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6.うっかりミスと突破口
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何度目かの堂々巡りをぼんやりと繰り返していると、ふいに足元から声がした。当然、アレクシスの声だ。
「サラ、体勢は辛くはないか?」
「お気遣いありがとうございます。少し……恥ずかしゅうございますが、痛みなどは、とくに」
「そうか。辛くなったらいつでも声をかけておくれ」
公務を終え戻って来るや否や蕩けた顔でサラージュの身づくろいを始めたのだが、湯あみや肌の手入れまで施しても世話を焼きたい欲求は治まらなかったらしく、今はサラージュの爪先に紅を施している。
いくら湯上りとはいえ、足を掬い上げられた上に彼の膝の上に置かなくてはならないこの体勢に恥じらいを覚えないわけではない。だが抵抗したところで失神するまで口を吸われるだけなので、今はもう女主人のごとく受け入れることにした。
(毛づくろいの一種なのだろうけれど……これではまるで、わたくしが殿下を侍らせているみたいじゃない)
そんなことを思いながら、なんとなしにそのハニーブロンドを撫でる。灯りは彼が手元に置いたランプだけだが、よく光を弾く金糸に手を伸ばすには充分だ。
なでこなでこと、最近会えていない妹にしてやったのをなぞるように、柔らかく。あの子とは違って彼の頭には大きな耳がついているから、頭頂部から後頭部へと髪を流すように丁寧に。そうしているうちに髪に差し入れた指に少し高い温度が滲みていく。そういえば、彼は体温が高いのだった。
辞め時を失っていれば、ふいにライトグリーンの瞳がふにゃりと笑った。
「ふふ、サラは撫でるのが上手いな」
すりすりと、頭を撫でていた手に顔を摺り寄せられる。幼い笑みはここ最近見ていたものとは違い、仄暗さの欠片もない。耳も尻尾も心地よいと言わんばかりに揺れている。
まるで飼い主に褒められた大型犬のようだ。
「あら、お褒めにあずかり光栄ですわ」
監禁中であることを一瞬忘れてしまう穏やかさにつられて笑う。
おまけと言わんばかりに肉厚な耳の根元をこしょこしょと擽ってやれば、今にも腹を見せてしまいそうなくらいにアレクシスが相好を崩した。
その蕩け切った様に、ふと疑問がわく。
(……そういえば、どうして殿下はこうもわたくしに褒められたがるのかしら)
幼いころからのことだが、よくよく考えればおかしな話だ。
彼は生来「上」に立つべきものとして教育され、狼人としても群れの上位に属する性質だと判定が下っている。いかに『運命』相手とはいえ、こうも「褒められたい」という欲求に支配されることがあるだろうか。
(わたくしが気づいていない要因が、もう一つある?)
パズルのピースが一つ欠けている。
そんな物足りなさが、喉の奥に引っかかっている。
知っているはずだ。とうの昔に知っている。だというのに、それが上手く言語化できない。
もどかしさが――つい、足に出た。
「あっ、急に――ッ」
アレクシスが声を上ずらせた。
無意識に組み替えた足には、枷がついている。本来ならばある程度の余裕があり、この程度の動作は何の障害にもならない。
だが今は、施術の邪魔になるからとごく短いものに取り換えられている。
ベッドの上で暴れられないほどの、短い鎖に。
――バキッ
文字にするならばその程度の、鈍い音がした。
「……え?」
「あら」
突然軽くなった足を見下ろせば、武骨な枷から伸びる鎖が宙ぶらりんになって揺れているのが目に入った。
どうやら、うっかり引きちぎってしまったらしい。脆いことだ。
ため息をつき、アレクシスの方を見る。
さすがに見るからに事故だ。狼狽えてなどいないだろう――と。
希望的観測に過ぎなかったが。
「――――あ、ア」
「! 殿下。落ち着いてくださいな。これは事故です。わたくしは別に逃げようとしたわけでは」
「駄目だ駄目だ駄目だサラの鎖が、あ、あああ、にげ、にげられてしま、きらわれて、やだ、さら、いかないで」
「もう……っ」
恐慌状態だ。
それまで和やかな時間を過ごせていた分、天から突き落とされたとでも言わんばかりに彼自身の皮膚を掻きむしって叫び散らしている。
狼人の爪は刃のように鋭い。普段は定期的なケアで丸くしているそれが、感情の高ぶりに応じてぎりぎりと鋭さを増していく。――このままでは、頸動脈を掻き切りかねないほどに。
止めなくては。
その一心だった。
とっさに開いた口から無意識のうちに零れた音列は、遠い記憶の扉から転がり出たそれで。
『――よくお聞き、ひ孫ちゃん。儂らは、』
秘密の合言葉を教えるような曾祖母の声が、耳の奥でささやいた。
――――
――
「この手があったわね」
大きな怪我もなく昏倒して眠るアレクシスを見下ろして、サラージュはひとつ頷いた。
ぶっつけ本番だったが、どうやら成功したようだ。
すやすやと眠る彼の顔を手繰り寄せたランプで照らしてよくよく見れば、長い睫毛の下にクマが出来ている。
汗でよれたコンシーラーの下から覗くそれは、一日二日で出来るような濃さではない。指先でなぞれば、少しざらついた感触。
「お化粧、だけじゃないわね。お肌も荒れて……もしかして、灯りを直そうとしないのはこれを隠そうとなさって?」
サラージュと過ごしている間に見せていた蕩けて満たされた表情が偽りだったわけではないだろう。
だが、この部屋から一歩出てしまえば、アレクシスにとって周囲はすべて自身のつがいを狙う外敵に見えていてもおかしくはない。囲い込んだ相手にいつ誰が近づくか分からない以上、常に周囲を警戒していたのだろう。
自業自得と言ってしまえばそれまでだが、きっかけを自分が作った上に原因にも多少の関わりがあるとなれば話は別だ。
「わたくしが、……駄目ね。今はそんなことを考えている場合じゃないわ」
引っ張り出した遠い日の記憶は、欠けていると感じていたピースそのものでもあったのだから。
ぱしりと自身の頬を叩き、サラージュはすっと背筋を伸ばす。
鎖は引きちぎることが可能で、監視者であるアレクシスは眠りの中。今ならば脱出は容易だ。
だが、サラージュはその場から動かない。
翡翠のペディキュアが施された爪先をゆらりゆらりと遊ばせて、ランプに金粉が瞬くのをただ眺めるだけだ。
眠りから部屋の主が戻るのを待つように。
再び鎖がその足首に絡みつくのを待つように。
「わたくししか出来ないならば、もうしばらくは捕まっていて差し上げなくてはね」
蝶が巣にかかるのを待つように――少女はとろりと微笑んだ。
「サラ、体勢は辛くはないか?」
「お気遣いありがとうございます。少し……恥ずかしゅうございますが、痛みなどは、とくに」
「そうか。辛くなったらいつでも声をかけておくれ」
公務を終え戻って来るや否や蕩けた顔でサラージュの身づくろいを始めたのだが、湯あみや肌の手入れまで施しても世話を焼きたい欲求は治まらなかったらしく、今はサラージュの爪先に紅を施している。
いくら湯上りとはいえ、足を掬い上げられた上に彼の膝の上に置かなくてはならないこの体勢に恥じらいを覚えないわけではない。だが抵抗したところで失神するまで口を吸われるだけなので、今はもう女主人のごとく受け入れることにした。
(毛づくろいの一種なのだろうけれど……これではまるで、わたくしが殿下を侍らせているみたいじゃない)
そんなことを思いながら、なんとなしにそのハニーブロンドを撫でる。灯りは彼が手元に置いたランプだけだが、よく光を弾く金糸に手を伸ばすには充分だ。
なでこなでこと、最近会えていない妹にしてやったのをなぞるように、柔らかく。あの子とは違って彼の頭には大きな耳がついているから、頭頂部から後頭部へと髪を流すように丁寧に。そうしているうちに髪に差し入れた指に少し高い温度が滲みていく。そういえば、彼は体温が高いのだった。
辞め時を失っていれば、ふいにライトグリーンの瞳がふにゃりと笑った。
「ふふ、サラは撫でるのが上手いな」
すりすりと、頭を撫でていた手に顔を摺り寄せられる。幼い笑みはここ最近見ていたものとは違い、仄暗さの欠片もない。耳も尻尾も心地よいと言わんばかりに揺れている。
まるで飼い主に褒められた大型犬のようだ。
「あら、お褒めにあずかり光栄ですわ」
監禁中であることを一瞬忘れてしまう穏やかさにつられて笑う。
おまけと言わんばかりに肉厚な耳の根元をこしょこしょと擽ってやれば、今にも腹を見せてしまいそうなくらいにアレクシスが相好を崩した。
その蕩け切った様に、ふと疑問がわく。
(……そういえば、どうして殿下はこうもわたくしに褒められたがるのかしら)
幼いころからのことだが、よくよく考えればおかしな話だ。
彼は生来「上」に立つべきものとして教育され、狼人としても群れの上位に属する性質だと判定が下っている。いかに『運命』相手とはいえ、こうも「褒められたい」という欲求に支配されることがあるだろうか。
(わたくしが気づいていない要因が、もう一つある?)
パズルのピースが一つ欠けている。
そんな物足りなさが、喉の奥に引っかかっている。
知っているはずだ。とうの昔に知っている。だというのに、それが上手く言語化できない。
もどかしさが――つい、足に出た。
「あっ、急に――ッ」
アレクシスが声を上ずらせた。
無意識に組み替えた足には、枷がついている。本来ならばある程度の余裕があり、この程度の動作は何の障害にもならない。
だが今は、施術の邪魔になるからとごく短いものに取り換えられている。
ベッドの上で暴れられないほどの、短い鎖に。
――バキッ
文字にするならばその程度の、鈍い音がした。
「……え?」
「あら」
突然軽くなった足を見下ろせば、武骨な枷から伸びる鎖が宙ぶらりんになって揺れているのが目に入った。
どうやら、うっかり引きちぎってしまったらしい。脆いことだ。
ため息をつき、アレクシスの方を見る。
さすがに見るからに事故だ。狼狽えてなどいないだろう――と。
希望的観測に過ぎなかったが。
「――――あ、ア」
「! 殿下。落ち着いてくださいな。これは事故です。わたくしは別に逃げようとしたわけでは」
「駄目だ駄目だ駄目だサラの鎖が、あ、あああ、にげ、にげられてしま、きらわれて、やだ、さら、いかないで」
「もう……っ」
恐慌状態だ。
それまで和やかな時間を過ごせていた分、天から突き落とされたとでも言わんばかりに彼自身の皮膚を掻きむしって叫び散らしている。
狼人の爪は刃のように鋭い。普段は定期的なケアで丸くしているそれが、感情の高ぶりに応じてぎりぎりと鋭さを増していく。――このままでは、頸動脈を掻き切りかねないほどに。
止めなくては。
その一心だった。
とっさに開いた口から無意識のうちに零れた音列は、遠い記憶の扉から転がり出たそれで。
『――よくお聞き、ひ孫ちゃん。儂らは、』
秘密の合言葉を教えるような曾祖母の声が、耳の奥でささやいた。
――――
――
「この手があったわね」
大きな怪我もなく昏倒して眠るアレクシスを見下ろして、サラージュはひとつ頷いた。
ぶっつけ本番だったが、どうやら成功したようだ。
すやすやと眠る彼の顔を手繰り寄せたランプで照らしてよくよく見れば、長い睫毛の下にクマが出来ている。
汗でよれたコンシーラーの下から覗くそれは、一日二日で出来るような濃さではない。指先でなぞれば、少しざらついた感触。
「お化粧、だけじゃないわね。お肌も荒れて……もしかして、灯りを直そうとしないのはこれを隠そうとなさって?」
サラージュと過ごしている間に見せていた蕩けて満たされた表情が偽りだったわけではないだろう。
だが、この部屋から一歩出てしまえば、アレクシスにとって周囲はすべて自身のつがいを狙う外敵に見えていてもおかしくはない。囲い込んだ相手にいつ誰が近づくか分からない以上、常に周囲を警戒していたのだろう。
自業自得と言ってしまえばそれまでだが、きっかけを自分が作った上に原因にも多少の関わりがあるとなれば話は別だ。
「わたくしが、……駄目ね。今はそんなことを考えている場合じゃないわ」
引っ張り出した遠い日の記憶は、欠けていると感じていたピースそのものでもあったのだから。
ぱしりと自身の頬を叩き、サラージュはすっと背筋を伸ばす。
鎖は引きちぎることが可能で、監視者であるアレクシスは眠りの中。今ならば脱出は容易だ。
だが、サラージュはその場から動かない。
翡翠のペディキュアが施された爪先をゆらりゆらりと遊ばせて、ランプに金粉が瞬くのをただ眺めるだけだ。
眠りから部屋の主が戻るのを待つように。
再び鎖がその足首に絡みつくのを待つように。
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