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休息

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 その日、身体を休める事も兼ねて少し早めに訓練を終えたジョシュアは、身支度を整えてシエラと二人で、街へと繰り出していた。

「今日も新兵器の訓練だったんでしょ? 大丈夫? 疲れてない?」

「ははは、大丈夫だって。それに少しぐらい疲れててもシエラとこうしていられたら疲れも癒されるから」

 少し照れながらジョシュアが笑い、二人並んで街を歩いて行く。

 その後、少し小洒落たレストランで食事をしながら軽く乾杯を交し、今流行りの音楽や映画の話に花を咲かせる。

「美味しい物も食べれて、いっぱい話も出来たし楽しかったね」

 レストランからの帰り道、屈託の無い笑顔でシエラが振り返る。

 実際短い時間ではあったが、ジョシュアにとってはどんな疲れも癒す至福の時であり、お互いにとってかけがえの無い時間であった。
 二人の並んで歩いている距離が縮まり、それと比例する様にお互いの心の距離も縮んで行く。

「なぁシエラ……その……付き合ってくれないか?」

 帰りの途中、雑踏の中での突然の告白にシエラは目を丸くした後、笑顔を見せる。

「それは、何処かに行きたいからちょっと付き合ってくれって事? それともこれから私達の関係の事?」

「いや、それは勿論これからの俺達の事を……」

 勿論そんな事はわかっていたが、シエラはあえてニヤニヤと口角を上げて問い掛けていた。

「ふふふ、まぁ勿論OKなんだけどね……ただ、もうちょっと場所や雰囲気は選んでほしかったかな」

 そう言ってシエラは少し周りを見渡しながら破顔した。
 確かに今二人がいる場所は、人々が行き交う真っ只中。そんな人々は二人の会話を気にしている様子も無く、特に興味も無さそうだ。
 そして一筋奥を覗けば、いかがわしい店のネオンがきらびやかに光り輝いていた。

「あ……ははは、思わずつい勢いで」

 そう言って頭を掻きながら、ジョシュアは少し申し訳なさそうに笑っていた。

 その後二人は仲睦まじく腕を組みながらシエラが仮住まいしているゲストハウスまで帰ってきた。

「じゃあ今日はこれで」

 そう言ってジョシュアが立ち去ろうとすると、シエラから呼び止められた。

「ねえ、もうちょっとぐらい一緒にいてくれてもいいんじゃない? もう誰かに監視されてる訳でもないんだし」

 シエラは少し腰を屈めて、下から覗き込む様にして笑顔を向けてくる。
 そんな事を言われてはジョシュアも帰るはずもなく、そのまま二人してゲストハウスに入って行った。

 その後、二人でソファに腰を下ろし他愛もない会話をしていると、自然と二人の距離は近づく。
 そのまま二人は唇を重ね、見つめ合う。

「ねえ、もう今日は帰らなくてもいいんじゃない?」
「ああ、そうだな。今日はこのままシエラといよう」

 そのままシエラはジョシュアをベッドのある部屋へといざなう。

「ねえ、もし今、また緊急の連絡来たらどうする?」

 シエラが少し意地悪そうな笑みを浮かべて、問い掛けてきた。

「とりあえず出ないさ。十分後に折り返せば大丈夫だよ」

「……十分で折り返せるんだ?」

「いや、緊急の場合だからな」

 シエラの更に意地悪な質問にジョシュアが焦って返すと、二人して笑いあった。

 そうして二人、身体を重ねる。

――その後、シエラは横になり、ジョシュアはベッドに腰掛けていた。
 十五分の時間が過ぎていた。

「シ、シエラが緊急の連絡あったらどうする、とか言うから思わず焦っちまったかな……」

「へぇ、そうなんだ。じゃあ次は焦らないでね」

 背中を見せ、少し口惜しそうにジョシュアが呟くと、シエラが微笑を浮かべていた。

「ねえ、ジョシュア。変な事聞く様だけど……貴方の兵士になった理由……戦う理由って何?」

 シエラの顔からは、先程までの微笑みは何時しか消え、真剣な眼差しで問い掛けてきた。

「俺の戦う理由か……やっぱりまずは祖国を護る事かな。三年前にいきなりラフィンの奴等が難癖つけて戦争を吹っ掛けてきやがったからな」

「まぁ確かにラフィン共和国の方から戦争を仕掛けたのは私でも知ってるけど……」

「だろ? それにあいつら負けて敗戦国になったのに一部の奴らはそれを認めようともしない。そいつらは今でも潜伏してテロ活動を続けてるいるんだ。そんな奴らから国を護らなきゃならないんだ。……シエラがあんな目に会ったのも全部あいつらのせいさ」

 そう言ってジョシュアはベッドで横になっているシエラの頭を優しく撫でる。

「……うん、そっか」

 そう言ってシエラはどこかもの哀しげな笑みを浮かべていた。
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