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68:聖女爆誕(5)

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 帝都に入り、真っ先に城に向かうつもりだったジェレミーだが、その途中でハイネ公爵家の旗を掲げた軍団を見かけた。
 嫌な予感がし、軍団の先頭まで走ると鬼の形相のハイネ公爵がいた。
 彼におおよその事情を聞いたジェレミーは、『先に行きます』とひと言残し、他の追従を許さない速度で帝都を駆け抜けて教会まで来たそうだ。

「出る幕がなかったな」

 ジェレミーのなけなしの理性により、かろうじて息をしている程度の裏切り者たちを見下ろし、ハイネ公爵はため息をこぼした。
 まさか自分が後始末に回ることになろうとは思いもしなかったのだろう。
 リリアンを連れてさっさと城に戻ってしまった彼を思い出し、公爵は苦笑するしかなかった。

「成長したな、ジェレミー殿下も」
「そう、ですね?」

 公爵の戯言に部下は首を傾げた。
 それはそこそこの強さの魔法師とイライザをまとめて相手にして、傷一つなかったジェレミーを褒め称えた言葉なのか、それともジェレミーが怒りに任せて奴らを殺さなかった事に対する賞賛なのか、判断ができなかったのだ。
 曖昧な反応を返してしまった部下の男はそれよりも、と話題を変えた。

「お嬢様こそ、さすがですよ。あんな広域浄化の魔法を何の下準備もなしに使うだなんて。人々はお嬢様のことをまるで聖女様だと騒いでおります」 
「才能があるからなぁ、うちの誰よりも。だが、多くの人に見られたのは厄介だな」
「なぜですか?」
「聖女のイメージがついては困るだろう。本人はあんな感じなのに」
「確かに」
「それに……」
「それに?」
「……いや、まあいい。それより報告だ」
「あ、はい。まず囚われていた人々ですが、治療施して騎士団に身柄を引き渡しました。事情を聞いた後、今後のことを決めるそうです」
「皇后陛下は?」
「先程、陛下に付き添われて城へ向かわれました」
「聖教国から連絡はあったか?」
「ヨハネス殿下より、聖下がすぐこちらに向かわれるとの連絡がありました」
「そのヨハネス殿下は今どちらに?」
「グレイス家の件は部下に任せ、殿下もすぐこちらに来られるそうです」
「そうか。ではあとはヨハネス殿下と陛下直属の部隊に任せるとしよう」
「……へ?」

 ハイネ公爵は腕を鳴らし、肩を回した。
 そしてキョトンとする部下に対し、ニヤリと口角を上げた。

「裏切り者どもの話ではエルデンブルクの魔法師がこちらに向かっているのだろう?」
「ああ、なるほど」
「ならば、遊んでやらんとな?」

 どういう経緯かは知らないが、このまま戦争になるだろう。
 ハイネ公爵は魔法師部隊を引き連れ、公国の魔法師の迎撃へと向かった。


 
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感想 13

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みんなの感想(13件)

Jasmin
2022.11.27 Jasmin

えっと
嫌な予感(4)はないのでしょうか?
話の繋がりに違和感はありませんでしたが。

七瀬菜々
2022.11.27 七瀬菜々

タイトルを間違えていました!ご指摘ありがとうございます!💦

解除
yucco-yucco
2022.10.27 yucco-yucco

わぁ!更新ありがとうございます♡
リリアンに飢えていたので嬉しいです。
リリアンずっとめっちゃカッコイイっす♫
完全に惚れてます‥私。
でもジェレミーに負けちゃうんだろうけど…笑
キースもやっぱ凄腕なんですね!?そりゃそうか!

解除
Jasmin
2022.09.08 Jasmin

いえーい!
連続更新!
ありがとうございますm(_ _)m

解除

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