79 / 149
第二章 マリーナフカの棺とハルの妖精
46:春まで待って(4)
しおりを挟む
(ああ、好きだ)
頑張り屋なところも、真面目なところも、時に大胆でかっこいいところも、誰にでも優しいところも、笑顔が可愛いところも、人タラシなところも、すぐ照れるところも、無自覚で無防備なところも、変なところで臆病で面倒臭いところも。全部が好きだ。
イアンはギリギリの理性を保ちながら、彼女の耳元で囁いた。わざと、少しだけ吐息を混ぜて。
「どういう風に触ればいい?想像できるように触ればいいの?」
「ひぁ!?」
「ねえ、どうして欲しいの?教えて?」
「……うぅ。イジワルです」
耳が熱い。耐えきれなくなったアイシャは、何とかこの腕の中から脱しようと身動ぐ。
だが、イアンはそれも愉快そうに眺めつつも決して離してはくれない。
「イアン様。女慣れしていないとか、アレは嘘でしょう」
「慣れていないのは本当だよ。今だってこんなに緊張してるのに。わからない?」
「まあ、心臓の音はすごいですけれど。爆発しそう」
「君の音もすごいね」
「それは言わないでください。秘密です」
「隠せてない秘密だね。ところでアイシャ。どうして逃げようとするの?」
「だ、だって……」
「自分で言っておいて逃げようとするのは無しだろう。ダメだよ、逃がさない。さあ、どうして欲しい?」
悪戯にアイシャの頬に触れ、耳に触れ、髪に触れるイアン。アイシャは顔を上げると悔しそうに彼を睨んだ。
「ど、どんな風に愛してくれるのか、私に分かるように触れてください!」
「そんな挑むような顔されても……。本当にいいの?」
「構いません!受けて立ちましょう!」
「何だか雰囲気のかけらもなくなったな」
「それから……その……キ、キス、して?」
「……………え?」
「この間は熱であまり覚えていないから、だから、やり直し。初めてのキスは流石に、ちゃんと覚えておきたいので」
唇を尖らせ、アイシャは拗ねたようにつらつらと言葉を並べる。
度胸はある方だと思っていたが、こんな獣の前でそんな可愛らしい言葉を吐いてはダメだろう。それはもう、襲ってくださいと言っているようなものだ。
たまらなくなったイアンは少し尖った彼女の唇に噛みついた。
「……な、なななな!?」
「アイシャは俺の理性に感謝した方がいい」
苦しそうに顔を歪めたイアンは咄嗟に口元を抑えるアイシャの手を引き剥がすと、彼女を抱き上げて出窓に座らせた。
そしてもう一度、今度は軽く触れるだけのキスをした。
「あ、あの……」
「想像できるように、触ればいいんだろ?」
「えっと……、えーっと、あの……」
「大丈夫、我慢するから。でも、我慢はするけど。少しでも怖いと思ったら止めて」
「は、はひ……」
「……今度は気絶するなよ?」
そう言って、次は前より少しだけ深く、キスをした。
初心なアイシャが気絶しないように気をつけながら。
***
「何してるんですか?テオ様」
扉の前で箒と塵取りを持ち、座り込むテオドールに休憩終わりのランが声をかけた。
何だが呆れたような、疲れたような顔をしている。
「ラン、僕は今空気を読んでいるんです」
「空気は読むものではなく吸うものです」
「そういう返しはいりません」
テオドールは不服そうにそう返すと、自分の近くに来るよう手招きした。
首を傾げながらもランは促されるままにテオドールの横に膝をつき、彼が少しだけ開けた扉の隙間から部屋の中を覗き見た。
別に香など炊いていないはずなのに、何故かすごく甘ったるい空気が隙間から漏れ出てくる。原因はきっと、部屋の奥の出窓でイチャイチャと戯れる主人たちのせいだろう。
ランは何も言わず、そっと扉を閉めた。そして親指を立てると、それで後ろを指した。
「ニックさんがそろそろ休憩するそうですが、お茶でもしばいてきてはいかがです?」
「そうしたいのは山々ですが、この部屋は奥様の部屋です。ベッドがある以上、ここにいなければ」
「行為を覗き見たいということですか?」
「僕を変態のように言わないでください。ベッドに移動しようとする前に止めに入らねばならんでしょう!」
婚姻前にそういう事をするのは宗教的によろしくない。
庶民の中では順序が逆になるカップルも少なくはないが、二人は貴族だ。ましてアイシャは名門の令嬢。
この結婚にケチをつけられるぬよう、一応は貴族の作法に則り、婚姻を結ばねばならないのだとテオドールは言う。
「ここで旦那様が本当に手を出してしまったら、『これだから平民上がりは』なんて言われるでしょ?」
「たとえ今ここでヤることをヤってしまっても、黙ってれば問題ないのでは?誰にバレるわけでもないのに。春にヤるのも今ヤのもたいして変わらないでしょ」
「年頃の娘がヤるヤる言わないの!……それにわかりません?バレますよ。あの二人ですよ?真に結ばれた日には誰が見ても分かるくらいに甘ったるい空気を醸し出してくるに決まってる。胃もたれ必須です」
「……ああ。確かに」
顔に出やすい二人だ。確かに周囲にはバレバレになるだろう。ランは妙に納得した。
「テオ様も大変ですね」
「わかっているのなら協力してください」
「私は何をすれば?」
「とりあえず新しいティーセットを持って来てください。僕が合図したら、ご機嫌に歌でも歌いながらあっちの廊下の端から歩いてきて。お二人が気づくくらいに大きな声で」
「それじゃあまるで、アホの子みたいじゃないですか。自分でやってくださいよ」
「僕がやるより君がした方がなんか可愛らしいだろう。年齢的にも容姿的にも」
「容姿的にも、というのは余計な一言ですよ。口説いてるんですか?私的にテオ様はちょっと……」
「ちょっと……ってなんですか、失礼な。言っておきますが、僕だって子どもに興味ないから。勘違いしないでくださいね」
「は?誰が子どもですか」
「子どもだろう。16だっけ?」
「もうすぐ17ですー!春になったら17ですー」
「17でも子どもは子どもだよ」
もういいからさっさと行け、と手で追い払うテオドール。彼の態度に少しばかりイラついたランはとりあえず、彼の胸ぐらを掴むと自分の方に引き寄せた。
そしてなんと、あろうことかその首筋に噛みついた。
一瞬何が起きたか分からず、首を抑えたテオドールは目を丸くして硬直する。
ランはそんな彼を見下ろし、フッと嘲笑う。
「修羅場確定ですね。ざまぁみろです」
「……は?」
「仕方がないので、私は子どものフリをしてあげますよ」
ランはくるりと踵を返すと、そのまま厨房に走って行った。
思い切り噛みつかれたから微かに首が痛む。おそらく歯形がついたはずだ。血が出たらどうしてくれる。
本当に最悪だ。きっといろんな人にこれは何だと聞かれる事だろう。
たがそれをどう説明しろと言うのだ。16の小娘につけられたなんて、正直に話せるはずがない。それはもう男の沽券にかかわる。
テオドールは首を抑えたまま、ただ廊下の端を茫然と眺めた。
遠くなる彼女の赤毛のおさげが、走るたびにぴょこぴょこと揺れる様はまるでウサギだ。
「……いや、痴女かっての」
テオドールはじわじわと熱くなる体を手で仰いだ。
頑張り屋なところも、真面目なところも、時に大胆でかっこいいところも、誰にでも優しいところも、笑顔が可愛いところも、人タラシなところも、すぐ照れるところも、無自覚で無防備なところも、変なところで臆病で面倒臭いところも。全部が好きだ。
イアンはギリギリの理性を保ちながら、彼女の耳元で囁いた。わざと、少しだけ吐息を混ぜて。
「どういう風に触ればいい?想像できるように触ればいいの?」
「ひぁ!?」
「ねえ、どうして欲しいの?教えて?」
「……うぅ。イジワルです」
耳が熱い。耐えきれなくなったアイシャは、何とかこの腕の中から脱しようと身動ぐ。
だが、イアンはそれも愉快そうに眺めつつも決して離してはくれない。
「イアン様。女慣れしていないとか、アレは嘘でしょう」
「慣れていないのは本当だよ。今だってこんなに緊張してるのに。わからない?」
「まあ、心臓の音はすごいですけれど。爆発しそう」
「君の音もすごいね」
「それは言わないでください。秘密です」
「隠せてない秘密だね。ところでアイシャ。どうして逃げようとするの?」
「だ、だって……」
「自分で言っておいて逃げようとするのは無しだろう。ダメだよ、逃がさない。さあ、どうして欲しい?」
悪戯にアイシャの頬に触れ、耳に触れ、髪に触れるイアン。アイシャは顔を上げると悔しそうに彼を睨んだ。
「ど、どんな風に愛してくれるのか、私に分かるように触れてください!」
「そんな挑むような顔されても……。本当にいいの?」
「構いません!受けて立ちましょう!」
「何だか雰囲気のかけらもなくなったな」
「それから……その……キ、キス、して?」
「……………え?」
「この間は熱であまり覚えていないから、だから、やり直し。初めてのキスは流石に、ちゃんと覚えておきたいので」
唇を尖らせ、アイシャは拗ねたようにつらつらと言葉を並べる。
度胸はある方だと思っていたが、こんな獣の前でそんな可愛らしい言葉を吐いてはダメだろう。それはもう、襲ってくださいと言っているようなものだ。
たまらなくなったイアンは少し尖った彼女の唇に噛みついた。
「……な、なななな!?」
「アイシャは俺の理性に感謝した方がいい」
苦しそうに顔を歪めたイアンは咄嗟に口元を抑えるアイシャの手を引き剥がすと、彼女を抱き上げて出窓に座らせた。
そしてもう一度、今度は軽く触れるだけのキスをした。
「あ、あの……」
「想像できるように、触ればいいんだろ?」
「えっと……、えーっと、あの……」
「大丈夫、我慢するから。でも、我慢はするけど。少しでも怖いと思ったら止めて」
「は、はひ……」
「……今度は気絶するなよ?」
そう言って、次は前より少しだけ深く、キスをした。
初心なアイシャが気絶しないように気をつけながら。
***
「何してるんですか?テオ様」
扉の前で箒と塵取りを持ち、座り込むテオドールに休憩終わりのランが声をかけた。
何だが呆れたような、疲れたような顔をしている。
「ラン、僕は今空気を読んでいるんです」
「空気は読むものではなく吸うものです」
「そういう返しはいりません」
テオドールは不服そうにそう返すと、自分の近くに来るよう手招きした。
首を傾げながらもランは促されるままにテオドールの横に膝をつき、彼が少しだけ開けた扉の隙間から部屋の中を覗き見た。
別に香など炊いていないはずなのに、何故かすごく甘ったるい空気が隙間から漏れ出てくる。原因はきっと、部屋の奥の出窓でイチャイチャと戯れる主人たちのせいだろう。
ランは何も言わず、そっと扉を閉めた。そして親指を立てると、それで後ろを指した。
「ニックさんがそろそろ休憩するそうですが、お茶でもしばいてきてはいかがです?」
「そうしたいのは山々ですが、この部屋は奥様の部屋です。ベッドがある以上、ここにいなければ」
「行為を覗き見たいということですか?」
「僕を変態のように言わないでください。ベッドに移動しようとする前に止めに入らねばならんでしょう!」
婚姻前にそういう事をするのは宗教的によろしくない。
庶民の中では順序が逆になるカップルも少なくはないが、二人は貴族だ。ましてアイシャは名門の令嬢。
この結婚にケチをつけられるぬよう、一応は貴族の作法に則り、婚姻を結ばねばならないのだとテオドールは言う。
「ここで旦那様が本当に手を出してしまったら、『これだから平民上がりは』なんて言われるでしょ?」
「たとえ今ここでヤることをヤってしまっても、黙ってれば問題ないのでは?誰にバレるわけでもないのに。春にヤるのも今ヤのもたいして変わらないでしょ」
「年頃の娘がヤるヤる言わないの!……それにわかりません?バレますよ。あの二人ですよ?真に結ばれた日には誰が見ても分かるくらいに甘ったるい空気を醸し出してくるに決まってる。胃もたれ必須です」
「……ああ。確かに」
顔に出やすい二人だ。確かに周囲にはバレバレになるだろう。ランは妙に納得した。
「テオ様も大変ですね」
「わかっているのなら協力してください」
「私は何をすれば?」
「とりあえず新しいティーセットを持って来てください。僕が合図したら、ご機嫌に歌でも歌いながらあっちの廊下の端から歩いてきて。お二人が気づくくらいに大きな声で」
「それじゃあまるで、アホの子みたいじゃないですか。自分でやってくださいよ」
「僕がやるより君がした方がなんか可愛らしいだろう。年齢的にも容姿的にも」
「容姿的にも、というのは余計な一言ですよ。口説いてるんですか?私的にテオ様はちょっと……」
「ちょっと……ってなんですか、失礼な。言っておきますが、僕だって子どもに興味ないから。勘違いしないでくださいね」
「は?誰が子どもですか」
「子どもだろう。16だっけ?」
「もうすぐ17ですー!春になったら17ですー」
「17でも子どもは子どもだよ」
もういいからさっさと行け、と手で追い払うテオドール。彼の態度に少しばかりイラついたランはとりあえず、彼の胸ぐらを掴むと自分の方に引き寄せた。
そしてなんと、あろうことかその首筋に噛みついた。
一瞬何が起きたか分からず、首を抑えたテオドールは目を丸くして硬直する。
ランはそんな彼を見下ろし、フッと嘲笑う。
「修羅場確定ですね。ざまぁみろです」
「……は?」
「仕方がないので、私は子どものフリをしてあげますよ」
ランはくるりと踵を返すと、そのまま厨房に走って行った。
思い切り噛みつかれたから微かに首が痛む。おそらく歯形がついたはずだ。血が出たらどうしてくれる。
本当に最悪だ。きっといろんな人にこれは何だと聞かれる事だろう。
たがそれをどう説明しろと言うのだ。16の小娘につけられたなんて、正直に話せるはずがない。それはもう男の沽券にかかわる。
テオドールは首を抑えたまま、ただ廊下の端を茫然と眺めた。
遠くなる彼女の赤毛のおさげが、走るたびにぴょこぴょこと揺れる様はまるでウサギだ。
「……いや、痴女かっての」
テオドールはじわじわと熱くなる体を手で仰いだ。
14
お気に入りに追加
2,831
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
【完結済】政略結婚予定の婚約者同士である私たちの間に、愛なんてあるはずがありません!……よね?
鳴宮野々花@軍神騎士団長1月15日発売
恋愛
「どうせ互いに望まぬ政略結婚だ。結婚までは好きな男のことを自由に想い続けていればいい」「……あらそう。分かったわ」婚約が決まって以来初めて会った王立学園の入学式の日、私グレース・エイヴリー侯爵令嬢の婚約者となったレイモンド・ベイツ公爵令息は軽く笑ってあっさりとそう言った。仲良くやっていきたい気持ちはあったけど、なぜだか私は昔からレイモンドには嫌われていた。
そっちがそのつもりならまぁ仕方ない、と割り切る私。だけど学園生活を過ごすうちに少しずつ二人の関係が変わりはじめ……
※※ファンタジーなご都合主義の世界観でお送りする学園もののお話です。史実に照らし合わせたりすると「??」となりますので、どうぞ広い心でお読みくださいませ。
※※大したざまぁはない予定です。気持ちがすれ違ってしまっている二人のラブストーリーです。
※この作品は小説家になろうにも投稿しています。
【完結】婚約者が好きなのです
maruko
恋愛
リリーベルの婚約者は誰にでも優しいオーラン・ドートル侯爵令息様。
でもそんな優しい婚約者がたった一人に対してだけ何故か冷たい。
冷たくされてるのはアリー・メーキリー侯爵令嬢。
彼の幼馴染だ。
そんなある日。偶然アリー様がこらえきれない涙を流すのを見てしまった。見つめる先には婚約者の姿。
私はどうすればいいのだろうか。
全34話(番外編含む)
※他サイトにも投稿しております
※1話〜4話までは文字数多めです
注)感想欄は全話読んでから閲覧ください(汗)
身代わりの公爵家の花嫁は翌日から溺愛される。~初日を挽回し、溺愛させてくれ!~
湯川仁美
恋愛
姉の身代わりに公爵夫人になった。
「貴様と寝食を共にする気はない!俺に呼ばれるまでは、俺の前に姿を見せるな。声を聞かせるな」
夫と初対面の日、家族から男癖の悪い醜悪女と流され。
公爵である夫とから啖呵を切られたが。
翌日には誤解だと気づいた公爵は花嫁に好意を持ち、挽回活動を開始。
地獄の番人こと閻魔大王(善悪を判断する審判)と異名をもつ公爵は、影でプレゼントを贈り。話しかけるが、謝れない。
「愛しの妻。大切な妻。可愛い妻」とは言えない。
一度、言った言葉を撤回するのは難しい。
そして妻は普通の令嬢とは違い、媚びず、ビクビク怯えもせず普通に接してくれる。
徐々に距離を詰めていきましょう。
全力で真摯に接し、謝罪を行い、ラブラブに到着するコメディ。
第二章から口説きまくり。
第四章で完結です。
第五章に番外編を追加しました。
死に役はごめんなので好きにさせてもらいます
橋本彩里(Ayari)
恋愛
フェリシアは幼馴染で婚約者のデュークのことが好きで健気に尽くしてきた。
前世の記憶が蘇り、物語冒頭で死ぬ役目の主人公たちのただの盛り上げ要員であると知ったフェリシアは、死んでたまるかと物語のヒーロー枠であるデュークへの恋心を捨てることを決意する。
愛を返されない、いつか違う人とくっつく予定の婚約者なんてごめんだ。しかも自分は死に役。
フェリシアはデューク中心の生活をやめ、なんなら婚約破棄を目指して自分のために好きなことをしようと決める。
どうせ何をしていても気にしないだろうとデュークと距離を置こうとするが……
お付き合いいただけたら幸いです。
たくさんのいいね、エール、感想、誤字報告をありがとうございます!
もう長くは生きられないので好きに行動したら、大好きな公爵令息に溺愛されました
Karamimi
恋愛
伯爵令嬢のユリアは、8歳の時に両親を亡くして以降、叔父に引き取られたものの、厄介者として虐げられて生きてきた。さらにこの世界では命を削る魔法と言われている、治癒魔法も長年強要され続けてきた。
そのせいで体はボロボロ、髪も真っ白になり、老婆の様な見た目になってしまったユリア。家の外にも出してもらえず、メイド以下の生活を強いられてきた。まさに、この世の地獄を味わっているユリアだが、“どんな時でも笑顔を忘れないで”という亡き母の言葉を胸に、どんなに辛くても笑顔を絶やすことはない。
そんな辛い生活の中、15歳になったユリアは貴族学院に入学する日を心待ちにしていた。なぜなら、昔自分を助けてくれた公爵令息、ブラックに会えるからだ。
「どうせもう私は長くは生きられない。それなら、ブラック様との思い出を作りたい」
そんな思いで、意気揚々と貴族学院の入学式に向かったユリア。そこで久しぶりに、ブラックとの再会を果たした。相変わらず自分に優しくしてくれるブラックに、ユリアはどんどん惹かれていく。
かつての友人達とも再開し、楽しい学院生活をスタートさせたかのように見えたのだが…
※虐げられてきたユリアが、幸せを掴むまでのお話しです。
ザ・王道シンデレラストーリーが書きたくて書いてみました。
よろしくお願いしますm(__)m
「君の為の時間は取れない」と告げた旦那様の意図を私はちゃんと理解しています。
あおくん
恋愛
憧れの人であった旦那様は初夜が終わったあと私にこう告げた。
「君の為の時間は取れない」と。
それでも私は幸せだった。だから、旦那様を支えられるような妻になりたいと願った。
そして騎士団長でもある旦那様は次の日から家を空け、旦那様と入れ違いにやって来たのは旦那様の母親と見知らぬ女性。
旦那様の告げた「君の為の時間は取れない」という言葉はお二人には別の意味で伝わったようだ。
あなたは愛されていない。愛してもらうためには必要なことだと過度な労働を強いた結果、過労で倒れた私は記憶喪失になる。
そして帰ってきた旦那様は、全てを忘れていた私に困惑する。
※35〜37話くらいで終わります。
まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?
せいめ
恋愛
政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。
喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。
そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。
その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。
閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。
でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。
家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。
その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。
まずは亡くなったはずの旦那様との話から。
ご都合主義です。
設定は緩いです。
誤字脱字申し訳ありません。
主人公の名前を途中から間違えていました。
アメリアです。すみません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる