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第2章:夢をかたちにするゾ!
戦国時代を好景気にするぞ~
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1543年12月大晦日
上野国大胡城下居酒屋喜兆
喜平
(飲み屋のおやっさん)
「お~、さぶさぶ。
亭主!
熱いの一杯くんな。あと焼き味噌もな」
「へい。仕事お疲れさん。晦日も忙しそうで何よりだね、嘉平の旦那」
入口の中戸を威勢よく開けながら大工棟梁の嘉平が飛び込んできた。大胡のお殿様が入城する直前に大工集団を率いて、ここに引っ越してきた棟梁だ。
早速、熱燗を用意しながら膾の小鉢を卓に出す。それと同時に、最近出回り始めた焼酎を猪口で置く。
殿様が「さあびす」とかいっているものだ。
ここ大胡では、ほかの地方で飲むと目の玉が飛び出るような銭を取られる焼酎を、殿の「特産品のしーえむだよ~」というお触れにより、1杯だけだが無料で飲める。
仕入れもお城の勘定方が持ってくださる。
ありがたいことだ。
「よう、嘉平。
今は何処を作事しているんだい?」
仲の良い鍛冶屋の長、半兵衛が聞いている。もうだいぶ出来上がっているらしい。
「ああ。今日は米蔵をまた建てているぞ」
「へぇ。またかい。も~相当増やしているんでねえか?」
「もう建てる場所がほとんどないぜ。金蔵も増やせというけど今度は何処へ建てるやら。まだまだ建てろと家老様が言っている」
「ぷへ~。いつもうまいぜ」と言いながら一気に焼酎を飲み干す。
そう、その調子で二杯目も注文してくんな。そうじゃなくちゃ商売にならんぜ。
「そっちこそ儲かっていそうだなぁ。半兵衛」
「ああ、鋤鍬が一段落したら今度は鍋釜を作れと。俺はなぁ、こんなもんじゃなく、もっと珍しいモノを作りたいんじゃい!
そのために大胡に来たんじゃ~~~」
「半兵衛は殿に、そう口説かれて小田原から遥々こっちに来たんだよな。儂も似たようなもんじゃ。元々は宮大工なのに、もっと面白いもの作らせてあげるとか言われたからなぁ。でも今は倉作ってばかりだ」
だんだん、くだを巻き始める2人。
そこに3人目の庄屋である庄兵衛が割って入る。
「おいおい。
半兵衛は半ば親父に愛想付かせて家出してきたんじゃろ? 嘉平も都じゃろくな仕事がないと言っていたが。
逃散していた百姓がここに居ついているのも、衣食住がそろっていて、さらには仕事の報酬が高いことじゃろ?
それに……」
一口酒を含んでから一気にまくし立てた。
「明日は今日より良い日になる!
と、皆が信じて住まうことができる。これが一番の魅力よ。他所では考えられん。
先だって殿が仰っていたが、今度は新しい農機具を用意してくださると。
どうよ、半兵衛の新しい仕事が近いじゃろ?
必要な鉄も2年後までには大量に作り始めるそうじゃ。そのための設備も作り始めた。殿曰く「鉄は米なり!!」だそうだ。
それから大声では言えぬが……
華蔵寺の再建を考えているとか。そこに大きな学び舎を作るんじゃと。それれでの、そこに大きな炉もつくるとか」
酒の弱い嘉平は、すでにとろんとした目になってきていたが、それを聞き「おおっ!!」と叫んで
「でっかい建物になるんじゃろうな!? あのお殿様じゃ半端なことはするまいて」
「それによ。あのあたりも本格的に開墾を進めるとか。また人が集まるなぁ」
明るくなった3人は、まだまだ飲んでくれるらしい。
大晦日に店を開けていてよかったなぁ。
……まあ、他人の財布の心配はしないでおこう。
大騒ぎになった窓際の一角から、少し離れた席に座っていた2人の客が立ち上がり、銭を置いて出て行った。
こううるさくちゃ河岸を変えたくもなるだろう。
まだまだ日も落ちていない。
他にも空いている店などたくさんあるのだ。
賑やかになったもんさな、この大胡も。
◇ ◇ ◇ ◇
1542年12月大晦日先ほどのすぐ後。逢魔が刻
大胡城下鎌倉往還支道
マシラ
(無理はしない仲間思いの良い頭)
「お頭。この服は寒くてたまんねぇ。早くいつもの毛皮を着たいですぜ」
手下のトビが愚痴る。
町の店で買った麻の古着がなんとも似合わない。ひげ面を何とか隠して、目立たないようにしているが。
しかし、寒いのう。
なんで里のもんはこんな寒い服を身にまとっているんじゃ?
身体の皮が儂らより厚いのかの?
「奴ら、お堂に入りやした。聞き耳立てますかい??」
「いや、やめておこう。あいつらは草の者。多分、見立てじゃあ風魔よ。すぐ見つかるわい」
戦働き中心の風魔じゃが、こちらは草ではない。
そこそこ隠密できるが、すぐに気取られるのは確かじゃ。
それに殿さんは、「泳がしてね~」といっとった。
誰が草として潜入しているかわかれば、この後使えるということじゃ。きっと、偽の噂を仕込むに違いない。
その噂を流す絶好の餌が焼酎のタダ飲みらしい。
◇ ◇ ◇ ◇
【お堂の中】
「それで、いつもこんなに酒が飲まれているのか?
お代は取っていなかったぞ?」
「はい。毎日こんな感じです。1杯飲むと次が飲みたくなるもんです。他の領地からわざわざ飲みに来る奴もいます」
「わからぬ。
あの高い焼酎、なぜ代金をとらぬ?
これは松田様に知らせねば。それとあれほどの米蔵、全部米をため込んでいるのか?」
「出し入れが盛んなようです。麦も入れているようで、それを使って焼酎を作るとか。最近はすみ酒も仕込んでいるので麦米蕎麦を一時的にしまっているようです。
磐梯屋が毎日といっていい程、米を仕入れてきて作った酒と生糸、それに石鹸というもの。あとは何やら雑多な、よくわからぬものも出荷しているようで」
「全て荷駄で運んでおるのか? 大変な数の馬匹が必要ではないか?」
「いえ、最近は桃ノ木川に桟橋を作り、小舟で輸送しているようで。渇水時には捗がいかぬようですが」
「ふむ。では、民心はどうじゃ?」
「大胡の殿は、よく動いていろいろな場所に行くようで。その際には貴賤を問わず接するため、大いに慕われている様子」
「先ほどの者たちと同じということか。戦備えはどうなっておる?」
「銭がたんまりあるようで、雑兵(傭兵)を集めて訓練しています。3割は領民から精強なものを集めて訓練しております」
「どのような訓練をしておる?」
「それがなかなか見られませぬ。訓練場が塀に覆われておりまする。
ただ、よく領地の巡視を兼ねてか、上泉・後藤などが率いて……徒で駆けております。桶川胴を付けての行軍。あれはきついですな」
「武器は何じゃ?」
「妙に長い長柄を持ち、何やら弩弓のようなものを背負っております」
「弩弓? それの訓練は見れなんだか?」
「残念ながら」
「うむ。引き続き探るように。
だが無理はするなよ。草は見つからないのがなにより大事。
これは駄賃じゃ」
「ありがとうございやす」
そして、虚無僧姿の風魔は出て行った。
「ふうっ。これっぽっちじゃ、酒も飲めんわい。そろそろ潮時か。大胡の誘いを受けてみるか」
間者も静かにお堂を後にした。
上野国大胡城下居酒屋喜兆
喜平
(飲み屋のおやっさん)
「お~、さぶさぶ。
亭主!
熱いの一杯くんな。あと焼き味噌もな」
「へい。仕事お疲れさん。晦日も忙しそうで何よりだね、嘉平の旦那」
入口の中戸を威勢よく開けながら大工棟梁の嘉平が飛び込んできた。大胡のお殿様が入城する直前に大工集団を率いて、ここに引っ越してきた棟梁だ。
早速、熱燗を用意しながら膾の小鉢を卓に出す。それと同時に、最近出回り始めた焼酎を猪口で置く。
殿様が「さあびす」とかいっているものだ。
ここ大胡では、ほかの地方で飲むと目の玉が飛び出るような銭を取られる焼酎を、殿の「特産品のしーえむだよ~」というお触れにより、1杯だけだが無料で飲める。
仕入れもお城の勘定方が持ってくださる。
ありがたいことだ。
「よう、嘉平。
今は何処を作事しているんだい?」
仲の良い鍛冶屋の長、半兵衛が聞いている。もうだいぶ出来上がっているらしい。
「ああ。今日は米蔵をまた建てているぞ」
「へぇ。またかい。も~相当増やしているんでねえか?」
「もう建てる場所がほとんどないぜ。金蔵も増やせというけど今度は何処へ建てるやら。まだまだ建てろと家老様が言っている」
「ぷへ~。いつもうまいぜ」と言いながら一気に焼酎を飲み干す。
そう、その調子で二杯目も注文してくんな。そうじゃなくちゃ商売にならんぜ。
「そっちこそ儲かっていそうだなぁ。半兵衛」
「ああ、鋤鍬が一段落したら今度は鍋釜を作れと。俺はなぁ、こんなもんじゃなく、もっと珍しいモノを作りたいんじゃい!
そのために大胡に来たんじゃ~~~」
「半兵衛は殿に、そう口説かれて小田原から遥々こっちに来たんだよな。儂も似たようなもんじゃ。元々は宮大工なのに、もっと面白いもの作らせてあげるとか言われたからなぁ。でも今は倉作ってばかりだ」
だんだん、くだを巻き始める2人。
そこに3人目の庄屋である庄兵衛が割って入る。
「おいおい。
半兵衛は半ば親父に愛想付かせて家出してきたんじゃろ? 嘉平も都じゃろくな仕事がないと言っていたが。
逃散していた百姓がここに居ついているのも、衣食住がそろっていて、さらには仕事の報酬が高いことじゃろ?
それに……」
一口酒を含んでから一気にまくし立てた。
「明日は今日より良い日になる!
と、皆が信じて住まうことができる。これが一番の魅力よ。他所では考えられん。
先だって殿が仰っていたが、今度は新しい農機具を用意してくださると。
どうよ、半兵衛の新しい仕事が近いじゃろ?
必要な鉄も2年後までには大量に作り始めるそうじゃ。そのための設備も作り始めた。殿曰く「鉄は米なり!!」だそうだ。
それから大声では言えぬが……
華蔵寺の再建を考えているとか。そこに大きな学び舎を作るんじゃと。それれでの、そこに大きな炉もつくるとか」
酒の弱い嘉平は、すでにとろんとした目になってきていたが、それを聞き「おおっ!!」と叫んで
「でっかい建物になるんじゃろうな!? あのお殿様じゃ半端なことはするまいて」
「それによ。あのあたりも本格的に開墾を進めるとか。また人が集まるなぁ」
明るくなった3人は、まだまだ飲んでくれるらしい。
大晦日に店を開けていてよかったなぁ。
……まあ、他人の財布の心配はしないでおこう。
大騒ぎになった窓際の一角から、少し離れた席に座っていた2人の客が立ち上がり、銭を置いて出て行った。
こううるさくちゃ河岸を変えたくもなるだろう。
まだまだ日も落ちていない。
他にも空いている店などたくさんあるのだ。
賑やかになったもんさな、この大胡も。
◇ ◇ ◇ ◇
1542年12月大晦日先ほどのすぐ後。逢魔が刻
大胡城下鎌倉往還支道
マシラ
(無理はしない仲間思いの良い頭)
「お頭。この服は寒くてたまんねぇ。早くいつもの毛皮を着たいですぜ」
手下のトビが愚痴る。
町の店で買った麻の古着がなんとも似合わない。ひげ面を何とか隠して、目立たないようにしているが。
しかし、寒いのう。
なんで里のもんはこんな寒い服を身にまとっているんじゃ?
身体の皮が儂らより厚いのかの?
「奴ら、お堂に入りやした。聞き耳立てますかい??」
「いや、やめておこう。あいつらは草の者。多分、見立てじゃあ風魔よ。すぐ見つかるわい」
戦働き中心の風魔じゃが、こちらは草ではない。
そこそこ隠密できるが、すぐに気取られるのは確かじゃ。
それに殿さんは、「泳がしてね~」といっとった。
誰が草として潜入しているかわかれば、この後使えるということじゃ。きっと、偽の噂を仕込むに違いない。
その噂を流す絶好の餌が焼酎のタダ飲みらしい。
◇ ◇ ◇ ◇
【お堂の中】
「それで、いつもこんなに酒が飲まれているのか?
お代は取っていなかったぞ?」
「はい。毎日こんな感じです。1杯飲むと次が飲みたくなるもんです。他の領地からわざわざ飲みに来る奴もいます」
「わからぬ。
あの高い焼酎、なぜ代金をとらぬ?
これは松田様に知らせねば。それとあれほどの米蔵、全部米をため込んでいるのか?」
「出し入れが盛んなようです。麦も入れているようで、それを使って焼酎を作るとか。最近はすみ酒も仕込んでいるので麦米蕎麦を一時的にしまっているようです。
磐梯屋が毎日といっていい程、米を仕入れてきて作った酒と生糸、それに石鹸というもの。あとは何やら雑多な、よくわからぬものも出荷しているようで」
「全て荷駄で運んでおるのか? 大変な数の馬匹が必要ではないか?」
「いえ、最近は桃ノ木川に桟橋を作り、小舟で輸送しているようで。渇水時には捗がいかぬようですが」
「ふむ。では、民心はどうじゃ?」
「大胡の殿は、よく動いていろいろな場所に行くようで。その際には貴賤を問わず接するため、大いに慕われている様子」
「先ほどの者たちと同じということか。戦備えはどうなっておる?」
「銭がたんまりあるようで、雑兵(傭兵)を集めて訓練しています。3割は領民から精強なものを集めて訓練しております」
「どのような訓練をしておる?」
「それがなかなか見られませぬ。訓練場が塀に覆われておりまする。
ただ、よく領地の巡視を兼ねてか、上泉・後藤などが率いて……徒で駆けております。桶川胴を付けての行軍。あれはきついですな」
「武器は何じゃ?」
「妙に長い長柄を持ち、何やら弩弓のようなものを背負っております」
「弩弓? それの訓練は見れなんだか?」
「残念ながら」
「うむ。引き続き探るように。
だが無理はするなよ。草は見つからないのがなにより大事。
これは駄賃じゃ」
「ありがとうございやす」
そして、虚無僧姿の風魔は出て行った。
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