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「始まり、そして旅立ち」1
ミシェル6
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トゥルルルル――トゥルルルル――
私の〈電話〉に、着信が入った。
『ああ、俺。ミシェル―――ニッシュだけれど』
『おはよう、ニッシュ!いいお天気ね。まだ朝だけれど、暑いくらいだわ!』
私は、今日はせっかくの初デートなので、楽しむためにも思いっきり明るく振舞おうと思っていつもより大きな声で挨拶をした。
『あ―――おはよう、ミシェル―――ミシェル――ミシェルは、元気だな』
ニッシュはいつもよりずっと快活で大きな私の声に少し戸惑ったのだけれど、すぐに落ち着いて返答をした。そして、少し考え込むようにして話し出した。
『―――そうだな―――今日は天気もいいし、サントバーグの公園にでも行ってみるか、うん。―――今は夏休みだし、ワゴン販売のカートンショップも結構いるだろうから―――そこで昼食でも取りながら、いろんな話をしたいな―――それから―――ミシェルはショッピングも好きだから―――ウィングエッジの商店街に行って―――お金はないから―――ウィンドウショッピングでもして歩こうか――』
『――へぇ、素敵ね―――それから?』
ニッシュが楽しそうに今日のデートの計画を話しているのに私はうっとりとした。……だけれど、ニッシュが話を続けて……
『そうだな……ウィンドウショッピングをして歩いている頃には、小腹も空いてくるだろから……カフェにでも入ってお茶でも飲んで――うーん、それから……えーと……えーと……』
『―――??ニッシュ、どうしたの?――??なんだか言葉に……詰まってるようだけれど??』
『え!?ミシェル!―――いや、何でもないんだ!……そう、そうだ!今!!今から、サントバーグの公園に行かないかい!?』
『えっ?今から?』
私はニッシュの思いがけない発言に少し驚いた。まだ朝の七時だったから……
『ニッシュ、それはちょっと待ってね。だって私、さっき起きてから、今電話が来たばかりで、まだ朝食も食べてないんだもの。会うにしても、十時か、早くても九時くらいがいいんじゃない?』
私は、至極もっともな意見を言ったつもりなのだけれど、ニッシュはびっくりして慌てて、
『え!?あっ、ああっ!!そうだよね!俺、そんなことも気にかけないなんて。だ、駄目だなぁ~~!!』
って、しどろもどろになって返答した。――それで私は、なんだか可笑しくなって聞いてみた。
『クスクス、どうしたの、ニッシュ?デートが楽しみで、いてもたってもいられないんじゃないの?』
『あ、……あはは!!―――そ、そうなんだよね!お、俺、デートが楽しみで―――ちょっと、気が逸ってるのかもな!!!』
『ふふ、ニッシュったら。そんなに慌てて今日のことを考えなくてもいいじゃないの―――そう、でも、楽しみよね!初めてのデートなんだし、楽しまなきゃね、ニッシュ!』
ニッシュが、デートが楽しみで仕方がないのだと感じた私は、ニッシュの急いた気持ちを窘めたのだけれど、私もその気持ちが分かるから、一緒にデートを楽しもうとニッシュに申し出た。そして私もうきうきした気分で、今日のことを考えて話を続けた。
『じゃあ、ニッシュの言うように、サントバーグの公園で待ち合わせでいいかしら?今すぐ会うのにはまだ早過ぎるから、朝食を食べて、九時か、十時に待ち合わせはどう?ニッシュが早く会いたいっていうのなら、九時に待ち合わせでいいのだけれど?』
『え!!あ、ああ、そうだな。俺は十時に待ち合わせでいいよ!うん。サントバーグの公園に十時に待ち合わせで!』
『――そうね、サントバーグの公園に十時に待ち合わせね。それでいいのね。分かったわ、ニッシュ!じゃあ、私は朝ご飯を食べるから、その後準備をして、サントバーグの公園で会いましょう。ニッシュもご飯まだよね?ちゃんと食べてから会いましょうね。朝ご飯は一日の活力の源よ』
『――――!!………、―――はは、もちろんだよ!ミシェル!ご飯を食べないと、ミシェルのようにレイピア術が強くなれないからね!』
ニッシュの突然の発言。私はニッシュの気持ちに感付いたのだけれど、少し怒声を混じらせてニッシュに言う。
『何よ?それ?確かにレイピア術が強くなる為には、ご飯を食べることは必要だけれど―――私のようにって……、――もう、ニッシュ!』
『だって確かにミシェルは、レイピア術がすごく強いじゃないか』
『まぁ、確かにそれはそうよね……』
『………』
『………』
……沈黙………
『―――クス!くすくす!』『―――あは!あははは!』
沈黙の後、ニッシュの私への気の利いた冗談に、私達は思わず噴き出してしまった。
ニッシュの、普通の女の子へは冗談にならない冗談も、私にとっては褒め言葉である。私はレイピア術が強いことが自慢なのだ。
『クス、可笑しいわね!―――朝から笑っちゃった!』
『あはは、……ミシェルも冗談に乗ってくれるから、思わず調子に乗っちゃったよ』
『くすくす―――じゃあニッシュ、サントバーグの公園で十時に会いましょう―――ふふ。朝ごはん、ちゃんと食べてくるのよ』
『ミシェル。食べてくるよ!それじゃ、サントバーグの公園に十時に待ち合わせで!では、電話を切りますよ、ミシェル』
『またね、ニッシュ』
『それじゃ、ミシェル』
ぷつっ、
ニッシュは電話を切った。
私の〈電話〉に、着信が入った。
『ああ、俺。ミシェル―――ニッシュだけれど』
『おはよう、ニッシュ!いいお天気ね。まだ朝だけれど、暑いくらいだわ!』
私は、今日はせっかくの初デートなので、楽しむためにも思いっきり明るく振舞おうと思っていつもより大きな声で挨拶をした。
『あ―――おはよう、ミシェル―――ミシェル――ミシェルは、元気だな』
ニッシュはいつもよりずっと快活で大きな私の声に少し戸惑ったのだけれど、すぐに落ち着いて返答をした。そして、少し考え込むようにして話し出した。
『―――そうだな―――今日は天気もいいし、サントバーグの公園にでも行ってみるか、うん。―――今は夏休みだし、ワゴン販売のカートンショップも結構いるだろうから―――そこで昼食でも取りながら、いろんな話をしたいな―――それから―――ミシェルはショッピングも好きだから―――ウィングエッジの商店街に行って―――お金はないから―――ウィンドウショッピングでもして歩こうか――』
『――へぇ、素敵ね―――それから?』
ニッシュが楽しそうに今日のデートの計画を話しているのに私はうっとりとした。……だけれど、ニッシュが話を続けて……
『そうだな……ウィンドウショッピングをして歩いている頃には、小腹も空いてくるだろから……カフェにでも入ってお茶でも飲んで――うーん、それから……えーと……えーと……』
『―――??ニッシュ、どうしたの?――??なんだか言葉に……詰まってるようだけれど??』
『え!?ミシェル!―――いや、何でもないんだ!……そう、そうだ!今!!今から、サントバーグの公園に行かないかい!?』
『えっ?今から?』
私はニッシュの思いがけない発言に少し驚いた。まだ朝の七時だったから……
『ニッシュ、それはちょっと待ってね。だって私、さっき起きてから、今電話が来たばかりで、まだ朝食も食べてないんだもの。会うにしても、十時か、早くても九時くらいがいいんじゃない?』
私は、至極もっともな意見を言ったつもりなのだけれど、ニッシュはびっくりして慌てて、
『え!?あっ、ああっ!!そうだよね!俺、そんなことも気にかけないなんて。だ、駄目だなぁ~~!!』
って、しどろもどろになって返答した。――それで私は、なんだか可笑しくなって聞いてみた。
『クスクス、どうしたの、ニッシュ?デートが楽しみで、いてもたってもいられないんじゃないの?』
『あ、……あはは!!―――そ、そうなんだよね!お、俺、デートが楽しみで―――ちょっと、気が逸ってるのかもな!!!』
『ふふ、ニッシュったら。そんなに慌てて今日のことを考えなくてもいいじゃないの―――そう、でも、楽しみよね!初めてのデートなんだし、楽しまなきゃね、ニッシュ!』
ニッシュが、デートが楽しみで仕方がないのだと感じた私は、ニッシュの急いた気持ちを窘めたのだけれど、私もその気持ちが分かるから、一緒にデートを楽しもうとニッシュに申し出た。そして私もうきうきした気分で、今日のことを考えて話を続けた。
『じゃあ、ニッシュの言うように、サントバーグの公園で待ち合わせでいいかしら?今すぐ会うのにはまだ早過ぎるから、朝食を食べて、九時か、十時に待ち合わせはどう?ニッシュが早く会いたいっていうのなら、九時に待ち合わせでいいのだけれど?』
『え!!あ、ああ、そうだな。俺は十時に待ち合わせでいいよ!うん。サントバーグの公園に十時に待ち合わせで!』
『――そうね、サントバーグの公園に十時に待ち合わせね。それでいいのね。分かったわ、ニッシュ!じゃあ、私は朝ご飯を食べるから、その後準備をして、サントバーグの公園で会いましょう。ニッシュもご飯まだよね?ちゃんと食べてから会いましょうね。朝ご飯は一日の活力の源よ』
『――――!!………、―――はは、もちろんだよ!ミシェル!ご飯を食べないと、ミシェルのようにレイピア術が強くなれないからね!』
ニッシュの突然の発言。私はニッシュの気持ちに感付いたのだけれど、少し怒声を混じらせてニッシュに言う。
『何よ?それ?確かにレイピア術が強くなる為には、ご飯を食べることは必要だけれど―――私のようにって……、――もう、ニッシュ!』
『だって確かにミシェルは、レイピア術がすごく強いじゃないか』
『まぁ、確かにそれはそうよね……』
『………』
『………』
……沈黙………
『―――クス!くすくす!』『―――あは!あははは!』
沈黙の後、ニッシュの私への気の利いた冗談に、私達は思わず噴き出してしまった。
ニッシュの、普通の女の子へは冗談にならない冗談も、私にとっては褒め言葉である。私はレイピア術が強いことが自慢なのだ。
『クス、可笑しいわね!―――朝から笑っちゃった!』
『あはは、……ミシェルも冗談に乗ってくれるから、思わず調子に乗っちゃったよ』
『くすくす―――じゃあニッシュ、サントバーグの公園で十時に会いましょう―――ふふ。朝ごはん、ちゃんと食べてくるのよ』
『ミシェル。食べてくるよ!それじゃ、サントバーグの公園に十時に待ち合わせで!では、電話を切りますよ、ミシェル』
『またね、ニッシュ』
『それじゃ、ミシェル』
ぷつっ、
ニッシュは電話を切った。
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