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三章 淫鬱の森

開紋

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「良し、それじゃあ……行ってみましょう」


 翌日早朝、頷く二人を連れていざ森の方へ。

 ……昨日は僕の性欲が激しすぎて、森の探索をしないで、膣の探索で精一杯だった。

 前を歩く二人の頼もしい背中を見つめながら森へ向かっているんだけど……なんだか得体の知れない緊張感があって、上手く話す事が出来ない。


「リュカ、大丈夫?」


「え、えぇ。二人は何とも……無いんですか……?」


「む?何かあるのか?」


 僕の言葉に反応し、腰を落として警戒をするエマ。
 日本じゃ見られない反応に、普段だったらワクワクするはずなんだけど……僕の心は跳ねない。


「なんでしょう……存在感?威圧感……?そんな感じですかね……」


 あ、ひょっとして『探知』が反応しているのかな?普段ほぼ効果無いから気付かなかった。

 不便だなぁこれ……何に反応しているんだろう。


「ふむ……要警戒だな」


 エマが腰に差した剣の柄に手を掛け、イーリスも腰のベルトに差していた木製の杖を手に持ち……再び歩き始める。

 近付けば近付く程、緊張感が走り……思わず生唾を飲む。

 ゆっくりと警戒しながら近付き、荒野と森の境まで来た。

 足元には草が生い茂り、豊かな緑を見せ付けてくるが……僕の心は穏やかじゃない。

 緊張が興奮に変わり、煩いくらいに心臓がドキドキする。
 早く中に入れ!そう淫紋が叫んでいるみたいで……勃起までしてきた。

 何故、そう思うのか……頭じゃ理解出来なくて、凄い困惑する。
 本能が叫んでる……そんな感じなんだ。


「リュカ……大丈夫か?頬が赤いぞ……?」


「は、はい……!大丈夫です。意識はしっかりしてます!」


「ふむ……とても興味深い。淫紋とは何?リュカに何をもたらしている?……もしかしたら私は今、後世に語られる伝説に立ち会っているのかも知れない」


「そんな大袈裟な……」


 大袈裟な事じゃない、とは言い切れなくて……口を噤んでしまった。

 だってこれから……伝説を作るんだ。他の誰でも無い……僕が。

 そうやって気合を入れて、三人揃って目の前の森へと足を踏み込み――――何かに弾かれる様な感覚と、バチィ!という……静電気に似た音が聞こえて……僕達三人は尻もちを付いた。
 コントじゃないんだからさぁ!!

 まるで森が侵入を拒む様に……シールドを貼っているみたい。目には見えない不可視のシールドが。

 なんだろう……雰囲気的にはシェルターに似ている気がする。
 外敵を拒む、というよりは……内側を守る?

 あれ……?なんで僕はこんな事がわかるんだ……?

 そんな風に、三人揃って少し惚けて居たけど……エマが即座に立ち上がり、尻もちをついたままの僕に手を差し伸べる。
 慌ててイーリスも起き上がり……周囲の警戒にあたる。


「すまんリュカ!!警戒しておいてこのザマだ!!怪我は無いか!?」


 気配も無く、森から拒まれる様な衝撃を予測して回避出来る人なんていないので……仕方無いよね。


「いえ、大丈夫です。二人共……怪我はありませんか?」


「大丈夫。ごめんねリュカ……つい、考察に夢中になってた」


 立ち上がり服を払い、デカい爆乳をプルプルと揺らして僕を楽しませてくれたので……ノットギルティ。
 いかん、勃起しているせいなのか、思考回路がおかしい。落ち着かないと……!!

 胸に手を当て、息を整える……が、興奮が静まらない。なんなんだこれ?

 ギンギンの性器は置いといて、もう一度、胸に当てていた右手を森の方に伸ばしてみるが……バチッと弾かれる。


「リュカ!?何をしている!!危ないだろう!!」


「あ、すみません……つい。余り敵意を感じませんので……」


 弾かれた指先を見ても、傷は無く……弾かれる衝撃はあるが、痛みはない。


「でも、私達を拒んだ。警戒して」


「そうですね、すみません」


 そもそも、ここに近付いた時……緊張感を感じたんだった。忘れてしまっていたけど。

 ただでさえ『アクティブ』なんてバッドステータス抱えているのに、淫紋なんていう暴れ馬が付属されてしまったものだから……注意力散漫気味だなぁ。


「でも……どうしましょう?このままだと森に入れませんよ?」


「……私は入る必要は無いと思うのだが」


「でも……ここまで来たら気になる」


「かと言って解決策がある訳では無かろう?出直して来るのも有りなんじゃないか?」


「むむっ……そう言われると……」


 学者肌なイーリスがエマの正論に負けそう。
 なんかこう……エマの方が脳筋プレイで、この森のバリアを叩き切りそうなイメージだったんだけどなぁ。

 イーリスを丸め込もうとしているエマをボーッと眺めている僕の頬に、暖かい風が吹き付ける。

 そういえば……カトリーヌ様、元気な赤ちゃん産んだかなぁ。
 いや、時期的にまだ出産はしてないか。

 こうやって風が当たる事を意識してしまうと、カトリーヌ様を思い出す体になって――――ふと、淫紋が左手にも浮かび上がっているのを思い出す。


「二人共、ちょっともう一度試してみても良いですか?たぶん……いけると思います」


「リュカ?……一体何をするつもりだ?」


 左手の、薄らと浮かび上がる淫紋を二人に見せ……説明を。


「淫紋が関係しているなら……たぶん、左手を押し付ければ反応があるかと。上手く行くなら……ちんちんを当ててみます」


「えぇ……。リュカ凄い……無機物とセックス……」


「それは言わないでっ!!!」


 イーリスが余計な事を言うので……恥ずかしくなってしまい、勢いよく左手を森のバリアに向けて突っ込む。

 今まで僕らを弾いてきた不可視のバリアに弾かれる事無く……トプンと何かに入り込む様に、左手はバリアを抜けた。


「おぉ!!凄い!リュカ!!行けそう!!!」


「やっぱり……ちょ、ちょっと!!気が早いっ!!」


 想像通り上手く行ったので、ドヤ顔で二人を見ようとしたら……イーリスにズボンを脱がされた。

 ギンギンに反り立つ性器が森を睨み……エマがゴクリと生唾を飲む。


「エマ、発情するのは後にして下さいね?」


「う、うむ……。いつ見ても素晴らしいので……つい、な」


 恥ずかしそうに頭を掻くエマを後目に……森のバリアへと足を進める。


「ワクワク。何が起きるの?何が待っているの……?期待が止まらないっ……!!」


「イーリスは変わらないですね……。それじゃ、行きますよーっと!!」


 左手で、バリアの位置を確認しながら……セックスするみたいに、腰を思い切り突き出す。

 処女膜を突き破るみたいに、ズブッとした感触があり――――森を覆うバリアの様な物が可視化し、崩れ……僕の性器に集う。

 なんだろう……オブラートみたいな物が性器に集まってきているんだけど……凄い怖い。どうなるのこれ……?


【特定の条件を達成。『結界術』を習得しました】


 んんんん……!?なんか覚えたぞ!?どういう仕組なの……!?

 というかやっぱりバリア……というか結界だったのか。
 魔法じゃなくて……術。なんだろうこの違い。


「おおおお!!!凄い!!!リュカ!!!貴方は凄い!!!これで森へ入れ――――っ!!……誰!?」


「むっ!!」


「えっ?どうしました……?」


 はしゃぎ、飛び跳ねるイーリス。
 荒ぶるおっぱいを見たいが為にそちらを見ていたら……イーリスとエマが突然何かに警戒する。


「リュカ、下がって!!」


 杖を構えたイーリスが、杖先に魔力を込め……エマが僕を庇う様に前に出る。


「な、何が……?誰がいるんですか……?」


 訳が分からない僕は、エマの肩越しに森の方を見ると……両膝を地面に付き、ブツブツと何かを唱えながら頭を下げている人が居た。

 こちらの声が届いていないのか……僕らが騒いでいても、何も反応がない。

 体格を見た感じ……女性なので、これは僕の出番だと急いでズボンを履き、二人に視線を送る。

 僕の視線に気付き、頷く二人。
 エマが前方、イーリスが後方を守り……件の人に近付く。


「あの……大丈夫ですか?聞こえていますか?」


 僕の問に、尚も答えず頭を下げたままの女性。
 ……この世界に来て初の、声掛け失敗にちょっと凹んだ。


「貴殿、聞こえておらんのか?ここで何をしている?」


 エマが前に出て、その人の肩を叩きながら声を掛けると……漸く顔を上げた。

 シュッとした顔付きに真ん丸のつぶらな瞳。
 可愛らしい顔付きで……美女というより美少女な感じ。

 小さめな口を半開きにして、暫く僕らを惚けた顔で見る彼女だったが……不意に大きく目を見開き、合わせて大きく息を吸い込み、叫ぶ。


「ほ、ほわぁぁぁぁ!?!?ひ、人族の方ですかっ!?!?や、やったー!!!結界が、ついについにっっ!!結界が解けましたぁぁぁぁ!!!」


 大きな目に、涙を浮かべて叫ぶ彼女の耳は――――細長く、先が尖っていた。
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