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第4章:ちょっと伊勢を切り取ってこよう
こいつらの上司は胃に穴が開きます(第4章終わり~♪)
しおりを挟む「殿さんよ。本当に俺が行ってもいいのか? 殿さんの腰にさしてある二刀が寂しがっているのが聞こえるのだが」
何言ってやがるんだ。
この世紀末救世主モドキ。
俺が腰の二刀を抜く時は、逃げる時だ。もう就活終わったし。佐々木小次郎なんかも相手しなくていい上級武士になったから、お前が行けよ。
「いや。その栄誉は慶次、貴様に与えよう。しっかり励め」
やっと殿さまらしい声色出せたよ。
「ああ。ではそこで見ていなよ、殿さん。敵の本陣を衝いてくる」
「いてら~♪」
やっぱり、ついついヲタク言葉が出てしまう光秀です。
ああ、本隊指揮する利家に~ちゃんの指揮は結構安定感があるな。敵の士気を鉄砲で削ってから長柄で圧迫。手槍の兵を左右から突っ込ませる。
きちんと訓練通り。
おっ。
応急騎馬鉄砲隊が本陣に突っ込んだ。
馬廻りがぶっ飛ぶとは、なんちゅう威力。
その中央を駆けていく、世紀末救世主モドキの騎馬。
とげとげ肩パットが邪魔そうだね。
今度、左肩だけ赤く塗ってあげよう。銀河系を真っ二つに分ける程の100年戦争からでも生きて帰って来れるようにね。ついでに装甲をつけた騎兵にしてあげよう。
北畠具教って結構な剣豪だよね?
慶次でもてこずるかな?
どがんっ!!
……
こっちまで、でかい音が聞こえてきました。
馬上で太刀を構えて『常識的な戦い』をしようとしていた、北畠具教くん。
『異常な戦い方』をする慶次の、馬上槍のぶん回しで馬ごと吹っ飛ばされました~~
(馬の上で槍は刺す以外は使えないのです。フツウは!)
「織田家家臣が明智光秀家臣。前田慶次郎利益。北畠三位権中納言どのが首級、頂戴いたした~~~~!!!!!!」
そう言えばこの人、権大納言、正三位?公卿様でうんと偉い人。たしか黄門様が中納言だったからそれよりも上。だから信長も正史では殺さないで虜囚としていたはず。
??
殺しちゃった?
今後どうなる、伊勢の国。いや、畿内、そして将軍家と朝廷。
なんかヤヴァくない?
俺、知らない知らない。
部下がやった事です。
頬っかぶりしたいです。
◇ ◇ ◇ ◇
「よ、よくやった。慶次。お前にしかできないことだ(怖くて向こう見ずな事だからだよ!)」
「殿さんが喜んでくれるなら、それでいい。だが……」
「ああ。褒美だな。では何が……」
「あれを所望致す」
「あれ?」
「あれだ。俺の型を取ったとかいう人形」
あのフィギュアね。
偽世紀末救世主コス作るとき、慶次をモデルとして俺が作った奴。ちょっとカ〇ダタ的にデフォルメした。パンツ一丁。
あんなのでいいの?
俺としてはその後に作った、本物っぽい細マッチョな世紀末救世主フィギュアを褒美としてあげようかと。
「それではない。あの俺に似た奴がいい」
う~ん。
あの失敗作をこの世に残したくはない。できれば本物っぽい方を世に出したいな~
「どうしてもあれが欲しいか?」
ゴツイ慶次の顔が、御褒美を待っている子犬のように見える。なんという夢砕きムーブ!
「お、お前にはまだ早い。もっと大きな首を取ってきたら考えてやってもいい」
こいつ。アゲハみたいな表情の変わり方で、希望に満ちた表情を浮かべてこぶしを握り、高く澄み切った秋晴れの空に向かって吼えた。
「約束する! うちの殿さんに天下を取らせる! 見ていろ、日ノ本の武士・百姓・町人。そして坊主ども! 殿の前を遮る者は俺がぶっ飛ばしてくれる!!」
うんうん。
威勢の良いのはいいこと……
あれ?
なにかさっき、変な言葉が聞こえた様な。
「そうですね。殿にしかできないのかもしれませぬ。この乱れに乱れた戦の世を平定するだけの武力を持つものは」
知らない内に近くにいた半兵衛っちが物騒な事を言う。
いやいや、信ちゃんがやるって、そういう事。俺は天下なんかどうでもいいし、信ちゃん怖いし。本能寺なんかしません。ぜ~ったい!
だって、俺のやりたいことは6畳1間で完結する世界を平定することなんだよ。間違ってもそんなこと周りに言いふらさないで!
「だが、これは内密だな。謀反は必要な時にやればいい。今はその時ではない。それまでに力を蓄え……」
利家のに~ちゃん。
お前まで何言っているの!?
「「「「そうだな。刃は外套にしまわねば」」」」
外交じゃないんだから! 右手で握手しながら左手でナイフは刺さないの!
俺、忠臣だよ?
だいたい勝手に、家臣とか名乗らないでね。あくまで寄騎。部下ではあるけど信ちゃんの家臣でしょ、君たち。
「「「「我らは、よい主君に恵まれ幸せ者よ!」」」」
やっぱりこいつら、俺の手に余る。
秀吉君。1人でもいいから誰か引き取ってよ~~~!!
◇◇◇◇◇◇
ここまでお読みくださり、誠にありがとうございます。
それなのにお詫び申しあげなければなりません。
当作品は、はじめ『コメディタッチの戦国物の需要を確認するために書いた作品』として投稿を始めました。
よってこの辺りで最終決戦を予定しており、プロットがここで尽きています。
しかし予想外の好評で「これは続けないと」と、きちんとした終わりまで書かせていtだきました。
故にこの次の章からテイストが変わります。
2章ほど個人戦闘がはさまり、そこから再度戦場シーンとなります。
ですので読者の皆様にそれをお断りしておきます。
できればその辺りまで我慢して読んで下されば戦場シーンで大体同じテイストに戻ります。
よろしくお願いいたします。
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