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10章
潜入
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トミーはすでに城の中へ。
俺と爺さんは、城の通用口の近くの茂みに隠れる。
「なあ爺さん、いつになったら来るのかよ?」
「トミーの情報じゃ、あと10分… 朝の7時になったら来るハズじゃ……」
なんたって正門のすぐ近く。
さっきから、ブラックスーツたちや城の関係者が、ぞろぞろ出入りしてやがる。
ホントにうまく入れるのかよ……
トミーの情報によると、搬入のトラックは3台。
1番先頭のトラックが受付をしている間に、最後尾のトラックの荷台に忍び込み、食材搬入の時に厨房から潜入する段取り。
「ホントにトラックは、一旦、通用口の所で止まるのかよ?」
「ああ、止まる… と言うか、止まって貰わんと困る……」
おいおい、困るって……
「なんたって、トミーの情報じゃからな… 若干の間違いはあるかも知れん……」
「ちょ、止まらなかったらどうすんだよ!」
「大丈夫じゃ。今まで、トミーの情報はだいたい合ってるからな……」
だ、だいたい…?
じじい、ふざんけじゃねーぞ!
「だいたいって…… そんな……」
爺さんの自信満々な真剣な眼差しを見て、思わず言葉が止まってしまった。
爺さん、ホントにトミーの事を信用してんだな……
なんか2人が話してると、滅茶苦茶な話しをしてるように思ってたけど、よく考えたら、今までたった2人で色んな苦難を乗り越えて来たんだよな…
トミーは爺さんを尊敬し、爺さんはトミーを可愛がり、お互いに助け合って来たんだろうよ。
じゃないと、あんな天然のトミーなんかを信用出来ないもんな。
根っからの真面目で、気は優しくて力持ち……
確かにそうだよな。
「…き、来たぞ!」
正門に向かってトラックがやって来た。
ちゃんと3台いる。
トラックが正門の前で止まり、運転手が受付を始めた。
「…さあ、ここからが勝負じゃ! 素早く乗り込むんじゃぞ!」
ヤバい!
すんげードキドキしてきた。
「今じゃ! 行くぞ!」
爺さんと一緒に茂みの中から飛び出す。
心臓が飛び出しそうだ……
最後尾のトラックの荷台しか見えてない……
必死に走る……
まだかよ… まだ着かねーのかよ……
たった10mぐらいの距離が100mぐらいに感じる……
息が止まりそうだ……
ドン!
はあ、はあ……
なんとか飛び乗った……
「……ふ~う… 大丈夫か?」
「……はあ、はあ…… なんとか……」
荷台に寝転ぶ2人。
あとは気付かずに出発するのを待つだけだ。
早く!
早く出発してくれ!
ブロロロローン……
数分後、車のエンジンが掛かり、いよいよ城の敷地内へ。
「…入ったのかよ?」
「…ああ、なんとかな。今、厨房に向かっているところじゃろう……」
外の景色が見えないからよくわからない。
「…で、この先はどうするんだったっけ?」
「…トミーが注意を引きつけている間に、城の中に入る……」
そうだった。
トミーの奴、やたら張り切ってたもんな。
僕は男になるんだぁ~! …なんて言ってたし……
頼むぞ。トミー!
車が止まった。
厨房に着いたみたいだ。
荷台のすき間から外の様子を伺う。
……ん?
いねーぞ……
「爺さん、トミーのやつ、いないぞ!」
「そんな事は……」
慌てて爺さんも、すき間から覗く。
「…どうしたんじゃ! 本当にいないぞ……」
厨房の外で門番らしき2人と、搬入業者が話しをしている。
その周りには、誰もいない……
「あ、あいつ、逃げたんじゃ……」
「ば、馬鹿な…… そんな事……」
何か嫌な予感しまくり。
「ほ、本当じゃ…… どこにもおらん……」
いくら探しても、トミーの姿はない。
おい、どうすんだよ!
このまま荷台に乗っかったままかよ!
ヤバい!
厨房に荷物を入れ始めやがった!
こっちの荷台にも来るぞ!
「じ、爺さん!」
「な、なるべく奥に隠れるんじゃ!」
奥に隠れたって、ちっちゃな荷台の上。
すぐ見つかっちまう……
トミー、どこ行ったんだよ!!!
ヤ、ヤバイ!
足音が近づいて来た!!!
「お前、誰だ!」
……なんだ?
「……いやいや、ちょっと…… つまり、なんて言うか……」
……どっかで聞き覚えのある声。
そっと外の様子を見ると、全身黒ずくめの男が、門番と言い合いになってる。
「お前、何者だ? 変な格好しやがって……」
「……だから、ちょっと…… あ! 食材に興味がありましてね……」
「食材…?」
「……食材って言うか…… 料理って言うか……」
「なんだ? 何が言いたいんだ!」
「……とにかく、ちょっと待って欲しい訳ですよ…」
あの、がっしりした体……
間違いなく、トミーだ……
あいつ、何やってんだ?
「お前、何者だ? レッドカードを見せろ!」
「……………」
「お前、怪しいぞ! よし、両手を挙げて、その場にひざまずけ!」
「ちょ、ちょっと…… 銃を向けないで下さいよ… 怪しい者じゃないから……」
「怪しくないだと? それはこっちが決める事だ! さあ、おとなしく両手を挙げて……」
爺さん、どうすんだよ?
トミー、捕まっちまうぜ!
「じ、爺さん……」
「こりゃ、いかんな……」
いやいや、いかんな…じゃなくて……
助けに行かないと……
「……う~う…… う~う……」
…なんだ?
トミーの奴、うなり出したぞ。
「う~…… う~……」
どうしたんだ?
体が震えてるぞ!
「う~…… ウギャーーー!!!」
門番に掴みかかりやがった!
「ウギャギャウギャギャーーー!!!」
こ、こいつ……
投げ飛ばしやがった!
「ぼ~くはおとこ~ か~こぉ~い~い~♪」
こいつ、無茶苦茶だ……
近くにあるもの、片っ端から投げ飛ばし始めやがった。
みんなトミーの周りから逃げ回ってる。
「じ、爺さん! い、いいのかよ?」
「…ふっふ…… トミーの奴、緊張が極限を超えたな……」
爺さん、ニコニコ見てんじゃねーよ!
こんな事したら、すぐに他のやつらが来ちまうじゃねーかよ!
「まあ、とにかく今がチャンスって事じゃの…」
「チャ、チャンス…?」
「さあ、行くぞ!!!」
「……行くって……」
爺さん、荷台から飛び降りて城に向かって走り出しちまった。
「ちょ… 待てよ…」
慌てて付いて行く。
トミーが暴れ回ってるのを横目に、横の扉から城の中に潜入。
「……はあ、はあ… ホントに大丈夫かよ。トミーの奴、完全にぶっ飛んだ顔してたぜ?」
「…大丈夫じゃよ。あいつがこうなるのは初めての事じゃないし……」
し、知ってたのかよ!
「初めてじゃないったって……」
「あいつは気がちっちゃいじゃろ? だから、どうしょうもなくなった時は、ああなるみたいじゃ……」
…にしたって、あんなに変貌するとは……
「まあ、顔はバレてない訳じゃし、あいつの事じゃから、何とか逃げてくれるハズじゃ……」
ホントに大丈夫かよ……
「なんて顔をしとるんじゃ。わしらの目的は、あんたの相棒の救出じゃろうが?」
確かにそうだけどよ……
「じゃあ、そんなにトミーが心配なら戻るか?」
…そ、それは……
「さあ、ここからが難問じゃぞ! 気を引き締めてな!」
「あ…… ああ……」
「しっかり付いて来るんじゃぞ!」
真剣な爺さんの顔を見ると、こっちまで緊張してきちまう……
「さあ行くぞ!」
銃を構えて走る爺さんの後を、必死に付いて行った。
俺と爺さんは、城の通用口の近くの茂みに隠れる。
「なあ爺さん、いつになったら来るのかよ?」
「トミーの情報じゃ、あと10分… 朝の7時になったら来るハズじゃ……」
なんたって正門のすぐ近く。
さっきから、ブラックスーツたちや城の関係者が、ぞろぞろ出入りしてやがる。
ホントにうまく入れるのかよ……
トミーの情報によると、搬入のトラックは3台。
1番先頭のトラックが受付をしている間に、最後尾のトラックの荷台に忍び込み、食材搬入の時に厨房から潜入する段取り。
「ホントにトラックは、一旦、通用口の所で止まるのかよ?」
「ああ、止まる… と言うか、止まって貰わんと困る……」
おいおい、困るって……
「なんたって、トミーの情報じゃからな… 若干の間違いはあるかも知れん……」
「ちょ、止まらなかったらどうすんだよ!」
「大丈夫じゃ。今まで、トミーの情報はだいたい合ってるからな……」
だ、だいたい…?
じじい、ふざんけじゃねーぞ!
「だいたいって…… そんな……」
爺さんの自信満々な真剣な眼差しを見て、思わず言葉が止まってしまった。
爺さん、ホントにトミーの事を信用してんだな……
なんか2人が話してると、滅茶苦茶な話しをしてるように思ってたけど、よく考えたら、今までたった2人で色んな苦難を乗り越えて来たんだよな…
トミーは爺さんを尊敬し、爺さんはトミーを可愛がり、お互いに助け合って来たんだろうよ。
じゃないと、あんな天然のトミーなんかを信用出来ないもんな。
根っからの真面目で、気は優しくて力持ち……
確かにそうだよな。
「…き、来たぞ!」
正門に向かってトラックがやって来た。
ちゃんと3台いる。
トラックが正門の前で止まり、運転手が受付を始めた。
「…さあ、ここからが勝負じゃ! 素早く乗り込むんじゃぞ!」
ヤバい!
すんげードキドキしてきた。
「今じゃ! 行くぞ!」
爺さんと一緒に茂みの中から飛び出す。
心臓が飛び出しそうだ……
最後尾のトラックの荷台しか見えてない……
必死に走る……
まだかよ… まだ着かねーのかよ……
たった10mぐらいの距離が100mぐらいに感じる……
息が止まりそうだ……
ドン!
はあ、はあ……
なんとか飛び乗った……
「……ふ~う… 大丈夫か?」
「……はあ、はあ…… なんとか……」
荷台に寝転ぶ2人。
あとは気付かずに出発するのを待つだけだ。
早く!
早く出発してくれ!
ブロロロローン……
数分後、車のエンジンが掛かり、いよいよ城の敷地内へ。
「…入ったのかよ?」
「…ああ、なんとかな。今、厨房に向かっているところじゃろう……」
外の景色が見えないからよくわからない。
「…で、この先はどうするんだったっけ?」
「…トミーが注意を引きつけている間に、城の中に入る……」
そうだった。
トミーの奴、やたら張り切ってたもんな。
僕は男になるんだぁ~! …なんて言ってたし……
頼むぞ。トミー!
車が止まった。
厨房に着いたみたいだ。
荷台のすき間から外の様子を伺う。
……ん?
いねーぞ……
「爺さん、トミーのやつ、いないぞ!」
「そんな事は……」
慌てて爺さんも、すき間から覗く。
「…どうしたんじゃ! 本当にいないぞ……」
厨房の外で門番らしき2人と、搬入業者が話しをしている。
その周りには、誰もいない……
「あ、あいつ、逃げたんじゃ……」
「ば、馬鹿な…… そんな事……」
何か嫌な予感しまくり。
「ほ、本当じゃ…… どこにもおらん……」
いくら探しても、トミーの姿はない。
おい、どうすんだよ!
このまま荷台に乗っかったままかよ!
ヤバい!
厨房に荷物を入れ始めやがった!
こっちの荷台にも来るぞ!
「じ、爺さん!」
「な、なるべく奥に隠れるんじゃ!」
奥に隠れたって、ちっちゃな荷台の上。
すぐ見つかっちまう……
トミー、どこ行ったんだよ!!!
ヤ、ヤバイ!
足音が近づいて来た!!!
「お前、誰だ!」
……なんだ?
「……いやいや、ちょっと…… つまり、なんて言うか……」
……どっかで聞き覚えのある声。
そっと外の様子を見ると、全身黒ずくめの男が、門番と言い合いになってる。
「お前、何者だ? 変な格好しやがって……」
「……だから、ちょっと…… あ! 食材に興味がありましてね……」
「食材…?」
「……食材って言うか…… 料理って言うか……」
「なんだ? 何が言いたいんだ!」
「……とにかく、ちょっと待って欲しい訳ですよ…」
あの、がっしりした体……
間違いなく、トミーだ……
あいつ、何やってんだ?
「お前、何者だ? レッドカードを見せろ!」
「……………」
「お前、怪しいぞ! よし、両手を挙げて、その場にひざまずけ!」
「ちょ、ちょっと…… 銃を向けないで下さいよ… 怪しい者じゃないから……」
「怪しくないだと? それはこっちが決める事だ! さあ、おとなしく両手を挙げて……」
爺さん、どうすんだよ?
トミー、捕まっちまうぜ!
「じ、爺さん……」
「こりゃ、いかんな……」
いやいや、いかんな…じゃなくて……
助けに行かないと……
「……う~う…… う~う……」
…なんだ?
トミーの奴、うなり出したぞ。
「う~…… う~……」
どうしたんだ?
体が震えてるぞ!
「う~…… ウギャーーー!!!」
門番に掴みかかりやがった!
「ウギャギャウギャギャーーー!!!」
こ、こいつ……
投げ飛ばしやがった!
「ぼ~くはおとこ~ か~こぉ~い~い~♪」
こいつ、無茶苦茶だ……
近くにあるもの、片っ端から投げ飛ばし始めやがった。
みんなトミーの周りから逃げ回ってる。
「じ、爺さん! い、いいのかよ?」
「…ふっふ…… トミーの奴、緊張が極限を超えたな……」
爺さん、ニコニコ見てんじゃねーよ!
こんな事したら、すぐに他のやつらが来ちまうじゃねーかよ!
「まあ、とにかく今がチャンスって事じゃの…」
「チャ、チャンス…?」
「さあ、行くぞ!!!」
「……行くって……」
爺さん、荷台から飛び降りて城に向かって走り出しちまった。
「ちょ… 待てよ…」
慌てて付いて行く。
トミーが暴れ回ってるのを横目に、横の扉から城の中に潜入。
「……はあ、はあ… ホントに大丈夫かよ。トミーの奴、完全にぶっ飛んだ顔してたぜ?」
「…大丈夫じゃよ。あいつがこうなるのは初めての事じゃないし……」
し、知ってたのかよ!
「初めてじゃないったって……」
「あいつは気がちっちゃいじゃろ? だから、どうしょうもなくなった時は、ああなるみたいじゃ……」
…にしたって、あんなに変貌するとは……
「まあ、顔はバレてない訳じゃし、あいつの事じゃから、何とか逃げてくれるハズじゃ……」
ホントに大丈夫かよ……
「なんて顔をしとるんじゃ。わしらの目的は、あんたの相棒の救出じゃろうが?」
確かにそうだけどよ……
「じゃあ、そんなにトミーが心配なら戻るか?」
…そ、それは……
「さあ、ここからが難問じゃぞ! 気を引き締めてな!」
「あ…… ああ……」
「しっかり付いて来るんじゃぞ!」
真剣な爺さんの顔を見ると、こっちまで緊張してきちまう……
「さあ行くぞ!」
銃を構えて走る爺さんの後を、必死に付いて行った。
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