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第10章:東の蛮族を潰します!
武田騎馬隊と明智機動部隊
しおりを挟む1571年2月
三方ヶ原
(作者の都合でなぜか茶畑がある)
「茶畑を荒らすのは申し訳ないが、ここは急ぐ」
「はい。すでに進撃コースは策定しております」
いつもの手際で半兵衛っちが地図差し出す。
地図です
「ご主人様。武田勢の最左翼は小幡信貞の赤備え300を中心とした機動性に富んだ部隊なのです」
銀髪が目立ちすぎるので、無理に渋染めの頭巾をかぶせたアゲハが報告してきた。最近は、伊賀者の影の実力者になっているらしい。抜け忍だったのに何があったのだろう?
小幡隊は回り込んでくる可能性大きいね。
左翼にも山県隊が回り込んでいるらしいし。なにせ2倍以上の兵力あるから持久戦になると、この台地上では厳しいね。
後ろに回られたら崖から追い落とされちゃう。
「お味方、徳川勢最右翼の酒井忠次殿と、敵の別動隊、武田信豊の800の間を進撃します」
「小幡隊と信豊隊の動きは?」
「信豊隊は秋葉街道が台地に登る坂道に張り付いております。これは動かないものと見ます」
用心深いね、流石は『動かざること山の如し』。こっちの遠江に散っている兵が秋葉街道を通り、東から来るのを恐れている。
それにしては小山田隊と真田隊をぶっこんできたけど、こっちを甘く見ているの?
「伝令! 敵小幡隊に動き。前線最東端を回り込んでまいります!」
「やはり来ました。流石は殿の……」
耳に耳栓。
心はSAN値アップ!
「では正面から激突か?」
「ここまでくれば致し方ないかと。突撃隊形は第2で?」
「ああ。騎馬鉄砲隊の本領発揮だな」
まだまだ、騎馬突撃中の射撃なんか無理です。
だから前みたいに、敵前面までタンデムで2人乗り。
ぱぱら、ぱぱら、ぱぱらぱ~~~♪
じゃなかった、
ぱぱぱぱ~~ん!
と、敵の突進力を押し殺してからの突撃。
第2第3大隊での交互射撃で制圧してから、第1と直轄部隊を慶次に任せて敵を中央突破。
なんかすっご~く華々しい戦いだね。
これ、俺いなくてもいい?
出来たら射精、じゃない、写生してみたい。
心の声が誤変換した! そんな文章ばかり書いていたR18な俺。
華々しい絵を描き、ネットに絵師としてデビュー!
あ……、早くネット開発しなくちゃ。あと何日かかるだろう? 冬木の奴を急かさねば。
俺が高尚な芸術的恍惚感に浸っていると、すでに前方300mに小幡隊の赤備えが見えて来た。
「殿、ここは第1射目が肝要。一式弾の発砲許可を」
「うむ、許す。ただし一人一発だ。大事に使え」
一式弾。
まだ一式しかできていないんだけどね、気分です。
一応、やっぱり三式弾は作りたいので、こうネーミングを。
九一式徹甲弾も絶対に作る!
日本中探して『久一』さんという人を探してきて作らせるんだ!
「第2第3大隊。一式弾、弾込めぃ!」
「突撃準備完了」
金森君が第2大隊の準備が整ったことを伝えて来た。
この人も器用貧……もとい、万能選手。特に内政マシーンです。正史では飛騨の国に穴掘りまくって鉱山を開発していました。
そのうち工兵隊を任せようかと。
すでに200mに接近してきた小幡隊。突撃機動する必要ないみたいね。
その場で射撃。
「第2大隊。カウンターマーチで各員1射のみ。充分に狙え。遅くなっても構わん。兜首は絶対に逃がすな」
応!
という声は聞こえないけど、みんなの左の拳骨が二度、天へ向かって一斉に無言で突き出される。
やっと様になるハンドサインができたぁ~
光秀、感激!!
「一式弾、発射! 狙撃開始」
ぱんぱん、ぱぱぱん!!!
一斉射撃とは程遠い銃撃音。
皆様、よく狙っていますね。
相対距離200m。
普通のマスケット銃(前装式の銃は全部こう言います)だったら、100mが狙い撃ちの限度。
でも半年前に思い出したんです。
あの幕末の戦いを決定づけた銃の発達を。
有名なミニエー弾。これを作れるんじゃね? と思いましたよ。
反射炉の実験炉が完成した時、たたらじゃ大量生産できない鉄製品を鋳造できそうと考えた。
「じゃ、いっそのことミニエー弾作っちまえば冬木の野郎に頼らなくてもいい?」
等と考え、ポリゴナルライフルも結局鍛造で時間がかかるから、鋳造した滑空銃身にミニエー弾でライフル効果が出るでしょ、と。
早い話が19世紀の技術をパクりましたw
もちろん作れないとこ沢山ある。
雷管作れないし、大量生産はまだ無理。精密加工も無理。
だけど
『19世紀並みのライフル銃』
が装備できたぁ!
光秀、ヲタク心全開の、魂の咆哮をあげた!
「人身売買するような人非人。この東海の地をもわがものにするべく侵攻してきた逆賊、武田信玄の首を狩れ!
武田の軍勢一人たりとも甲斐信濃へ帰すな!」
……調子こいちゃいました。
こっちの方が人非人なセリフです。
どうぞ、ビビった方はお帰り下さいませ。
追撃はしませんから。
光秀、そんなに冷血漢じゃないよ。だから恨まないでね。
ひっそりと生きていきたいです。
「殿の采配である! すでに赤備え、ほぼ壊滅。残るは農民兵の足軽ばかり。騎乗して蹴散らせ!」
いや、そこまでしなくてもいいんです!
お百姓さんは大事にしましょう。お米作ってくれる大事な方たち。見逃してあげて~
「殿。ここで中央突破。後ろから酒井殿が戦果を拡大してくれましょう。我らは武田信玄本陣を目指します。
その前に、あの名高き『鬼美濃』馬場信春の堅陣がございまする故、ご覚悟を」
よかった。
酒井さんがやってくれるのね。
じゃ、光秀、鬼退治します。
百姓退治よりも一万倍くらい気楽です。
さあ、鬼でも悪魔でもかかってこい!
邪悪なる神も撃破してくれよう!
特に新興宗教ならうれし涙を流して笑いながら抹殺してくれる!
……邪神でも、可愛い女の子なら這い寄られるのも拒みはしないよ。
SAN値アップしてお出迎えします。
「目標、邪神鬼美濃の首! かかれぃ!」
今度、邪神オニミーノに守られるヲタク少年のマンガを描こう。
俺が「いあいあ」の代わりの召喚呪文を考えていると、目の前に鬼美濃の軍勢が現れた。
召喚しなくても来るのかい!
テイムアタックして「おにみのは なかまになりたそうに こちらをみている」とか、なんないかな。
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