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二章 やや女
第十二話 完全敗雌
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気がつけば、背中全体と脚の裏に、汗に塗れた毛深い男性の皮膚が密着していた。互いの湿気は湯気のように臭い立っていた。
「ぶちょ。お、お水を――」
二人の大人が、一つの椅子に座る――つまりは部長の膝の上に腰を降ろしていた。背面越しにネッチョリと伝わる体温と汗が、酷くいやらしくて、胸の中を暗くトキめかせた。
そんな自分の心中なんて知ったことかと、背後の部長はさらに身体を重ねてくる。彼にとって、軽い脱水で弱っている女の股を、後ろからM字へ開かせるなんて、造作もなかった。
ガバッ。
「あっ」
こんな痴態を強要されているにも関わらず、他人事みたく喘ぎ声をそっと吐いた。淫奔な水着姿で、卑猥な姿勢を無理強いされる中、脊髄のあたりがジンジンしつつも、たったの一口でいいから、水をと、肩を震わせた――。
「これは、なんだね?」
胸の辺りから刺激を感じたので、トロンとした目で見下ろす。部長の太くて毛深い指が――ピンッ――私の右乳首を、弾いていた。
「(痛っ)……あ、あたしの、乳首で、す」
腰椎のあたりに、部長の硬くなった熱い肉棒が、ひっつくようにもたれ掛かってくる。
ピン!
――さ、さっきより強く乳首が弾かれるけど、痛みの中に不思議な切なさを覚える。
「もっと詳細に答えなさい!」
怒気を孕んだ言葉と、うなじに付近に飛び散る唾は、侮辱の殴打だった。けどなぜか股間はゾクゾクと震えて、不快感やストレスがほとんど湧き上がってこないのは、どうして?
「か、硬くなった、ち、乳首です」
泣きそうな、けど胸の奥が摘ままれるみたいな、もどかしい語調で返してしまう。心臓のドキドキは、まるで初恋の時みたく、緊張に震えた。
「なぜ、硬くなっているのかね?」
毛の生えた爪先が乱暴に乳頭に当たり、そのつど痛痒い、狂おしい痺れが、けど乳首から乳房へと拡がり、喘ぎ声が自然とこぼれる。
「はぁ、ンッ、はぁ……ま、マゾなあたしは、囲部長に乳首を乱暴されて――ィウッ――感じて、しまっているから、です」
色んな意味で機能していない頭で、一つだけ言えることがあった。自分の中で隠していた(つもりの)被虐な心の性感帯が、部長によって、乱暴にこじ開けられつつあることに。
ぷっくりとした乳首はジンジンし、部長と密着している背中部分がやたらと熱くなる。濃い胸毛が、柔らかな背中の肌を刺すように絡んできた。
「……」
次の瞬間、部長の手が近くのテーブルに伸びる。二つの小さ目のコップに、瓶詰のミネラルウォーターを汲んでくれたかと思うと、手の届く位置に置いてくれた。
小さく波打つその水から目線を外せず、股を柔らかく開いた状態にて、乳首を責められ続けた。快楽と乾き以外の感情を喪失しているみたいに、口から艶めかしく女を吐き出し続けた。
「女とは、男に対して、どうあるべきかね?」
耳裏を舐められながらの質問であった。けど文字通り垂涎の水に、愚かにも意識を奪われていたため、また返答のタイミングを逸してしまう。
――慌てて答えようと思った瞬間、部長の毛の生えた太い足が、乱暴にコップの一つを蹴り倒す。
コトン。パシャ。
「あ、ああっ」
心底、悲し気な声をあげてしまう。同時に、空いている方の乳首が摘まみあげられて、次は馬のいななきみたいな声を、品なくあげる。背筋の後ろあたりがジンジンとして、後頭部付近が小さく痛む。
「女とは、男に対して、どうあるべきだ!」
言い終えるや否や、首筋に噛みつかれる。乳首はこねくり回され、乾きと快楽で気が狂う寸前だった。天井へ向けて、口を大きく開き、叫ぶ。
「ご奉仕すべきです! 支配されるべきです!」
汗が目に入り、軽い痛みを覚える。ようやく目を開けられた瞬間、部長は残ったコップを手に取り、その口へと含んでいた。
「あ、ああぁ」
けど、悲痛な声を出す私が限界まで首をひねると――ンチュブ――潤う唇が接合してくる。私は上半身を捩りつつ、まるで最愛の夫を抱きしめるように腕を回し、口の中での吸引を続けた。
ジュル、ゴク、ジュボ、ンゴク。
唾液入りの水が、信じられないくらいに美味しかった。喉は歓喜で震え、同時に快楽で歪んだ。飲み終えてなお、幼児がケーキの乗っていた皿をなめ回すがごとく、部長の口内へと舌を挿入し、水と唾液の混水を、飲み干した。
「ジュル、ロレレ――ぷはっ。んっ、ハァ、ハァ」
音を立てて口を離し、部長のお顔を間近で直視する。さっきまで抱いていた、顔への生理的嫌悪感が、嘘のように消えていた。もちろん、吹き掛けられる息の臭いも、感じなくなっていた。
「新妻は、囲に奉仕したいか? 支配されたいか?」
同じ目線なのに、見下され、吐き捨てるような一言に、ゾクゾクっと子宮が震えてしまう。それはまさに、スイッチが入る証拠だった。
「――は、はぁい。できればぁ」
口が勝手に笑い、汗まみれの部長の緩んだお腹に身体を擦りつける。
……ソレは、式峰係長の時みたいなソフトMなんて生半可なものではなかった。心の最奥にある、ドMの扉を開け放ってしまった自分は、オンにしたスイッチそのものを、壊すこととした。二度とオフに出来ないように。
「奴隷みたく、お願いいたします……」
唇を歪めながら、彼の下唇に噛みついた。
* * *
「ぷはぁ」
ベットの上にてぐにゃりと仰向けになる私は、再び口移しでお水をいただくため、馬鹿みたく口を開けて天井を向いていた。
グチュグチュ、と口をゆすぐ部長様のお顔が、定規一本分ほど上にあり――ベシャビチャ。
「んんっ――ゴク、ンゴク」
唾がたくさん混じった生温かいお水の、半分ほどが口より上へかかり、残りの半分が口の中に入ってきた。目に軽い痛みを覚えつつ、喉を鳴らす。
これは、支配していただいている私への恵みの水なの。そのご厚意に報いるため、自ら進んで、柔らかな身体的特性を活かし、股を大きく開く。
汗に光る青い茂みの下、紐のような水着を横へずらす。ヨダレ塗れの膣口が、囲部長様に良く見えるよう――。
「なぜ、こんなに濡れている?」
膝立ちの部長様は、肉棒を指示棒みたくこちらへ向け、蔑むみたくそう仰られた。その棘だらけの視線だけで、下腹部が熱くなる。
「か、囲部長様の肉棒が、ほ、欲しいから、です」
膝下を通す手を唇へ寄せて、人差し指の先端を舐める。切なく、甘く、けど心からの言葉をもって、そう言ってしまった。
そうだ。私は、部長様のオチンコが、欲しいの。
「欲しいという言葉を、もっと具体的に」
重量感に溢れるその下半身が沈みつつ寄り添ってくる。ビクビクと震える立派な肉棒で、膣口を押し撫でられる。
「(ゾクゾクするぅ)……お、膣内へ入ったり出したりして、そ、それから――」
小陰唇がパクパクと糸を引いて笑う。羞恥は身体の内側を熱い針で刺すも、それら全てが快感だった。
「早く言え!」
ブチブチ、っと三本ほど細い陰毛が引き抜かれて、快楽でピクンと腰が浮く。
部長様に責め立てられるたび、暗い多幸感が、下腹部の中で増殖して、身体中に満ちていく。被虐の奴隷に、堕ちてイッちゃう。
「し、子宮に精子を一杯もらって。は、は――」
孕ませて欲しいから、ですぅ。
「……私の睾丸内の猛る精子が、お前の子宮の中を、好き勝手に泳ぎ回っていいんだな?」
呟くようにそう仰ると、亀頭を膣口へあてがわれた。小陰唇は――待っていましたわ――と言わんばかりに、愛液の汁を染み出しつつ、肉々しくグロテスクに口を開けていく。
「んはぁい。もちろんですぅ」
正常位のまま、乳首を尖らせて、不要なほどに股を開き、満面の媚笑で答える。
部長様の糸を引く亀頭が、膣口に触れた瞬間だった。
――ンチュ、グニュ、ニュル!
「んああっ!」
濡れた空白が、欲棒で一挙に埋められていく。――あぁ、やっと交尾してもらえるぅ。
すぐに圧迫するみたく、濡れた重量感ある身体を押しつけてこられる。その苦しささえ心地良いと思いつつ、ポッチャリなその身体をか細い力で抱き締める。
部長様の臭う舌が、耳穴の中に入ってくる。
「レロレロ……妊娠は母胎への危険もあり、出産は母親の人生を変える。――にもかかわらず、夫でも恋人でもない、ただの上司の精子を注いでほしいんだな?」
鑢の言葉の数々が、耳穴から入って、私の脳内を犯していく。
ゴリュゴリュゥ。――肉棒がビチャビチャの肉壁を擦り、侵入と後退を繰り返す。僅かな異物感と、それを遥かに上回る快楽信号が、ピンク色の脳みそをどんどん獣にしていくぅ。
「はぁぁぁ、イィィィ!」
涎を垂らしながら、ガクガクと足を震わせ、白痴のように部長様のご意見の全てを肯定し続ける。部長様は、最初の複数回を味わうように奥へ刺し込んだあと、徐々に加速して、パンパンと腰を打ち付け始める。
「無数に泳ぎ蠢くっ、私の精子がっ、お前の、排卵された新鮮な卵を、犯し抜いていいんだなっ?」
パン、グチョ。パァン、ビチャ!
肉棒を苦しくなるまで飲み込み、愛液まみれにして吐き出す、という快楽作業に下半身が麻痺しそう。さらに加えて、言葉と音で脳まで犯されていく。そんな私の乳首が、ガン勃ちなのは、言うまでもなかった。
何より、係長とも長谷川君とも違う肉棒のカタチを女性器でもって知ってしまった。そう、異なった三つの男性器を、僅か半年ほどで、味わい愉しんでしまうこの体たらく。
女としての最低さを、女としての有能さを、身体で持って味わう、不幸!
「こ、こぞって合体を、目指してくらひゃい」
グニョニル――パァン。
膣から引き抜かれかける喪失感と、再び奥へ充填される満足感。皮脂が浮く大きなおでこを、犬の様に舐める私は、痴人みたく、えへえへ、っと歪み喘いだ。
男だった時には、望んでも得られなかった、終わりない快感が、身を焦がすほどに味わえるなんて。
……男だった? オトコだったってナニ?
「妊娠したら、絶対に、堕ろさないなっ?」
パン、ピチャ。パァン、ビチャ!
接合のたび、愛液が互いの股間付近で飛び散る。部長様も必死なのか、体重がどんどん掛かってきて、息が苦しく――しあ、わせぇ。
「しま、しません。しまっせん!」
口の中にナニかぬめっ、としたモノが侵入してくる。唾液だ! あらん限りの力を使って吸うも、逆に口の中をグチャグチャに吸い尽くされる。――すごい。恋人に乱暴されたら、こんな感じかなぁ?
「お、おっ、オッ!」
不細工な声を漏らす間も、股間への緩く激しい衝撃は、続いた。まるでモノみたいに扱われていると思ったが最後、離れまいと腕と脚の全部を使って抱きしめる。
すごい。私は息をしているだけなのに、すごく気持ちイイをしてもらってる。女サイコー!
ベチャ! パチャ! ビチャ!
体液が飛び散る下品な音が心地よい。毛穴から足先まで汚されている感が嬉しすぎる!
「ジュポ。――イクぞっ、新妻!」
はい、はいっ。望むがままに射精してください。彼の背中に爪を立てる。肩に噛みきながら、ブルッと震えて、下腹部に渦巻く欲望を絶叫する。
「妊娠させてぇぇ!」
汗でひっつく髪のまま、断末魔みたく天井へ叫ぶ。
「孕めえぇっ!」
加重プラス、骨が軋むほどの抱擁と打ち付け。
パァァン! ……ドピュ! ドポッ、ドロロ、ピュピュ。
あつ、熱い精液が注ぎ込まれていく。決して初めてではないけど、身体と心の隅々にまで行き渡るように、吐き出されていく。子宮口をこじ開けて、合体すべき卵を探し触れ得るために。
「あ、あっ、アッ」
そのような状況を想像した瞬間、キュ、キュっと膣口が締まる。雄汁の最後の一滴まで、搾り取るように。
「おおっ、おぉ」
彼の放心したような無防備な溜息が、とても嬉しかった。精吐後も、一分以上は抱きしめ合った。息が苦しいと感じたのは、ようやくだった。
デュポン。
――っと膣内から、まるで自分の一部かと思える肉の棒が引き抜かれた。それは、身体の体積が減ったような喪失を覚えた。
喪失? ならそれはもう異物じゃない。それはもはや、アタシの一部だ。
そうだよアタシ。囲部長様のこと、今は好きだけど、さっきはここまで好きじゃなかった。けどその時でも、あんなに乱れて感じてしまっていたんだ。
――つまりもうアタシは、好きじゃない異性とのセックスで感じられるようになれた、ってことじゃ?
「これ、必要か?」
汗を拭いつつ、いつの間にか離れた位置に立っていた部長様は、机の上のパソコンを見た後、その付属部品を抜き取った。
小さな部品のようであった。見覚えがあるが、どうでも良いようにしか思えなかった。
「? はい?」
頭も股間も緩いアタシは、頭にハテナマークを浮かべる。部長様は小さく笑って、その部品へ唾を吐いた後、ゴミ箱に放り投げた。
やがて、汗と愛液と精子で汚れ、肩で息をする私の方まで戻ってきてくれた。中腰でベットに勃つ部長様は、二人分の体液に塗れたた肉棒を、アタシの濡れた頬に当ててくる。
ベチョ。
「ソーセージは好きか?」
答える代わりに――あぁむ――っと馬鹿みたいに大きな口を開けて飲み込む。生臭い味と臭いが口と鼻腔に拡がる。
部長様の命令はとても気持ちイイ。アタシは肉体と心で悦び嗤ったあと。
「ふぁ~い。だいふきで~ふ」
毛深い睾丸を揉みながら、ニコニコしつつ、大事な大事な肉棒を口と舌でキレイキレイする。
ブチョン。
股間から下品な音が漏れ出た。何かと思ったら、膣から精液と愛液の塊が、空気と共に流れ出た音だった――。
「ぶちょ。お、お水を――」
二人の大人が、一つの椅子に座る――つまりは部長の膝の上に腰を降ろしていた。背面越しにネッチョリと伝わる体温と汗が、酷くいやらしくて、胸の中を暗くトキめかせた。
そんな自分の心中なんて知ったことかと、背後の部長はさらに身体を重ねてくる。彼にとって、軽い脱水で弱っている女の股を、後ろからM字へ開かせるなんて、造作もなかった。
ガバッ。
「あっ」
こんな痴態を強要されているにも関わらず、他人事みたく喘ぎ声をそっと吐いた。淫奔な水着姿で、卑猥な姿勢を無理強いされる中、脊髄のあたりがジンジンしつつも、たったの一口でいいから、水をと、肩を震わせた――。
「これは、なんだね?」
胸の辺りから刺激を感じたので、トロンとした目で見下ろす。部長の太くて毛深い指が――ピンッ――私の右乳首を、弾いていた。
「(痛っ)……あ、あたしの、乳首で、す」
腰椎のあたりに、部長の硬くなった熱い肉棒が、ひっつくようにもたれ掛かってくる。
ピン!
――さ、さっきより強く乳首が弾かれるけど、痛みの中に不思議な切なさを覚える。
「もっと詳細に答えなさい!」
怒気を孕んだ言葉と、うなじに付近に飛び散る唾は、侮辱の殴打だった。けどなぜか股間はゾクゾクと震えて、不快感やストレスがほとんど湧き上がってこないのは、どうして?
「か、硬くなった、ち、乳首です」
泣きそうな、けど胸の奥が摘ままれるみたいな、もどかしい語調で返してしまう。心臓のドキドキは、まるで初恋の時みたく、緊張に震えた。
「なぜ、硬くなっているのかね?」
毛の生えた爪先が乱暴に乳頭に当たり、そのつど痛痒い、狂おしい痺れが、けど乳首から乳房へと拡がり、喘ぎ声が自然とこぼれる。
「はぁ、ンッ、はぁ……ま、マゾなあたしは、囲部長に乳首を乱暴されて――ィウッ――感じて、しまっているから、です」
色んな意味で機能していない頭で、一つだけ言えることがあった。自分の中で隠していた(つもりの)被虐な心の性感帯が、部長によって、乱暴にこじ開けられつつあることに。
ぷっくりとした乳首はジンジンし、部長と密着している背中部分がやたらと熱くなる。濃い胸毛が、柔らかな背中の肌を刺すように絡んできた。
「……」
次の瞬間、部長の手が近くのテーブルに伸びる。二つの小さ目のコップに、瓶詰のミネラルウォーターを汲んでくれたかと思うと、手の届く位置に置いてくれた。
小さく波打つその水から目線を外せず、股を柔らかく開いた状態にて、乳首を責められ続けた。快楽と乾き以外の感情を喪失しているみたいに、口から艶めかしく女を吐き出し続けた。
「女とは、男に対して、どうあるべきかね?」
耳裏を舐められながらの質問であった。けど文字通り垂涎の水に、愚かにも意識を奪われていたため、また返答のタイミングを逸してしまう。
――慌てて答えようと思った瞬間、部長の毛の生えた太い足が、乱暴にコップの一つを蹴り倒す。
コトン。パシャ。
「あ、ああっ」
心底、悲し気な声をあげてしまう。同時に、空いている方の乳首が摘まみあげられて、次は馬のいななきみたいな声を、品なくあげる。背筋の後ろあたりがジンジンとして、後頭部付近が小さく痛む。
「女とは、男に対して、どうあるべきだ!」
言い終えるや否や、首筋に噛みつかれる。乳首はこねくり回され、乾きと快楽で気が狂う寸前だった。天井へ向けて、口を大きく開き、叫ぶ。
「ご奉仕すべきです! 支配されるべきです!」
汗が目に入り、軽い痛みを覚える。ようやく目を開けられた瞬間、部長は残ったコップを手に取り、その口へと含んでいた。
「あ、ああぁ」
けど、悲痛な声を出す私が限界まで首をひねると――ンチュブ――潤う唇が接合してくる。私は上半身を捩りつつ、まるで最愛の夫を抱きしめるように腕を回し、口の中での吸引を続けた。
ジュル、ゴク、ジュボ、ンゴク。
唾液入りの水が、信じられないくらいに美味しかった。喉は歓喜で震え、同時に快楽で歪んだ。飲み終えてなお、幼児がケーキの乗っていた皿をなめ回すがごとく、部長の口内へと舌を挿入し、水と唾液の混水を、飲み干した。
「ジュル、ロレレ――ぷはっ。んっ、ハァ、ハァ」
音を立てて口を離し、部長のお顔を間近で直視する。さっきまで抱いていた、顔への生理的嫌悪感が、嘘のように消えていた。もちろん、吹き掛けられる息の臭いも、感じなくなっていた。
「新妻は、囲に奉仕したいか? 支配されたいか?」
同じ目線なのに、見下され、吐き捨てるような一言に、ゾクゾクっと子宮が震えてしまう。それはまさに、スイッチが入る証拠だった。
「――は、はぁい。できればぁ」
口が勝手に笑い、汗まみれの部長の緩んだお腹に身体を擦りつける。
……ソレは、式峰係長の時みたいなソフトMなんて生半可なものではなかった。心の最奥にある、ドMの扉を開け放ってしまった自分は、オンにしたスイッチそのものを、壊すこととした。二度とオフに出来ないように。
「奴隷みたく、お願いいたします……」
唇を歪めながら、彼の下唇に噛みついた。
* * *
「ぷはぁ」
ベットの上にてぐにゃりと仰向けになる私は、再び口移しでお水をいただくため、馬鹿みたく口を開けて天井を向いていた。
グチュグチュ、と口をゆすぐ部長様のお顔が、定規一本分ほど上にあり――ベシャビチャ。
「んんっ――ゴク、ンゴク」
唾がたくさん混じった生温かいお水の、半分ほどが口より上へかかり、残りの半分が口の中に入ってきた。目に軽い痛みを覚えつつ、喉を鳴らす。
これは、支配していただいている私への恵みの水なの。そのご厚意に報いるため、自ら進んで、柔らかな身体的特性を活かし、股を大きく開く。
汗に光る青い茂みの下、紐のような水着を横へずらす。ヨダレ塗れの膣口が、囲部長様に良く見えるよう――。
「なぜ、こんなに濡れている?」
膝立ちの部長様は、肉棒を指示棒みたくこちらへ向け、蔑むみたくそう仰られた。その棘だらけの視線だけで、下腹部が熱くなる。
「か、囲部長様の肉棒が、ほ、欲しいから、です」
膝下を通す手を唇へ寄せて、人差し指の先端を舐める。切なく、甘く、けど心からの言葉をもって、そう言ってしまった。
そうだ。私は、部長様のオチンコが、欲しいの。
「欲しいという言葉を、もっと具体的に」
重量感に溢れるその下半身が沈みつつ寄り添ってくる。ビクビクと震える立派な肉棒で、膣口を押し撫でられる。
「(ゾクゾクするぅ)……お、膣内へ入ったり出したりして、そ、それから――」
小陰唇がパクパクと糸を引いて笑う。羞恥は身体の内側を熱い針で刺すも、それら全てが快感だった。
「早く言え!」
ブチブチ、っと三本ほど細い陰毛が引き抜かれて、快楽でピクンと腰が浮く。
部長様に責め立てられるたび、暗い多幸感が、下腹部の中で増殖して、身体中に満ちていく。被虐の奴隷に、堕ちてイッちゃう。
「し、子宮に精子を一杯もらって。は、は――」
孕ませて欲しいから、ですぅ。
「……私の睾丸内の猛る精子が、お前の子宮の中を、好き勝手に泳ぎ回っていいんだな?」
呟くようにそう仰ると、亀頭を膣口へあてがわれた。小陰唇は――待っていましたわ――と言わんばかりに、愛液の汁を染み出しつつ、肉々しくグロテスクに口を開けていく。
「んはぁい。もちろんですぅ」
正常位のまま、乳首を尖らせて、不要なほどに股を開き、満面の媚笑で答える。
部長様の糸を引く亀頭が、膣口に触れた瞬間だった。
――ンチュ、グニュ、ニュル!
「んああっ!」
濡れた空白が、欲棒で一挙に埋められていく。――あぁ、やっと交尾してもらえるぅ。
すぐに圧迫するみたく、濡れた重量感ある身体を押しつけてこられる。その苦しささえ心地良いと思いつつ、ポッチャリなその身体をか細い力で抱き締める。
部長様の臭う舌が、耳穴の中に入ってくる。
「レロレロ……妊娠は母胎への危険もあり、出産は母親の人生を変える。――にもかかわらず、夫でも恋人でもない、ただの上司の精子を注いでほしいんだな?」
鑢の言葉の数々が、耳穴から入って、私の脳内を犯していく。
ゴリュゴリュゥ。――肉棒がビチャビチャの肉壁を擦り、侵入と後退を繰り返す。僅かな異物感と、それを遥かに上回る快楽信号が、ピンク色の脳みそをどんどん獣にしていくぅ。
「はぁぁぁ、イィィィ!」
涎を垂らしながら、ガクガクと足を震わせ、白痴のように部長様のご意見の全てを肯定し続ける。部長様は、最初の複数回を味わうように奥へ刺し込んだあと、徐々に加速して、パンパンと腰を打ち付け始める。
「無数に泳ぎ蠢くっ、私の精子がっ、お前の、排卵された新鮮な卵を、犯し抜いていいんだなっ?」
パン、グチョ。パァン、ビチャ!
肉棒を苦しくなるまで飲み込み、愛液まみれにして吐き出す、という快楽作業に下半身が麻痺しそう。さらに加えて、言葉と音で脳まで犯されていく。そんな私の乳首が、ガン勃ちなのは、言うまでもなかった。
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グニョニル――パァン。
膣から引き抜かれかける喪失感と、再び奥へ充填される満足感。皮脂が浮く大きなおでこを、犬の様に舐める私は、痴人みたく、えへえへ、っと歪み喘いだ。
男だった時には、望んでも得られなかった、終わりない快感が、身を焦がすほどに味わえるなんて。
……男だった? オトコだったってナニ?
「妊娠したら、絶対に、堕ろさないなっ?」
パン、ピチャ。パァン、ビチャ!
接合のたび、愛液が互いの股間付近で飛び散る。部長様も必死なのか、体重がどんどん掛かってきて、息が苦しく――しあ、わせぇ。
「しま、しません。しまっせん!」
口の中にナニかぬめっ、としたモノが侵入してくる。唾液だ! あらん限りの力を使って吸うも、逆に口の中をグチャグチャに吸い尽くされる。――すごい。恋人に乱暴されたら、こんな感じかなぁ?
「お、おっ、オッ!」
不細工な声を漏らす間も、股間への緩く激しい衝撃は、続いた。まるでモノみたいに扱われていると思ったが最後、離れまいと腕と脚の全部を使って抱きしめる。
すごい。私は息をしているだけなのに、すごく気持ちイイをしてもらってる。女サイコー!
ベチャ! パチャ! ビチャ!
体液が飛び散る下品な音が心地よい。毛穴から足先まで汚されている感が嬉しすぎる!
「ジュポ。――イクぞっ、新妻!」
はい、はいっ。望むがままに射精してください。彼の背中に爪を立てる。肩に噛みきながら、ブルッと震えて、下腹部に渦巻く欲望を絶叫する。
「妊娠させてぇぇ!」
汗でひっつく髪のまま、断末魔みたく天井へ叫ぶ。
「孕めえぇっ!」
加重プラス、骨が軋むほどの抱擁と打ち付け。
パァァン! ……ドピュ! ドポッ、ドロロ、ピュピュ。
あつ、熱い精液が注ぎ込まれていく。決して初めてではないけど、身体と心の隅々にまで行き渡るように、吐き出されていく。子宮口をこじ開けて、合体すべき卵を探し触れ得るために。
「あ、あっ、アッ」
そのような状況を想像した瞬間、キュ、キュっと膣口が締まる。雄汁の最後の一滴まで、搾り取るように。
「おおっ、おぉ」
彼の放心したような無防備な溜息が、とても嬉しかった。精吐後も、一分以上は抱きしめ合った。息が苦しいと感じたのは、ようやくだった。
デュポン。
――っと膣内から、まるで自分の一部かと思える肉の棒が引き抜かれた。それは、身体の体積が減ったような喪失を覚えた。
喪失? ならそれはもう異物じゃない。それはもはや、アタシの一部だ。
そうだよアタシ。囲部長様のこと、今は好きだけど、さっきはここまで好きじゃなかった。けどその時でも、あんなに乱れて感じてしまっていたんだ。
――つまりもうアタシは、好きじゃない異性とのセックスで感じられるようになれた、ってことじゃ?
「これ、必要か?」
汗を拭いつつ、いつの間にか離れた位置に立っていた部長様は、机の上のパソコンを見た後、その付属部品を抜き取った。
小さな部品のようであった。見覚えがあるが、どうでも良いようにしか思えなかった。
「? はい?」
頭も股間も緩いアタシは、頭にハテナマークを浮かべる。部長様は小さく笑って、その部品へ唾を吐いた後、ゴミ箱に放り投げた。
やがて、汗と愛液と精子で汚れ、肩で息をする私の方まで戻ってきてくれた。中腰でベットに勃つ部長様は、二人分の体液に塗れたた肉棒を、アタシの濡れた頬に当ててくる。
ベチョ。
「ソーセージは好きか?」
答える代わりに――あぁむ――っと馬鹿みたいに大きな口を開けて飲み込む。生臭い味と臭いが口と鼻腔に拡がる。
部長様の命令はとても気持ちイイ。アタシは肉体と心で悦び嗤ったあと。
「ふぁ~い。だいふきで~ふ」
毛深い睾丸を揉みながら、ニコニコしつつ、大事な大事な肉棒を口と舌でキレイキレイする。
ブチョン。
股間から下品な音が漏れ出た。何かと思ったら、膣から精液と愛液の塊が、空気と共に流れ出た音だった――。
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