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さくらの想い
大学生
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大学生
大学生、二年生。私は二十歳になり、その年度の成人式に出る事になっていた。小中高一貫校の春風学園の同級生と会うのも二年ぶりである。私は同じ弁天大学に通っている牡丹とは普段から仲良くしているけれど、私が大好きな春楓とは、主にLINEでしかやり取りしていない。私は春楓に会えることと、懐かしい同級生と会えることを楽しみにしていた。
その年のお正月、私は実家で母や妹と話をしていた。成人式が近づき、女子の晴れ着である振袖を選ぶ事にしていた。
「さくらには、どんな振袖が良いかしらね、やっぱり桜色のピンクがいいかしら」
母が、私の振袖をカタログで選んでいる。当日に着付けをしてくれるお店はもう決まっている。後は本番に向けてどの振袖を選ぶか決めて、一度着てから、成人式当日に着ていく段取りだ。
「ああ、お姉ちゃんだけズルい。美月も綺麗にしたいなぁ~」
妹である美月が私に羨望に近い眼差しを向ける。私は高校生である美月に「美月も、成人したら着られるわよ」と慰める。美月は「ぶぅ~」とぶうたれていた。
「ふふ、さくらも、もう成人かぁ」
母が、感慨深げに話を始めた。その話は私達姉妹の事に及ぶ。
「さくらっていう名前は、さくらが生まれた年の桜があんまりにも綺麗だったから、さくらって付けたのよね。でも、桜の時期を過ぎて五月に生まれちゃったから、平仮名でさくらって。時期が過ぎても、健康で綺麗に、感動するような人生を送ってほしいって、さくらって名前を付けたのよね」
「へぇ、そうなんだ!」
私は母に自分の名前の由来を聞いて、何故自分の名前が平仮名の『さくら』なのかを知った。そんな理由があったのか……。
「お母さん、私は私は!?」
美月が自身の名の由来も知りたいと急かすので、母は「美月はね」と呟いてこう言った。
「生まれた時の月があんまりに綺麗で、九月、十五夜生まれだったのかな。美しいお月様の様に、優しく、静かでいて着実に世界に居てくださいって、そう、願ったのよね」
「そうなんだ!」
美月はそう言って感動した様に両の手を頬に当てると、「私達って、ちゃんと名前考えられてたのね!」と言った。母は「当たり前でしょう」とふふふっと笑って答えた。
成人式、当日。私は牡丹と連絡を取って、成人式会場に訪れた。
「いよいよ私達も成人式ね。大人として自覚していかなきゃね」
「大丈夫かな、大人になっても……」
牡丹の大人への自覚としての発言が、私をちょっと不安にさせる。二十歳からは法律上大人である。しかし、子供でいた私達は、果たして大人への階段を登れるのだろうか……。
成人式会場には、春楓も来た。大学生として、外見がより大人びた春楓に私は目が眩みそうになったが、春楓はいつもの春楓だった。
「さくら、久しぶり」
「春楓、久しぶり」
春楓との再会を喜んで、私は積もる話、最近の近況などを春楓に話した。春楓も、慶生大での出来事など最近の近況を話してくれた。
私は、やっぱり春楓が好きだ。春楓の事を思うだけで、胸がぎゅっと締め付けられ、熱くなる。
成人式は、厳かに、華やかに進行していった。私達の晴れの舞台を、会場に来てくれた皆が祝福してくれた。
そして、成人式が終わり、二次会へと時は移った。
「さくら~、久しぶり」
「さくら、久しぶりね」
桔梗と百合が声を掛けてくれた。二人とも元気そうで何よりだ。私は二次会会場で寛いでいると、優樹と健大もやって来た。
「皆、久しぶり」
「皆、久しぶりだね」
優樹と健大の二人も元気そうだ。私と牡丹などは、弁天大での出来事などを皆に話して、皆の大学の近況なども聞けた。
そして、春楓が二次会会場にやって来た。春楓は、なんと楓と共にやって来た。
「皆、久しぶり」
「久しぶりね、皆」
私は楓と共にやって来た春楓にドギマギした。……もしかして、同じ慶生大に通ってる二人は付き合ってるの?疑心暗鬼が、私を襲った。
二次会が終わり、私は帰る事にした。すると春楓が私を追って、二次会会場から出てきた。
「さくら、ちょっと話さないかい?」
私は春楓にそう言われ、少し話をする事にする。春楓の気持ちはどうなんだろう……。私はそれが心配でいたけれど、春楓は明るく話しかけてくれる。
「この間、俺の名前、『春楓』について、親が話してくれたんだけれど……大切に付けられたんだな……俺の名前」
私は成人式前に母に聞いた、私の名前の由来の事を思い出した。春楓も、名前について親から聞いたのだ。
「私の名前、『さくら』も、大切に付けられた名前なんだ」
私は、この間母に聞いた名前の由来を春楓に話した。
「へぇ、だからさくらは平仮名の『さくら』なんだな」
春楓は、自分の名前についても話してくれた。
「俺の名前、春楓。俺さ、ほら、桜と同じ五月生まれなんだけれど、母さんの実家に楓の木があってさ、母さんが産休の時、楓の紅葉が綺麗でさ、俺が生まれる五月に、楓の花が咲いていたんだって。楓の花言葉は『大切な思い出』。母さん妊娠してる時、父さんや、色んな人に助けられて、俺を出産して、自分の人生に大切な思い出が残るようにって、俺に『春楓』って名付けてくれたんだ」
「そうなんだ」
私は春楓にも大切な名前の由来があった事に安堵する。私は春楓の名前も好きだ。私と同じ春を連想させてくれるその名前に、何だか心がホッとする。
「さくら、ところでさ」
春楓はそう言って、また話をし出した。
「五年置きに街の公園で四月五日に会うって約束、覚えてる?」
私はその話になると「うん」と答えた。春楓と五年置きに街の公園で会うという約束。今年はその年だ。
「今年も、街の公園で四月五日に会いたいんだ。……それまで暫く会えないかもだけど、いいかな?」
私は「分かった」とだけ答えた。春楓に会えるだけでも、幸せだ。
その年の四月五日。私はその日が来る前に春楓と交わしたLINEを見ていた。
春楓 さくら、もうすぐ四月五日だね。今年も会えるよね
さくら うん、大丈夫。今年も会えるわ
春楓 うん、分かった。四月五日午後二時に会おう
それだけ春楓とLINEでやり取りしていた。私は街の公園に向かうと、春楓への想いを募らせていた。
春の桜はその花を満開に咲かせていて、街の公園は桃色の鮮やかな色に彩られていた。公園では縄跳びをしている子供や親子連れの人達などがいて、街に賑わいを添えている。
(春楓は、まだ来ていないわね……)
私はスマホの時計を見るとまだ二時前だった。
(少し早く着きすぎたかな……)
私はちょっと春楓を待った。すると、春楓は二時頃やって来た。……楓を連れて。
(楓!)
私は五年前と同じく楓が来た事に嫉妬していただろう。春楓との約束のはずなのに、また楓が来た。
「さくら、お待たせ」
春楓はそう言って、街の公園の一番大きな桜の前のベンチに座った。私も座って、春楓に聞いてみる。問いただす勢いで。
「春楓、楓」
「うん、ああ、楓と来た」
「春楓、楓と付き合ってるの?」
私は春楓を問いただした。春楓は何だかビックリして、ちょっと口ごもって言った。
「そういう訳じゃないけれど、楓には、世話になってるんだ」
私は春楓の気持ちが分からなくて、確かめたくて、今回も、また春楓に言った。
「私、やっぱり春楓が好き!春楓に、振り向いてほしい!」
春楓にまた告白した。
「俺も……でも、後五年待ってくれないか?さくらには会いたい。でも、さくら!」
春楓は私の名を呼んで、その両手を広げた。その両手は私の体の前で止まると、私の両手を握って、こう答えた。
「……五年後、必ずさくらを迎えに行くよ。さくらは、大事な人なんだ」
春楓はそう言って、「またね」とその場を離れた。私は何故そうなるのか、考えが進まずにその場を離れる春楓に、想いを寄せても分からない恋に、迷走する。
ただ、桜だけが、ピンク色に色づいて、私達を眺めていた。
大学生、二年生。私は二十歳になり、その年度の成人式に出る事になっていた。小中高一貫校の春風学園の同級生と会うのも二年ぶりである。私は同じ弁天大学に通っている牡丹とは普段から仲良くしているけれど、私が大好きな春楓とは、主にLINEでしかやり取りしていない。私は春楓に会えることと、懐かしい同級生と会えることを楽しみにしていた。
その年のお正月、私は実家で母や妹と話をしていた。成人式が近づき、女子の晴れ着である振袖を選ぶ事にしていた。
「さくらには、どんな振袖が良いかしらね、やっぱり桜色のピンクがいいかしら」
母が、私の振袖をカタログで選んでいる。当日に着付けをしてくれるお店はもう決まっている。後は本番に向けてどの振袖を選ぶか決めて、一度着てから、成人式当日に着ていく段取りだ。
「ああ、お姉ちゃんだけズルい。美月も綺麗にしたいなぁ~」
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「ふふ、さくらも、もう成人かぁ」
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「さくらっていう名前は、さくらが生まれた年の桜があんまりにも綺麗だったから、さくらって付けたのよね。でも、桜の時期を過ぎて五月に生まれちゃったから、平仮名でさくらって。時期が過ぎても、健康で綺麗に、感動するような人生を送ってほしいって、さくらって名前を付けたのよね」
「へぇ、そうなんだ!」
私は母に自分の名前の由来を聞いて、何故自分の名前が平仮名の『さくら』なのかを知った。そんな理由があったのか……。
「お母さん、私は私は!?」
美月が自身の名の由来も知りたいと急かすので、母は「美月はね」と呟いてこう言った。
「生まれた時の月があんまりに綺麗で、九月、十五夜生まれだったのかな。美しいお月様の様に、優しく、静かでいて着実に世界に居てくださいって、そう、願ったのよね」
「そうなんだ!」
美月はそう言って感動した様に両の手を頬に当てると、「私達って、ちゃんと名前考えられてたのね!」と言った。母は「当たり前でしょう」とふふふっと笑って答えた。
成人式、当日。私は牡丹と連絡を取って、成人式会場に訪れた。
「いよいよ私達も成人式ね。大人として自覚していかなきゃね」
「大丈夫かな、大人になっても……」
牡丹の大人への自覚としての発言が、私をちょっと不安にさせる。二十歳からは法律上大人である。しかし、子供でいた私達は、果たして大人への階段を登れるのだろうか……。
成人式会場には、春楓も来た。大学生として、外見がより大人びた春楓に私は目が眩みそうになったが、春楓はいつもの春楓だった。
「さくら、久しぶり」
「春楓、久しぶり」
春楓との再会を喜んで、私は積もる話、最近の近況などを春楓に話した。春楓も、慶生大での出来事など最近の近況を話してくれた。
私は、やっぱり春楓が好きだ。春楓の事を思うだけで、胸がぎゅっと締め付けられ、熱くなる。
成人式は、厳かに、華やかに進行していった。私達の晴れの舞台を、会場に来てくれた皆が祝福してくれた。
そして、成人式が終わり、二次会へと時は移った。
「さくら~、久しぶり」
「さくら、久しぶりね」
桔梗と百合が声を掛けてくれた。二人とも元気そうで何よりだ。私は二次会会場で寛いでいると、優樹と健大もやって来た。
「皆、久しぶり」
「皆、久しぶりだね」
優樹と健大の二人も元気そうだ。私と牡丹などは、弁天大での出来事などを皆に話して、皆の大学の近況なども聞けた。
そして、春楓が二次会会場にやって来た。春楓は、なんと楓と共にやって来た。
「皆、久しぶり」
「久しぶりね、皆」
私は楓と共にやって来た春楓にドギマギした。……もしかして、同じ慶生大に通ってる二人は付き合ってるの?疑心暗鬼が、私を襲った。
二次会が終わり、私は帰る事にした。すると春楓が私を追って、二次会会場から出てきた。
「さくら、ちょっと話さないかい?」
私は春楓にそう言われ、少し話をする事にする。春楓の気持ちはどうなんだろう……。私はそれが心配でいたけれど、春楓は明るく話しかけてくれる。
「この間、俺の名前、『春楓』について、親が話してくれたんだけれど……大切に付けられたんだな……俺の名前」
私は成人式前に母に聞いた、私の名前の由来の事を思い出した。春楓も、名前について親から聞いたのだ。
「私の名前、『さくら』も、大切に付けられた名前なんだ」
私は、この間母に聞いた名前の由来を春楓に話した。
「へぇ、だからさくらは平仮名の『さくら』なんだな」
春楓は、自分の名前についても話してくれた。
「俺の名前、春楓。俺さ、ほら、桜と同じ五月生まれなんだけれど、母さんの実家に楓の木があってさ、母さんが産休の時、楓の紅葉が綺麗でさ、俺が生まれる五月に、楓の花が咲いていたんだって。楓の花言葉は『大切な思い出』。母さん妊娠してる時、父さんや、色んな人に助けられて、俺を出産して、自分の人生に大切な思い出が残るようにって、俺に『春楓』って名付けてくれたんだ」
「そうなんだ」
私は春楓にも大切な名前の由来があった事に安堵する。私は春楓の名前も好きだ。私と同じ春を連想させてくれるその名前に、何だか心がホッとする。
「さくら、ところでさ」
春楓はそう言って、また話をし出した。
「五年置きに街の公園で四月五日に会うって約束、覚えてる?」
私はその話になると「うん」と答えた。春楓と五年置きに街の公園で会うという約束。今年はその年だ。
「今年も、街の公園で四月五日に会いたいんだ。……それまで暫く会えないかもだけど、いいかな?」
私は「分かった」とだけ答えた。春楓に会えるだけでも、幸せだ。
その年の四月五日。私はその日が来る前に春楓と交わしたLINEを見ていた。
春楓 さくら、もうすぐ四月五日だね。今年も会えるよね
さくら うん、大丈夫。今年も会えるわ
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それだけ春楓とLINEでやり取りしていた。私は街の公園に向かうと、春楓への想いを募らせていた。
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(春楓は、まだ来ていないわね……)
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(楓!)
私は五年前と同じく楓が来た事に嫉妬していただろう。春楓との約束のはずなのに、また楓が来た。
「さくら、お待たせ」
春楓はそう言って、街の公園の一番大きな桜の前のベンチに座った。私も座って、春楓に聞いてみる。問いただす勢いで。
「春楓、楓」
「うん、ああ、楓と来た」
「春楓、楓と付き合ってるの?」
私は春楓を問いただした。春楓は何だかビックリして、ちょっと口ごもって言った。
「そういう訳じゃないけれど、楓には、世話になってるんだ」
私は春楓の気持ちが分からなくて、確かめたくて、今回も、また春楓に言った。
「私、やっぱり春楓が好き!春楓に、振り向いてほしい!」
春楓にまた告白した。
「俺も……でも、後五年待ってくれないか?さくらには会いたい。でも、さくら!」
春楓は私の名を呼んで、その両手を広げた。その両手は私の体の前で止まると、私の両手を握って、こう答えた。
「……五年後、必ずさくらを迎えに行くよ。さくらは、大事な人なんだ」
春楓はそう言って、「またね」とその場を離れた。私は何故そうなるのか、考えが進まずにその場を離れる春楓に、想いを寄せても分からない恋に、迷走する。
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