転生ヲタク光秀~本能寺、したくなあぁあ~~い!

👼天のまにまに

文字の大きさ
上 下
34 / 70
第6章:京都行ったから本気出す!

物資徴発?仏師調達?けさ調達?

しおりを挟む
 
 1568年1月
 京山科。本圀寺南方3km
 真言宗勧修寺


「おやめください! 罰が当たりますぞ!」
「何を申すか。我ら、単に僧兵をお貸ししたいと申しただけ。
 それを断ったからには代わりのものを頂こう。
 これもこの山科の治安を維持するためじゃ」


 爽快だなぁ。
 寺とか宗教施設をいじめるのは。
 今、この寺を狙撃指揮地点として徴発しているとこ。
 ついでにちょっとばっか挑発も。

 罰当たり?
 いや、もう罰当たってるし。
 何もしないのに全財産持っていかれた人がここにいます。
 その貸してある財産を戻してもらおうかと。

 え?
 宗教が違うって?
 光秀、分かんなぁい。どの宗教も同じに見えちゃって。
 基本は、洗脳。マインドコントロール。
 多分、そのテクニックの優れている所が巨大宗教勢力になっていくんだろうなぁ。


「物資も出せないのなら、お前が真言唱えて役行者や弘法大師のように、法力でこれから来る将軍を殺そうとする三好を追い払ってくれ」
「ご無体な~」


 ここは本圀寺の南、山科の真言宗勧修寺。
 なんか火事で焼けたまま、ボロい建物があるだけの寺だ。
 公共の役に立っていない施設は、再開発しなくちゃね。あとで取り壊して巨大商業施設でも作るか?
 信ちゃんか秀吉に献策して、ここも再開発ね。


「お待ちください! この奥には大事な仏像が!」

 作務衣を着た数人の職人らしき男が土下座して、奥の院への道をふさぐ。
 まあそっちは使うつもりはないけど、木材とかバリケードに使えるものは持って行こうかと。

「その方らは?」
「ここでお世話になっております仏師にございます。どうか仏像だけは壊さずに。この身に変えても。伏してお願いいたしまする」

 仏師って仏像作る人達だっけ?
 仏像……人形。フィギュアの親戚?
 俺はそう認識するが早いか、目にも止まらぬ速さで仏師たちの前にスライディング。その手を取り、額をくっつける程、顔を合わせて言った。

「同志! 是非その技術。教えてください! この戦いが終わったら是非岐阜へ!」

 スパコーン!

 後ろからとげとげしたハリセンが。

「なにやってんのよ。もう敵は目の前でしょ? 朝日が昇れば攻めて来るわよ!? 趣味は後ですのよ」

 後ろを見ると、黒古がプンスコしている。
 こいつもこの最前線に連れて来た。
「メディ~ック!」と叫ぶのは、ヲタクが戦場で戦うのなら避けては通れない重要シチュだからな。


「……で、お前の手にしているものはなんだ?」
「え? これは、あれです」
「どう見ても、『あれ』だよな」

 坊さんが肩から掛ける衣装の『袈裟けさ』。
 物資徴発だからとはいえ、それは戦には使わんでしょ?

「返していただきたい。それは拙僧の大事な袈裟にございます。たった一つの私物」

 結構、見栄えの良い『美僧』……
 そういう事ね。

 こいつ、腐ってやがる!!

「返してやれ」
「嫌ですわ」
「返せ」
「い~やっ!」
「……腐」
「どきっ」
「腐っ、腐っ、腐っ!」
「やめて~~。秘密にしていたのに~~」

 渋々、美僧に袈裟を返す黒古。
 ヲタはもっと自分に自信を持て。人間、開き直りが重要だ!



「大隊長! 総員配置につきました」

 いや~。中隊なんだけどね。
 気分で大隊長と名乗っている。鬼の大隊長、かっけ~。

「懐石は?」
「全員に2つ持たせました」

 懐石料理じゃないぞ。
 こう、寒いと引き金落とす指が、かじかんで大変なことに。
 なので、あっためた石を布に来るんで懐に入れている。
 戦国時代の常識だよね。

「寺から東、山麓までの距離800m。その内、400mは川原で通行不能。残る400mに伏兵を配置完了です」

 明智機動部隊は南の山科方面に全兵力を振り向けている。
 昨夜の奇襲で西の4000は疑心暗鬼となり進軍が止まっているから大丈夫と見た。
 ついでに風邪ひきさんも大分出たしね。

 これ、俺の判断じゃない。半兵衛っちの判断だから。きっと間違えではない。天才軍師がいると楽です、はい。

「慶次の小隊は?」
「街道上に待機しています」

 今度は慶次が囮です。
 もう俺、囮はやだ。
 今度こそ、どっしりと構えているんだ!

「山科は民家がまばら。ですが、あばら家があちらこちらに残っていますので、そこに雪を使い偽装をしております」

 あの戸板とか畳は、昨夜から地面に敷いて置いた。みるみるうちに雪が積もったので、朝までに積もった雪を移動させ、建物を偽装。
 偽装トーチカ的な何かを作り上げました。

「それで敵の誘引は?」
「はい。土地の娘を使いました」
「伝令のいまわの際の伝言か」
「殿のアイデアで、腕に傷を。銭を奮発したら喜んでおりました」

 ええええ?
 それ、「血をつければ本物みたいでいいね」的につぶやいただけなのに!

「流石は我が殿。必ずや敵は誘引されて参りましょう」
「応よ。十兵衛は非情になる時は非情だ。そうでなければ敵を恐れさせることは出来ぬ。この寺も焼いてしまうつもりだろ?」

 やめてよ?
 無駄な殺生はしたくないの。
 光秀、元はと言えば血を見ただけで気持ち悪くなる『口先き男』だよ?

 信長じゃないんだからさ。
 皆に恐れられる必要ないし、光秀引きこもり計画には邪魔なだけ。
 皆にいい顔して、平和に暮らさせてもらうだけでいいの。
 宗教嫌いだけど、文化遺産は焼きたくない。そういう人に目をつけられる事は嫌いです。

 第一、すでに半分焼けてるじゃない。この寺。
 実害なければ放っておきましょ。
 恨み買うのは御免でござる。

「さあ、十兵衛。いや殿。将軍家の近衛、帝の衛士となって天下に名を馳せましょうぞ! 
 この戦、その先途とならん。殿はそこでどっしりとお構え下さい。我らが敵を粉砕してまいる!」

 利家に~ちゃん。
 光秀、ヒキニートしていいですか?
 君が加賀で100万石貰ったら、雇ってください。足軽長屋の片隅でサブカル生活するだけで満足なんです。俺。

しおりを挟む
感想 31

あなたにおすすめの小説

転生一九三六〜戦いたくない八人の若者たち〜

紫 和春
SF
二〇二〇年の現代から、一九三六年の世界に転生した八人の若者たち。彼らはスマートフォンでつながっている。 第二次世界大戦直前の緊張感が高まった世界で、彼ら彼女らはどのように歴史を改変していくのか。

改造空母機動艦隊

蒼 飛雲
歴史・時代
 兵棋演習の結果、洋上航空戦における空母の大量損耗は避け得ないと悟った帝国海軍は高価な正規空母の新造をあきらめ、旧式戦艦や特務艦を改造することで数を揃える方向に舵を切る。  そして、昭和一六年一二月。  日本の前途に暗雲が立ち込める中、祖国防衛のために改造空母艦隊は出撃する。  「瑞鳳」「祥鳳」「龍鳳」が、さらに「千歳」「千代田」「瑞穂」がその数を頼みに太平洋艦隊を迎え撃つ。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

旧陸軍の天才?に転生したので大東亜戦争に勝ちます

竹本田重朗
ファンタジー
転生石原閣下による大東亜戦争必勝論 東亜連邦を志した同志達よ、ごきげんようである。どうやら、私は旧陸軍の石原莞爾に転生してしまったらしい。これは神の思し召しなのかもしれない。どうであれ、現代日本のような没落を回避するために粉骨砕身で働こうじゃないか。東亜の同志と手を取り合って真なる独立を掴み取るまで… ※超注意書き※ 1.政治的な主張をする目的は一切ありません 2.そのため政治的な要素は「濁す」又は「省略」することがあります 3.あくまでもフィクションのファンタジーの非現実です 4.そこら中に無茶苦茶が含まれています 5.現実的に存在する如何なる国家や地域、団体、人物と関係ありません 6.カクヨムとマルチ投稿 以上をご理解の上でお読みください

国虎の楽隠居への野望・十七ヶ国版

カバタ山
ファンタジー
信長以前の戦国時代の畿内。 そこでは「両細川の乱」と呼ばれる、細川京兆家を巡る同族の血で血を洗う争いが続いていた。 勝者は細川 氏綱か? それとも三好 長慶か? いや、本当の勝者は陸の孤島とも言われる土佐国安芸の地に生を受けた現代からの転生者であった。 史実通りならば土佐の出来人、長宗我部 元親に踏み台とされる武将「安芸 国虎」。 運命に立ち向かわんと足掻いた結果、土佐は勿論西日本を席巻する勢力へと成り上がる。 もう一人の転生者、安田 親信がその偉業を裏から支えていた。 明日にも楽隠居をしたいと借金返済のために商いに精を出す安芸 国虎と、安芸 国虎に天下を取らせたいと暗躍する安田 親信。 結果、多くの人を巻き込み、人生を狂わせ、後へは引けない所へ引き摺られていく。 この話はそんな奇妙なコメディである。 設定はガバガバです。間違って書いている箇所もあるかも知れません。 特に序盤は有名武将は登場しません。 不定期更新。合間に書く作品なので更新は遅いです。

ぽっちゃりおっさん異世界ひとり旅〜目指せSランク冒険者〜

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
酒好きなぽっちゃりおっさん。 魔物が跋扈する異世界で転生する。 頭で思い浮かべた事を具現化する魔法《創造魔法》の加護を貰う。 《創造魔法》を駆使して異世界でSランク冒険者を目指す物語。 ※以前完結した作品を修正、加筆しております。 完結した内容を変更して、続編を連載する予定です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

処理中です...