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☆6.
しおりを挟む謎は、その日の放課後、とけた。
下校時間、ぎりぎり。
昇降口で声をかけられて、ふりかえれば、幸成だった。
「おす、日夏」
「あ……」
昼休みのこともあって、わたしはどう返したらいいのか、わからなかった。
「あ、えっ!」
そんなわたしの手を幸成は取るとそのまま、外へと引っ張って行く。
「今日も帰るだろ?」
「そ、そうだけど!」
手が――。
「大丈夫。今の時間帯、誰もいないから」
「って!」
「ごめんな、日夏」
「え?」
気が付いたら、自転車置き場にまでやってきていた。そこで幸成はわたしの手を離してくれた。
「おっ、今日の自転車はご機嫌だな。昨日みたいに、ロープ食ってねえし」
あ。
昨日の、やんちゃな幸成に戻っている。
わたしは、ほっとして胸をなでおろした。
「あのさ、俺、ちょっとやばいんだ」
「え?」
「俺ってさ、なんつーか、あがり症っていうのかな、それとも人見知り?」
いや、知らんがな。
「ほら、知らない環境で、うまくやっていけないのね。で、俺さ、あのクラスでうまく最初なじめなくてさ」
なんの話をしようとしているのだろうか。
わたしは、彼の話に耳を傾けながら、彼と一緒に下校した。
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