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***
あたし、大丈夫?
だって、全然映画の内容、入ってこない。
隣に座る浅田に。
……こいつのせいで。
意外な一面ばかりで。
今日だけでも、あたしの知らない浅田がいっぱいで。
こんな気持ちになったのは初めてだったから。
って!
キャアァァァッ!!
嘘、うそでしょ……!!
急に写り込んできた長い髪の女性の怨霊!!
あたしは怖くなって目をつぶる。
こんな、やばいやつ?
この映画、見てられないっ!!
もう、あと一時間くらい、ある。
浅田もいるし。
映画館を出られない。
だけど。
怖すぎっ……!!
「……先輩」
小声で浅田。
ぎゅ。
手のひらに温かいもの。
浅田の、手だ……。
急に、なんだか落ち着いてきて。
「先輩、出る?」
あたしは、思わず首を横に振った。
本当は、怖くて。
映画見るの、やめたかったけど。
ぎゅって、優しく、強く。
あたしの手を彼が、握りしめていてくれたから。
***
「はぁーっ、終わったぁ」
エンドロールがこれほど嬉しいことはなかった。
照明のついた映画館の中を、ひとびとがぞろぞろと出ていく。
浅田は立ち上がって伸びをした。
だけど、あたしは。
「先輩?」
「あ、うん、大丈夫」
立ち上がろうとして、よろめいてしまった。
「先輩っ!」
そんなあたしを浅田が支えてくれる。
「っ! 浅田っ」
「ごめん」
「え?」
なんで、あんたがそんなうなだれてるわけ??
「オレが誘ったのに」
いや、あたし。
この映画、観たかったのは、あたし!!
「それに……」
浅田は、耳まで真っ赤にしていた。
「手を握っていたくて、いつまでも先輩を付き合わせちゃったから……」
あ。
「ごめんなさい。本当は、先輩がとっくにこの映画見たくないって気がついていたのに……」
浅田。
あたしのこと、ちゃんと見てる。
のに。
ちょぉっと、おしいんだよねぇ。
「いいよ、そんなの」
「先輩?」
「好きな俳優さんが悲鳴あげてるとこ、見れたし」
それに。
きみと手を繋ぐってのが、こんなにも安心するんだって、知った。
浅田のいろんなとこ、知れたから。
あたし、大丈夫?
だって、全然映画の内容、入ってこない。
隣に座る浅田に。
……こいつのせいで。
意外な一面ばかりで。
今日だけでも、あたしの知らない浅田がいっぱいで。
こんな気持ちになったのは初めてだったから。
って!
キャアァァァッ!!
嘘、うそでしょ……!!
急に写り込んできた長い髪の女性の怨霊!!
あたしは怖くなって目をつぶる。
こんな、やばいやつ?
この映画、見てられないっ!!
もう、あと一時間くらい、ある。
浅田もいるし。
映画館を出られない。
だけど。
怖すぎっ……!!
「……先輩」
小声で浅田。
ぎゅ。
手のひらに温かいもの。
浅田の、手だ……。
急に、なんだか落ち着いてきて。
「先輩、出る?」
あたしは、思わず首を横に振った。
本当は、怖くて。
映画見るの、やめたかったけど。
ぎゅって、優しく、強く。
あたしの手を彼が、握りしめていてくれたから。
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「はぁーっ、終わったぁ」
エンドロールがこれほど嬉しいことはなかった。
照明のついた映画館の中を、ひとびとがぞろぞろと出ていく。
浅田は立ち上がって伸びをした。
だけど、あたしは。
「先輩?」
「あ、うん、大丈夫」
立ち上がろうとして、よろめいてしまった。
「先輩っ!」
そんなあたしを浅田が支えてくれる。
「っ! 浅田っ」
「ごめん」
「え?」
なんで、あんたがそんなうなだれてるわけ??
「オレが誘ったのに」
いや、あたし。
この映画、観たかったのは、あたし!!
「それに……」
浅田は、耳まで真っ赤にしていた。
「手を握っていたくて、いつまでも先輩を付き合わせちゃったから……」
あ。
「ごめんなさい。本当は、先輩がとっくにこの映画見たくないって気がついていたのに……」
浅田。
あたしのこと、ちゃんと見てる。
のに。
ちょぉっと、おしいんだよねぇ。
「いいよ、そんなの」
「先輩?」
「好きな俳優さんが悲鳴あげてるとこ、見れたし」
それに。
きみと手を繋ぐってのが、こんなにも安心するんだって、知った。
浅田のいろんなとこ、知れたから。
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