首取り物語~北条・武田・上杉の草刈り場でざまぁする~リアルな戦場好き必見!

👼天のまにまに

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第3章:初陣だよ

君を参謀に任命しますっ!

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 1546年4月中旬 
 武蔵国本条城東鎌倉往還(上道)
 上泉秀胤
(気弱な14歳。右手は疼かないそうです)


 出陣の前の評定において、大きな方針を決める「評定衆」、戦場においての序列と参謀の任についての下達があった。

 評定衆については「戦場以外のことはこの人たちと合議するよ~」と。

 戦場においては「んとね。備えは今後基本全部人数と装備共通にするね。あと誰かが討ち死にした時には誰が後を引き継ぐか決めとくよ~」とおっしゃった。

 これには異論続出であった。
 当たり前である。
 自分の禄に対して奉公として賦役ふえき・備えを準備するものが八幡太郎義家様からの常法だ。

「殿は我らの禄を召し上げるつもりか??」

 それに対する殿の返答は
「今みんながやっている賦役、武器・腰兵糧の用意、足軽への手当なんかは、ぜ~んぶ勘定方がやっちゃうから、みんなは常備兵の訓練に集中してね~」

 皆は「なるほど」という顔をし始めた。
 瀬川殿だけが青い顔をしていたが……

 そして、備えの人数と装備を同じにすることについては

「今は輜重兵しちょうへいや勘定方は、兵糧と予備の武具、矢盾などしか用意しなくてもいいけどね。
 これからどんどん軍の近代化……ああと、大胡勢を強力にするためのいろいろな装備を増やすから。
 その時お仁王様の備えにはこのくらい兵糧が必要かな? 
 これちゃんの備えは酒は少なめにとか、考えなくてもいいように兵の質と数をできるだけ同じにする方が補給に便利なんで~す。まあ、ほかにも理由はあるけどね。
 あと、大胡がおっきい勢力にならないと、無駄かもしれないけどやらないよりいいね~」

 と、これからの展望を語っておられた。

 皆は、まったく想像がつかないようであったが、今度は瀬川殿がほっとしたように胸をなでおろしておられた。

 それから私に関連して皆の前で参謀の話もしていただいた。

「基本、 僕が大将だから最終的に決めるんだけどね。誰かが戦場における段取り・動きの進言・指示を具体的に皆にしてくんなきゃ、脳みそウニになっちゃう。
 だから僕が思いつかないことを進言してくれる人を参謀としてそばに置くよ~」

 なるほど、軍師?とは違うな。
 軍師ならば一隊の差配もするが、そのことには思いを致さずに戦全体を考えて進言せよ、ということか。

 これは……すべての者が己が得意の役割で強くなれ、他のことは別の者に任せよと。確かにその方が強い軍になるやもしれぬ。

「そこでたねちゃんね。
 直ぐには参謀なんかできないので、僕のそばで戦見たり、たくさん本読んで勉強してね。それを書にまとめるか皆に教えて~」

「それは……できませぬ。某には荷が重いかと……」

「そんなことないよ~。
 たねちゃんには真面目さと努力する力があるし才能もあると思うんだ。しのっちから孫子と戦闘経借りてね。それから足利学校から呉子とか六韜・三略とか、司馬方……クラウセヴィッツ・ユウゲキセンジュツトカアルトイイナァ……」

 六韜三略までは聞いたことがあるが、倉宇是?? 
 何だろうかわからないが後で伺ってみよう。


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