首取り物語~北条・武田・上杉の草刈り場でざまぁする~リアルな戦場好き必見!

👼天のまにまに

文字の大きさ
上 下
45 / 339
第5章:人材スカウト大事です

大躍進の号砲!

しおりを挟む
 1547年9月上旬
 上野国華蔵寺西工業集落
 冬木元頼
(この人の家系は財閥になっちゃうのかぁ。やっぱ努力と運次第だね)


 初めての煙硝が運び込まれる。
 殿が入城してより5年。最初に始めたのが、厠の増設であった。牛馬の糞尿も大事だが、まずは人尿だとか。殿は青い顔をしながら厠の製作を指揮していた。

 以前、厠で怖い思いをしたせいであると苦笑いして、
 「でもこれ一番大事~」
 と必死で作業を指示していた。

 大事なのは尿だと言い、それを溜める桶を大量に作った。あとはヨモギの葉と蚕糞の回収。蚕は沢山飼っているので問題ない。
 これを専用の「公衆便所」の軒下に、穴を掘り層になるように埋めていくのだ。
 夏には掘り返しかき混ぜる。その繰り返しでようやっと今年初めての煙硝ができた。

 それに間に合わせるようにと、皆が汗を搔き掻き種子島を作り上げた。種子島そのものは既に2丁、堺から取り寄せてあった。

 問題はどのように大量生産をするかであった。
 昨年末、初めての高炉が稼働し、銑鉄を鋳型に流し込んで鉄材が作れるようになった。反射炉も稼働したので、様々な形の良質な鉄製品も作れる。

 しかし、そこからが難問であった。用意した轆轤式の旋盤がうまく作動しない。
 銃身に使う空洞の鉄棒の内部をなだらかにするためのやすりの歯がすぐにすり減ってしまうのだ。

 この改良に半年かかった。
 とある職人が「油を付ける」ことを思いつかなければ、もっと時間がかかっていただろう。

 とにかく、間に合った完成品は元の種子島とはかけ離れた形をしていた。

 まずは銃身の下にある木製の部品が小さい。これは銃身の強度が増していることで為しえた。
 また、そこに収めるカルカ(弾込めに使う棒)を、木製から青銅製に変えたことにより強度が増し、以前の種子島が勢いよく火薬を詰めるとカルカが折れて使用不能になるという事もなくなった。

 最大の違いは銃床である。
 種子島はその保持に右手にて銃尾を顎に押し付け固定していたが、これは肩で固定できるので狙いが付けやすくなった。

 更に狙いを付ける照星と照門。
 この凹凸の目印に合わせれば簡単に狙える。

 まだまだ細かいところは粗削りで完成とはいいがたい。

 特にまだ真っ直ぐ飛ぶ物が半分にも満たない。これから改良せねばならぬ。

 これらの事は大半が殿の仰せに従い工作したものであるが、至る所に職人たちの工夫がなされていた。それを見て大喜びの殿を見て我々も顔を綻ばせ、皆で一体感を感じたものだ。


 さて、これから目の前で、選ばれた撃ち手が構えて発射の時を待っている。

 殿の号令だ。

「あ~ゆ~れでぃ~?? 
 ふぁいえる!!!!」

 遂に5年間の苦労が、轟音とともに発射された。

しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

国虎の楽隠居への野望・十七ヶ国版

カバタ山
ファンタジー
信長以前の戦国時代の畿内。 そこでは「両細川の乱」と呼ばれる、細川京兆家を巡る同族の血で血を洗う争いが続いていた。 勝者は細川 氏綱か? それとも三好 長慶か? いや、本当の勝者は陸の孤島とも言われる土佐国安芸の地に生を受けた現代からの転生者であった。 史実通りならば土佐の出来人、長宗我部 元親に踏み台とされる武将「安芸 国虎」。 運命に立ち向かわんと足掻いた結果、土佐は勿論西日本を席巻する勢力へと成り上がる。 もう一人の転生者、安田 親信がその偉業を裏から支えていた。 明日にも楽隠居をしたいと借金返済のために商いに精を出す安芸 国虎と、安芸 国虎に天下を取らせたいと暗躍する安田 親信。 結果、多くの人を巻き込み、人生を狂わせ、後へは引けない所へ引き摺られていく。 この話はそんな奇妙なコメディである。 設定はガバガバです。間違って書いている箇所もあるかも知れません。 特に序盤は有名武将は登場しません。 不定期更新。合間に書く作品なので更新は遅いです。

家出したとある辺境夫人の話

あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
『突然ではございますが、私はあなたと離縁し、このお屋敷を去ることにいたしました』 これは、一通の置き手紙からはじまった一組の心通わぬ夫婦のお語。 ※ちゃんとハッピーエンドです。ただし、主人公にとっては。 ※他サイトでも掲載します。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~

みつまめ つぼみ
ファンタジー
 17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。  記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。  そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。 「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」  恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!

婚約破棄の甘さ〜一晩の過ちを見逃さない王子様〜

岡暁舟
恋愛
それはちょっとした遊びでした

【完結】サキュバスでもいいの?

月狂 紫乃/月狂 四郎
恋愛
【第18回恋愛小説大賞参加作品】 勇者のもとへハニートラップ要員として送り込まれたサキュバスのメルがイケメン魔王のゾルムディアと勇者アルフォンソ・ツクモの間で揺れる話です。

魔法省魔道具研究員クロエ

大森蜜柑
ファンタジー
8歳のクロエは魔物討伐で利き腕を無くした父のために、独学で「自分の意思で動かせる義手」製作に挑む。 その功績から、平民ながら貴族の通う魔法学園に入学し、卒業後は魔法省の魔道具研究所へ。 エリート街道を進むクロエにその邪魔をする人物の登場。 人生を変える大事故の後、クロエは奇跡の生還をとげる。 大好きな人のためにした事は、全て自分の幸せとして返ってくる。健気に頑張るクロエの恋と奇跡の物語りです。 本編終了ですが、おまけ話を気まぐれに追加します。 小説家になろうにも掲載してます。

グライフトゥルム戦記~微笑みの軍師マティアスの救国戦略~

愛山雄町
ファンタジー
 エンデラント大陸最古の王国、グライフトゥルム王国の英雄の一人である、マティアス・フォン・ラウシェンバッハは転生者である。  彼は類い稀なる知力と予知能力を持つと言われるほどの先見性から、“知将マティアス”や“千里眼のマティアス”と呼ばれることになる。  彼は大陸最強の軍事国家ゾルダート帝国や狂信的な宗教国家レヒト法国の侵略に対し、優柔不断な国王や獅子身中の虫である大貴族の有形無形の妨害にあいながらも、旧態依然とした王国軍の近代化を図りつつ、敵国に対して謀略を仕掛け、危機的な状況を回避する。  しかし、宿敵である帝国には軍事と政治の天才が生まれ、更に謎の暗殺者集団“夜(ナハト)”や目的のためなら手段を選ばぬ魔導師集団“真理の探究者”など一筋縄ではいかぬ敵たちが次々と現れる。  そんな敵たちとの死闘に際しても、絶対の自信の表れとも言える余裕の笑みを浮かべながら策を献じたことから、“微笑みの軍師”とも呼ばれていた。  しかし、マティアスは日本での記憶を持った一般人に過ぎなかった。彼は情報分析とプレゼンテーション能力こそ、この世界の人間より優れていたものの、軍事に関する知識は小説や映画などから得たレベルのものしか持っていなかった。  更に彼は生まれつき身体が弱く、武術も魔導の才もないというハンディキャップを抱えていた。また、日本で得た知識を使った技術革新も、世界を崩壊させる危険な技術として封じられてしまう。  彼の代名詞である“微笑み”も単に苦し紛れの策に対する苦笑に過ぎなかった。  マティアスは愛する家族や仲間を守るため、大賢者とその配下の凄腕間者集団の力を借りつつ、優秀な友人たちと力を合わせて強大な敵と戦うことを決意する。  彼は情報の重要性を誰よりも重視し、巧みに情報を利用した謀略で敵を混乱させ、更に戦場では敵の意表を突く戦術を駆使して勝利に貢献していく……。 ■■■  あらすじにある通り、主人公にあるのは日本で得た中途半端な知識のみで、チートに類する卓越した能力はありません。基本的には政略・謀略・軍略といったシリアスな話が主となる予定で、恋愛要素は少なめ、ハーレム要素はもちろんありません。前半は裏方に徹して情報収集や情報操作を行うため、主人公が出てくる戦闘シーンはほとんどありません。 ■■■  小説家になろう、カクヨム、ノベルアップ+でも掲載しております。

処理中です...