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襲撃

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 翌日。
 ジョシュアは変わらず新型バトルスーツでの魔法訓練に勤しんでいた。

「よし、少しは形になってきたんじゃないか?」

 ジョシュアが風を操りながら爽やかな笑顔でセシルに問い掛けていた。

 シャーンが別の任務で今日は不在の為、セシルがジョシュアとマーカスを見ていた。

「まぁ初めの頃に比べれば少しは使える様になってきてるけど、そもそも私達が教えて結構な日が経ってるんだからそれぐらい上達してくれなきゃ困るんだけどね」

 そう言いながらセシルは右手の人差し指を立て、その上で小さな竜巻を作っていた。
 次は中指の上でも竜巻を作り、その後薬指、小指、と増やしていき、最終的に五指全ての上で小さな竜巻を作り上げていた。

「どう? コツを掴めばこうやって小さな魔力を安定して使う事も出来るようになるわよ」

 そう言ってセシルは笑顔を浮かべながら右手の上にある五つの小さな竜巻をジョシュアとマーカスに見せる。
 そして五つの竜巻を掌の上で一つに集めると、それは人を簡単に飲み込める程の竜巻へと変わった。
 その後、セシルが拳を握り、人差し指をピンと立て左右に軽く振ると、竜巻は姿を消した。

「いい? 貴方達はとりあえず魔法を使えるまでにはなった。けどまだ魔力を上手くコントロール出来てはいない。そうね……例えば、今はコップに水を注ぐのにも蛇口を目一杯開いている様な感じ。コップに水を注ぐだけならそんなに蛇口を開かなくてもいいでしょ?」

 思わずなるほど、とジョシュアとマーカスが頷く。
 セシルの表現は的を射ていた。
 確かに二人が使っている魔法の威力の割には、すぐにクリスタルが魔力切れを起こしていたのだ。

 普通のウィザードなら魔力が少なくなってくれば徐々に疲れてもくるので、魔力の使い方も徐々に体感しつつ憶えていくものだ。
 だがジョシュア達ソルジャーは今、クリスタルの力を借りて魔法が使える様になっている為そこまで体に負担がかからないのだ。

「なるほどな。この前バスケスがボーラに言われてたのはそういう事なんだな。そう思うとバスケスは俺達より前に行ってるって事だよな」

「まぁそういう事ね。ただ各属性の適正にもよるんだけど、火の魔法は風や水よりも扱い易い魔法でもあるからね。今は他人の事より自分達の事に集中した方がいいわよ」

 腕を組みながら頷くジョシュア達をセシルが笑顔で指南し、その後も順調に訓練は続けられて行く。

「そっちの生徒はちゃんと育ってる?」

 セシルがジョシュアとマーカスからやや距離をとって二人の様子を見守っていると、少し微笑みを浮かべて、ボーラが歩み寄って来た。

「元々魔法が使えない人達に魔法を教えるんだから、順調なのかどうなのかは分からないけど形にはなりつつあるかな」

 セシルが眉尻を下げて、笑って返す。

「まぁ確かにそうよねぇ。それより貴女も大変ね。シャーンがサボったせいで二人共面倒見なきゃいけなくなっちゃって」

「サボった? 何か別の任務なんじゃないの?」

「確かに別の任務だけど、あんなの誰でもよかったのよ。それをあいつは『ぜひ自分が』って立候補したのよ。よっぽどこの訓練に嫌気がさしてたのかもね」

 ボーラが呆れたような笑みを浮かべていた。

 実際シャーンが自ら志願した任務とは、今晩開かれる、政治家等が集うパーティー会場の警備だった。
 お偉いさん方が多数参加する為、体裁上魔法兵団からも兵を派遣し、ある程度警備を整えなければならなかったのだ。

 その後、カストロ中隊は日暮れまで訓練を続け、その日は解散する事となった。
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