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「始まり、そして旅立ち」1
ミシェルのデート1
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私がサントバーグの公園に着くと、ニッシュはもう公園の噴水“トレビの噴水”の前で私を待っていた。
トレビの噴水は願い事が叶うといわれている噴水で、昔からサントバーグの公園に来る人が、よく願いを捧げる噴水である。最近では、カップルがよく恋愛成就のために願いを捧げている。
「おはよう!ニッシュ」
「ああ、おはよう!ミシェル」
「ふふ、いよいよ待ちに待ったデートね」
「あ、ああ……」
「ニッシュは、どんなデートプランを考えてくれたの?電話で話してくれたのは、とっても素敵だったわ」
私は本心からそう言ったのだけれど、なんだかニッシュの様子が変。
「えっ!!………そ、そうだな……、―――話をまとめないと――、……サントバーグの公園には着いたから、カートンショップでお昼を食べて…………それから、ウィングエッジの商店街でショッピングをして、カフェに入って……、―――そこからがどうしても――、……う~ん……え~と……え~~と……」
言葉に詰まっている様子のニッシュに私は軽く疑問を投げかけた。
「ニッシュ、どうしたの?何か、考えごとでもあるの?」
「えっ!!―――――あ、いや、ごめん。何でもないんだ!」
「???どうしたの、ニッシュ?何で急に謝るの??」
「――~~~、…………」
「ニッシュ?」
ニッシュは私の問いに、たまらず一気に喋りだす。
「――――、ああ、もう駄目だ!ミシェル、ごめんよ!―――話してるうちに気付かれるかと思ったけれど―――、考えてくるって言っていたデートプラン……、―――考えてこなかったんだ!!」
「えーーーっっ!!!」
思いもよらないニッシュの発言に、私は間の抜けた叫び声を上げた。ニッシュは大変申し訳なさそうに話し出し、
「だから……、―――その、昨日の夜ちょっと別な考え事をしてて……今日起きてからミシェルの好きそうなこととか、この辺の話題になるデートスポットとか、今日の天気のこととかを朝、いろいろ考えたんだけれど……、―――でも、どうにも納得のいくデートプランが考えられないから、思い切ってミシェルに電話をかけて、話しながら、考えようって……思ったんだけれど……それでも考えきれなくて……サントバーグの公園に来たから、じゃあ今度はここで言おう!……って、決めたんだけれど………それでも駄目で………我ながら、無謀だよな……」
ニッシュが一生懸命になって話しているのに、私は、
「………ふ、ふふふ………あははははは!」
思わず吹き出してしまった。
「……ミ、ミシェル………!?」
「ふふ、そんなことで悩んでたの?、ニッシュ?」
「え!!じゃあ、ミシェル!」
私はニッシュがなんだか慌てている様子を眺めながら、私の本心を話してみた。
「別にいいわ、いいじゃない!さっきニッシュが話してたところまでデートを続けましょう!!考えてないことは、これから考えればいいんだもの!カフェに入ったあとは、そのとき考えましょう!」
「ミ、ミシェル!―――ミシェル、ありがとう……」
ニッシュはなんだかホッとした様子でいて、私は気を取り直して「じゃあ」と続けた。
「さぁ、デートを始めましょうよ。まずは、カートンショップに行くのよね。お昼を食べる前に、カートンショップ巡りでもしましょう!」
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