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●5.胸の痛み
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放課後。
あたしは先輩のいる教室に向かっていた。
いつもならもっと早く先輩の顔を見に行っているんだけれど、今日は日直だったせいで、遅くなってしまった。
先輩、帰っちゃったかな……。
教室をのぞくと。
「あ、いた♪」
まだ、先輩は残っていた。
けれど。
その周囲には女子生徒たちが。
なにやら、あたしは教室に気軽に入れるような雰囲気ではなくて。
「で、実際、どうなんですか?」
「は?」
「好きな子とかいるんでしょ」
どひー。
単刀直入。
でもこれは、先輩の答え、あたしも知りたい。
「いない」
こちらも単刀直入だし。
「うそ」
「うそじゃない」
「じゃあ、あの一年の子はどうなの?」
「一年? ああ、西宮か」
ドキリ。
あたし、話題に上っているし。
「すごく、仲良くない?」
「ぜんぜん」
「でも、きっと彼女、相沢のこと、好きだよ」
「だったらどうした?」
「どうして付き合わないの?」
先輩は大きくため息をついた。
「別に、いいじゃん、そんなこと。第一、俺、あいつのこと、ほんと、うざったいって思ってるから」
ズキン。
先輩から放たれたことばがあたしの胸をえぐった。
もともと、自覚あったとはいえ。
本人の口から語られると結構、きつい。
瞳の奥がじんわりと熱くなってくる。
あたしは耐えきれなくて、廊下へと走り出し――転んだ。
その物音に先輩が、こっちを見る。
「西宮っ!!」
あたしの名前を呼んだ。
けれど、追いかけてきてはくれなかった。
先輩……。
あたしは先輩のいる教室に向かっていた。
いつもならもっと早く先輩の顔を見に行っているんだけれど、今日は日直だったせいで、遅くなってしまった。
先輩、帰っちゃったかな……。
教室をのぞくと。
「あ、いた♪」
まだ、先輩は残っていた。
けれど。
その周囲には女子生徒たちが。
なにやら、あたしは教室に気軽に入れるような雰囲気ではなくて。
「で、実際、どうなんですか?」
「は?」
「好きな子とかいるんでしょ」
どひー。
単刀直入。
でもこれは、先輩の答え、あたしも知りたい。
「いない」
こちらも単刀直入だし。
「うそ」
「うそじゃない」
「じゃあ、あの一年の子はどうなの?」
「一年? ああ、西宮か」
ドキリ。
あたし、話題に上っているし。
「すごく、仲良くない?」
「ぜんぜん」
「でも、きっと彼女、相沢のこと、好きだよ」
「だったらどうした?」
「どうして付き合わないの?」
先輩は大きくため息をついた。
「別に、いいじゃん、そんなこと。第一、俺、あいつのこと、ほんと、うざったいって思ってるから」
ズキン。
先輩から放たれたことばがあたしの胸をえぐった。
もともと、自覚あったとはいえ。
本人の口から語られると結構、きつい。
瞳の奥がじんわりと熱くなってくる。
あたしは耐えきれなくて、廊下へと走り出し――転んだ。
その物音に先輩が、こっちを見る。
「西宮っ!!」
あたしの名前を呼んだ。
けれど、追いかけてきてはくれなかった。
先輩……。
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