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第二章 悪魔退治
43:金色の悪魔(3) *side ジェフリー
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「頼む。今は何も言わずに合わせてくれ。頼む。後生だから……」
俺に飛びついたヘレナは俺の耳元でそう囁いた。
いつも強気で、怖いものなんて何もなかった彼女の怯えた様子から、何かただならぬ事情があるのだと悟った。
「大丈夫だから。落ち着け」
俺は小声でヘレナに伝えた。そして彼女の背中に手を回し、さすってやった。
別に他意はなかった。ただ、安心させてやりたかっただけだった。
嫌いになったわけではなかったから。かつては愛していた人だから。だからつい、優しくしてしまった。
でもそれは良くない事だった。
少なくとも、この状況では絶対にやってはならぬ事だった。
俺がどれほどヘレナを愛していたかを知っているミュリエルの前では、絶対に。
「……っ!?」
ミュリエルの瞳から光が消えた。
「ち、違う!」
俺はすぐにヘレナを突き放す。そしてミュリエルと目線をあわせるように屈んで、彼女の頬を両手で包み込んだ。
「違う、ミュリエル。違うんだ」
まるで、浮気した男が言い訳をしているみたいだ。ミュリエルはただ呆然と、無機質な目で俺を見つめた。
「何がですか?」
口元だけが笑みを浮かべている。チグハグなその表情に俺は背筋が凍った。
「公子様、これからはソレを身代わりにする必要などありませんわ」
「ジェフリー、正当な血筋のブラッドレイ家の娘がそこにいるのです。全てを元に戻すだけで、我が家の高貴な血は守られ、丸く収まるのです」
夫人が、お祖母様が口々に言う。
丸く収まる?何が?どの辺が?
わけがわからない。コイツらの言う事は何一つ理解できない。
「さっきから黙って聞いていれば……」
「黙れ、クソババア!!」
「………え?」
俺の言いたかった言葉を横から掻っ攫ったのは母上だった。
母上はお祖母様に近づくと、手を大きく振りかぶり、力の限りに平手打ちをした。
バチンッと頬を打つ音が広いエントランスに反響する。
近くにいたこの屋敷の執事はよろけたお祖母様を支え、母上をキッと睨んだ。
「エリアーナ様!何をなさるのですか!?」
「血筋血筋と……。自分は大した血筋でもないくせに、偉そうにしないでちょうだい!わたくしはむしろ、わたくしの大切なミュリエルに、人をソレ呼ばわりするような無礼な女の血が入っていなくて心底安心しました!ああ、本当によかった!!」
「こ、この、小娘がぁ!!」
まさかの仕打ちにカッとなったお祖母様は、手に持っていた杖を振りかざす。
そして母上目掛けて、一気に振り下ろした。
「母上!」
咄嗟に体が動く。
だがそれは、ミュリエルも同じだった。
「ミュリエル!?」
ミュリエルは母上を庇うように前に出た。
嫌な殴打音と共に彼女は吹き飛ばされ、大理石の床に体を強く打ち付けた。
「きゃあ!ミュリエル!!」
「ミュリエル、大丈夫か!!」
俺は慌てて駆け寄り、ミュリエルを抱きかかえた。
彼女はううっ、と苦しそうな声を漏らす。
「しっかりしろ!ミュリ……エル……?」
ふと頭に触れた瞬間、ヌルッとした感触がした。嫌な予感がする。
俺は自分の手を確認した。
案の定、手には血がべっとりとついていた。
「い、医者だ!医者を呼べ!!」
俺は叫んだ。だが、エントランスは静まり返る。使用人は誰一人として動かない。
ふざけるな。ここはオーレンドルフの屋敷ではなかったのか。
「ジェフリー。医者は私が呼ぼう」
父上は俺の肩を叩き、すぐに領地から連れてきた従者に指示を出した。彼は急いで医者を探しに行った。
「はあ……」
父上の大きなため息がこだまする。首都の使用人たちはビクリと体をこわばらせた。
「お前たち、今すぐに荷物をまとめて出て行け」
父上は使用人たちに向き直ると、そう命じた。こんな風に青筋を立てて怒りを露わにする父の姿は長らく見ていない。
「なっ!?旦那様!?」
「自分の主人が誰なのかも理解していない使用人など、私はいらない」
首都の屋敷を管理しているのはお祖母様だが、使用人たちを雇っているのは父上だ。彼らの給金を払っているのも父上で、彼らが雇用契約を結んだ相手も父上。お祖母様ではない。
「ルードヴィッヒ。そんな、急に解雇だなんて……」
「では貴女が個人的に雇って差し上げればよろしいのでは?母上」
そんな金があるのなら、な。
父上はお祖母様を見下ろし、鼻で笑った。
浪費癖のあるお祖母様の私的財産などしれている。これだけの数の使用人を雇う余裕すらないだろうし、そもそもこの人は使用人に金を使うことを厭う。だからこんなにも質の悪い奴らが揃うのだ。
お祖母様は横暴だ。私はお前の母親だぞ、と顔を真っ赤にして怒った。
「まあまあ、喧嘩なさらないで?」
夫人はコロコロと笑いながらお祖母様を宥めると、パチンと音を鳴らして扇を閉じた。
俺の腕の中で意識を失っていたミュリエルは、その音に反応するかのように目を開けた。
「ミュリエル。お前のせいでオーレンドルフ家の皆様がお困りよ?」
夫人はニッコリと不気味な笑みを浮かべ、ミュリエルに話しかける。
するとミュリエルは頭を抑え、よろよろとしながらし立ち上がった。
「どこへ行くんだ。頭を打っているのだから横になっていた方がいい」
俺はミュリエルの腕を掴もうと手を伸ばす。
けれど、彼女はそっと俺の手を避けた。
そしてゆらゆらとブラッドレイ夫人の元へ行く。
夫人はそんな彼女を嬉しそうに見つめ、近くに来た瞬間、何の前触れもなく閉じた扇でミュリエルの頬を殴った。
「ミュリエル!?」
ミュリエルはまた、倒れて床に体を打ちつける。
俺は彼女に駆け寄ろうと立ち上がった。
だが、ヘレナはそんな俺の袖を掴み、引き止める。
「ダメだ。堪えてくれ」
「はあ!?」
「母様は今すごく怒っている。ミュリエルが誰かに守られていることが気に食わないんだ。だから今助けたりしたらきっと母様はこの後、屋敷に帰ってからあの子にもっと酷い罰を与える」
「は?何を言ってるんだよ!?」
この後なんてない。ミュリエルが夫人とともにブラッドレイ家の屋敷に行くことなんてない。
俺は妹が殴られているのに静観しようとするヘレナが信じられなくて、彼女の手を振り払った。
「さあ、ミュリエル。皆さんに謝罪しなさい。悪いことをしたのだから、ちゃんと謝らないと。ねぇ?」
「……はい」
ミュリエルは言われるがまま、膝をつき、額を床に擦りつける。
「公子様を誘惑してごめんなさい。色目を使ってごめんさい。ふしだらな女でごめんなさい。汚い血でごめんなさい。汚い人間でごめんなさい……」
「ミュリエル、何をして……」
「汚い髪をしていてごめんなさい。産まれてきてごめんなさい。生きていてごめんなさい。幸せになろうとしてごめんなさい……」
淡々と自分という存在を否定しながら謝り続けるミュリエルに、俺も両親も一瞬動けなかった。
「声が小さいわ、ミュリエル」
夫人がミュリエルの手をヒールで踏む。
「……うぐっ」
ミュリエルは痛みで声を上げぬよう、唇を噛み締めた。
俺は彼女の小さな小さな呻き声にハッとして、夫人を勢いよく突き飛ばした。
よろけて転んだ夫人は何をするのだと叫んでいたが、そんなの知らない。
「ミュリエル、もうやめろ。顔を上げてくれ」
俺は尚も謝罪を続けるミュリエルを抱きしめ、この状況を静観し続けるヘレナを見上げた。
ヘレナはミュリエルと同じように口元にだけ笑みを浮かべて、小さく震えていた。
「……うそだろ?これが日常だったなんて言わないよな?」
俺は頭を鈍器で殴られたような衝撃を受けた。
ああ、どうして気がつかなかったのだろう。
心のどこかで、ブラッドレイ家に違和感を感じていたのに、何故その考えに至らなかったのだろう。
ヘレナがミュリエルに護身術を教えた理由も、
ミュリエルが庶民のパンを好む理由も、
侍女も連れずにその身一つで嫁いできた理由も、
極端に荷物が少なかった理由も、痩せていた理由も、
何かミスをした時、鞭打ちを待つかのように手のひらを見せる理由も、
ミュリエルを構築する全てがヘレナである理由も、
ミュリエルの話にヘレナ以外の家族が出てこない理由も。
全部全部、ここにあった。
「金色の悪魔……」
ミュリエルがよく見る悪夢。
俺はようやく気がついた。
金色の悪魔は、ブラッドレイ侯爵夫人のことだ。
俺に飛びついたヘレナは俺の耳元でそう囁いた。
いつも強気で、怖いものなんて何もなかった彼女の怯えた様子から、何かただならぬ事情があるのだと悟った。
「大丈夫だから。落ち着け」
俺は小声でヘレナに伝えた。そして彼女の背中に手を回し、さすってやった。
別に他意はなかった。ただ、安心させてやりたかっただけだった。
嫌いになったわけではなかったから。かつては愛していた人だから。だからつい、優しくしてしまった。
でもそれは良くない事だった。
少なくとも、この状況では絶対にやってはならぬ事だった。
俺がどれほどヘレナを愛していたかを知っているミュリエルの前では、絶対に。
「……っ!?」
ミュリエルの瞳から光が消えた。
「ち、違う!」
俺はすぐにヘレナを突き放す。そしてミュリエルと目線をあわせるように屈んで、彼女の頬を両手で包み込んだ。
「違う、ミュリエル。違うんだ」
まるで、浮気した男が言い訳をしているみたいだ。ミュリエルはただ呆然と、無機質な目で俺を見つめた。
「何がですか?」
口元だけが笑みを浮かべている。チグハグなその表情に俺は背筋が凍った。
「公子様、これからはソレを身代わりにする必要などありませんわ」
「ジェフリー、正当な血筋のブラッドレイ家の娘がそこにいるのです。全てを元に戻すだけで、我が家の高貴な血は守られ、丸く収まるのです」
夫人が、お祖母様が口々に言う。
丸く収まる?何が?どの辺が?
わけがわからない。コイツらの言う事は何一つ理解できない。
「さっきから黙って聞いていれば……」
「黙れ、クソババア!!」
「………え?」
俺の言いたかった言葉を横から掻っ攫ったのは母上だった。
母上はお祖母様に近づくと、手を大きく振りかぶり、力の限りに平手打ちをした。
バチンッと頬を打つ音が広いエントランスに反響する。
近くにいたこの屋敷の執事はよろけたお祖母様を支え、母上をキッと睨んだ。
「エリアーナ様!何をなさるのですか!?」
「血筋血筋と……。自分は大した血筋でもないくせに、偉そうにしないでちょうだい!わたくしはむしろ、わたくしの大切なミュリエルに、人をソレ呼ばわりするような無礼な女の血が入っていなくて心底安心しました!ああ、本当によかった!!」
「こ、この、小娘がぁ!!」
まさかの仕打ちにカッとなったお祖母様は、手に持っていた杖を振りかざす。
そして母上目掛けて、一気に振り下ろした。
「母上!」
咄嗟に体が動く。
だがそれは、ミュリエルも同じだった。
「ミュリエル!?」
ミュリエルは母上を庇うように前に出た。
嫌な殴打音と共に彼女は吹き飛ばされ、大理石の床に体を強く打ち付けた。
「きゃあ!ミュリエル!!」
「ミュリエル、大丈夫か!!」
俺は慌てて駆け寄り、ミュリエルを抱きかかえた。
彼女はううっ、と苦しそうな声を漏らす。
「しっかりしろ!ミュリ……エル……?」
ふと頭に触れた瞬間、ヌルッとした感触がした。嫌な予感がする。
俺は自分の手を確認した。
案の定、手には血がべっとりとついていた。
「い、医者だ!医者を呼べ!!」
俺は叫んだ。だが、エントランスは静まり返る。使用人は誰一人として動かない。
ふざけるな。ここはオーレンドルフの屋敷ではなかったのか。
「ジェフリー。医者は私が呼ぼう」
父上は俺の肩を叩き、すぐに領地から連れてきた従者に指示を出した。彼は急いで医者を探しに行った。
「はあ……」
父上の大きなため息がこだまする。首都の使用人たちはビクリと体をこわばらせた。
「お前たち、今すぐに荷物をまとめて出て行け」
父上は使用人たちに向き直ると、そう命じた。こんな風に青筋を立てて怒りを露わにする父の姿は長らく見ていない。
「なっ!?旦那様!?」
「自分の主人が誰なのかも理解していない使用人など、私はいらない」
首都の屋敷を管理しているのはお祖母様だが、使用人たちを雇っているのは父上だ。彼らの給金を払っているのも父上で、彼らが雇用契約を結んだ相手も父上。お祖母様ではない。
「ルードヴィッヒ。そんな、急に解雇だなんて……」
「では貴女が個人的に雇って差し上げればよろしいのでは?母上」
そんな金があるのなら、な。
父上はお祖母様を見下ろし、鼻で笑った。
浪費癖のあるお祖母様の私的財産などしれている。これだけの数の使用人を雇う余裕すらないだろうし、そもそもこの人は使用人に金を使うことを厭う。だからこんなにも質の悪い奴らが揃うのだ。
お祖母様は横暴だ。私はお前の母親だぞ、と顔を真っ赤にして怒った。
「まあまあ、喧嘩なさらないで?」
夫人はコロコロと笑いながらお祖母様を宥めると、パチンと音を鳴らして扇を閉じた。
俺の腕の中で意識を失っていたミュリエルは、その音に反応するかのように目を開けた。
「ミュリエル。お前のせいでオーレンドルフ家の皆様がお困りよ?」
夫人はニッコリと不気味な笑みを浮かべ、ミュリエルに話しかける。
するとミュリエルは頭を抑え、よろよろとしながらし立ち上がった。
「どこへ行くんだ。頭を打っているのだから横になっていた方がいい」
俺はミュリエルの腕を掴もうと手を伸ばす。
けれど、彼女はそっと俺の手を避けた。
そしてゆらゆらとブラッドレイ夫人の元へ行く。
夫人はそんな彼女を嬉しそうに見つめ、近くに来た瞬間、何の前触れもなく閉じた扇でミュリエルの頬を殴った。
「ミュリエル!?」
ミュリエルはまた、倒れて床に体を打ちつける。
俺は彼女に駆け寄ろうと立ち上がった。
だが、ヘレナはそんな俺の袖を掴み、引き止める。
「ダメだ。堪えてくれ」
「はあ!?」
「母様は今すごく怒っている。ミュリエルが誰かに守られていることが気に食わないんだ。だから今助けたりしたらきっと母様はこの後、屋敷に帰ってからあの子にもっと酷い罰を与える」
「は?何を言ってるんだよ!?」
この後なんてない。ミュリエルが夫人とともにブラッドレイ家の屋敷に行くことなんてない。
俺は妹が殴られているのに静観しようとするヘレナが信じられなくて、彼女の手を振り払った。
「さあ、ミュリエル。皆さんに謝罪しなさい。悪いことをしたのだから、ちゃんと謝らないと。ねぇ?」
「……はい」
ミュリエルは言われるがまま、膝をつき、額を床に擦りつける。
「公子様を誘惑してごめんなさい。色目を使ってごめんさい。ふしだらな女でごめんなさい。汚い血でごめんなさい。汚い人間でごめんなさい……」
「ミュリエル、何をして……」
「汚い髪をしていてごめんなさい。産まれてきてごめんなさい。生きていてごめんなさい。幸せになろうとしてごめんなさい……」
淡々と自分という存在を否定しながら謝り続けるミュリエルに、俺も両親も一瞬動けなかった。
「声が小さいわ、ミュリエル」
夫人がミュリエルの手をヒールで踏む。
「……うぐっ」
ミュリエルは痛みで声を上げぬよう、唇を噛み締めた。
俺は彼女の小さな小さな呻き声にハッとして、夫人を勢いよく突き飛ばした。
よろけて転んだ夫人は何をするのだと叫んでいたが、そんなの知らない。
「ミュリエル、もうやめろ。顔を上げてくれ」
俺は尚も謝罪を続けるミュリエルを抱きしめ、この状況を静観し続けるヘレナを見上げた。
ヘレナはミュリエルと同じように口元にだけ笑みを浮かべて、小さく震えていた。
「……うそだろ?これが日常だったなんて言わないよな?」
俺は頭を鈍器で殴られたような衝撃を受けた。
ああ、どうして気がつかなかったのだろう。
心のどこかで、ブラッドレイ家に違和感を感じていたのに、何故その考えに至らなかったのだろう。
ヘレナがミュリエルに護身術を教えた理由も、
ミュリエルが庶民のパンを好む理由も、
侍女も連れずにその身一つで嫁いできた理由も、
極端に荷物が少なかった理由も、痩せていた理由も、
何かミスをした時、鞭打ちを待つかのように手のひらを見せる理由も、
ミュリエルを構築する全てがヘレナである理由も、
ミュリエルの話にヘレナ以外の家族が出てこない理由も。
全部全部、ここにあった。
「金色の悪魔……」
ミュリエルがよく見る悪夢。
俺はようやく気がついた。
金色の悪魔は、ブラッドレイ侯爵夫人のことだ。
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