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第一章 お姉様の婚約者
34:石橋を叩いて渡るタイプの獣
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「ご、ご機嫌よう」
ジェフリーの部屋に入ると、彼は読んでいた本を机に置いて後ろを振り返った。そしていつもとは違い、少し恥ずかしそうに私から目を逸らせた。
「早かったな」
「ええ、まあ……」
「……」
「…………」
何を話せば良いのかわからない。
私たちは互いに目を逸らせ、黙り込んだ。
夜の静寂が私たちを包む。
暖炉の薪がパチパチと鳴り、橙色の炎がゆらゆらと揺れている。
「……ど、どうしましょうか?」
沈黙に耐えきれなくなった私は勇気を出して切り出した。
するとジェフリーは何も言わず、静かにベッドへ移動する。
そして、ベッドに腰掛けてジッとこちらを見つめてきた。これは、どう捉えれば良いのだろう。できれば何か言ってほしいのだが。
「あ、あの……」
「こ、来ないのか?」
「え、あ、いや……、行きます」
来ないのかと言われれば行くしかない。私は緊張しつつも彼の隣に座った。多分今、すごく挙動不審だと思う。
しかし…….、飢えた獣?この人が?
私はそっぽを向いてしまったジェフリーの横顔を見上げる。表情はよくわからないが、その雰囲気から彼も私と同じように緊張しているのがわかった。
何だか小刻みに震えているし、夜着のズボンをギュッと握る拳は…….うん、可愛い。
獣は獣でも、これはうさぎだな。やはりお義母さま心配しすぎだったらしい。
私はホッと胸を撫で下ろした。死なずにすみそうだ。
「なぜそこに座る?」
「…………え?何故とは?」
あなたがここに座っているから私も隣に座っているのですが。何故とは何故……。こちらの方が聞きたい。
「ここ」
ジェフリーは顔を背けたまま、自分の膝をトントンと叩いた。こちらから見える耳が真っ赤に染まっている。
この男、まさかとは思うが私にそこに座れと言っているのだろうか。
「む、昔はよく座ってただろう」
「それは子どもの頃の話です」
「……そこにいては顔が見えない」
「顔が見えないのはあなたがそっぽを向いているからです」
一体何を言っているのだろう。私は首を傾げた。
するとジェフリーは、バッと勢いよく振り向き、私を抱き寄せた。
「び、びっくりするじゃないですか!」
「君が来ないから悪い」
「はい?」
不服そうに口を尖らせるジェフリー。本当に何なんだ。
勝手だけど、もっとスマートにリードしてもらえると思っていた私は最近ちょっとずつ分厚くなってきた彼の胸板に寄りかかり、ため息をこぼした。
「…………え?」
心臓の音がすごい。壊れてしまうんじゃないだろうかと思うくらいに速い。
私はジェフリーの腕の中で彼を見上げた。
「……何だよ」
ジェフリーは相変わらず、不機嫌そうに眉根を寄せる。その顔、よく見るけどもしかして……。
「今まで、その顔をしていたのは照れ隠し……?」
夜這いに来ると必ずと言って良いほど顔を顰めていたのはそういう理由?
私はふと芽生えた疑問をぶつけてみた。
するとジェフリーはグッと奥歯を噛み締め、私を横抱きにする形で膝の上に座らせた。
「そうだよ。悪いかよ」
「悪いとは言ってないです」
「……本当はずっと、君がこうして部屋を訪れるたびに、もういいかなって思ってた。ミュリエルは俺の妻なんだし、手を出したところで誰も俺を咎められないだろって思ってた」
そして、そんなことを考える自分に幻滅した。
「ジェフリー……」
「ミュリエル、俺はもう君の兄ではいられない」
「……うん」
「いいのか?本当に」
もう、兄と妹には戻れない。夜が明ければ、私たちは真に夫婦となる。
「覚悟はあるのか?怖くはないか?」
ジェフリーはそっと私の頬に触れ、不安気に私を見つめる。
私はそんな彼が可愛くて、頬に触れる手に自分の手を添えた。
「ミュリエル……」
「本当は少し怖いです。でもそれは初めてだからで……。あなたが怖いということではないのです」
「うん……」
「だからその……、優しく、して?」
そう言うと、ジェフリーはそっと私をベッドの上に寝かせた。
「ジェフリー……?」
彼は怒っているような、呆れているような、そんな複雑そうな顔をしてこちらを見下ろす。
「そういうの、どこで覚えてくるんだよ」
「……え?」
「そんな潤んだ瞳で、上目遣いをして『優しくして』なんて、煽ってるようにしか思えないんだけど」
「え?え?」
「はあ……。好きすぎて頭おかしくなりそう」
ジェフリーは深いため息をこぼし、私の胸元に顔を埋めた。
そこは流石にちょっと恥ずかしいのだが。
「音、すごいな」
「い、言わないで」
「君も同じなんじゃないか、ミュリエル」
心臓が壊れそうだ。ジェフリーはそう言って、胸元のリボンを口で解いた。
一瞬だけ肌に触れた唇。
優しくて熱い、大きな手。
そして激しい熱を宿した瞳。
そこにいるのは見たことのないジェフリー。
兄ではない、夫としての彼。
私のことが好きでたまらない、男の人。
何故だろう。一気に恥ずかしさが込み上げてきて、私は咄嗟に体を横に向けてはだけた胸元を隠した。
ジェフリーはそんな私を後ろからギュッと抱きしめる。
「今日はやめとくか?」
声がとても優しい。
「君が怖いなら無理をする必要はないよ」
私の肩をトントンと叩く手が優しい。
やっぱり、ジェフリーは優しい。お義母さまは息子を褒める言葉が優しいしか出てこないと言うけれど、それがあれば十分だと思う。
私は目を閉じて、大きく深呼吸をした。そして抱きしめる大きな手に、自分の手を重ねる。
「大丈夫です」
「本当に?」
「はい」
「本当の本当に?」
「はい」
「じゃあ、こっちを向いて?」
「はい……」
私は言われた通りに、彼の腕の中でくるりと体の向きを変えた。
目の前には最近逞しくなってきた胸板。少し視線を上に上げると、そこには耳まで真っ赤にして、相変わらず眉間に皺を寄せるジェフリーの顔。
あまりに挑むような顔をしているものだから、思わず吹き出してしまった。
「ははっ。何ですかその顔」
「笑うなよ」
「えへへ。ごめんなさい」
笑ったからだろうか。緊張が解けた。
私はジェフリーの目にかかった前髪をそっと除ける。
「俺は、もう君を傷つけたくないんだ」
「はい」
「だから、この先に進んでも良いと言うのなら、君の方からキスして」
「……はい」
おもちゃを強請る子どものような甘えた声でキスを強請るジェフリーに、私は触れるだけのキスをした。
子どもの戯れのようなキスなのに、ジェフリーは泣きそうな顔で私をギュッと抱きしめた。
「ジェフリー?」
「……」
「おーい」
「……なあ、ミュリエル」
「何ですか?まだ疑ってるんですか?」
「…………君は俺がどれだけ我慢してきたか知っているか?」
「わからない、です」
「多分、今夜の俺は理性なんてたいして働かないぞ」
「……………え」
「だから、もし嫌だと思ったら殴ってでも止めてくれよ」
「そんなことできるわけ……」
「君に嫌われるようなことはしたくないんだよ」
石橋を叩いて渡るみたいに、ジェフリーは何度も何度も確認する。
きっと不安なのだろう。彼はこの不安や葛藤とずっと戦ってきたのだ。1人で。
私はそんな彼が愛おしくて、もう一度啄むようなキスをした。
「あなたにされて嫌なことなんてひとつもないわ」
好きな人にされて嫌なことなんて、一つもない。多分今の私はたとえあなたに首を絞められようとも、嫌だなんて思わない。
「だから大丈夫。あなたの好きにして」
嫌いになんてならないから。
私がそう言うと、ジェフリーは生唾を飲むみたいにゴクリと喉を鳴らした。
「……君は口を滑らせがちだな」
「え?」
「うっかりそんな事を言って、どうなるかなんて考えてもいない」
もう知らないからな。
ジェフリーは私の耳元でそう呟くと、ベッドサイドのテーブルランプを消した。
翌朝、目を覚ました彼は私の顔を見て、「幼い頃から見てきたからか、背徳感がすごい」と何とも言えない複雑な表情をしていた。
私も姉様に悪い気がして罪悪感がすごい。
こういうのは、冷静になるとダメだな。
ジェフリーの部屋に入ると、彼は読んでいた本を机に置いて後ろを振り返った。そしていつもとは違い、少し恥ずかしそうに私から目を逸らせた。
「早かったな」
「ええ、まあ……」
「……」
「…………」
何を話せば良いのかわからない。
私たちは互いに目を逸らせ、黙り込んだ。
夜の静寂が私たちを包む。
暖炉の薪がパチパチと鳴り、橙色の炎がゆらゆらと揺れている。
「……ど、どうしましょうか?」
沈黙に耐えきれなくなった私は勇気を出して切り出した。
するとジェフリーは何も言わず、静かにベッドへ移動する。
そして、ベッドに腰掛けてジッとこちらを見つめてきた。これは、どう捉えれば良いのだろう。できれば何か言ってほしいのだが。
「あ、あの……」
「こ、来ないのか?」
「え、あ、いや……、行きます」
来ないのかと言われれば行くしかない。私は緊張しつつも彼の隣に座った。多分今、すごく挙動不審だと思う。
しかし…….、飢えた獣?この人が?
私はそっぽを向いてしまったジェフリーの横顔を見上げる。表情はよくわからないが、その雰囲気から彼も私と同じように緊張しているのがわかった。
何だか小刻みに震えているし、夜着のズボンをギュッと握る拳は…….うん、可愛い。
獣は獣でも、これはうさぎだな。やはりお義母さま心配しすぎだったらしい。
私はホッと胸を撫で下ろした。死なずにすみそうだ。
「なぜそこに座る?」
「…………え?何故とは?」
あなたがここに座っているから私も隣に座っているのですが。何故とは何故……。こちらの方が聞きたい。
「ここ」
ジェフリーは顔を背けたまま、自分の膝をトントンと叩いた。こちらから見える耳が真っ赤に染まっている。
この男、まさかとは思うが私にそこに座れと言っているのだろうか。
「む、昔はよく座ってただろう」
「それは子どもの頃の話です」
「……そこにいては顔が見えない」
「顔が見えないのはあなたがそっぽを向いているからです」
一体何を言っているのだろう。私は首を傾げた。
するとジェフリーは、バッと勢いよく振り向き、私を抱き寄せた。
「び、びっくりするじゃないですか!」
「君が来ないから悪い」
「はい?」
不服そうに口を尖らせるジェフリー。本当に何なんだ。
勝手だけど、もっとスマートにリードしてもらえると思っていた私は最近ちょっとずつ分厚くなってきた彼の胸板に寄りかかり、ため息をこぼした。
「…………え?」
心臓の音がすごい。壊れてしまうんじゃないだろうかと思うくらいに速い。
私はジェフリーの腕の中で彼を見上げた。
「……何だよ」
ジェフリーは相変わらず、不機嫌そうに眉根を寄せる。その顔、よく見るけどもしかして……。
「今まで、その顔をしていたのは照れ隠し……?」
夜這いに来ると必ずと言って良いほど顔を顰めていたのはそういう理由?
私はふと芽生えた疑問をぶつけてみた。
するとジェフリーはグッと奥歯を噛み締め、私を横抱きにする形で膝の上に座らせた。
「そうだよ。悪いかよ」
「悪いとは言ってないです」
「……本当はずっと、君がこうして部屋を訪れるたびに、もういいかなって思ってた。ミュリエルは俺の妻なんだし、手を出したところで誰も俺を咎められないだろって思ってた」
そして、そんなことを考える自分に幻滅した。
「ジェフリー……」
「ミュリエル、俺はもう君の兄ではいられない」
「……うん」
「いいのか?本当に」
もう、兄と妹には戻れない。夜が明ければ、私たちは真に夫婦となる。
「覚悟はあるのか?怖くはないか?」
ジェフリーはそっと私の頬に触れ、不安気に私を見つめる。
私はそんな彼が可愛くて、頬に触れる手に自分の手を添えた。
「ミュリエル……」
「本当は少し怖いです。でもそれは初めてだからで……。あなたが怖いということではないのです」
「うん……」
「だからその……、優しく、して?」
そう言うと、ジェフリーはそっと私をベッドの上に寝かせた。
「ジェフリー……?」
彼は怒っているような、呆れているような、そんな複雑そうな顔をしてこちらを見下ろす。
「そういうの、どこで覚えてくるんだよ」
「……え?」
「そんな潤んだ瞳で、上目遣いをして『優しくして』なんて、煽ってるようにしか思えないんだけど」
「え?え?」
「はあ……。好きすぎて頭おかしくなりそう」
ジェフリーは深いため息をこぼし、私の胸元に顔を埋めた。
そこは流石にちょっと恥ずかしいのだが。
「音、すごいな」
「い、言わないで」
「君も同じなんじゃないか、ミュリエル」
心臓が壊れそうだ。ジェフリーはそう言って、胸元のリボンを口で解いた。
一瞬だけ肌に触れた唇。
優しくて熱い、大きな手。
そして激しい熱を宿した瞳。
そこにいるのは見たことのないジェフリー。
兄ではない、夫としての彼。
私のことが好きでたまらない、男の人。
何故だろう。一気に恥ずかしさが込み上げてきて、私は咄嗟に体を横に向けてはだけた胸元を隠した。
ジェフリーはそんな私を後ろからギュッと抱きしめる。
「今日はやめとくか?」
声がとても優しい。
「君が怖いなら無理をする必要はないよ」
私の肩をトントンと叩く手が優しい。
やっぱり、ジェフリーは優しい。お義母さまは息子を褒める言葉が優しいしか出てこないと言うけれど、それがあれば十分だと思う。
私は目を閉じて、大きく深呼吸をした。そして抱きしめる大きな手に、自分の手を重ねる。
「大丈夫です」
「本当に?」
「はい」
「本当の本当に?」
「はい」
「じゃあ、こっちを向いて?」
「はい……」
私は言われた通りに、彼の腕の中でくるりと体の向きを変えた。
目の前には最近逞しくなってきた胸板。少し視線を上に上げると、そこには耳まで真っ赤にして、相変わらず眉間に皺を寄せるジェフリーの顔。
あまりに挑むような顔をしているものだから、思わず吹き出してしまった。
「ははっ。何ですかその顔」
「笑うなよ」
「えへへ。ごめんなさい」
笑ったからだろうか。緊張が解けた。
私はジェフリーの目にかかった前髪をそっと除ける。
「俺は、もう君を傷つけたくないんだ」
「はい」
「だから、この先に進んでも良いと言うのなら、君の方からキスして」
「……はい」
おもちゃを強請る子どものような甘えた声でキスを強請るジェフリーに、私は触れるだけのキスをした。
子どもの戯れのようなキスなのに、ジェフリーは泣きそうな顔で私をギュッと抱きしめた。
「ジェフリー?」
「……」
「おーい」
「……なあ、ミュリエル」
「何ですか?まだ疑ってるんですか?」
「…………君は俺がどれだけ我慢してきたか知っているか?」
「わからない、です」
「多分、今夜の俺は理性なんてたいして働かないぞ」
「……………え」
「だから、もし嫌だと思ったら殴ってでも止めてくれよ」
「そんなことできるわけ……」
「君に嫌われるようなことはしたくないんだよ」
石橋を叩いて渡るみたいに、ジェフリーは何度も何度も確認する。
きっと不安なのだろう。彼はこの不安や葛藤とずっと戦ってきたのだ。1人で。
私はそんな彼が愛おしくて、もう一度啄むようなキスをした。
「あなたにされて嫌なことなんてひとつもないわ」
好きな人にされて嫌なことなんて、一つもない。多分今の私はたとえあなたに首を絞められようとも、嫌だなんて思わない。
「だから大丈夫。あなたの好きにして」
嫌いになんてならないから。
私がそう言うと、ジェフリーは生唾を飲むみたいにゴクリと喉を鳴らした。
「……君は口を滑らせがちだな」
「え?」
「うっかりそんな事を言って、どうなるかなんて考えてもいない」
もう知らないからな。
ジェフリーは私の耳元でそう呟くと、ベッドサイドのテーブルランプを消した。
翌朝、目を覚ました彼は私の顔を見て、「幼い頃から見てきたからか、背徳感がすごい」と何とも言えない複雑な表情をしていた。
私も姉様に悪い気がして罪悪感がすごい。
こういうのは、冷静になるとダメだな。
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