9 / 45
「始まり、そして旅立ち」1
ミシェル8
しおりを挟む
「コホン。ミシェル、ちょっといいかい」
父さんがわざとらしく咳払いをする。わたしは父の呼びかけの内容が分かっていても軽くだけ返事をした。
「何、父さん?」
「―――あーー、あのだな、それだ。ニッシュのことなんだがな。彼のことは、私も知っている。なかなかいい青年じゃないか。レイピア術への熱意も、なかなかのものの様だし……しかしな、ミシェル。お前はまだ高等学校生で、年も十七だ。彼とは、節度ある交際をしていかんとな―――それからだがな……」
「まぁ、あなた、それくらいにして。ミシェルが困るじゃないの」
「しかしなぁ、お前……こういう事は」
「まぁまぁ、あなた。ミシェルも子供じゃないんだから、ニッシュに愛想を付かされることはないでしょう」
母さんの余裕の大人の対応に父さんは面食らって、
「――って、お前。そういう事じゃなくて」
後手後手に回る父さん。大丈夫、ニッシュなら真面目な好青年なのに。私だって不安がない訳ではないけれど、大丈夫よ。
「私は大丈夫よ。ニッシュとは、節度ある交際をするわ」
私はニッシュならちゃんとする自信があるのだ。
「おお!!さすが、私の娘だ!――――って、ミシェル!そういう事でもなくてな………父さんとしてはだな。お前はまだ高等学校生なんだから、誰かと付き合うとか、そういう事はだな。何というか、あーー」
「――って、父さんさぁ。父さんと母さんも、付き合いだしたのは大学生の頃なんだろ?だったらさぁ」
しどろもどろになる父さんにビルがもっともな事を言う。父さんだって若いうちに母さんと付き合いだしてるのにね、うん。
「大学生と高等学校生とではだな―――かなりの違いがあるというか―――何というか……、―――とにかくだ!!ミシェル!ニッシュとは、仲良くしていくのはいいが―――これまで通りというか――、……友達として付き合うことは出来んのかね?」
「何だよ?それ?」
ビルの?マークが飛び出してきた発言に父さんは自分の気持ちが整理できないようで、
「ビルは黙ってなさい」
「ひえ」
「はいはい、それ位にして―――だから、あなた、ミシェルももう子供じゃないんだから、ニッシュと付き合うことは認めてくださいね」
母さんがお開きとばかりに話に終止符を打ってきた。
「お、お前。でも――――それは……」
父さんが哀願したけれど、母は父を〈キッ〉と睨んだ。父はうなだれて、ナイフとフォークをそっとテーブルに置いた。
「……ごちそう様…………食べ終わったから、レイピア術の鍛錬を―――する前に―――ちょっと機械に触れてくる……」
「はい、あまり夢中になりすぎないでくださいね」
「ふふふ――あの×××を、×××して………しかし、ミシェルのことは気になるが………母さんの言うことも……。ハ、ハハハ……、―――そうだ!私には機械がある!あれを、こうして、そうして……ふ、ふふふ………ふふふふふ!」
「……あ~あ。父さん、スイッチ入っちゃったよ」
父さんと母さんは普段から仲が良いのだけれど、この時(父の〈機械いじり〉が始まる時)は母さんはいつも面食らってしまう……誰にでも、人に素直に自慢できないことはあるわよね……父さん……
「ああなると、しばらくは戻ってこられないわね―――ああ、私の素敵なあの人が、また……」
「父さんがああなる時は、何かあるときだから。今回も、私の事を心配してくれたからだし……」
「あの人の事は放っておけば、またいつも通りになるわよ―――それよりミシェル、今日はニッシュとのデートの日よね?彼とはどんな感じでいるの?」
母さんの私のボーイフレンドへの興味の発言。私はニッシュの事を思い浮かべて少し笑みを浮かべて言った。
「―――そうね。ニッシュは優しいし、思いやりがあるし……一緒にいて楽しいわ――さっき電話で話した時も、私を笑わせてくれたし――」
「そう、あなたは快活で明るいし、レイピア術もやっていて社交性もあるわ。ミシェルならきっといい恋愛ができるわ。頑張ってね、ミシェル!」
「うん!ありがとう、母さん!―――ごちそうさま。私、自分の部屋に行って、出掛ける準備してくるね!」
「ふふ、ミシェル。うまくやるのよ!」
父さんがわざとらしく咳払いをする。わたしは父の呼びかけの内容が分かっていても軽くだけ返事をした。
「何、父さん?」
「―――あーー、あのだな、それだ。ニッシュのことなんだがな。彼のことは、私も知っている。なかなかいい青年じゃないか。レイピア術への熱意も、なかなかのものの様だし……しかしな、ミシェル。お前はまだ高等学校生で、年も十七だ。彼とは、節度ある交際をしていかんとな―――それからだがな……」
「まぁ、あなた、それくらいにして。ミシェルが困るじゃないの」
「しかしなぁ、お前……こういう事は」
「まぁまぁ、あなた。ミシェルも子供じゃないんだから、ニッシュに愛想を付かされることはないでしょう」
母さんの余裕の大人の対応に父さんは面食らって、
「――って、お前。そういう事じゃなくて」
後手後手に回る父さん。大丈夫、ニッシュなら真面目な好青年なのに。私だって不安がない訳ではないけれど、大丈夫よ。
「私は大丈夫よ。ニッシュとは、節度ある交際をするわ」
私はニッシュならちゃんとする自信があるのだ。
「おお!!さすが、私の娘だ!――――って、ミシェル!そういう事でもなくてな………父さんとしてはだな。お前はまだ高等学校生なんだから、誰かと付き合うとか、そういう事はだな。何というか、あーー」
「――って、父さんさぁ。父さんと母さんも、付き合いだしたのは大学生の頃なんだろ?だったらさぁ」
しどろもどろになる父さんにビルがもっともな事を言う。父さんだって若いうちに母さんと付き合いだしてるのにね、うん。
「大学生と高等学校生とではだな―――かなりの違いがあるというか―――何というか……、―――とにかくだ!!ミシェル!ニッシュとは、仲良くしていくのはいいが―――これまで通りというか――、……友達として付き合うことは出来んのかね?」
「何だよ?それ?」
ビルの?マークが飛び出してきた発言に父さんは自分の気持ちが整理できないようで、
「ビルは黙ってなさい」
「ひえ」
「はいはい、それ位にして―――だから、あなた、ミシェルももう子供じゃないんだから、ニッシュと付き合うことは認めてくださいね」
母さんがお開きとばかりに話に終止符を打ってきた。
「お、お前。でも――――それは……」
父さんが哀願したけれど、母は父を〈キッ〉と睨んだ。父はうなだれて、ナイフとフォークをそっとテーブルに置いた。
「……ごちそう様…………食べ終わったから、レイピア術の鍛錬を―――する前に―――ちょっと機械に触れてくる……」
「はい、あまり夢中になりすぎないでくださいね」
「ふふふ――あの×××を、×××して………しかし、ミシェルのことは気になるが………母さんの言うことも……。ハ、ハハハ……、―――そうだ!私には機械がある!あれを、こうして、そうして……ふ、ふふふ………ふふふふふ!」
「……あ~あ。父さん、スイッチ入っちゃったよ」
父さんと母さんは普段から仲が良いのだけれど、この時(父の〈機械いじり〉が始まる時)は母さんはいつも面食らってしまう……誰にでも、人に素直に自慢できないことはあるわよね……父さん……
「ああなると、しばらくは戻ってこられないわね―――ああ、私の素敵なあの人が、また……」
「父さんがああなる時は、何かあるときだから。今回も、私の事を心配してくれたからだし……」
「あの人の事は放っておけば、またいつも通りになるわよ―――それよりミシェル、今日はニッシュとのデートの日よね?彼とはどんな感じでいるの?」
母さんの私のボーイフレンドへの興味の発言。私はニッシュの事を思い浮かべて少し笑みを浮かべて言った。
「―――そうね。ニッシュは優しいし、思いやりがあるし……一緒にいて楽しいわ――さっき電話で話した時も、私を笑わせてくれたし――」
「そう、あなたは快活で明るいし、レイピア術もやっていて社交性もあるわ。ミシェルならきっといい恋愛ができるわ。頑張ってね、ミシェル!」
「うん!ありがとう、母さん!―――ごちそうさま。私、自分の部屋に行って、出掛ける準備してくるね!」
「ふふ、ミシェル。うまくやるのよ!」
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
転生悪役令嬢の対策講座〜物語開始後、秒で復讐成功させるには〜
おず。
ファンタジー
濡れ衣を着せられた悪役令嬢が処刑され、回帰して裏切り者達に復讐する──。
というよくある話の漫画に間違えて転生させられた私。作品をよく知らないと話す私に、神様が「エリート悪女軍団によるフラグ対策講座」を受けさせてくれることになった。
こうなったら物語開始まで1年半、きっちり対策して開始5分で復讐完了してみせる…!!
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
アルバートの屈辱
プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。
『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる