1 / 70
第1章:織田家に早めに就職しておこう
桶狭間で就活!
しおりを挟む
1560年6月
尾張国桶狭間山南方
偽明智十兵衛光秀
(全然、光秀らしくない! だって息子なんだもん)
「桶狭間の山向こうは今頃、大宴会真っ最中だねぇ。
俺たち、外で酒気帯び運転をつかまえようとしているパトカー的な人?」
さきほどの雹混じりの豪雨が止んで、すでに一刻(2時間)。
桶狭間山の北斜面では、すでに信長の精鋭が攻め上っているかな?
山頂には、遠征と先日までの沓掛城攻めで疲労している今川義元の本陣があるんだよ。
正面突破で信長子飼いの馬廻り連中が、キリを揉むように敵の前備えを突き破って本陣に突っ込んでいるんだろうな。あいつら超強えから。
ただいま俺、明智十兵衛光秀は負けた今川義元が、多分大高城へ逃げていくじゃね?という逃走ルートに伏せています。
「また訳の分かんね~ことを。
それより十兵衛よ。本当にこっちへ来るんだろうな。わざわざ勝手働き覚悟でお主について来たんだ。
間違ったら、ただじゃ済まねえぞ。この乾坤一擲の大勝負で功名を立てねば、金輪際信長さまの勘気が解けない」
となりで伏せている大男。
こいつ、前田利家といいます。
加賀前田百万石作っちゃった人。
だけど、ただいま無職。
就活中。
俺と同じだね。
ただ違うのは、こいつは信長の子飼いの部下であったこと。茶坊主を斬り殺して出奔した。元気いっぱいヤンチャな22歳の男の子。
浪人たちが戦に参加する陣借り受付で知り合ったとき、俺が「良いことをした!」と大声で褒めてやったら、意気投合したんだよ。
坊主は俺の敵だ。
「ああ。色々な説があるが、義元は桶狭間山から南へ逃げてくる。
大高城に入りたいんだろうな」
「そこを仕留めるか」
「そうだ。義元の首取れば、帰参ができるんじゃね?」
前田利家よ。
お前。あと3年は許してもらえない可愛そうなやつだけど、俺の伝手になって一緒に再就職だ!
感謝してくれてもいいんだからね。
「それにしても十兵衛。なんで先のことを知っているんだ?
さっきの雹も言い当てた。
まさか正体は坊主か陰陽師か?」
「あいつらと一緒にするなっ!
俺は霊感商法が大っ嫌いだ!
あいつらを根絶するのが、俺の人生の目標の一つなんだよ」
話すと長くなるので省略するけど、14年前まで俺は令和の時代に生きていた。そこで新興宗教に家財全部を吸い取られて、散々な目に合ったんだ(泣
だから許せん。
全ての腐れ宗教を根絶やしにしてくれる!
とまあ、そう願っていたら変な坊主姿の奴に、この世界へ強引に連れてこられたわけ。Re:0歳から始める戦国幼児苦労譚とか、思い出したくないよ。
齢12で父、討ち死に。
母、病死。
父、まさかの明智光秀?
落ち武者狩りを逃れている所を助けてくれた行商人のおっさんに見栄張って光秀と名乗ったら、苦笑いしながらも仲間にしてもらい、なぜかそのまま諱(光秀とか信長という名前の部分)になっちゃいました。
「御主人さま。
本陣、動き始めましたです。
御用意を~」
草木で偽装した矢盾に隠れている俺たちのすぐ後ろ。
水路の凹みに身を隠して、四方を警戒していた元伊賀忍アゲハが、妹系のアニメ声で伝えて来る。
黒髪を目立たないように灰色に染め、後ろで三つ編みにしている。まるで銀髪三つ編み少女だよ。
どう見ても現代人の忍者のイメージとはかけ離れている髪型だけど、忍者らしくない目立つからやめろと言っても、意味深に顔を赤らめて「これでいいです、ぽっ」と小さな声で答えるのみ。
色鮮やかな錦の切れ端をリボン結びで留めようとしたときは、流石に止めた。その時は、とても残念な顔をしていた。
世の中に絶望を感じた様な目つきだった。
装束は俺の勧めで、今回は季節に合わせた自衛隊の迷彩服3型を少しコーデして色を濃くしたものだ。
布地が軟なのに加えて、色素材がなさ過ぎてちょっと物足りないのが残念。
そして、このアゲハは壊滅的に家事スキルが低いんだよ。
自作しているけど布を破ってしまうたびに、俺の方を見て世界の終わりを目にしたような表情をする。
結局、仕方がないので俺が繕ってやるんだよなぁ。
「目の前、15間(30m)。深田の中の一本道だ。逃げ場はない。
こちらからは、あぜ道が2本。
手はず通り、そこを伝って襲撃するぞ」
アゲハの小さな手が、俺の小さな背中に背負った長大な4丁の鉄砲を外して油紙を取り払い、俺に渡す準備をしている。
熊の毛皮で作った尻当ての上に腰を下ろし、片膝を立てる。
その膝の上に俺の身長より長い150cmくらいある長大な銃身を載せ、発砲準備。
「さて。
俺が最初に4発発砲。次に弩弓(クロスボウ)を4射。アゲハはコンパウンドボウで6射。
敵の足軽頭以上の、指揮をとっている奴を狙う。
あとは又左。槍の出番だ。
よろしくな」
利家はその大きな手をがっつりと握り、
「応よ」
と頼もしく返事を返してきた。
今川の馬廻り衆が、坂を降りて来た。
俺は引き金を「ことり」と落とした。
遂に始まっちまった~。
俺、明智十兵衛光秀の戦が。
ガクブルだよね、殺しが当たり前の戦国時代なんて。
齢14(実年齢44だけど)。
ビビリなのは仕方がないさ。
けどせっかく戦国時代に生きるんだ。
令和の時代では、絶対に手に入らないだろう憧れの年金生活と安楽な老後を目指して、この戦国の世を楽して生き延びるんだ。
これから勝ち馬、織田家に早めに就職する。光秀って中途採用でみんなからハブられて苦労したみたいだからね。。出木杉君だったんだろうね。
桶狭間ごろから正社員になっていれば、そんなに邪険にされないはず。
光秀っぽいことすると危険だから目立たず、それでいてちょっとは勲功立てて。そうすりゃ生き残れると思う。無理しなければ。
この正史の知識でチートできる範囲でチートしたいけど、あまり自信はない。だって俺の知識、全部サブカルだし~。
だがそれでも同人ゲームも含めて戦国物は大抵プレイしている。
きっとうまくいくはずだ。
そうに違いない。
きっとそうだ。
そう思いたい。
だといいな。
であってくれ~~!
で、最後の仕上げは、ここに強引に連れて来た腐れ坊主。奴を斬り捨てる。どこにいるかはまだ見つけていないが必ず見つけだしてやる。顔はしっかりと憶えている。
お前の頼み、『日本の伝統的文化を守れ』なんかくそくらえ!
この時代を限りなく俺の住み慣れたオタク文化満載な世にするんだ。
大きな城建てて、その片隅に小さな6畳間作って、以前のサブカル空間を再現して至福の時間を取り戻してやるのだぁ~!
◇ ◇ ◇ ◇
面白そうだと感じたらぽちっとお気に入りお願いします。
尾張国桶狭間山南方
偽明智十兵衛光秀
(全然、光秀らしくない! だって息子なんだもん)
「桶狭間の山向こうは今頃、大宴会真っ最中だねぇ。
俺たち、外で酒気帯び運転をつかまえようとしているパトカー的な人?」
さきほどの雹混じりの豪雨が止んで、すでに一刻(2時間)。
桶狭間山の北斜面では、すでに信長の精鋭が攻め上っているかな?
山頂には、遠征と先日までの沓掛城攻めで疲労している今川義元の本陣があるんだよ。
正面突破で信長子飼いの馬廻り連中が、キリを揉むように敵の前備えを突き破って本陣に突っ込んでいるんだろうな。あいつら超強えから。
ただいま俺、明智十兵衛光秀は負けた今川義元が、多分大高城へ逃げていくじゃね?という逃走ルートに伏せています。
「また訳の分かんね~ことを。
それより十兵衛よ。本当にこっちへ来るんだろうな。わざわざ勝手働き覚悟でお主について来たんだ。
間違ったら、ただじゃ済まねえぞ。この乾坤一擲の大勝負で功名を立てねば、金輪際信長さまの勘気が解けない」
となりで伏せている大男。
こいつ、前田利家といいます。
加賀前田百万石作っちゃった人。
だけど、ただいま無職。
就活中。
俺と同じだね。
ただ違うのは、こいつは信長の子飼いの部下であったこと。茶坊主を斬り殺して出奔した。元気いっぱいヤンチャな22歳の男の子。
浪人たちが戦に参加する陣借り受付で知り合ったとき、俺が「良いことをした!」と大声で褒めてやったら、意気投合したんだよ。
坊主は俺の敵だ。
「ああ。色々な説があるが、義元は桶狭間山から南へ逃げてくる。
大高城に入りたいんだろうな」
「そこを仕留めるか」
「そうだ。義元の首取れば、帰参ができるんじゃね?」
前田利家よ。
お前。あと3年は許してもらえない可愛そうなやつだけど、俺の伝手になって一緒に再就職だ!
感謝してくれてもいいんだからね。
「それにしても十兵衛。なんで先のことを知っているんだ?
さっきの雹も言い当てた。
まさか正体は坊主か陰陽師か?」
「あいつらと一緒にするなっ!
俺は霊感商法が大っ嫌いだ!
あいつらを根絶するのが、俺の人生の目標の一つなんだよ」
話すと長くなるので省略するけど、14年前まで俺は令和の時代に生きていた。そこで新興宗教に家財全部を吸い取られて、散々な目に合ったんだ(泣
だから許せん。
全ての腐れ宗教を根絶やしにしてくれる!
とまあ、そう願っていたら変な坊主姿の奴に、この世界へ強引に連れてこられたわけ。Re:0歳から始める戦国幼児苦労譚とか、思い出したくないよ。
齢12で父、討ち死に。
母、病死。
父、まさかの明智光秀?
落ち武者狩りを逃れている所を助けてくれた行商人のおっさんに見栄張って光秀と名乗ったら、苦笑いしながらも仲間にしてもらい、なぜかそのまま諱(光秀とか信長という名前の部分)になっちゃいました。
「御主人さま。
本陣、動き始めましたです。
御用意を~」
草木で偽装した矢盾に隠れている俺たちのすぐ後ろ。
水路の凹みに身を隠して、四方を警戒していた元伊賀忍アゲハが、妹系のアニメ声で伝えて来る。
黒髪を目立たないように灰色に染め、後ろで三つ編みにしている。まるで銀髪三つ編み少女だよ。
どう見ても現代人の忍者のイメージとはかけ離れている髪型だけど、忍者らしくない目立つからやめろと言っても、意味深に顔を赤らめて「これでいいです、ぽっ」と小さな声で答えるのみ。
色鮮やかな錦の切れ端をリボン結びで留めようとしたときは、流石に止めた。その時は、とても残念な顔をしていた。
世の中に絶望を感じた様な目つきだった。
装束は俺の勧めで、今回は季節に合わせた自衛隊の迷彩服3型を少しコーデして色を濃くしたものだ。
布地が軟なのに加えて、色素材がなさ過ぎてちょっと物足りないのが残念。
そして、このアゲハは壊滅的に家事スキルが低いんだよ。
自作しているけど布を破ってしまうたびに、俺の方を見て世界の終わりを目にしたような表情をする。
結局、仕方がないので俺が繕ってやるんだよなぁ。
「目の前、15間(30m)。深田の中の一本道だ。逃げ場はない。
こちらからは、あぜ道が2本。
手はず通り、そこを伝って襲撃するぞ」
アゲハの小さな手が、俺の小さな背中に背負った長大な4丁の鉄砲を外して油紙を取り払い、俺に渡す準備をしている。
熊の毛皮で作った尻当ての上に腰を下ろし、片膝を立てる。
その膝の上に俺の身長より長い150cmくらいある長大な銃身を載せ、発砲準備。
「さて。
俺が最初に4発発砲。次に弩弓(クロスボウ)を4射。アゲハはコンパウンドボウで6射。
敵の足軽頭以上の、指揮をとっている奴を狙う。
あとは又左。槍の出番だ。
よろしくな」
利家はその大きな手をがっつりと握り、
「応よ」
と頼もしく返事を返してきた。
今川の馬廻り衆が、坂を降りて来た。
俺は引き金を「ことり」と落とした。
遂に始まっちまった~。
俺、明智十兵衛光秀の戦が。
ガクブルだよね、殺しが当たり前の戦国時代なんて。
齢14(実年齢44だけど)。
ビビリなのは仕方がないさ。
けどせっかく戦国時代に生きるんだ。
令和の時代では、絶対に手に入らないだろう憧れの年金生活と安楽な老後を目指して、この戦国の世を楽して生き延びるんだ。
これから勝ち馬、織田家に早めに就職する。光秀って中途採用でみんなからハブられて苦労したみたいだからね。。出木杉君だったんだろうね。
桶狭間ごろから正社員になっていれば、そんなに邪険にされないはず。
光秀っぽいことすると危険だから目立たず、それでいてちょっとは勲功立てて。そうすりゃ生き残れると思う。無理しなければ。
この正史の知識でチートできる範囲でチートしたいけど、あまり自信はない。だって俺の知識、全部サブカルだし~。
だがそれでも同人ゲームも含めて戦国物は大抵プレイしている。
きっとうまくいくはずだ。
そうに違いない。
きっとそうだ。
そう思いたい。
だといいな。
であってくれ~~!
で、最後の仕上げは、ここに強引に連れて来た腐れ坊主。奴を斬り捨てる。どこにいるかはまだ見つけていないが必ず見つけだしてやる。顔はしっかりと憶えている。
お前の頼み、『日本の伝統的文化を守れ』なんかくそくらえ!
この時代を限りなく俺の住み慣れたオタク文化満載な世にするんだ。
大きな城建てて、その片隅に小さな6畳間作って、以前のサブカル空間を再現して至福の時間を取り戻してやるのだぁ~!
◇ ◇ ◇ ◇
面白そうだと感じたらぽちっとお気に入りお願いします。
0
お気に入りに追加
82
あなたにおすすめの小説

転生一九三六〜戦いたくない八人の若者たち〜
紫 和春
SF
二〇二〇年の現代から、一九三六年の世界に転生した八人の若者たち。彼らはスマートフォンでつながっている。
第二次世界大戦直前の緊張感が高まった世界で、彼ら彼女らはどのように歴史を改変していくのか。
改造空母機動艦隊
蒼 飛雲
歴史・時代
兵棋演習の結果、洋上航空戦における空母の大量損耗は避け得ないと悟った帝国海軍は高価な正規空母の新造をあきらめ、旧式戦艦や特務艦を改造することで数を揃える方向に舵を切る。
そして、昭和一六年一二月。
日本の前途に暗雲が立ち込める中、祖国防衛のために改造空母艦隊は出撃する。
「瑞鳳」「祥鳳」「龍鳳」が、さらに「千歳」「千代田」「瑞穂」がその数を頼みに太平洋艦隊を迎え撃つ。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
旧陸軍の天才?に転生したので大東亜戦争に勝ちます
竹本田重朗
ファンタジー
転生石原閣下による大東亜戦争必勝論
東亜連邦を志した同志達よ、ごきげんようである。どうやら、私は旧陸軍の石原莞爾に転生してしまったらしい。これは神の思し召しなのかもしれない。どうであれ、現代日本のような没落を回避するために粉骨砕身で働こうじゃないか。東亜の同志と手を取り合って真なる独立を掴み取るまで…
※超注意書き※
1.政治的な主張をする目的は一切ありません
2.そのため政治的な要素は「濁す」又は「省略」することがあります
3.あくまでもフィクションのファンタジーの非現実です
4.そこら中に無茶苦茶が含まれています
5.現実的に存在する如何なる国家や地域、団体、人物と関係ありません
6.カクヨムとマルチ投稿
以上をご理解の上でお読みください


国虎の楽隠居への野望・十七ヶ国版
カバタ山
ファンタジー
信長以前の戦国時代の畿内。
そこでは「両細川の乱」と呼ばれる、細川京兆家を巡る同族の血で血を洗う争いが続いていた。
勝者は細川 氏綱か? それとも三好 長慶か?
いや、本当の勝者は陸の孤島とも言われる土佐国安芸の地に生を受けた現代からの転生者であった。
史実通りならば土佐の出来人、長宗我部 元親に踏み台とされる武将「安芸 国虎」。
運命に立ち向かわんと足掻いた結果、土佐は勿論西日本を席巻する勢力へと成り上がる。
もう一人の転生者、安田 親信がその偉業を裏から支えていた。
明日にも楽隠居をしたいと借金返済のために商いに精を出す安芸 国虎と、安芸 国虎に天下を取らせたいと暗躍する安田 親信。
結果、多くの人を巻き込み、人生を狂わせ、後へは引けない所へ引き摺られていく。
この話はそんな奇妙なコメディである。
設定はガバガバです。間違って書いている箇所もあるかも知れません。
特に序盤は有名武将は登場しません。
不定期更新。合間に書く作品なので更新は遅いです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる