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第一章 お姉様の婚約者
23:警戒心は大事
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そんなこんなで迎えた観劇当日。
抜けるような青空の下、私を迎えに来たグレンの顔は謎に引き攣っていた。
この気持ちの良い朝の空気には似つかわしくない表情である。
「あの……、やっぱり僕は遠慮しようかなぁ……。観劇はお二人で……」
「気にすることはない。俺は劇に興味などないし、2人で仲良く行ってくるといい」
遠慮がちに聞くグレンに対し、兄様は見たことのないくらいの笑顔で返す。
妻が他の男とデートに行くといういうのにこの笑顔……。本当にこの人は私のことが好きなのだろうか。またしても夢の可能性が出てきた。
「あの、にい……。あ、違う。えっと……」
「ミュリエル、気にせず行ってらっしゃい」
「お義母さま……」
お義母さまは兄様の前に出て、私を追い払うように手を振る。
今、一瞬だけ兄様の足をヒールで踏んづけたような気がしたのは気のせいだろうか。
いや、兄様のお顔が苦痛に歪んでいるので多分気のせいではない。兄様の足に穴が空いていないか心配だ。
「お義母さま、本当に良いのでしょうか。やはりこれは慎みに欠けるのではと……」
「夫であるジェフリーが良いと言っているのだから、何も気にすることはないわ。こんな機会滅多にないのだし、楽しんできなさいな」
「はい……。わかりました……」
私たちは2人に見送られ馬車に乗り込んだ。
乗り込む時、グレンの手を取った私を見て兄様が顔を歪めていてくれたらいいな、なんて思って振り返って見たけれど兄様は相変わらずの笑顔だった。
………やっぱりこの人、絶対私のことなんて好きじゃないよね?
*
馬車に乗り込んでしばらくしてから、グレンは緊張がほぐれたようににフーッと息を吐いた。
「怖かったですねぇ」
「何がですか?」
「公子様ですよ。あの視線に射殺されるかと思いました」
「え?ものすごく笑顔でしたけど」
「え?笑顔の裏に隠された嫉妬が滲み出ていていましたよね?」
滲み出ている時点で隠せていない気がするが……。そんなまさか。
私は気のせいだとグレンの言葉を笑った。
けれどグレンは信じられないものを見る目で私を見た。
「え、本気で言ってます?」
「どういうことでしょう?」
「嘘でしょう?あんなにもわかりやすいのに……。もしかしてミュリエルはかなり鈍いのではないですか?」
「確かに鈍い方ではあると思いますが、それを面と向かって言うのは失礼なのでは?」
「失礼を承知で申し上げていますので」
「怒りますよ?」
「冗談です」
グレンは両手をあげて降参のポーズを取った。
「しかし、公子様は良くわかりませんね。嫉妬するほど好きならば何故手放そうとするのでしょう」
「……私の『好き』が彼の『好き』とは少し違うからでしょう」
「親愛の好きと恋愛の好き、ってことですか?」
「おそらくは」
「ミュリエルのは恋ではないのですか?」
「私は恋だと思っています。でも彼にはそうは思えないみたい」
きちんと話し合わねばならないのだろうが、また『証明してくれ』と言われたらと思うと身動きが取れなくなる。
もしまた反射的に兄様を拒否してしまったら、多分兄様は一生私の好きを信じてくれない。
あの時の兄様の傷ついたような顔が忘れられない。
私は両手で顔を覆った。声がくぐもる。
「はあ……。ダメですね。異性として感情を向けられると、どうしてだか体が固まってしまうのです」
「うーん。でもそれは仕方がないのでは?」
「仕方がない?」
「ええ。だってミュリエルは公子様が初恋なのでしょう?」
「……はい」
いつから好きだったのかは覚えていない。気がついたら好きだった。
もちろん好きだと気づいた時には兄様はもう姉様の婚約者で、恋を自覚した時点で失恋したけど、それでも他の誰かを好きになったことは一度もない。
そのくらいずっと好きだった。姉様のことしか見ていないあの瞳がずっと好きだった。
これは嘘じゃない。記憶違いでもない。私の恋は嘘じゃない。今ははっきりと断言できる。
私はゆっくりと顔を上げた。
「そうですね。彼が初恋です。私は愚かにも幼き日の初恋を今も続けているのです」
「愚かなんて言うものではありませんよ。一途な初恋、良いじゃないですか」
グレンはそういう話は大好物だと笑ってくれた。
「公子様が初恋なら仕方がないですよ。いくら恋愛小説をたくさん読んでも、実際の恋愛経験が乏しければ、いざという場面でどうしたら良いかわからなくなるものです。それは普通のことです」
物語の中で見た、誰かの恋愛では経験値なんて積めないとグレンは言う。
確かにそうだ。
文字で見た体温と実際に触れた時の体温は全然違うし、触れる手の優しさや抱き寄せる腕も力強さも、いつもと違う甘い声も全部、実物は私の陳腐な想像を遥かに超えてくる。
どうして平気な顔して夜這いなんてできたんだろう。
過去の自分の行動を思い出した私は、今になって恥ずかしくなった。
兄様はあの時、どんな気持ちでいたのだろう。どんな思いで毎夜私を部屋からつまみ出していたのだろう。
考えるだけで恥ずかしくて死にたくなる。
私は熱った顔を手で仰いだ。
「ミュリエルは公子様に触れられるのが嫌なわけではないんでしょ?」
「……嫌じゃない、です」
「なら大丈夫ですよ!もし次に同じようなことがあれば、その時は正直な気持ちを言えばいいんです。慣れていないからどうしたら良いかわからないだけだ、ってね」
「でも、それで信じてくれるでしょうか?」
「不安なら、『初めてで緊張しているだけ。だから優しくして?』とか言ってみると良いと思います!」
瞳を潤ませながら、恥ずかしそうに上目遣いで言うと良いとグレンは言う。
しかし、そう助言するグレンはとても悪い顔をしていた。
「グレン。私が無知なのを良いことに悪いことを教えようとしていませんか?」
「そんな、とんでもないです。僕はただアドバイスをしただけですよ。まあ、優しくしてくれるかどうかは相手次第ですけど」
「どういう意味ですか?」
「公子様の鉄の理性の前でなら多分大丈夫だろうという話です」
「ちょっと意味がわからないです」
「わからなくていいですよ。ミュリエルにはまだ早かったですね」
グレンは私の頭をわしゃわしゃっと撫で回した。
せっかく綺麗に結ったのに、崩れるではないか。
私は彼の手を払いのけ、髪を直す。
「また5歳児扱いですか?やめてくださいっ!」
「あ、聞きます?妹の話」
「聞きませんーっ!」
すぐに妹の話に持って行こうとするのだから、シスコンも困ったものだ。私はイーッと彼を威嚇した。
でも……
「ふふっ。ありがとう、グレン。大好き」
やっぱり友達はいい。
シルヴィアもグレンも大好きだ。
しかし、そう言うとグレンは3秒ほど間をおいて、ニコッと笑って「ダメですよ」と言った。
「ミュリエル、好きでもない男にそんなことを言ってはいけません」
「そんなこと?」
「そうやって簡単に好きと言うから軽く見られるのでは?」
「え?」
私がキョトンと首を傾げると、グレンは徐に私の髪をひとふさ取り、毛先に口付ける。
「この間は年上好きって言ったけど、アレ、嘘ですから」
「…………うそ?」
「本当はタイプのど真ん中なんですよね」
「え?え?」
「あんまり、僕の前で可愛く笑わないほうがいい。うっかり好きになりそうだ」
グレンは上目遣いでジッと私を見つめる。
私はわけがわからず3秒ほど固まったあと、すぐに馬車の端っこに逃げた。
「あははっ!顔、真っ青ですけど」
普通、こういう場面では顔を赤らめるものだとグレンは笑う。何なんだこいつ。
「そんな顔しなくても。冗談ですよ。安心してください」
「じ、冗談?」
「半分ね」
「半分!?」
「あはは。うそうそ。僕は人のものに興味はありませんから」
「はあ。うそ……、ですか……」
「でも、ミュリエルはもう少し警戒心を持ちましょうね」
「……………はい」
なぜこのタイミングで釘を刺されたのかはわからないが、とりあえず警戒しておくに越したことはなさそうだ。
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………やっぱりこの人、絶対私のことなんて好きじゃないよね?
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馬車に乗り込んでしばらくしてから、グレンは緊張がほぐれたようににフーッと息を吐いた。
「怖かったですねぇ」
「何がですか?」
「公子様ですよ。あの視線に射殺されるかと思いました」
「え?ものすごく笑顔でしたけど」
「え?笑顔の裏に隠された嫉妬が滲み出ていていましたよね?」
滲み出ている時点で隠せていない気がするが……。そんなまさか。
私は気のせいだとグレンの言葉を笑った。
けれどグレンは信じられないものを見る目で私を見た。
「え、本気で言ってます?」
「どういうことでしょう?」
「嘘でしょう?あんなにもわかりやすいのに……。もしかしてミュリエルはかなり鈍いのではないですか?」
「確かに鈍い方ではあると思いますが、それを面と向かって言うのは失礼なのでは?」
「失礼を承知で申し上げていますので」
「怒りますよ?」
「冗談です」
グレンは両手をあげて降参のポーズを取った。
「しかし、公子様は良くわかりませんね。嫉妬するほど好きならば何故手放そうとするのでしょう」
「……私の『好き』が彼の『好き』とは少し違うからでしょう」
「親愛の好きと恋愛の好き、ってことですか?」
「おそらくは」
「ミュリエルのは恋ではないのですか?」
「私は恋だと思っています。でも彼にはそうは思えないみたい」
きちんと話し合わねばならないのだろうが、また『証明してくれ』と言われたらと思うと身動きが取れなくなる。
もしまた反射的に兄様を拒否してしまったら、多分兄様は一生私の好きを信じてくれない。
あの時の兄様の傷ついたような顔が忘れられない。
私は両手で顔を覆った。声がくぐもる。
「はあ……。ダメですね。異性として感情を向けられると、どうしてだか体が固まってしまうのです」
「うーん。でもそれは仕方がないのでは?」
「仕方がない?」
「ええ。だってミュリエルは公子様が初恋なのでしょう?」
「……はい」
いつから好きだったのかは覚えていない。気がついたら好きだった。
もちろん好きだと気づいた時には兄様はもう姉様の婚約者で、恋を自覚した時点で失恋したけど、それでも他の誰かを好きになったことは一度もない。
そのくらいずっと好きだった。姉様のことしか見ていないあの瞳がずっと好きだった。
これは嘘じゃない。記憶違いでもない。私の恋は嘘じゃない。今ははっきりと断言できる。
私はゆっくりと顔を上げた。
「そうですね。彼が初恋です。私は愚かにも幼き日の初恋を今も続けているのです」
「愚かなんて言うものではありませんよ。一途な初恋、良いじゃないですか」
グレンはそういう話は大好物だと笑ってくれた。
「公子様が初恋なら仕方がないですよ。いくら恋愛小説をたくさん読んでも、実際の恋愛経験が乏しければ、いざという場面でどうしたら良いかわからなくなるものです。それは普通のことです」
物語の中で見た、誰かの恋愛では経験値なんて積めないとグレンは言う。
確かにそうだ。
文字で見た体温と実際に触れた時の体温は全然違うし、触れる手の優しさや抱き寄せる腕も力強さも、いつもと違う甘い声も全部、実物は私の陳腐な想像を遥かに超えてくる。
どうして平気な顔して夜這いなんてできたんだろう。
過去の自分の行動を思い出した私は、今になって恥ずかしくなった。
兄様はあの時、どんな気持ちでいたのだろう。どんな思いで毎夜私を部屋からつまみ出していたのだろう。
考えるだけで恥ずかしくて死にたくなる。
私は熱った顔を手で仰いだ。
「ミュリエルは公子様に触れられるのが嫌なわけではないんでしょ?」
「……嫌じゃない、です」
「なら大丈夫ですよ!もし次に同じようなことがあれば、その時は正直な気持ちを言えばいいんです。慣れていないからどうしたら良いかわからないだけだ、ってね」
「でも、それで信じてくれるでしょうか?」
「不安なら、『初めてで緊張しているだけ。だから優しくして?』とか言ってみると良いと思います!」
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「わからなくていいですよ。ミュリエルにはまだ早かったですね」
グレンは私の頭をわしゃわしゃっと撫で回した。
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「え?」
私がキョトンと首を傾げると、グレンは徐に私の髪をひとふさ取り、毛先に口付ける。
「この間は年上好きって言ったけど、アレ、嘘ですから」
「…………うそ?」
「本当はタイプのど真ん中なんですよね」
「え?え?」
「あんまり、僕の前で可愛く笑わないほうがいい。うっかり好きになりそうだ」
グレンは上目遣いでジッと私を見つめる。
私はわけがわからず3秒ほど固まったあと、すぐに馬車の端っこに逃げた。
「あははっ!顔、真っ青ですけど」
普通、こういう場面では顔を赤らめるものだとグレンは笑う。何なんだこいつ。
「そんな顔しなくても。冗談ですよ。安心してください」
「じ、冗談?」
「半分ね」
「半分!?」
「あはは。うそうそ。僕は人のものに興味はありませんから」
「はあ。うそ……、ですか……」
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