染みて感じた。あれ?長篠どうなる?

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 1548年3月30日
 甲斐国躑躅が崎館
 武田晴信
(常日頃、どこかしらに傷を負っている甲斐の手負いの虎)


 朦朧とした意識の中で、何者かに左手首を掴まれているのを感じた。

「峠は越えましたかな? 
 やっと血が止まりました」

「おお、それは……天祐!」
「誠か? 感謝いたす。徳本殿!」
「御屋形様。まだ戦えますぞ! 
 信濃を武田の物といたす御旗盾無しへのお約束。
 守れましょうぞ」

 馬場(信房)・工藤(内藤昌秀)・駒井(高白斎)か……

 儂は撤退したのか。
 本隊はどうした?
 儂の威信は保てたか?

「御屋形様。
 ここまで無理せずとも甲斐の者、付いていき申す。これからは御身大事に」

「……陣は……?」

「おお、おしゃべりになられた。無事撤退いたし、上原城は小山田が入っておりまする」

 そうか、粘り強い(小山田)信有が入っているか。
 そうそう抜かれまい。

「明日より10日間、日に2度或粉保流アルコールと硫黄を処方いたしまする。この布と包帯をよく煮て、毎日数度取り換えていただきたい。
 薬湯と粥で体力を戻して参りましょう。10日後にその糸を抜きまする」

 糸?

「まさか御屋形様の体を布の如く縫うとは、思いもよらなんだ。それは徳本殿の考えたものでござるか?」

「いえ。これは弟子の菊蔵と申すものが発案したもの。某はそれを実際に行ってみただけ」

 この切り傷2か所、種子島?の傷1か所を縫うたのか?

「問題は種子島の方でござる。少々弾がはじけておりまする。全部は取り切れませぬ故、膿が出るやもしれませぬ。
 糸を抜いた後、体が動くようになりましたら湯治に出かけるとよろしいかと」

 そう言い、医者は去っていった。

 湯村か。

 ひと月ぐらいはかかると言うたな。まずはこの体を何とかせねばならぬ。村上も相当、損害があったはず。
 直ぐには動けまい。


 それにしても3方向に伏兵がいようとは。影が2人とも手負いになった。鎧を着こんでいたのに易々と射貫いた。

 種子島、恐ろしいものだ。

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