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激突!! バレスタ⑦
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マーカスとリザードマンの戦いは互いに決定打を欠き、長期戦の様相を呈していた。
それもそのはず。
近接近戦を得意とするリザードマンに対してマーカスはある一定の距離を保ち、決して近付こうとはしなかったのだ。
「てめぇやる気あんのか!?」
ガルフ達と比べて、それ程スピードがある訳でもなく、距離を詰めに行けば逃げるマーカスに対してリザードマンは明らかに苛立っていた。
「なんでお前の距離に付き合わなきゃならねえんだよ。何と言われようと俺はこの距離でやらせてもらうぜ」
そう言って手にした銃を構えて引き金を引く。
放った弾は確実にリザードマンに命中はするが、硬いうろこに阻まれ、全くダメージを与える事は出来なかった。
「だから効かねえっつってんだろうが!」
リザードマンは向かって来る弾丸をものともせず、マーカスに向かって突進して行く。
しかしマーカスは再び距離を取る。
こんな事がずっと繰り返されていたのだ。
「完全に泥仕合ね。イライラして思わずトカゲの応援しそうだったわ」
様子を見ていたセシルが腕を組み、呆れたような表情を浮かべ呟いた。
「セシルちゃん! 大丈夫だったか!?」
「なんだ? あの人狼どもしくじりやがったのか?」
マーカスは嬉々とした表情を浮かべ、リザードマンは困惑の表情を見せる。
「マーカス! クリスタルの魔力は?」
「駄目だ! とっくに尽きてる」
自信満々に答えるマーカスに対してセシルは眉根を寄せていた。
「なんだ小娘。お前も離れてやるタイプか?」
「ははは、私さぁ、まだるっこしいのは嫌いなのよ。とっとと終わらして戻らないと向こうも心配でね」
リザードマンが気だるそうに尋ねると、セシルは剣を手に取り笑みを浮かべる。
「俺は気が立ってるんだ。手加減は出来ねぇからな。恨むんならその男を恨めよ」
「なんで今夜はこんなのにばっかりモテるのよ? マーカス、今日のディナーはトカゲの丸焼きにしてみたら?」
そう言ってセシルがマーカスの方を見て微笑むが、マーカスは驚愕の表情を浮かべていた。
「さっきからトカゲ、トカゲと……俺の名はサミュエルだ!!」
そう言ってサミュエルがセシルに向かって飛びかかった。
一気に距離を詰めようとするサミュエルに対してセシルは動かず、その場で剣を構える。
「見た目と名前が合ってないのよ!」
寧ろ自らもサミュエルに向かい、カウンターで合わせて剣を突きに行く。
まさか向かってくるとまでは思わなかったサミュエルは身を捻って交わすのが精一杯だった。
「……お前、ウィザードじゃねぇのか? なんで剣で接近戦やってやがる。まさかハイブリッドってやつか?」
サミュエルは驚愕し、困惑した表情を浮かべている。
本来ウィザードはソルジャーよりも身体能力は低く、剣を片手に人狼やリザードマンと接近戦を繰り広げるなどとは考えられなかったからだ。
「さて、何ででしょうか? 私がなんでも出来ちゃうぐらい強いのか? それとも貴方達がウィザードに接近戦で敗れるぐらい弱いのか?」
そう言ってセシルは剣を片手に持ち、不敵な笑みを浮かべていた。
『私がハイブリッド? そうやって無駄に警戒しといてくれたら楽なんだけどね。ただあの鱗、相当硬いわね。もう一度近付いてあのバロンとかいうのに決めた剣と魔法の合わせ技打ち込むしかないかな?』
先程カウンターで合わせた時の事も考慮しながら、冷静に分析するセシル。
そんな二人の戦いを距離を置いて見つめるマーカスは、自分は蚊帳の外にいるんじゃないかと、若干の疎外感を感じていた。
それもそのはず。
近接近戦を得意とするリザードマンに対してマーカスはある一定の距離を保ち、決して近付こうとはしなかったのだ。
「てめぇやる気あんのか!?」
ガルフ達と比べて、それ程スピードがある訳でもなく、距離を詰めに行けば逃げるマーカスに対してリザードマンは明らかに苛立っていた。
「なんでお前の距離に付き合わなきゃならねえんだよ。何と言われようと俺はこの距離でやらせてもらうぜ」
そう言って手にした銃を構えて引き金を引く。
放った弾は確実にリザードマンに命中はするが、硬いうろこに阻まれ、全くダメージを与える事は出来なかった。
「だから効かねえっつってんだろうが!」
リザードマンは向かって来る弾丸をものともせず、マーカスに向かって突進して行く。
しかしマーカスは再び距離を取る。
こんな事がずっと繰り返されていたのだ。
「完全に泥仕合ね。イライラして思わずトカゲの応援しそうだったわ」
様子を見ていたセシルが腕を組み、呆れたような表情を浮かべ呟いた。
「セシルちゃん! 大丈夫だったか!?」
「なんだ? あの人狼どもしくじりやがったのか?」
マーカスは嬉々とした表情を浮かべ、リザードマンは困惑の表情を見せる。
「マーカス! クリスタルの魔力は?」
「駄目だ! とっくに尽きてる」
自信満々に答えるマーカスに対してセシルは眉根を寄せていた。
「なんだ小娘。お前も離れてやるタイプか?」
「ははは、私さぁ、まだるっこしいのは嫌いなのよ。とっとと終わらして戻らないと向こうも心配でね」
リザードマンが気だるそうに尋ねると、セシルは剣を手に取り笑みを浮かべる。
「俺は気が立ってるんだ。手加減は出来ねぇからな。恨むんならその男を恨めよ」
「なんで今夜はこんなのにばっかりモテるのよ? マーカス、今日のディナーはトカゲの丸焼きにしてみたら?」
そう言ってセシルがマーカスの方を見て微笑むが、マーカスは驚愕の表情を浮かべていた。
「さっきからトカゲ、トカゲと……俺の名はサミュエルだ!!」
そう言ってサミュエルがセシルに向かって飛びかかった。
一気に距離を詰めようとするサミュエルに対してセシルは動かず、その場で剣を構える。
「見た目と名前が合ってないのよ!」
寧ろ自らもサミュエルに向かい、カウンターで合わせて剣を突きに行く。
まさか向かってくるとまでは思わなかったサミュエルは身を捻って交わすのが精一杯だった。
「……お前、ウィザードじゃねぇのか? なんで剣で接近戦やってやがる。まさかハイブリッドってやつか?」
サミュエルは驚愕し、困惑した表情を浮かべている。
本来ウィザードはソルジャーよりも身体能力は低く、剣を片手に人狼やリザードマンと接近戦を繰り広げるなどとは考えられなかったからだ。
「さて、何ででしょうか? 私がなんでも出来ちゃうぐらい強いのか? それとも貴方達がウィザードに接近戦で敗れるぐらい弱いのか?」
そう言ってセシルは剣を片手に持ち、不敵な笑みを浮かべていた。
『私がハイブリッド? そうやって無駄に警戒しといてくれたら楽なんだけどね。ただあの鱗、相当硬いわね。もう一度近付いてあのバロンとかいうのに決めた剣と魔法の合わせ技打ち込むしかないかな?』
先程カウンターで合わせた時の事も考慮しながら、冷静に分析するセシル。
そんな二人の戦いを距離を置いて見つめるマーカスは、自分は蚊帳の外にいるんじゃないかと、若干の疎外感を感じていた。
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