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14.むかしのはなし(2)
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「……あ」
「ラージェ?」
それは、誕生日パーティーのさなか突如起きた。
家族の真ん中で幸福そうに微笑んでいた少女がふいに窓の方を見つめ、メデューサに魅入られたように固まってしまったのだ。
兄が、母が、父が、祖父が、祖母が――誰が語りかけても、少女は反応しなかった。
何もできない家族の真ん中で、ただ大きな大きな赤い瞳を零れてしまいそうなほどに見開いて、どんどん肌から血の気をなくしていく。
「――――やだ」
かちかちと、つくりものみたいに小さな乳歯が鳴る。
ミルクのにおいがする薄桃色の唇が恐怖に溺れて青ざめる。
涙がぼろぼろと大粒に連なってまなじりから溢れる。
ひぅ、と喉が歪にすぼまる音がする。
それは、まぎれもない恐怖の発露だった。
「ラージェ、ラージェ!!」
「どうしたの! 返事をして!」
突然怯え始めた末っ子に二人の兄がわたわたと駆け寄った。
尋常でない様子が次第に二人のまなじりにまで涙を膨らませていく。
「なにが怖いの、ラージェ!」
見えず聞こえぬものへの恐怖が幼子の間で伝播する――その、一瞬前。
「――ああ、黒の森か」
月のような﨟長けた声が、ひょいと喧騒を断つようにその場に落とされた。
「おばあ、さま」
ぽつりと、誰かが呟いた。それに応えるがごとく、夜空の肌に星を煌めかせながらそのダークエルフはにっこりと場にそぐわぬ明るさで微笑む。
「ふふ、遅れてしまってすまないのう。どれ、かわいいひ孫ちゃんを抱かせておくれ」
リコフォス・ネクタル。
先々代ネクタル辺境伯との大恋愛により護国の一族ネクタルにダークエルフの純血を届けた張本人にして、夫亡きあともネクタル家を見守り続ける生き字引。
『夜闇の貴婦人』を冠する高貴の化身はそう言って、軽やかに歩みを進めた。
一歩進むごとに人垣が慄いたように割れていく。そうしてしまうだけの異質な迫力が彼女にはあった。
「ほれ、ラージェ。儂のかわゆいひ孫ちゃん。いつまでも泣いておると目が蕩けてしまうぞ」
そんな守護神ともいえる主人は戸惑うこともなく泣きじゃくるひ孫の前に膝をつくと、ひょいとその腕に抱きあげた。浮世離れした年を取らぬ外見をしているが、仮にも今代に至るまでに十人以上の子らの面倒を見てきただけあって、その抱き方は実に堂に入っている。
「――ひ、ぅ」
「よしよし怖かったのう。大丈夫じゃよ。それはおぬしには届かぬからな」
体をこわばらせるばかりだった幼子の目を見つめ、麗人が呵々と笑う。まなじりに溜まっていたいくつかの涙を彼女が掬い取れば、触れた端からたちまち花びらになって消えていった。
ぱちくりと大きなベリー色の目が瞬いた。自分と同じ色をしたその人がいることにようやく気付いたようだ。
「ばぁ、ば?」
ひ孫の恐る恐ると言わんばかりの声に、女主人は頷く。よしよしと小さな頭を撫でてやれば、幼児特有の細く柔らかな髪がしっとりと濡れているのが指先に伝わった。泣き続けたせいで汗をかいてしまったらしい。
「うむ。ばあばじゃ。偉いのう。まだこんなに小さいのに、熱も出ておらん。優秀優秀」
「あの、ね」
「ん、言うてみ」
熱や怯えを吸い取るような、自分と同じはずなのに不思議と深い色をした目に見守られながら、サラージュはきゅむっと曾祖母の胸元を握りしめた。そして、内緒話をするように小さな声で囁いた。
「あかいの。あかくて、くるしそうなの」
「そうじゃの」
「『まもる』って、なに?」
「平和であるように、という意味かのう」
断片的なその言葉に戸惑うこともなく頷くリコフォスの前に、一人の老人が進み出た。
特徴的な月白色の髪は年月の経過を感じさせない艶やかさを帯びており、女主人たちと同じ生来のものだと一見してわかった。その面差しは性差や年齢差こそあれど、年齢不詳のダークエルフによく似ている。
「……母上。久方ぶりのご帰還、何よりです」
「おお、息子ちゃんか。老けたのう……加齢に関しては父親譲りか。よいよい」
自身を置いて月日に絡め取られた姿をしている息子の姿を興味深そうに眺めながら、リコフォスは満足げに頷いた。
その眼差しを受け、古木の如き老武人はどこか緊張した面持ちで口を開く。まるで、叱られるのを予感している子供のようなまごついた口調だった。
「サラージュは……その、もしや」
「はは、なんじゃ気づいておらんのかと思ったわ。そうそう、おぬしやそこの孫ちゃんと一緒じゃな。儂の血の発現その壱ってやつよ」
腕の中のひ孫をあやしながら、女主人はからりと笑った。だが表情とは裏腹にその目は険しい。眼差しだけで生半可なトロール程度なら殺せそうだ。
ダークエルフの血の濃さもあって尋常でなく威厳のある容姿をしている大の男二人が、割った壺が見つかった少年のようにしわしわとしょぼくれた表情になっていく。
「……申し訳ございません。シルヴァやセルジェに無かったので油断しておりました」
「儂に謝ってどうする戯け。苦しい思いをさせたのはひ孫ちゃんじゃろがい。だいたい発現種が違うんじゃからそんなの当たり前じゃド阿呆。お尻をぺんぺんしてやろうか」
「おやめください母上」
「幼子ではないからこそ効くじゃろ」
呆れたと言わんばかりのリコフォスが息をつけば、その袂から扇がふわりと浮き上がった。鎌首をもたげる蛇の如く自身――正確にはその尻――へ向けて素振りをしながら進んでくるそれにじりりと老武人が後退する。
そんな中、小さな影がぴょこんと飛び出した。
シルヴァだ。
「ひ、ひいおばあさま!」
「ん? おお、ひ孫ちゃんその壱。どうした?」
「ラージェは、大丈夫……なんですか?」
平時は穏やかな双眸を不安げに揺らしながら問うシルヴァの後ろでは、泣くのをぎゅっと我慢しているセルジェがその服の裾を掴んでいる。
どちらも妹が心配でならないという表情だ。「いい男に育つに違いない」と一人満足して、リコフォスはひ孫たちの前に膝をついた。
本当なら直接頭をよしよししてやりたいが生憎ダークエルフの腕は二本しかないので、宙に浮かせていた扇で代わりにぺそぺそと小さな二つの頭を撫でる。
「うむ。大丈夫じゃから安心してよいぞ。ほれ、おぬしらの背が伸びた時に関節が痛くなったじゃろ。あれと同じようなもんじゃな」
「よかった……」
「ラージェ?」
それは、誕生日パーティーのさなか突如起きた。
家族の真ん中で幸福そうに微笑んでいた少女がふいに窓の方を見つめ、メデューサに魅入られたように固まってしまったのだ。
兄が、母が、父が、祖父が、祖母が――誰が語りかけても、少女は反応しなかった。
何もできない家族の真ん中で、ただ大きな大きな赤い瞳を零れてしまいそうなほどに見開いて、どんどん肌から血の気をなくしていく。
「――――やだ」
かちかちと、つくりものみたいに小さな乳歯が鳴る。
ミルクのにおいがする薄桃色の唇が恐怖に溺れて青ざめる。
涙がぼろぼろと大粒に連なってまなじりから溢れる。
ひぅ、と喉が歪にすぼまる音がする。
それは、まぎれもない恐怖の発露だった。
「ラージェ、ラージェ!!」
「どうしたの! 返事をして!」
突然怯え始めた末っ子に二人の兄がわたわたと駆け寄った。
尋常でない様子が次第に二人のまなじりにまで涙を膨らませていく。
「なにが怖いの、ラージェ!」
見えず聞こえぬものへの恐怖が幼子の間で伝播する――その、一瞬前。
「――ああ、黒の森か」
月のような﨟長けた声が、ひょいと喧騒を断つようにその場に落とされた。
「おばあ、さま」
ぽつりと、誰かが呟いた。それに応えるがごとく、夜空の肌に星を煌めかせながらそのダークエルフはにっこりと場にそぐわぬ明るさで微笑む。
「ふふ、遅れてしまってすまないのう。どれ、かわいいひ孫ちゃんを抱かせておくれ」
リコフォス・ネクタル。
先々代ネクタル辺境伯との大恋愛により護国の一族ネクタルにダークエルフの純血を届けた張本人にして、夫亡きあともネクタル家を見守り続ける生き字引。
『夜闇の貴婦人』を冠する高貴の化身はそう言って、軽やかに歩みを進めた。
一歩進むごとに人垣が慄いたように割れていく。そうしてしまうだけの異質な迫力が彼女にはあった。
「ほれ、ラージェ。儂のかわゆいひ孫ちゃん。いつまでも泣いておると目が蕩けてしまうぞ」
そんな守護神ともいえる主人は戸惑うこともなく泣きじゃくるひ孫の前に膝をつくと、ひょいとその腕に抱きあげた。浮世離れした年を取らぬ外見をしているが、仮にも今代に至るまでに十人以上の子らの面倒を見てきただけあって、その抱き方は実に堂に入っている。
「――ひ、ぅ」
「よしよし怖かったのう。大丈夫じゃよ。それはおぬしには届かぬからな」
体をこわばらせるばかりだった幼子の目を見つめ、麗人が呵々と笑う。まなじりに溜まっていたいくつかの涙を彼女が掬い取れば、触れた端からたちまち花びらになって消えていった。
ぱちくりと大きなベリー色の目が瞬いた。自分と同じ色をしたその人がいることにようやく気付いたようだ。
「ばぁ、ば?」
ひ孫の恐る恐ると言わんばかりの声に、女主人は頷く。よしよしと小さな頭を撫でてやれば、幼児特有の細く柔らかな髪がしっとりと濡れているのが指先に伝わった。泣き続けたせいで汗をかいてしまったらしい。
「うむ。ばあばじゃ。偉いのう。まだこんなに小さいのに、熱も出ておらん。優秀優秀」
「あの、ね」
「ん、言うてみ」
熱や怯えを吸い取るような、自分と同じはずなのに不思議と深い色をした目に見守られながら、サラージュはきゅむっと曾祖母の胸元を握りしめた。そして、内緒話をするように小さな声で囁いた。
「あかいの。あかくて、くるしそうなの」
「そうじゃの」
「『まもる』って、なに?」
「平和であるように、という意味かのう」
断片的なその言葉に戸惑うこともなく頷くリコフォスの前に、一人の老人が進み出た。
特徴的な月白色の髪は年月の経過を感じさせない艶やかさを帯びており、女主人たちと同じ生来のものだと一見してわかった。その面差しは性差や年齢差こそあれど、年齢不詳のダークエルフによく似ている。
「……母上。久方ぶりのご帰還、何よりです」
「おお、息子ちゃんか。老けたのう……加齢に関しては父親譲りか。よいよい」
自身を置いて月日に絡め取られた姿をしている息子の姿を興味深そうに眺めながら、リコフォスは満足げに頷いた。
その眼差しを受け、古木の如き老武人はどこか緊張した面持ちで口を開く。まるで、叱られるのを予感している子供のようなまごついた口調だった。
「サラージュは……その、もしや」
「はは、なんじゃ気づいておらんのかと思ったわ。そうそう、おぬしやそこの孫ちゃんと一緒じゃな。儂の血の発現その壱ってやつよ」
腕の中のひ孫をあやしながら、女主人はからりと笑った。だが表情とは裏腹にその目は険しい。眼差しだけで生半可なトロール程度なら殺せそうだ。
ダークエルフの血の濃さもあって尋常でなく威厳のある容姿をしている大の男二人が、割った壺が見つかった少年のようにしわしわとしょぼくれた表情になっていく。
「……申し訳ございません。シルヴァやセルジェに無かったので油断しておりました」
「儂に謝ってどうする戯け。苦しい思いをさせたのはひ孫ちゃんじゃろがい。だいたい発現種が違うんじゃからそんなの当たり前じゃド阿呆。お尻をぺんぺんしてやろうか」
「おやめください母上」
「幼子ではないからこそ効くじゃろ」
呆れたと言わんばかりのリコフォスが息をつけば、その袂から扇がふわりと浮き上がった。鎌首をもたげる蛇の如く自身――正確にはその尻――へ向けて素振りをしながら進んでくるそれにじりりと老武人が後退する。
そんな中、小さな影がぴょこんと飛び出した。
シルヴァだ。
「ひ、ひいおばあさま!」
「ん? おお、ひ孫ちゃんその壱。どうした?」
「ラージェは、大丈夫……なんですか?」
平時は穏やかな双眸を不安げに揺らしながら問うシルヴァの後ろでは、泣くのをぎゅっと我慢しているセルジェがその服の裾を掴んでいる。
どちらも妹が心配でならないという表情だ。「いい男に育つに違いない」と一人満足して、リコフォスはひ孫たちの前に膝をついた。
本当なら直接頭をよしよししてやりたいが生憎ダークエルフの腕は二本しかないので、宙に浮かせていた扇で代わりにぺそぺそと小さな二つの頭を撫でる。
「うむ。大丈夫じゃから安心してよいぞ。ほれ、おぬしらの背が伸びた時に関節が痛くなったじゃろ。あれと同じようなもんじゃな」
「よかった……」
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