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「始まり、そして旅立ち」1
襲撃7
しおりを挟む「――来い、ニッシュ・スタインシェン!」
ニッシュはまだ続く戦い、黒衣の男の強靭なタフさに気圧されながらも、黒衣の男に立ち向かっていく。
「ウォオオッッ!!」
ニッシュは再び雄叫びを上げ、黒衣の男に突きの連撃を浴びせる。
(もう一度あの技を繰り出せば、奴の左腕はもう使えないはず……)
ニッシュは闘いの最中、そう感じ考えていた。
黒衣の男はニッシュの連撃をかわし続ける。
(そう簡単には打ってこぬか、なら――)
何かを待っている黒衣の男。
黒衣の男はニッシュの連撃を木の棒で弾くと、木の棒を右手で掲げ攻撃の姿勢を取る。
そして黒衣の男の木の棒が、ニッシュに襲い掛かる、その時!
(よし、今だ!)
再びニッシュの一閃が、黒衣の男の左肩付近を狙って放たれる。
その刹那。
グガゴワッシッッ!!!
(えっ?)
ニッシュは首の辺りに、黒衣の男の木の棒がレイピア術の突きの様な勢いで投げ飛ばされ目の前が真っ暗になった。
黒衣の男がニッシュが一閃を放ち攻撃する前に、木の棒を驚異的な運びで右手から持ち替えた左手でその勢いのまま投げ飛ばし、ニッシュの首の辺りへ意識消失の大打撃を与えた。
ニッシュはそのままその場に倒れ、ビクビクと痙攣する。
「ニッシュ!?いやー!?」
ミシェルは驚愕の声を上げ、黒衣の男に抗議する。
「ニッシュが死んじゃったらどうするのよ!この人でなし!」
黒衣の男は澄ました顔でこう言い切った。
「確実に始末するほどの力では放っていない。放っておいてもそのうち目を覚ますだろう」
「本当に大丈夫なんでしょうね!?」
「ああ、勝手に目を覚ますだろう」
黒衣の男はそう言うと、近くで見ていたリーダーの男に向けてこう言い放った。
「私の役目はこれでひとまず終わりだろう。伸びている男共を叩き起こしてこの娘を〔総本部〕の〈研究所〉へ連れていけ」
「はっ!」
リーダーの男は他の三人の男達を起こした。
黒衣の男はミシェルにこう告げた。
「我々に付いてきてもらおう」
「断っても、連れて行くんでしょうね!」
「そうだな、車では少し奥まった道でな。馬車を用意しよう」
黒衣の男がそう言ってしばらくすると、ある音が聞こえてきた。
パカラッパカラッ、ゴトゴト
馬車がやってきて、ヒヒーンと馬が鳴き声を上げた。
「さぁ、乗るがよい」
「乗れ!」
ミシェルは断っても乗らされると思い渋々馬車に乗る。
馬車は、ウィングエッジの商店街を抜け、サントモス山の麓の森の方へ向かっていった。
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