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ブスだから
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クラスは違ったが河川敷でのダンス以来、西園寺は何故か小さい子供のように麗に懐いていた。
西園寺は学校で一番のイケメンと言われ人気者だった。麗は西園寺といる時の女子生徒の目が怖かった。
出来るだけ学園での生活で目立ちたくもなかった。
麗は西園寺が訪ねて来る前に終業のチャイムと同時に教室から校庭や中庭へ逃げた。
しかし、上手くいったのは最初だけですぐに見つかった。
「麗、俺が嫌い?」
背後から話しかけられ麗はビクンと体を硬直させた。
好きでも嫌いでもないけど、何て答えればいいか分からず振り向けなかった。
西園寺は麗の前に回り込みしゃがんだ。
無邪気な笑顔が可愛かった。
「嫌いじゃないけど、みんなの目が…」
「俺は気にならないよ!」
「いや、私は気になって仕方ないの。ほら今だって…」
女子生徒の視線が突き刺さって痛かった。
「何も悪いことしてないのに何で気にするの?堂々としてればいいじゃん。俺は麗と一緒がいい!」
「西園寺くんがイケメンだから私と居ちゃダメなの!」
「何で?」
「それは…」
自分のコンプレックスを口にするのは辛かったが思い切った。
「私がブスだから!」
恥ずかしくてその場から逃げ出した。
その日の放課後はダンスをする気になれずに河川敷には寄らずに真っ直ぐ家に帰った。
ただいまも言わず自分の部屋に籠った。
(私は顔も心もブスだ。西園寺くんは何も悪くないのにあんな風に勝手に拗ねて…ああ、明日からどうしよう…)
次の日、麗は体調が悪いと言って学校を休んだ。
「麗、大丈夫か?」
誠が麗の部屋を覗いた。
麗は布団をかぶったまま返事もしなかった。
誠は布団を少し捲って麗の顔を覗き込んだ。
「覚えてるか?今週の日曜日、俺とデートな!約束だぞ。」
「うん…」
麗は蚊の鳴くような声で返事をした。
そして約束の日曜日
「さあ、麗!出発!」
「何処に行くの?」
「お楽しみ!」
誠の運転で二人は朝から出かけた。
車で20分くらい走っただろうか…
お洒落なカフェのような建物が見えてきた。誠はその建物の前に駐車した。
「はい、到着!」
「ここは?」
「とりあえず、中に入ろう。」
麗は誠に続いて中に入った。
「いらっしゃいませ。」
とても綺麗な女性が出迎えてくれた。
「妹です。今日は無理言ってごめんな。よろしくお願いします。」
誠がその女性に麗を紹介した。
「初めまして。誠くんの友達の里中瞳です。よろしくね。」
(なんて綺麗な人なんだろう。)
そう思って麗はその女性に見とれていた。
「こちらへどうぞ。」
その女性に言われて麗は誠の顔を見た。
「待ってるから行っておいで。」
誠が手を振った。
麗はそこが何をするところなのか部屋の中を見渡しても分からなかったが、案内されるがまま中の部屋に入った。
扉を開けると更に女性が二人いた。
「美容室ですか?」
麗は尋ねた。
「はい。どうぞこちらの椅子にお掛け下さい。」
里中がドレッサーの椅子の前に立って笑顔で言った。
西園寺は学校で一番のイケメンと言われ人気者だった。麗は西園寺といる時の女子生徒の目が怖かった。
出来るだけ学園での生活で目立ちたくもなかった。
麗は西園寺が訪ねて来る前に終業のチャイムと同時に教室から校庭や中庭へ逃げた。
しかし、上手くいったのは最初だけですぐに見つかった。
「麗、俺が嫌い?」
背後から話しかけられ麗はビクンと体を硬直させた。
好きでも嫌いでもないけど、何て答えればいいか分からず振り向けなかった。
西園寺は麗の前に回り込みしゃがんだ。
無邪気な笑顔が可愛かった。
「嫌いじゃないけど、みんなの目が…」
「俺は気にならないよ!」
「いや、私は気になって仕方ないの。ほら今だって…」
女子生徒の視線が突き刺さって痛かった。
「何も悪いことしてないのに何で気にするの?堂々としてればいいじゃん。俺は麗と一緒がいい!」
「西園寺くんがイケメンだから私と居ちゃダメなの!」
「何で?」
「それは…」
自分のコンプレックスを口にするのは辛かったが思い切った。
「私がブスだから!」
恥ずかしくてその場から逃げ出した。
その日の放課後はダンスをする気になれずに河川敷には寄らずに真っ直ぐ家に帰った。
ただいまも言わず自分の部屋に籠った。
(私は顔も心もブスだ。西園寺くんは何も悪くないのにあんな風に勝手に拗ねて…ああ、明日からどうしよう…)
次の日、麗は体調が悪いと言って学校を休んだ。
「麗、大丈夫か?」
誠が麗の部屋を覗いた。
麗は布団をかぶったまま返事もしなかった。
誠は布団を少し捲って麗の顔を覗き込んだ。
「覚えてるか?今週の日曜日、俺とデートな!約束だぞ。」
「うん…」
麗は蚊の鳴くような声で返事をした。
そして約束の日曜日
「さあ、麗!出発!」
「何処に行くの?」
「お楽しみ!」
誠の運転で二人は朝から出かけた。
車で20分くらい走っただろうか…
お洒落なカフェのような建物が見えてきた。誠はその建物の前に駐車した。
「はい、到着!」
「ここは?」
「とりあえず、中に入ろう。」
麗は誠に続いて中に入った。
「いらっしゃいませ。」
とても綺麗な女性が出迎えてくれた。
「妹です。今日は無理言ってごめんな。よろしくお願いします。」
誠がその女性に麗を紹介した。
「初めまして。誠くんの友達の里中瞳です。よろしくね。」
(なんて綺麗な人なんだろう。)
そう思って麗はその女性に見とれていた。
「こちらへどうぞ。」
その女性に言われて麗は誠の顔を見た。
「待ってるから行っておいで。」
誠が手を振った。
麗はそこが何をするところなのか部屋の中を見渡しても分からなかったが、案内されるがまま中の部屋に入った。
扉を開けると更に女性が二人いた。
「美容室ですか?」
麗は尋ねた。
「はい。どうぞこちらの椅子にお掛け下さい。」
里中がドレッサーの椅子の前に立って笑顔で言った。
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