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「始まり、そして旅立ち」1
ミシェル12
しおりを挟む「―――あの時、俺は夢に向かって突き進むって決めたんだ」
ニッシュは、打ち上げを振り返ってまた過去の決意を思い出していたようだった。
「そう……そうよね。ニッシュ、あの時すごく熱心に語っていたものね」
「それであの時、俺の尊敬している……気になっている人っていうのが、ミシェル、君だったんだ」
私はそれでニッシュの意志を悟った。
「えっ!!――じゃあ!」
「だから、俺はミシェルを尊敬してる、って思ってたんだけど、毎日ミシェルと顔を合わせるたび、すごくドキドキして……友達に相談したら、それ好きなんだろって言われて、ハッとしたんだよ。俺、尊敬してるんだ、って思ってたけど、いつの間にか気にしてるうちに、ミシェルのこと好きになってたんだなって。だから、やっぱり俺はミシェルが好きだ。自分の心にも何度も相談して、気付いたから、俺はミシェルが好きなんだってさ」
「そう……そうだったのね。ニッシュは……気持ちを大事にしたのね……」
わたしとニッシュの間に温かく優しい空気が流れた。私は嬉しくなって笑顔がこぼれて、ニッシュも微笑みを返して、私達は二人の絆を確かめていた。
ニッシュは、そして話を切り出してきた。
「ミシェル、夏休みの終わる前の週の日曜日に……、―――俺と、デートしてくれないか?」
「え、デート?」
ニッシュとは、付き合ってからデートらしいデートはまだしていなかった。私はニッシュの思いに応えようと話を聞いていた。
「ミシェルに、どうしても伝えたいことがあって。その日のデートの終わりに、俺から伝えたいんだ。ほら、デートのプランは俺が立てるから!ミシェル、頼む!!」
ニッシュがどうしてもって哀願するのに私は少し笑って、応え返した。
「そうね、いいわ。私たちの初めてのデート、楽しみにしてるわね!」
私の応えに、ニッシュはすごく喜んだ。
「良かった!ありがとう、ミシェル!!」
「ふふ、ニッシュ、ありがとう」
そして、また温かく優しい空気に私達は包まれていった……
―――私はニッシュとの学校での出来事を思い出すと、ニッシュの言葉を思い出していた。
『ミシェルに、どうしても伝えたいことがあって。その日のデートの終わりに、俺から伝えたいんだ』……
(―――あの時ニッシュが言ってた、デートの終わりに私に伝えたいっていうことって―――何だろうな――)
私はデートを楽しみにしながらも、ニッシュの言葉が気になっていたのだけれど、「よし」とサントバーグの公園に歩みを進めた。
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