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第5章:単身赴任で甲賀を調略しよう!
ヒンヌー教のご本尊様を捕獲!(第5章終わり~♪)
しおりを挟む「待ちなさいっ! よくもやってくれたわね! もう許さないんだから!」
忍者っぽくない幼馴染系アニメ声で、これまた忍者っぽくないセリフが近くの林から聞こえてくる。
そこから数人の男を連れて、あのアゲハを倒した少女忍者が出て来た。
逆ハーレムか~、うらやましい。ヲタクの理想の一形態だね、悪役令嬢物とかは最強テイスト。
「今度は逃がさないからね。私の糸の餌食になるといいわ!」
「それってさ、自分の得意武器をおもいっきり敵に教えているんじゃね?」
こちらも思いっきり顔が赤くなり湯気が出る少女忍者。
「うっさいわね! わかっててもこの糸、逃げられないのよ!」
「カーボンナノチューブででも出来ているのか? 絶壁少女」
炭素繊維の事を知らないのは当たり前だが、『絶壁』の方にばかり気を取られて激怒している様は、やっぱり抜けているとしか言いようがない。ちょっとだけ可愛いとも思う。いわゆる『ぽんこつ可愛い』?
鑑賞に値するなぁ。
「今回はぜったいに逃げ出さないよう、仕掛けを用意したわ。お前たち、見せてやりなさい」
女王陛下にかしずく家来のような態度の下忍が、後ろから縛られたアゲハを連れ出し、背中を蹴って前に這いつくばらせる。
おい!
背中はやめろ!
また背骨がイっちゃうじゃないか!!
「武士も勝つためには何でもすると、朝倉宗滴様もおっしゃってなくなったわ。ましてや忍びはどんな手を使ってでも勝つ!」
勝ち誇ったように、アゲハを縛っている縄の先を引っ張って見せる。
「おお。今帰ったか。雪風」
「こ奴。運慶を倒した。油断するな」
「甲賀の四天王が一位。その技を見せてやれ」
最強なのか。道理で強いわけだ。
常人相手ならば無敵だろうね。でもそのネーミング、ちょっとエロいイメージがありすぎだろ? もしくは帝国海軍の強運艦かブーメラン的な戦闘偵察機?
「武器を捨てなさい。全てよっ!」
俺は言われるがまま、武器を捨て始めた。
腰の後ろの特製片手剣二振り。
右腰のホイールロック拳銃をホルスターごと。
左腰の備前長船兼光。
胸に付けているケーパーナイフ。
背中のフリントロックショットガン。
胸元とサイドに吊るしてある焙烙玉。
ふくらはぎ外側のサバイバルナイフとボウイナイフ。
ククリ、ダガー、ダーツ。
マルチツールナイフ……
「あんた。どれだけ持っていたのよ!!」
「いや、まだ半分以上残っているが」
「も、もういいわ。まとめて武器ごと細切れに切り刻んであげる! 今のうちに神仏に祈りなさい」
「あいにく俺。無神論者なんだ。だけど今度ヒンヌー教徒になってやってもいいぞ?」
全く意味は通じなかったようだが、あざけりの言葉ということは通じて何より。
そろそろお開きにするか。
「アゲハ。もう治ったか?」
「はいです。花のぴんぴん丸です」
「じゃ、あとは任せた」
アゲハは器用にも、縄でぐるぐる巻きにされた状態で、ぴょんと立ち上がり「ふんすっ、です」と可愛い声をあげて縄をぶっちぎった。
黒古に言わせると、アゲハは俊敏性では俺に劣るものの、スキル『怪力!』を入手したらしい。あとは『無敵タイム』とかいろいろ。
なんちゅうチート医療。恐るべし一子相伝の伝説的技術。
あ。これって結構昔からあったりすると、戦国時代にはもうあった? いや、縄文時代や超古代文明の時から……
俺が古代ロマンに浸っているうちに、アゲハは残っていた敵全員を捕獲。自慢げに俺を見て来る。
「よくやった。心配したぞ。体は大丈夫か?」
「はい、で?……す↓……」
自分の身体に異常がないかを確認したアゲハが、急に俺の方を向いて、宇宙が破滅したような表情をする。
着ていた忍者コスが、絶壁な糸使い少女、雪風の手で斬り刻まれていた。
『無敵』スキルで完全防御なんだろうな、体だけは。けど服はHPが尽きて残骸となっている。
「今度、寧々ちゃんにもっとかっこいいコス作ってもらおうな」
俺はアゲハが敵を翻弄している間に拾っておいた、拳銃とショットガンを長老たちに突き付けた。
「待て! 待ってくれ」
「これ以上被害が出ては、甲賀は成り立たぬ」
「要求を呑もう。降参じゃ」
「了解。では、蒲生殿の立ち合いの元、熊野牛王符の誓いを……」
「「「ははっ!!」」」
うんうん、と首を縦に振る俺。
あれ?
今更ながら、めまいがすごいんですが。
これ。治るよね?
後遺症とかあったら、労災降りるかな?
今度、福利厚生システムを信ちゃんに献策しなくては……
そして俺の意識はブラックアウトした。
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