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第二章 風の国
風の向くまま
しおりを挟む「……という事があったんですよ」
「なるほどねぇ。リュカちゃんは凄いのねぇ……」
魔法剣事件から数日経ち、今はカトリーヌ様とピロートーク中。
カトリーヌ様の為に作った風魔法の魔法剣をカトリーヌ様に渡し、経緯を話していた所。護身用の意味を込めて、短剣に魔法を錬金して渡した。
緑色の刀身をなぞるように触り、感嘆の息を吐くカトリーヌ様……横顔も美しい……。
「貴方は不思議ねぇ……一緒に居て飽きないわぁ。こんな一品、普通の人じゃ作れないわよぉ?」
「ありがとう御座いますカトリーヌ様。貴女を楽しませる事が出来るなら……この力も悪く無いですね」
「ウフフ。もっと楽しませて頂戴……?」
「あっ……!勿論ですっ!!」
という訳で、剣をベッド横の机に置いたカトリーヌ様に再び食べられていく。
カトリーヌ様に妊娠は今の所確認されていない。
なので日課の様に訪れてセックスを楽しんで、その後は売春宿に行き、一般女性に種付をする毎日。
控えめに言って最高の日々。
巷で僕の存在は割と噂になっているらしく、売上は上々。良きかな良きかな。
噂のせいで襲われそうになって……ちょっと身の危険を感じたけどね。
無事、逆レイプ犯を成敗出来たよ、性的な意味で。
それと……カトリーヌ様に聞いたけど、極魔法も淫紋も心当たりは無く、オマケに詳しくは知らないそうだ。残念。
ただ『健康』なだけなのに……僕に何の因果があるかさっぱりわかんない。
それと、女体漁りだけの毎日では無く……空いた時間に旅に使う帆馬車を買ったり、食料や装備も買い揃えたりと、ちゃんと旅の支度は進めている。
装備に関しては……イーリスとエマが錬金をせがんできて、全パーツに何かしらの魔法が込められている。枯れるかと思った。
正直、火が出るガントレットとか、風を巻き起こすマントみたいな外套とか……どちらかというと曲芸寄りの変な物が出来上がったけど、彼女達が楽しそうにしているから気にしない。
旅に使う馬車を曳く馬は……僕は凄い欲しいんだけど、イーリスが錬金土魔法で馬を作ると意気込んでいて……買えなかった。
馬……欲しかった……。
****************
そしてイーリス達の引き継ぎも終わり、いよいよ別れが近づいてきた頃。
抱いて欲しいとメロディに言われたので……売春終わりに一発抱いた。
優しく激しくヒィヒィ言わせて、今はベッドに並んで寝っ転がっている状況。
「そろそろ……別れの時なんだろぉ……?」
膣奥に精子をねじ込み、疲れ果ててベッドに横たわり……ピロートークを始めようとした僕の先手を打って、メロディがボソリと呟く。
「そう……ですね。わかりますか?」
「そりゃあな。女ってのは……そういう生き物なんだよ」
二人仰向けで、探り合うように手を繋ぐ。
「あの、メ……メロディも……良かったら――」
付いてきてくれ、そう言いたかったけど……メロディの唇で塞がれて、言えなかった。
「そっから先は……聞かせねぇでくれよ、リュカ」
少し寂しげに言うメロディの顔を見れば……付いてきてくれない事はわかった。
結構脈アリな気がしたんだけどなぁ……。
警邏隊だと簡単に抜けられないのかなぁ……?
「そうですか……。メロディが来ないのは寂しいです。残念です、けど……僕は止まれませんから……また、いつか貴女に会いに来ます」
「そうしてくれや。この子の顔も……見に来てやってくれよ」
そう言いながら、優しく自分のお腹を叩くメロディ。
「ええぇっ!?!?そういう事!?!?」
いやビックリした……!!全く想像もしてなかった……!!
まぁ、ちょくちょくやってたから可能性はあったんだけどね!?そういう意味で付いて来ないのかぁ!!
驚き、身を起こす僕をからからと笑うメロディ。
「どうだぁ?ビックリしたろ?子供が出来てなきゃあ、しがみついてでも付いて行ったさ!」
「全く……貴女って人は……!!」
悔しくて、強めにメロディの唇に吸い付いて……優しく抱き締める。
「俺ぁ……この子と共に生きて行くさ。……あ、愛する人との……だ、大事な結晶だからなっ」
「はい……はい。任せましたメロディ、僕達の子供を……」
「言われなくてもそうするっての」
何処か気恥しげなメロディを撫でつつ、この国に沢山の子供を作った事に……なんだか心がモヤモヤとして晴れない。
面倒を見る事もなく、無責任に種付。
僕の価値観だと、それはとても悪い事なんだけど……この世界では当たり前で、何も責められる事は無いんだ。
逆転世界……楽しいけど、少し生き辛いなぁ。
こんなに良くして貰って良いのだろうか……そんな気持ちになってしまう。
親になった実感も無く、この子達がある程度育った頃には……絶対に顔を出さなきゃいけないなぁ。
そして……男女関係がドライなこの世界、絶対変えてやる。無責任な男はダメだ……!
呪いを解いたら、今まで種付してきた人達を抱え込んでイチャラブハーレム作ってやる……そんな新たな目標を胸に、メロディと別れを告げる。
……養えるくらいの人数にしないとだな、種付。
「見送りには……来て下さいね?」
「ハンッ!でけぇ腹抱えて見送りに行ってやるよぉ!」
「嬉しそうですね、メロディ……」
「リュカは嬉しくねぇのか?赤ちゃんがここにいるんだぜぇ……?」
「嬉しいですけど……実感が湧かなくて」
「そりゃあ……リュカがシェルターの外を知らなかっただけじゃねぇか」
「そう……ですね。だから……これから知っていかないとっ」
呪いが解けた後の世界の男の在り方……僕が作らないといけないかなぁ。
「俺だって泣くほど嬉しかったんだぜぇ?これから先も……色んな女に種付してやってくれよ、リュカ」
「メロディも泣くんですねぇ……」
「ばーかっ!!あたりめぇだろ!!男にゃ見せねぇだけさ!!」
種付も制限しないといけない、なんて考えてた僕の心を読んだかの様に……メロディに釘を刺されてしまった。
男女の空気から変わり……二人、笑顔で立ち上がる。
お互いに服を着て、優しく口付けをして……転移。
さて、頭を切り替えて……思い残しの無い様にメロディに言われた通りに皆に種付をしよう。
まずはカトリーヌ様だな……なんて考えながら翌日に王城へ向かえば、カトリーヌ様ご懐妊の知らせを受けて……思わず転びそうになった。
とりあえず安静にベッドで寝ているカトリーヌ様の元へ向かい、祝福と……別れの挨拶を済ませなきゃ。
転移で王城へ飛び、普段セックスしている部屋に入ると……普通にカトリーヌ様が居た。
このベッド……性行為の為の部屋だと勘違いしていた。良く考えれば男が出てこない世界なんだから、そんな部屋ある訳無いのに……。
「あらリュカちゃん!!いらっしゃい!!」
「こんにちはカトリーヌ様。突然すみません」
ニコニコと笑いながら、見ていた書類をベッドの横の机に置き、僕の顔を見ながら話してくれる。
「リュカちゃんなら良いのよぉ。それよりほら、お腹触ってみて?貴方と私の……ふふふっ」
自分の隣をポンポンと叩くカトリーヌ様。ずっと笑顔で嬉しそうで……僕まで嬉しくなってきた。
「失礼しますね」
ゆっくりとベッドに乗り、カトリーヌ様のお腹を優しく摩る。
一月で出産するだけあって、既に若干膨らみを帯びていて……なんだか心にくるものがあって、少し泣きそう。
「女の子なのよぉ!リュカちゃんと私の子なら……きっと立派にこの国を導いてくれるわぁ」
優しさの中に、やはり何処か人の上に立つ者としての風格があって……芯のある素敵な人だなって再確認。
「カトリーヌ様……。貴女の無事を願っています。是非、元気な子を産んで下さい」
「お任せなさい。リュカちゃんも……気を付けてね?貴方の旅路はきっと過酷でしょう……けれど、負けないで。此処に……この国に、貴方の帰りを待つ人が山程いるんですから。……私も含めて、ね?」
茶目っ気たっぷりにウインクしてくるカトリーヌ様に優しく口付けをして、お別れ。
この……ギュッと締め付けられる心の痛みが……深くなる前に。
行こう、次の国へ。
種が芽吹き、花が咲いたら……また、戻ってくるんだ。絶対に。
なんだかんだ言っても情が湧いてしまう僕。
この旅が終わったら……どうしよう、国家規模の嫁さんを養わないといけないかも。
ま、その時考えればいっか。
****************
それから数日、妊娠を希望している女性方に格安種付セックスをしまくり……種を国中に撒いた所で、僕らは旅に出る。
ある早朝、旅立ちの日。
メロディや警邏隊の皆……それに、一度でも体の関係になった人が皆僕らを見送ってくれる。
そんな彼女らに笑顔で手を振り、この国から出る。
彼女達の顔は……見ない。話も……しない。
だってきっと……引き返しちゃうから。
それに……永遠の別れじゃない。何時だって転移で戻ってこれるんだ。
「それじゃ……行くぞ、リュカ」
「はい。エマとイーリス……これからも宜しくお願いしますね」
「任せて」
シェルターから出る時とは違って……仲間が二人。
転移で飛ぶんじゃなくて、馬車でまったりと知らない道を進んでいく。
さぁ……お次はシャルロット様の居る、アナントン王国。
豊穣を司る……土の国。
「何事も無く辿り着けば良いんだけどなぁ……」
「リュカ、それはフラグ」
「何かあっても……スルーして行こうね……」
「でも、私達みたいに困っている人が居たら助けるんだろう?」
「そりゃそうだね。そうじゃなきゃ……僕の旅の目的に沿わないからね」
狭い馬車の中、僕達三人の話題が尽きる事は無い。
楽しい異世界生活……最高だねぇ。
ムチムチの女体ばかり――――――しまったアリアンヌさん抱いてねぇ!!!やっちまったぁぁぁあ!!!ヤッてないけど!!
今すぐ戻ろうかと葛藤しながら……三人の旅が始まりを告げる。
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