首取り物語~北条・武田・上杉の草刈り場でざまぁする~リアルな戦場好き必見!

👼天のまにまに

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第5章:人材スカウト大事です

人身売買する大網、いつかやっつける!

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 1547年8月上旬
 信濃国佐久郡志賀城付近
 出浦清種
(有名なスッパの頭目出浦さんのおとやん。村上一族)


 目の前には米俵が10俵ずつ、草などで覆われて見えないように積まれている。
 合計100石余りになる。

 中身は半分が、既にほしいいに加工してある。

 手元の小さく織り込まれていた手紙と証文を改めて確認した。
 村上様からの指令だ。

「上田の御仁から米が届いた。佐久が落ちた際には皆を砥石と上野に逃がせ。
 その腰兵糧として俵の中にある糒を分け与えよ」


 上田の御仁。
 真田の幸綱殿か。

 5年前に武田に上田を追い出され、上野にて雌伏している。
 今は西上野の大胡にて厄介になっているらしい。

 最近は素ッ破を集めて、山伏とともに情報網を作り上げているらしい。

 儂にも誘いが来たが、これでも村上の一族。軽く見られたものだ。
 揚々誘いに乗るなどと思うなよ。銭に釣られて集まるものが多いと聞くが。

 そんな真田の手伝いをせよと義清様の命じゃ。
 もう、志賀城は持たぬ。

 後詰に来た関東管領殿の軍勢がいとも簡単に武田の別動隊に壊乱させられ、死傷者と捕虜を出して這う這うの体で逃げて行った。

 水の手も金堀衆に切られた。
 明日にでも総掛かりであろう。

 その後、男は鉱山送り、女子は飯盛り女(売〇婦)として買われていく。

 殿は、この者たちを逃がせという。

 武田勢の後には、必ず奴隷商人が付き従い、敗残兵とその家族はその場で買い取られる。

 武田の本隊が帰郷した後の、ほんの一瞬だけ奴隷商人だけになるであろう。

 その隙を狙い、攪乱、逃亡させる。
 村上領に逃げ込ませるものと、上野に向かわせるもの。
 どちらかが囮の役目になるが、致し方ない。

 その際、逃亡を防ぐために、必ずや捕虜には食料は与えないでいよう。

 籠城にて体力が落ち、空腹の者が多いはず。

 そのものに粥を食わせ、糒と水を持たせる。そして少人数で分散して逃げるのだ。

 笠井と高田の者には、村上と上野の者の血縁が多いと聞く。その願いを義清様が聞き入れたのであろう。
 儂らにも知人はたくさんおる。きっと真田殿もそうに違いない。

 しかし、この大量の米と糒はいったい誰が仕込んだのだろう?
 この手紙を持ってきた山伏に聞いても、とんと見当がつかぬと言っていた。

 まあよい。
 これから大仕事ぞ。


 大脱出じゃ。
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