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三章 淫鬱の森
金玉キラキラ
しおりを挟む「ふおおお!!!ふおおおお!!!凄い、初めて見ましたぁ!!!人族って空想の生物じゃないんですねっ!!!ほおおおお!!!」
エルフなの……か?
凄い、初めて見た……思ったより騒がしいけどね。
なんか、クールなイメージだったんだけどなぁ。
見た目は人と変わらないし……有難いことにおっぱいもデカい。
……エルフってペチャパイのイメージだったから助かった。
そんな興味津々の僕とは違い、彼女を冷ややかな目で見る二人。
「エマとイーリスは驚かないんですか……?」
「エルフは別に珍しくない」
「そうだな。ここまで騒がしい奴は初めてだが」
やっぱり、耳が長いし……彼女はエルフなのか。
「やりましたっ!!やりましたオババ様!!!あたし……やりましたぁ!!!これで、これでぇ……!」
天に祈るポーズを取り、感極まって泣いているエルフ。
ちょっと訳がわからなくて困惑。
「あ、あの……」
僕の呼び掛けにハッとして、此方を見るエルフ。今度は一回で通じて良かった。
「おぉっとぉ!!これは失礼しましたっ!!人族の御三方はお客様ですかね!?」
「いや、客という訳では……」
「そんなそんな!!数百年振りの異文化交流っ!!是非堪能させて下さいよぅ!!!」
テンション高くグイグイ押してくるエルフに、エマがタジタジで押されていて面白い。
……数百年振りという単語は聞かなかった事にした。なんてファンタジー……。
「リュカ。淫紋はどう?落ち着いた?」
そんな二人を眺めつつ、イーリスに聞かれて……性器にやっと意識がいく。
感覚的には、少し熱を持っている程度で……特に問題は無い。
「あ、たぶん大丈夫で……す……」
ズボンを覗きながら答えていたんだけど……なんか、光っている。
蛍光塗料塗った様な……暗いと光るそんな感じ。何これ本当に勘弁して……。
「……大丈夫じゃなかった?」
「はい……光ってます……助けてイーリス……」
「ど、どういう……原理……?謎が深まる……」
本当に何これ?結界を吸収したから……なのかな?
「それじゃっ!!行きましょーう!!!人間さん達ぃ!!レッツゴーですっ!!」
「やめっ!!引っ張るな!!おい!!」
向こうの二人の話は終わった様で、エマがエルフに腕を掴まれて森の奥へと連れて行かれている。
「……とりあえず、追いましょう」
「そうね。研究は後で」
エマだけ連れて行かれても困るので……僕らも後を追い、森の中へと進む。
****************
森の中は思っていたより明るく、木々や草花が幻想的な光を放っている。
魔法……かな?なんか凄いノスタルジックな場所だなぁ。
魔物の気配も無く、小動物が木々を駆け回り、見た事も無い果実を齧る……凄く平和な世界。
見上げても木が邪魔して陽の光が通らないのに……フワフワとした明るさを保つ、不思議な世界。
「凄い所ですね……外とは大違い」
ボヤくように呟いた僕の一言を、先導していたエルフの姉ちゃんが拾い、嬉しそうな顔をして振り返ってくる。
「むっふー!!凄いでしょう!?我々ハイエルフの魔力は森に命を与えるのですっ!!」
そう言いつつ手に魔力を込め……掌に一輪の花を咲かせるエルフ。ちょっとオシャレ。
「ほらっ!!!凄いでしょう!?人族が憧れる魔法ですぞー!?スキルとやらじゃ真似出来ないですからねー!!」
凄いドヤ顔で言っていて……僕らにも魔法が使える事を言い辛い。
なんだろう、この森に閉じ込められていたから……ギャップがあるのかな?数百年とか言ってたし。
そもそもエルフじゃなくてハイエルフとか言ってるし……なんかこう、色々と興味深い。
「残念。時代は変わった。それよりもハイエルフとやらを詳しく聞きたい。後で時間取って」
容赦の無いイーリスが魔法で、突き出したエルフの掌に土塊を生み出し……花の土台を作った。こっちもオシャレな事するなぁ。
「えっ……えええっ!?!?そ、そんな……!!嘘、嘘だーっ!!!」
全身を震わせ……膝から崩れ落ちるエルフ。
彼女の虚しい叫び声に、辺りの小鳥が驚き逃げだして……虚しさを増加させる。
騒がしい人だなぁ。
その後、なんとか慰めて気を取り直して貰い、森の奥にある彼女の里へと案内して貰う。
ハイエルフの森……というかハイエルフの里らしい。ちょっと楽しみ。
「そ、そうだ……!今更ですけどあたし、リナって言います!皆さんのお名前は如何に!?!?」
ぎこちなさを残しつつ、元気を取り戻し初めた彼女……リナちゃんから自己紹介があり、各々名前を告げる。
「リュカちゃんにエマちゃん、それとイーリスちゃん……覚えましたっ!!」
僕らを差しながら名前の復唱をしていくリナちゃん。僕はちゃん付けじゃないんだけどなぁ。ま、そんな気にする事でも無いか。
「宜しく。ハイエルフとやらの生態、いっぱい教えて」
「お任せ下さいイーリスちゃんっ!!お返しに人族の事、教えて下さいねっ!?」
「勿論。何が聞きたい?」
「うーん……突然言われてもぉ……考えておきます――――あっ!そうだっ!!」
顎に指先を当てて、弾みながら思考をするリナちゃんが、何か浮かんだ様で――
「やっぱり、外の世界も……男の人、全滅しちゃいました?」
――先程までとは違い、寂しげな瞳で……悲しいトーンで呟かれたその質問の意図は、きっと……そういう事なんだろう。
「その、質問だと……ハイエルフの男は……?」
僕も詳しく聞きたかった事を、エマが言葉を選ぶ様に、恐る恐る尋ねる。
「はい……。五百……いや、六百年前だったかな?誰か長生きの人に聞けば分かるんですけどぉ……兎に角、伝承に聞く裁きの日に……皆死んじゃいました」
「ん……?裁きの……日?」
イーリスが足を止め、リナちゃんの口から零れた気になる単語を拾う。
裁きの日……何だそれ……?魔女の呪いじゃ無いのか……?
「そうです……裁きの日。神々の怒りに触れ、天誅が降り注いだ日。愚かな男達は神の怒りに触れ、死に絶え……哀れな女はその生を許された……そう、伝えられています」
「何、そ、れ……」
余りのスケールのデカさに、思わず声が途切れ途切れになってしまった。
僕は……僕はこれから、何と戦わないといけないんだ……?
「あれ?人族の皆さんはご存知無いんですか?里の皆なら詳しく知ってますよー?」
「知らない。内容が全く違う。里に行く必要が増々出てきた」
「そう……だな。私も、イーリスじゃないが……この話は真実を聞きたい」
「まっかせなさーい!!里はもうすぐですからねっ!!!」
手を突き出し、上に掲げるリナちゃん。僕には……その明るさと元気さが羨ましい。
でも、見ているだけで……ちょっと元気が湧くような、そんな素敵な人だ。本調子が出たら是非抱きたい。乳もデカいし。
「あ、そういえば……結局男の人は皆死んじゃったんですかね?」
「いや、いる。けれど……防御結界の中でしか生きられない」
「え、えぇっ!!それでも生きているんですかっ!?!?すごーい!!!会ってみたいなぁ!!」
「競争率が高いからな。リナじゃたぶん会えないぞ?」
エマとイーリスがニヤニヤと笑い、僕が男だと隠している。
たぶん、ドッキリ的な感じかな?なんだか楽しくなってきた。
「えぇー……。後千年くらい待てるんですけどぉ……厳しいですかね?」
「せ、千年……!?い、いや、金だ!金が無いと無理だぞ!!」
「……千年後はちょっと想像出来ない」
「お金……?なんですかそれー?」
ちょっとハイエルフに掛けるにはしんどいドッキリで……グダグダになってしまった。
リナちゃんに通貨について説明しているエマを見ながら歩き続け……暫くすると、森が拓け始めた。
人の手が入った感じの、生活感のある空間になり始めて……ワイワイ話しながら歩く僕らの方に、飛ぶように駆ける人影が。
「リナちゃん……誰か来ましたよ。大丈夫ですか?」
「ん?あ!!モーヴさぁん!!お客様が来まし――――」
「リナ!!!長老の様子がっ!!!」
リナちゃんと同じ、花を思わせる服を着た貧乳のお姉様が焦った様にリナちゃんの元へ。
なんだろう……雲行きが怪しくなってきたなぁ。
――――そんな中、ズボンの中で、キラリと性器が光った気がした。
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