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✿1.好きなひと

9.

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「な……」

 わたしの言葉に、里佳子さんは、
 ぽかんと口を開けたまま、静止してしまった。

「先輩……」
「き、嫌い?」
「へ?」
 里佳子さんの口から出た言葉に、
 わたしはきょとんと小首をかしげる。

「嫌い、かな? ご、ごめんね。
 わたし、あなたのお姉さんを好きで」

 アナタ ノ オネエサン ヲ スキ デ。

 でも、ここで止まれない。
 止まれそうにない。

「わ、わたし、里佳子さんが、す、好きです!!」
 開いてしまった心と唇。
 一度でも開いてしまったものは止められない。
 今にも吐きそうなくらい心臓が昇ってくる。
 もう、食道から心臓、吐きそうっ……!!

「ねえ、里佳子さん、わたしじゃダメですか!?
 おねえちゃんじゃなくて、わたしじゃ!!」



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