ダーク・プリンセス

ノリック

文字の大きさ
上 下
6 / 45
「始まり、そして旅立ち」1

ミシェル5

しおりを挟む
―――幾日か経った日の日曜日の朝、光が、カーテン越しに差して明るくなってきた。チッチッという、小鳥のさえずりが聞こえる。私は朝になったのが分かると、ベッドから起き上がりパジャマから普段着に着替え始めた。

(今日は―――ニッシュとの――デートの日……)

私は不安と期待の中で、昨夜選んだお気に入りの服(青が基調のひらひらのシャツに、短く切ってある白いジーンズ)を着た私を鏡で確認すると、ベッドに座り込んだ。

(ニッシュは、どんなデートを考えているのかしら……?)



ニッシュとは、中等学校からの同級生である。

彼とは初めてのクラスから一緒だった。最初のうちは、男の子、女の子、それぞれで行動していて、彼の事はあまり分からなかった。でも、やっぱり男の子側からも女の子側からも打ち解けていく者はいて、クラスは次第に仲が良くなっていった。その上、私はレイピア術もやっていたので、「男の子顔負けの力自慢」(それはちょっと複雑ではあるけれど)なんて冗談めかして言われるぐらい、男の子の中にも打ち解けていった。

そんな中に、ニッシュがいた。

私は自分の家で父から習う他に、中等学校のレイピア術部にも入っていたのだけれど、そのレイピア術部にはニッシュもいて毎日顔を合わせていた。ニッシュは小等学校時代にレイピア術を知って、学校のレイピア術部を中心に活動していたようだ。

中等学校でのレイピア術の練習で私とニッシュが初対戦したとき、私はニッシュを圧巻してしまった。ニッシュは悔しそうに歯を食いしばって、「ありがとうございました」と一礼した。

私はその後、ニッシュと話をする機会があって、その時の話題になるとニッシュは、「あんなに強い女の子がいるなんて、信じられなかったよ。俺もまだまだだなぁ」って、振り返っていたっけ。

二年生の時もニッシュとはクラスが一緒で、その頃には、私達は普段のことを飾らずに喋っていた。

三年生の時はクラスが違っていたけれど、その当時、私はそのことを気にすることはなかった。

そんな時、他校のレイピア術部との二校対抗試合の団体戦があった日。私は学校では敵がいないほど強いのだけれど、その団体戦はニッシュが一緒のチームだった。

その対抗試合、大将の私は無難に勝ったのだけれど、中将に初めて抜擢されたニッシュは苦戦した。でも、際どい相手の突きを、体を反転させながらかわして放った、槍術と剣術を融合させたレイピア術ならではの見事な相手の左肩への一閃で逆転勝ちして、その勝負を終えた。

団体戦は五人で対抗戦をするのだけれど、その試合は三勝二敗と勝ち越した。



「今日の対抗試合の、勝利を祝って、――――乾杯!!」

「かんぱーーーい!!!」

二校対抗試合が終わった後、打ち上げがあった……
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

アルバートの屈辱

プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。 『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

転生悪役令嬢の対策講座〜物語開始後、秒で復讐成功させるには〜

おず。
ファンタジー
濡れ衣を着せられた悪役令嬢が処刑され、回帰して裏切り者達に復讐する──。 というよくある話の漫画に間違えて転生させられた私。作品をよく知らないと話す私に、神様が「エリート悪女軍団によるフラグ対策講座」を受けさせてくれることになった。 こうなったら物語開始まで1年半、きっちり対策して開始5分で復讐完了してみせる…!!

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

処理中です...