23 / 70
第5章:単身赴任で甲賀を調略しよう!
真面目にヤヴァい!
しおりを挟む「敵は2人。やっておしまいなさい!」
なんか時代劇のようなセリフと共に、短弓の援護で小刀を持った連中が体当たりしてきた。
俺も仕方なく腰の後ろに交差して吊るしてある二刀をシャキンと両腕で抜きはらう。ダマスカス鋼的な刃を冬木が丹念に作っていたやつだ。
日本人からすれば日本刀の方がきれいだと思うんだが、そこは奴の趣味だ。俺の趣味を押し付けるのはヲタク失格だ。
奴らを軽いステップでいなしながら、次から次へと手首や首筋、アキレス腱を切断していく。
ごめんね。君たち、修行いっぱいしたんでしょ。だから痛くしないようにクリティカル攻撃できないんです。許してね。
俺が7人を相手に遊んでいる間に、敵の頭目を相手にアゲハが死闘を繰り広げていた。
あいつ、つぇえな。
速さでは俺とタメを張る程のアゲハ。いや嘘だけどね。そのくらい通常人と思えない体術。
それについていけるスピード。
なに奴?
ちょっと見とれているすきに、俺の右足に重傷を負った甲賀忍が鎖鎌の鎖を使って腕を絡ませてきた。
腕を斬り落とそうとしたが、鎖帷子着込んでいやがる。
左手に『焙烙玉』だと? 破裂するとやべえ。
アゲハが苦無を投げて来る。
炮烙玉が吹き飛ばされた。
ありがとな。あとでたっぷり、頭ぽんぽんしてやる。
しかし。
隙を見せたアゲハに襲い掛かる、女頭目。
腹に蹴りを受けて吹き飛ばされるアゲハ。
大人になってもライト級な体が、崖に背中からぶつかる。
距離を詰めて来る頭目。
アゲハは忍刀を失ったのか、逆手で苦無を持つのみ。
俺はサクッと足元の甲賀忍に止めを刺し地面を蹴る。
間に合ってくれ!
蹴った地面が、ボコッっと凹む。
崖の斜面を利用して駆け上がり、敵の背後に出る。背面跳び。
左の刀で敵の利き腕、右手で首筋を狙う。
ひゅん!
しゅ!
なに?
避けただと?
ひと飛びで数m距離を取る頭目。
「やるわね。私に傷をつけたのはあなたが最初よ。誇りなさいっ!」
掌についた傷を舐めながら俺へ攻撃を仕掛けて来た。
アゲハと戦っていた時よりも、はるかに素早い機動で襲い掛かる敵。
技術も高い。
直進して突っ込まず、曲線を描いて突っ込んでくる。
だがな。
俺って、糞坊主の被害者の会代表な訳。一人しかいないけど。
めまいと共に、周囲の景色が止まっていく。
あの素早く見えた敵も、ナマケモノ並みの速さに見える。
こう。足を引っかけてっと。
ついでに胸を確認する。
チッ、ボンキュッボンではない。
楯状火山程度か。
めまいが収まり、周りが俺だけが動ける空間から通常空間に戻った。
これやると頭痛がすごいから、あんまやんない。
「な、なにをしたの??」
「見えなかったとは驚きだ。貧乳少女」
顔を真っ赤にしつつも、いつの間にか自分の知らない内に尻もち状態になっていた姿勢から立ち上がり、俺を睨みつけて戦闘態勢に。でもその手には既に武器はない。さっきひょいとつまんで崖に捨てた。高級そうじゃなかったからな。
貧乳少女は今更、武器がないのに気づく。
しかし前がはだけているのには気づかない。悪いのでクイッっとあごをあげてそれを教えてあげる。
面白い程の赤面ぶり。
「お、憶えていらっしゃい。今日の所は勘弁してあげるわ!」
お決まりの負け惜しみセリフ、頂きました~。
もうちょっと発育してからまたおいで。
彼女は腕に仕込んでいたらしい細い綱を灌木に巻き付けながら、カモシカのように崖を走り去った。
「アゲハ、大丈夫か?」
俺は倒れているアゲハの背中をさすりながら抱き起す。
俺と違って常人だからな。結構HPを削られたはず。
「大丈夫です。ご主人様に抱っこされればすぐに治っちゃいますです」
いつものアゲハスマイル。
「そうか、ではもう大丈夫……」
しかしアゲハのスマイルマークがぼとぼとと地面に落ちていく。
これは相当ヤヴァい。
顔が真っ青だ。
俺の顔も真っ青に違いない。
一刻も早く、医者に見せねば。
この時代の医者がどれだけのことが出来るかは知らないが、ここにいれば確実に死ぬ。
俺はアゲハをお姫様抱っこして、ちょっとだけまともになってきている道をクロスカントリーバイク並みの速さで和田城へ向かった。
0
お気に入りに追加
82
あなたにおすすめの小説

転生一九三六〜戦いたくない八人の若者たち〜
紫 和春
SF
二〇二〇年の現代から、一九三六年の世界に転生した八人の若者たち。彼らはスマートフォンでつながっている。
第二次世界大戦直前の緊張感が高まった世界で、彼ら彼女らはどのように歴史を改変していくのか。
改造空母機動艦隊
蒼 飛雲
歴史・時代
兵棋演習の結果、洋上航空戦における空母の大量損耗は避け得ないと悟った帝国海軍は高価な正規空母の新造をあきらめ、旧式戦艦や特務艦を改造することで数を揃える方向に舵を切る。
そして、昭和一六年一二月。
日本の前途に暗雲が立ち込める中、祖国防衛のために改造空母艦隊は出撃する。
「瑞鳳」「祥鳳」「龍鳳」が、さらに「千歳」「千代田」「瑞穂」がその数を頼みに太平洋艦隊を迎え撃つ。
旧陸軍の天才?に転生したので大東亜戦争に勝ちます
竹本田重朗
ファンタジー
転生石原閣下による大東亜戦争必勝論
東亜連邦を志した同志達よ、ごきげんようである。どうやら、私は旧陸軍の石原莞爾に転生してしまったらしい。これは神の思し召しなのかもしれない。どうであれ、現代日本のような没落を回避するために粉骨砕身で働こうじゃないか。東亜の同志と手を取り合って真なる独立を掴み取るまで…
※超注意書き※
1.政治的な主張をする目的は一切ありません
2.そのため政治的な要素は「濁す」又は「省略」することがあります
3.あくまでもフィクションのファンタジーの非現実です
4.そこら中に無茶苦茶が含まれています
5.現実的に存在する如何なる国家や地域、団体、人物と関係ありません
6.カクヨムとマルチ投稿
以上をご理解の上でお読みください

国虎の楽隠居への野望・十七ヶ国版
カバタ山
ファンタジー
信長以前の戦国時代の畿内。
そこでは「両細川の乱」と呼ばれる、細川京兆家を巡る同族の血で血を洗う争いが続いていた。
勝者は細川 氏綱か? それとも三好 長慶か?
いや、本当の勝者は陸の孤島とも言われる土佐国安芸の地に生を受けた現代からの転生者であった。
史実通りならば土佐の出来人、長宗我部 元親に踏み台とされる武将「安芸 国虎」。
運命に立ち向かわんと足掻いた結果、土佐は勿論西日本を席巻する勢力へと成り上がる。
もう一人の転生者、安田 親信がその偉業を裏から支えていた。
明日にも楽隠居をしたいと借金返済のために商いに精を出す安芸 国虎と、安芸 国虎に天下を取らせたいと暗躍する安田 親信。
結果、多くの人を巻き込み、人生を狂わせ、後へは引けない所へ引き摺られていく。
この話はそんな奇妙なコメディである。
設定はガバガバです。間違って書いている箇所もあるかも知れません。
特に序盤は有名武将は登場しません。
不定期更新。合間に書く作品なので更新は遅いです。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる