18 / 67
襲撃
しおりを挟む
翌日。
ジョシュアは変わらず新型バトルスーツでの魔法訓練に勤しんでいた。
「よし、少しは形になってきたんじゃないか?」
ジョシュアが風を操りながら爽やかな笑顔でセシルに問い掛けていた。
シャーンが別の任務で今日は不在の為、セシルがジョシュアとマーカスを見ていた。
「まぁ初めの頃に比べれば少しは使える様になってきてるけど、そもそも私達が教えて結構な日が経ってるんだからそれぐらい上達してくれなきゃ困るんだけどね」
そう言いながらセシルは右手の人差し指を立て、その上で小さな竜巻を作っていた。
次は中指の上でも竜巻を作り、その後薬指、小指、と増やしていき、最終的に五指全ての上で小さな竜巻を作り上げていた。
「どう? コツを掴めばこうやって小さな魔力を安定して使う事も出来るようになるわよ」
そう言ってセシルは笑顔を浮かべながら右手の上にある五つの小さな竜巻をジョシュアとマーカスに見せる。
そして五つの竜巻を掌の上で一つに集めると、それは人を簡単に飲み込める程の竜巻へと変わった。
その後、セシルが拳を握り、人差し指をピンと立て左右に軽く振ると、竜巻は姿を消した。
「いい? 貴方達はとりあえず魔法を使えるまでにはなった。けどまだ魔力を上手くコントロール出来てはいない。そうね……例えば、今はコップに水を注ぐのにも蛇口を目一杯開いている様な感じ。コップに水を注ぐだけならそんなに蛇口を開かなくてもいいでしょ?」
思わずなるほど、とジョシュアとマーカスが頷く。
セシルの表現は的を射ていた。
確かに二人が使っている魔法の威力の割には、すぐにクリスタルが魔力切れを起こしていたのだ。
普通のウィザードなら魔力が少なくなってくれば徐々に疲れてもくるので、魔力の使い方も徐々に体感しつつ憶えていくものだ。
だがジョシュア達ソルジャーは今、クリスタルの力を借りて魔法が使える様になっている為そこまで体に負担がかからないのだ。
「なるほどな。この前バスケスがボーラに言われてたのはそういう事なんだな。そう思うとバスケスは俺達より前に行ってるって事だよな」
「まぁそういう事ね。ただ各属性の適正にもよるんだけど、火の魔法は風や水よりも扱い易い魔法でもあるからね。今は他人の事より自分達の事に集中した方がいいわよ」
腕を組みながら頷くジョシュア達をセシルが笑顔で指南し、その後も順調に訓練は続けられて行く。
「そっちの生徒はちゃんと育ってる?」
セシルがジョシュアとマーカスからやや距離をとって二人の様子を見守っていると、少し微笑みを浮かべて、ボーラが歩み寄って来た。
「元々魔法が使えない人達に魔法を教えるんだから、順調なのかどうなのかは分からないけど形にはなりつつあるかな」
セシルが眉尻を下げて、笑って返す。
「まぁ確かにそうよねぇ。それより貴女も大変ね。シャーンがサボったせいで二人共面倒見なきゃいけなくなっちゃって」
「サボった? 何か別の任務なんじゃないの?」
「確かに別の任務だけど、あんなの誰でもよかったのよ。それをあいつは『ぜひ自分が』って立候補したのよ。よっぽどこの訓練に嫌気がさしてたのかもね」
ボーラが呆れたような笑みを浮かべていた。
実際シャーンが自ら志願した任務とは、今晩開かれる、政治家等が集うパーティー会場の警備だった。
お偉いさん方が多数参加する為、体裁上魔法兵団からも兵を派遣し、ある程度警備を整えなければならなかったのだ。
その後、カストロ中隊は日暮れまで訓練を続け、その日は解散する事となった。
ジョシュアは変わらず新型バトルスーツでの魔法訓練に勤しんでいた。
「よし、少しは形になってきたんじゃないか?」
ジョシュアが風を操りながら爽やかな笑顔でセシルに問い掛けていた。
シャーンが別の任務で今日は不在の為、セシルがジョシュアとマーカスを見ていた。
「まぁ初めの頃に比べれば少しは使える様になってきてるけど、そもそも私達が教えて結構な日が経ってるんだからそれぐらい上達してくれなきゃ困るんだけどね」
そう言いながらセシルは右手の人差し指を立て、その上で小さな竜巻を作っていた。
次は中指の上でも竜巻を作り、その後薬指、小指、と増やしていき、最終的に五指全ての上で小さな竜巻を作り上げていた。
「どう? コツを掴めばこうやって小さな魔力を安定して使う事も出来るようになるわよ」
そう言ってセシルは笑顔を浮かべながら右手の上にある五つの小さな竜巻をジョシュアとマーカスに見せる。
そして五つの竜巻を掌の上で一つに集めると、それは人を簡単に飲み込める程の竜巻へと変わった。
その後、セシルが拳を握り、人差し指をピンと立て左右に軽く振ると、竜巻は姿を消した。
「いい? 貴方達はとりあえず魔法を使えるまでにはなった。けどまだ魔力を上手くコントロール出来てはいない。そうね……例えば、今はコップに水を注ぐのにも蛇口を目一杯開いている様な感じ。コップに水を注ぐだけならそんなに蛇口を開かなくてもいいでしょ?」
思わずなるほど、とジョシュアとマーカスが頷く。
セシルの表現は的を射ていた。
確かに二人が使っている魔法の威力の割には、すぐにクリスタルが魔力切れを起こしていたのだ。
普通のウィザードなら魔力が少なくなってくれば徐々に疲れてもくるので、魔力の使い方も徐々に体感しつつ憶えていくものだ。
だがジョシュア達ソルジャーは今、クリスタルの力を借りて魔法が使える様になっている為そこまで体に負担がかからないのだ。
「なるほどな。この前バスケスがボーラに言われてたのはそういう事なんだな。そう思うとバスケスは俺達より前に行ってるって事だよな」
「まぁそういう事ね。ただ各属性の適正にもよるんだけど、火の魔法は風や水よりも扱い易い魔法でもあるからね。今は他人の事より自分達の事に集中した方がいいわよ」
腕を組みながら頷くジョシュア達をセシルが笑顔で指南し、その後も順調に訓練は続けられて行く。
「そっちの生徒はちゃんと育ってる?」
セシルがジョシュアとマーカスからやや距離をとって二人の様子を見守っていると、少し微笑みを浮かべて、ボーラが歩み寄って来た。
「元々魔法が使えない人達に魔法を教えるんだから、順調なのかどうなのかは分からないけど形にはなりつつあるかな」
セシルが眉尻を下げて、笑って返す。
「まぁ確かにそうよねぇ。それより貴女も大変ね。シャーンがサボったせいで二人共面倒見なきゃいけなくなっちゃって」
「サボった? 何か別の任務なんじゃないの?」
「確かに別の任務だけど、あんなの誰でもよかったのよ。それをあいつは『ぜひ自分が』って立候補したのよ。よっぽどこの訓練に嫌気がさしてたのかもね」
ボーラが呆れたような笑みを浮かべていた。
実際シャーンが自ら志願した任務とは、今晩開かれる、政治家等が集うパーティー会場の警備だった。
お偉いさん方が多数参加する為、体裁上魔法兵団からも兵を派遣し、ある程度警備を整えなければならなかったのだ。
その後、カストロ中隊は日暮れまで訓練を続け、その日は解散する事となった。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
【完結】とある婚約破棄にまつわる群像劇~婚約破棄に巻き込まれましたが、脇役だって幸せになりたいんです~
小笠原 ゆか
恋愛
とある王国で起きた婚約破棄に巻き込まれた人々の話。
第一王子の婚約者である公爵令嬢を蹴落とし、男爵令嬢を正妃にする計画を父から聞かされたメイベル・オニキス伯爵令嬢。高位貴族を侍らせる身持ちの悪い男爵令嬢を正妃など有り得ない。しかし、大人達は計画を進め、自分の力では止めることは出来そうにない。その上、始末が悪いことにメイベルの婚約者もまた男爵令嬢の取り巻きになり下がっていた。
2021.9.19 タイトルを少し変更しました。
公爵家の隠し子だと判明した私は、いびられる所か溺愛されています。
木山楽斗
恋愛
実は、公爵家の隠し子だったルネリア・ラーデインは困惑していた。
なぜなら、ラーデイン公爵家の人々から溺愛されているからである。
普通に考えて、妾の子は疎まれる存在であるはずだ。それなのに、公爵家の人々は、ルネリアを受け入れて愛してくれている。
それに、彼女は疑問符を浮かべるしかなかった。一体、どうして彼らは自分を溺愛しているのか。もしかして、何か裏があるのではないだろうか。
そう思ったルネリアは、ラーデイン公爵家の人々のことを調べることにした。そこで、彼女は衝撃の真実を知ることになる。
当て馬悪役令息のツッコミ属性が強すぎて、物語の仕事を全くしないんですが?!
犬丸大福
ファンタジー
ユーディリア・エアトルは母親からの折檻を受け、そのまま意識を失った。
そして夢をみた。
日本で暮らし、平々凡々な日々の中、友人が命を捧げるんじゃないかと思うほどハマっている漫画の推しの顔。
その顔を見て目が覚めた。
なんと自分はこのまま行けば破滅まっしぐらな友人の最推し、当て馬悪役令息であるエミリオ・エアトルの双子の妹ユーディリア・エアトルである事に気がついたのだった。
数ある作品の中から、読んでいただきありがとうございます。
幼少期、最初はツラい状況が続きます。
作者都合のゆるふわご都合設定です。
1日1話更新目指してます。
エール、お気に入り登録、いいね、コメント、しおり、とても励みになります。
お楽しみ頂けたら幸いです。
***************
2024年6月25日 お気に入り登録100人達成 ありがとうございます!
100人になるまで見捨てずに居て下さった99人の皆様にも感謝を!!
2024年9月9日 お気に入り登録200人達成 感謝感謝でございます!
200人になるまで見捨てずに居て下さった皆様にもこれからも見守っていただける物語を!!
2025年1月6日 お気に入り登録300人達成 感涙に咽び泣いております!
ここまで見捨てずに読んで下さった皆様、頑張って書ききる所存でございます!これからもどうぞよろしくお願いいたします!
奪われたものは、もう返さなくていいです
gacchi
恋愛
幼い頃、母親が公爵の後妻となったことで公爵令嬢となったクラリス。正式な養女とはいえ、先妻の娘である義姉のジュディットとは立場が違うことは理解していた。そのため、言われるがままにジュディットのわがままを叶えていたが、学園に入学するようになって本当にこれが正しいのか悩み始めていた。そして、その頃、双子である第一王子アレクシスと第二王子ラファエルの妃選びが始まる。どちらが王太子になるかは、その妃次第と言われていたが……
公爵家長男はゴミスキルだったので廃嫡後冒険者になる(美味しいモノが狩れるなら文句はない)
音爽(ネソウ)
ファンタジー
記憶持ち転生者は元定食屋の息子。
魔法ありファンタジー異世界に転生した。彼は将軍を父に持つエリートの公爵家の嫡男に生まれかわる。
だが授かった職業スキルが「パンツもぐもぐ」という謎ゴミスキルだった。そんな彼に聖騎士の弟以外家族は冷たい。
見習い騎士にさえなれそうもない長男レオニードは廃嫡後は冒険者として生き抜く決意をする。
「ゴミスキルでも美味しい物を狩れれば満足だ」そんな彼は前世の料理で敵味方の胃袋を掴んで魅了しまくるグルメギャグ。
【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです
yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~
旧タイトルに、もどしました。
日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。
まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。
劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。
日々の衣食住にも困る。
幸せ?生まれてこのかた一度もない。
ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・
目覚めると、真っ白な世界。
目の前には神々しい人。
地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・
短編→長編に変更しました。
R4.6.20 完結しました。
長らくお読みいただき、ありがとうございました。
身勝手だったのは、誰なのでしょうか。
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢になるはずの子が、潔く(?)身を引いたらこうなりました。なんで?
聖女様が現れた。聖女の力は確かにあるのになかなか開花せず封じられたままだけど、予言を的中させみんなの心を掴んだ。ルーチェは、そんな聖女様に心惹かれる婚約者を繋ぎ止める気は起きなかった。
小説家になろう様でも投稿しています。
魔王がやって来たので
もち雪
ファンタジー
ある日、僕の元に現れた魔王ヤーグは、魔王としては変わり者、魔王の部下は、女の子フィーナ!←好きです。だから僕は、異世界にも行きます。
異世界へ行っても、僕は冒険行かずに、魔法学校へ行ったり、フィッシュアンドチップスを食べてたりちょっとアレな執事のルイスの提案で大豆畑を作ってます。(それで生活が楽になる事やまったり感もなくただ作ってます。もうルイスの趣味に付き合うのはもう慣れました。遠い目)
※本編始まる前に、前日譚があり主人公が別の人物です。
そんな話ですが、よろしくお願いします!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる