ダーク・プリンセス

ノリック

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「始まり、そして旅立ち」1

ミシェルのデート1

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    * * *


私がサントバーグの公園に着くと、ニッシュはもう公園の噴水“トレビの噴水”の前で私を待っていた。

トレビの噴水は願い事が叶うといわれている噴水で、昔からサントバーグの公園に来る人が、よく願いを捧げる噴水である。最近では、カップルがよく恋愛成就のために願いを捧げている。

「おはよう!ニッシュ」

「ああ、おはよう!ミシェル」

「ふふ、いよいよ待ちに待ったデートね」

「あ、ああ……」

「ニッシュは、どんなデートプランを考えてくれたの?電話で話してくれたのは、とっても素敵だったわ」

 私は本心からそう言ったのだけれど、なんだかニッシュの様子が変。

「えっ!!………そ、そうだな……、―――話をまとめないと――、……サントバーグの公園には着いたから、カートンショップでお昼を食べて…………それから、ウィングエッジの商店街でショッピングをして、カフェに入って……、―――そこからがどうしても――、……う~ん……え~と……え~~と……」

 言葉に詰まっている様子のニッシュに私は軽く疑問を投げかけた。

「ニッシュ、どうしたの?何か、考えごとでもあるの?」

「えっ!!―――――あ、いや、ごめん。何でもないんだ!」

「???どうしたの、ニッシュ?何で急に謝るの??」

「――~~~、…………」

「ニッシュ?」

 ニッシュは私の問いに、たまらず一気に喋りだす。

「――――、ああ、もう駄目だ!ミシェル、ごめんよ!―――話してるうちに気付かれるかと思ったけれど―――、考えてくるって言っていたデートプラン……、―――考えてこなかったんだ!!」

「えーーーっっ!!!」

思いもよらないニッシュの発言に、私は間の抜けた叫び声を上げた。ニッシュは大変申し訳なさそうに話し出し、

「だから……、―――その、昨日の夜ちょっと別な考え事をしてて……今日起きてからミシェルの好きそうなこととか、この辺の話題になるデートスポットとか、今日の天気のこととかを朝、いろいろ考えたんだけれど……、―――でも、どうにも納得のいくデートプランが考えられないから、思い切ってミシェルに電話をかけて、話しながら、考えようって……思ったんだけれど……それでも考えきれなくて……サントバーグの公園に来たから、じゃあ今度はここで言おう!……って、決めたんだけれど………それでも駄目で………我ながら、無謀だよな……」

 ニッシュが一生懸命になって話しているのに、私は、

「………ふ、ふふふ………あははははは!」

 思わず吹き出してしまった。

「……ミ、ミシェル………!?」

「ふふ、そんなことで悩んでたの?、ニッシュ?」

「え!!じゃあ、ミシェル!」

 私はニッシュがなんだか慌てている様子を眺めながら、私の本心を話してみた。

「別にいいわ、いいじゃない!さっきニッシュが話してたところまでデートを続けましょう!!考えてないことは、これから考えればいいんだもの!カフェに入ったあとは、そのとき考えましょう!」

「ミ、ミシェル!―――ミシェル、ありがとう……」

 ニッシュはなんだかホッとした様子でいて、私は気を取り直して「じゃあ」と続けた。

「さぁ、デートを始めましょうよ。まずは、カートンショップに行くのよね。お昼を食べる前に、カートンショップ巡りでもしましょう!」
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