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「始まり、そして旅立ち」1
奪還7
しおりを挟むジョニー、ビル、ニッシュの三人が扉を破り研究所の奥に侵入してきたことが、研究所の者達を驚かせる。頑丈な扉を壊して奥に入ってきたことが只物ではない、と騒めいている。
「おい、奥に向かう扉を壊して侵入してきたぞ!あんな奴等どうすりゃいいんだよ!」
「慌てるな!相手は三人、多勢に無勢だ!こちらの方が有利だ!」
研究所の者達は研究者から用心棒の様な者まで、砂時計をひっくり返したような騒ぎで、騒ぐな落ち着けという声があちらこちらで聞こえる。
――ジョニー、ビル、ニッシュの三人は、研究所の奥に進みミシェルを探す。動物の様な機械のある部屋や本物の動物がいる部屋、航空機実験をしているような部屋があるがミシェルはなかなか見つからない。
その内に研究所の者達が三人に向かってきた。
「止まれーーー!!」
研究所の用心棒やガードマンの者達が、三人に襲い掛かってきた。
「どおぉりゃー!」
怒号の様な声を上げ襲ってくる敵に、まずはジョニーが相手の顎にレイピアを振り上げる。相手は「ガッ」という鈍い音と共にその場に崩れ落ちた。ジョニーは更に二人、三人と敵を倒していく。だが敵の数はなかなか減らない。
ニッシュとビルにも通路の左右から敵が襲ってくる。ニッシュはミリタリーナイフを持って襲ってきた敵の攻撃を右にかわして相手に足払いを掛けると、倒れた相手の胸に突きを浴びせる。ビルも武器を持って攻撃してくる相手の手元を狙って突きを放ち、相手の武器を叩き落すと相手の胴に突きを放つ。
ニッシュとビルの相手をした敵は「ぐぅ」と唸ってその場に倒れ込んだ。
「これは、闘いが長引きそうだな。頑張れ、ニッシュ、ビル」
ジョニーが闘いの最中励ましの言葉を掛ける。
とその時ニッシュは研究所の奥に黒い服を着た男を見かける。
(――あれは……!)
黒い服の男、黒いマントを翻して歩く、黒衣の男。黒衣の男は何処かに去ってゆく。
ニッシュは「あいつだ!いた!」と叫び、ジョニーとニッシュに伝える。
「俺とミシェルが闘って負けた、あの黒衣の男がさっきこの要塞の奥にいたんだ!」
ニッシュの発言に、ジョニーとビルが頷く。
「ミシェルは、この建物の中にいる!」
――三人は襲ってくる敵をことごとく倒していく。ジョニー、ニッシュ、ビルの猛攻を目にした研究所の者達は、驚きのあまり最終手段に出る。
「ガードマンや用心棒の者達は、下がっていろ!」
研究者の敵の者達は、銃部隊が二、三人、中小型の銃を携えて構えの姿勢を取るところだ。三人の猛攻に、研究者の敵の者達は手段を選ばない。
ジョニーはニッシュとビルに「下がっていなさい、ここは私が!」と前に出てくる。
相手が銃を放つのに合わせ、ジョニーは呼吸を整え右手にレイピアを持ち中段に構える。
バンッバンッバンッッ!
銃が放たれたその時、ジョニーは金属製のレイピアでそれをはじき返す!
キンッキンッキンッッ!
相手が放った銃の弾は、ジョニーが振るった金属製のレイピアによって叩き落された。銃部隊はそれを見て驚きおののいている。
「ジョニーさん、凄い!」
「やったぜ父ちゃん!」
ジョニーはそのまま相手の銃部隊に突っ込み攻撃を仕掛ける。その中で放たれた銃撃も金属製のレイピアで叩き落とす。そしてジョニーは銃部隊の三人に右から薙ぎ払い、突き、そしてレイピアを振り上げた攻撃を浴びせ、壊滅させた。
「ジョニーさん、よく銃の弾なんてはじき返せますね!」
「相手の視線や銃の向き、銃を手にかけて打つ瞬間を見れば、銃の弾もはじき返せる!」
ジョニーが得意げに、それでいて雄々しく解説する。
「よし、このままミシェルのいる部屋に行くぞ!GPSの反応は……」
ジョニーはミシェルの〈電話〉がある位置を確認する。地図を最大限拡大すると、奥の扉が開いている部屋に反応がある。
「よし、行くぞ!」
ジョニー、ニッシュ、ビルの三人はその部屋に飛び込もうとする。そして、
「――ミシェル!」
ミシェルを見つけた。その時ジョニーが叫ぶ。
「――!!ニッシュ、ビル!後ろに跳べ!」
三人はその声と共に後ろに跳んだ。その瞬間、
ガグァワァァァンッ!
巨大な鉄球によってその場の扉がひしゃげた。
「ほう、よく避けたな」
――黒衣の男が、ミシェルがいる研究室に立っていた。巨大な鎖鎌を持ち、ジョニー、ニッシュ、ビルの三人に攻撃してきたのだ。
「ニッシュ、スタインシェン。命は助けてやったのに、また来るとはな」
「――黒衣の男――!!」
ミシェルがいる部屋には、黒衣の男ともう一人白衣を着た妙ちくりんな研究者がいた。――エニグマ博士だ。エニグマ博士は「なんじゃ、そんな奴等、倒してしまえ!」と黒衣の男に言う。
「このミシェルという娘を返してほしくば、私を倒すのだな」
「――ミシェル!」
ニッシュはミシェルが研究用ベッドで倒れて眠っているのを見る。心が痛む。ここは絶対にミシェル奪還を成功させなければと胸に誓う。
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