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第13章:天下を光っつ光っつにしてやんよw
時をかけるヲタク
しおりを挟む「では、さらばじゃ!」
初代ウルトラ男の飛行ポーズで、上空にジャンプする糞坊主。
以前のようにロケットマンになって天高く飛翔する。EEZに落ちなくても危険だ!
「あいつ。天海というです。秀吉の軍師」
アゲハの言葉になんか納得するというか、謎が解けた。
あのトンデモな珍説。
明智光秀=天海とか言うやつ。
実は真実だった!
多分、歴史を下るように未来へタイムリープしながら、自分の都合の良い時代にするチャンスを探っていたのだろう。
でも令和の時代まで行ってもそれはなかった。
最後のチャンスということで俺を連れて来た。やり直すのに必要だったのだとか。では子孫が俺で最後?
……俺、一生独身だったわけね……
じゃ、まさかの感謝な状況?
寧々ちゃんやアゲハや、雪風、黒子と一緒に生活できるとか、幸せだったからね。
「光秀、あなたにあいつと同じ能力をつけますわ。あれがあなたの父親というのであれば、多分長良川で死にかけていた時に突いたツボが原因。
でしたらそれは出来ますことよ。
でも……」
「でも?」
「あの顔を見ましたですわよね。しわくちゃの。あれは多分、時渡をし過ぎたことで肉体が急激に歳をとったのですわ」
「では俺も?」
「そうなりますわね。それを覚悟であいつを追います?」
や、やだなぁ。
あんな顔になるのは。
「1度のタイムリープであそこまではなりませんわよ。ただし時が動き出しますわ。その身体、時が止まっているから育ちませんの。
一度でも時渡りをすれば多分……」
「そんなことはどうでもいい。やつを止めないと、この世界がなくなるのか?」
「わかりませんわ。でもその恐れは十分にあります」
やつを倒すことが出来そうなのは俺だけ。
だからこれは俺がしなくちゃならない。腐れ縁だからな。後始末だ。
「わかった。やってくれ。寧々ちゃん。絶対、ここに帰って来るからな。アゲハもいい子にしてるんだぞ」
みんなが見守る中、俺の身体に無数の針が刺されていく。
「このスキルは人を追ってきますの。ですからあの天海というお坊さんも多分自分かあなたのいる所に行きますわ。そしてそれをあなたが追う訳。あなたが光秀として人生を始める時に戻るでしょう」
「長良川か?」
「わからない。でも人生の変わり目ね」
この世界を守って見せる。
このヲタク世界を、そしてそれを愛する者たちを消させはしない!
そして俺の意識は、途切れた。
◇ ◇ ◇ ◇
「また訳の分かんね~ことを。
それより十兵衛よ。本当にこっちへ来るんだろうな。わざわざ勝手働き覚悟でお主について来たんだ。
間違ったら、ただじゃ済まねえぞ。この乾坤一擲の大勝負で功名を立てねば、金輪際信長さまの勘気が解けない」
10m位の崖下から声が聞こえてくる。
「ああ。色々な説があるが、義元は桶狭間山から南へ逃げてくる。
大高城に入りたいんだろうな」
「そこを仕留めるか」
「そうだ。義元の首取れば、帰参ができるんじゃね?」
これは。
俺と利家のに~ちゃんの声?
このセリフは桶狭間の時か?
ここから明智光秀の人生が始まったともいえるな。完全に歴史が変わった瞬間。
奴はここにいるのか?
この仕官を邪魔するために何を仕掛ける?
「御主人さま。
本陣、動き始めましたです。
御用意を~」
今川義元が来る。
これを俺と利家が討ち取れなければどうなる?
正史通り毛利新介が討ち取って終わりか。
ではこの襲撃を邪魔するために天海は狙っているのだろう。
俺は竹藪に身を潜めて辺りを見渡す。
ガサッ。
いた!
谷を挟んで一本道の向こう。
藪の中で僧衣が見えた。
回り込んで後ろを取るか。
いや、もう時間はない。
黒古の言う事には、時渡り直後には他のスキルは使えないだろうとの事。
正攻法で倒すしかない。それもこの時代の俺に見つかるのは流石にヤバイ。タイムパラドックスは怖い。
バックトゥザ未来という映画で、MADなドクター茶色が説明していた。宇宙が崩壊するのは見たくないぞ。
戦闘が始まった。
あぜ道を利家と『俺』が駆けていく。
馬廻りの部将が盛んに指示を出している。あいつを倒したのが『俺』のはず。いつ何を仕掛けてくるか?
『俺』を倒すのか?
だが倒してしまっては、令和の子孫がいなくなるではないか?
となると、俺が休憩に戻った時に利家の襲撃を失敗させるのか?
「前田利家って、槍の名手だろ?
正史で義元討ち取った毛利新介も、義元うち洩らしそうだし。
手助け必要?
世話の焼ける連中だねぇ」
『俺』は冬木スペシャルで狙撃の準備を始める。
天海は?
あいつ! 狙撃銃を持ってきてやがる!!
俺は腰に2刀を差しているだけ。
(十兵衛。矢は斬り落とせるようになったな。よろしい。筋が良いぞ。では次に目指すは……)
剣聖の声が聞こえる。
やるしかないか。
俺は面頬代わりのアダマント製マスクをつける。もちろんそれっぽく色を塗ったのは俺だ。
顔を隠して、一気に崖を飛び降りて『俺』と天海の間に出る。
ずが~~~ん!
カキンッ!
斬れた!
距離80m
火縄銃の弾、初速500km/h。
0.2秒の間に弾道を見極め、そのコースへ冬木の野郎の芸術品ダマスカス風日本刀を置く。
(よくやったぞ。十兵衛。免許皆伝だ)
剣聖の声が確かに聞こえた。
あの人テレパスか?
俺は天海へ向けて突進していった。
『俺』は気づいたかな。やっぱり気づくよね。でも真実は闇の中。
だって光秀、わからないことは分からないで気にしないヘタレですから!
さてこれから最後の決戦だ!
俺はやつを倒す。
坊主は俺の敵だ!
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