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第一章 輪廻の滝で
21:慣れていないだけ(1)
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朝食後、伯爵家の事情を聞いたテオドールから「アイシャとの出会いについてはしばらく黙っておけ」と釘を刺さされたイアンは、とりあえずアイシャと親睦を深めるべく、「屋敷を案内してあげる」と彼女を散歩に誘った。
アイシャからすれば、朝食の時と同様、ぎこちない会話しかできない相手と二人きりの散歩は絶対に疲れてしまうので行きたくなかったのだが、これは関係性を構築する良いチャンスでもあるわけで。彼女は頑張るって決めただろう、と自分を鼓舞してイアンの申し出を受けた。
案内された屋敷の中はどこもシンプルで飾り気はなく、寂しい雰囲気だった。だが、とても清潔に保たれており、埃ひとつ見当たらない。きっと使用人は皆真面目なのだろう。
ひと通り見終えた屋敷の中には食堂や図書館、執務室や応接間、ホールなど、貴族の屋敷として必要最低限の設備が備わっており、そして、
裏庭には畑が広がっていた。
「えーっと、畑?」
庭園だと案内された場所にあったのがまさかの畑で、アイシャは目を丸くした。
アイシャがちらりとイアンの方を見上げる。すると何故か彼は冷や汗をかいていた。
「間違えた……」
「間違い、ですか?」
「本当は表の庭に行くつもりだったのに、いつもの癖で裏に来てしまった。すまない」
イアン曰く、ここは寒さの厳しいアッシュフォードの地でも育つ野菜を開発するために作った畑らしい。本当は表の庭を案内するつもりだったのに、と彼は呟いた。
「こんなところに連れてきて悪かった。さあ、表の方に行こう」
アイシャはこんな小汚いところに連れてきて良い人じゃない。イアンは彼女の手を引いた。
しかしアイシャはもう少しこの畑を見たいと言った。
「何も面白いことなどない、ただの畑だぞ?」
「ただの畑ではないでしょう?アッシュフォードにとって大事な畑です。ここはどなたが管理なさっているのですか?」
「庭師のニックだ。もともとは傭兵だったんだが、足を悪くしてからは庭師をしている。見た目は怖いが優しい人だよ。今度紹介しよう」
「……え、畑仕事もなさるのですか?お一人で?」
「お、俺がこの仕事を押し付けたんだ!だから彼は仕方なく畑仕事をしているだけなんだ!」
「……?そうなのですか?」
庭師が庭の手入れをせずに野菜を作っていることを咎められると思ったのか、イアンは慌てて自分のせいだと言った。そんなつもりで聞いたわけではないアイシャは彼の言い訳じみた答えに首を傾げる。
「仕方なくではありませんよ、旦那様」
「ニック!」
二人の背後から少ししゃがれた声で話かけたのは、無精髭が似合う中年の庭師ニックだった。足を引き摺りながら現れた彼は、担いでいた肥料の入った麻袋を地面に置くと、二人に近づいた。
「旦那様、そちらの女性が貴方が待ち望んでいた奥様ですか?」
「ああ。妻となる予定のアイシャ嬢だ」
「はじめまして、ニック。アイシャ・ブランチェットです」
「はじめまして、奥様。庭師のニックです。こんな小汚い格好で申し訳ありません」
「いいえ。こちらこそ、作業中にごめんなさいね」
「問題ありませんよ。そろそろ休憩にしようかと思っていたものですから」
ニックは強面の顔立ちに似合わず、柔らかく笑った。
アイシャはそんな彼に、自分にも野菜のことを教えてほしいと言った。
ニックもイアンも意外そうな顔をしたが、アイシャにとってこの畑のことを知ろうとするのは普通のことだ。この畑の野菜がいずれ領地を救うことになるのだとしたら、未来の男爵夫人として知っておくべきだ。少なくともアイシャはそう考える。
「この畑は痩せた土地の多いアッシュフォードでも育てやすいよう品種改良している野菜ばかりなのよね?それならもしかして、そちらの苗はルビー豆の苗?」
「よくご存知で。そうです。ここでは特に強い個体から収穫した種を集めて育てているのですよ」
「このまま冬を越させるの?」
「半分はそうですが、もう半分は湿度や気温などの条件を少しずつ変えて育てるつもりです。環境や肥料を変えてどのような変化があるのかを研究するのがこの畑の目的なので」
「なるほど。良い実が成るといいわね。ルビー豆は比較的育てやすい品種だし栄養価も高いから、食物に偏りのあるアッシュフォードでは重宝されるでしょう」
「ありがとうございます。しかし奥様、お詳しいですね」
「幼い頃、両親に褒められたくて多くの知識を身につけようとたくさん本を読んでいた時期があったの。きっとそのせいね。まあ、広く浅く知識だから大したことないわ。きっと知らないことの方が多い。だからあなたから沢山教わりたい」
アイシャがそう言うと、ニックは嬉しそうな顔をした。
「とてもご立派ですよ。都会のお嬢様が旦那様の元に嫁いで来られると聞いて不安だったのですが、こんなしっかりした方なら安心だ」
こんな何もない土地に連れてこられたのに、それでも意欲的にこの地に馴染もうとするアイシャの姿にニックは安心したようだ。
この人なら我らが主君も、故郷も任せられると。
「旦那様も良かったですね。奥様がこんなに素敵な女性に成長されていて」
ニックはコソッとイアンに耳打ちした。ニヤニヤと揶揄うような笑みを浮かべて。
「うるさいぞ、ニック。彼女に余計なことを言うなよ」
「わかってますよ。さっき、テオが走ってきて『お前が一番口が軽いから気をつけろ』って釘を刺されました」
「間違いないな」
「しかしながら……。戦時中、瀕死の重傷を負うたびに『彼女に会うまでは死ねない』と毎度ゾンビの如く死の淵から生還していた隊長が懐かしいです」
「お前、ほんとうるさい」
「感慨深いなぁと話しているだけですよ」
「あら?内緒話ですか?」
「いいえ。ただ、可愛らしいお嬢様を妻にもらった旦那様は幸せ者だなと思いましてね」
「ふふっ。お上手ね」
「お世辞ではなく本心ですよ。旦那様は女性経験が皆無なので挙動がおかしいこともあるかもしれませんが、他意はないのでどうか誤解なさらないでくださいね、奥様」
「え、皆無……?」
「ええ、皆無です。女性とデート……いや、下手をすると手を繋いだことすらないんじゃないかなぁ」
「おい、ニック!余計なことを言うな!ほんと口軽いな!!」
イアンは慌ててニックの口を塞いだ。
女性に慣れていないとは聞いていたが、まさか戦争の英雄がそんなに初心だとは思いもしなかったアイシャは目を丸くした。
(……選り取り見取りだったでしょうに)
言い寄ってくる女と一夜限りの関係を持つことも許された立場だろうに、貞操観念のしっかりした人だとアイシャは感心した。
一方で、顔を真っ赤にしたイアンは余計なことばかり言うニックを締め落とした。ギブアップしたニックはへたりとその場に座り込む。
イアンはそんな彼を無視し、アイシャの手を引いて逃げるようにその場を後にした。
「まるで人を殺めて逃走する犯人のようですわ、男爵様」
「ニックはあの程度じゃ死なないから問題ない」
「でももし誰かがへたり込んだニックを見つけたら驚くと思います」
「みんな慣れているから平気さ」
「このお屋敷では日常なのですね。賑やかですこと」
「それ、嫌味?」
「いいえ?微笑ましいな、と」
イアンに手を引かれたアイシャはクスクスと笑った。
何だか昔、兄と遊んだ時のことを思い出してしまったのだ。
イアンは自然に微笑むアイシャを見て、ときめく胸の鼓動を誤魔化すように早歩きした。
アイシャからすれば、朝食の時と同様、ぎこちない会話しかできない相手と二人きりの散歩は絶対に疲れてしまうので行きたくなかったのだが、これは関係性を構築する良いチャンスでもあるわけで。彼女は頑張るって決めただろう、と自分を鼓舞してイアンの申し出を受けた。
案内された屋敷の中はどこもシンプルで飾り気はなく、寂しい雰囲気だった。だが、とても清潔に保たれており、埃ひとつ見当たらない。きっと使用人は皆真面目なのだろう。
ひと通り見終えた屋敷の中には食堂や図書館、執務室や応接間、ホールなど、貴族の屋敷として必要最低限の設備が備わっており、そして、
裏庭には畑が広がっていた。
「えーっと、畑?」
庭園だと案内された場所にあったのがまさかの畑で、アイシャは目を丸くした。
アイシャがちらりとイアンの方を見上げる。すると何故か彼は冷や汗をかいていた。
「間違えた……」
「間違い、ですか?」
「本当は表の庭に行くつもりだったのに、いつもの癖で裏に来てしまった。すまない」
イアン曰く、ここは寒さの厳しいアッシュフォードの地でも育つ野菜を開発するために作った畑らしい。本当は表の庭を案内するつもりだったのに、と彼は呟いた。
「こんなところに連れてきて悪かった。さあ、表の方に行こう」
アイシャはこんな小汚いところに連れてきて良い人じゃない。イアンは彼女の手を引いた。
しかしアイシャはもう少しこの畑を見たいと言った。
「何も面白いことなどない、ただの畑だぞ?」
「ただの畑ではないでしょう?アッシュフォードにとって大事な畑です。ここはどなたが管理なさっているのですか?」
「庭師のニックだ。もともとは傭兵だったんだが、足を悪くしてからは庭師をしている。見た目は怖いが優しい人だよ。今度紹介しよう」
「……え、畑仕事もなさるのですか?お一人で?」
「お、俺がこの仕事を押し付けたんだ!だから彼は仕方なく畑仕事をしているだけなんだ!」
「……?そうなのですか?」
庭師が庭の手入れをせずに野菜を作っていることを咎められると思ったのか、イアンは慌てて自分のせいだと言った。そんなつもりで聞いたわけではないアイシャは彼の言い訳じみた答えに首を傾げる。
「仕方なくではありませんよ、旦那様」
「ニック!」
二人の背後から少ししゃがれた声で話かけたのは、無精髭が似合う中年の庭師ニックだった。足を引き摺りながら現れた彼は、担いでいた肥料の入った麻袋を地面に置くと、二人に近づいた。
「旦那様、そちらの女性が貴方が待ち望んでいた奥様ですか?」
「ああ。妻となる予定のアイシャ嬢だ」
「はじめまして、ニック。アイシャ・ブランチェットです」
「はじめまして、奥様。庭師のニックです。こんな小汚い格好で申し訳ありません」
「いいえ。こちらこそ、作業中にごめんなさいね」
「問題ありませんよ。そろそろ休憩にしようかと思っていたものですから」
ニックは強面の顔立ちに似合わず、柔らかく笑った。
アイシャはそんな彼に、自分にも野菜のことを教えてほしいと言った。
ニックもイアンも意外そうな顔をしたが、アイシャにとってこの畑のことを知ろうとするのは普通のことだ。この畑の野菜がいずれ領地を救うことになるのだとしたら、未来の男爵夫人として知っておくべきだ。少なくともアイシャはそう考える。
「この畑は痩せた土地の多いアッシュフォードでも育てやすいよう品種改良している野菜ばかりなのよね?それならもしかして、そちらの苗はルビー豆の苗?」
「よくご存知で。そうです。ここでは特に強い個体から収穫した種を集めて育てているのですよ」
「このまま冬を越させるの?」
「半分はそうですが、もう半分は湿度や気温などの条件を少しずつ変えて育てるつもりです。環境や肥料を変えてどのような変化があるのかを研究するのがこの畑の目的なので」
「なるほど。良い実が成るといいわね。ルビー豆は比較的育てやすい品種だし栄養価も高いから、食物に偏りのあるアッシュフォードでは重宝されるでしょう」
「ありがとうございます。しかし奥様、お詳しいですね」
「幼い頃、両親に褒められたくて多くの知識を身につけようとたくさん本を読んでいた時期があったの。きっとそのせいね。まあ、広く浅く知識だから大したことないわ。きっと知らないことの方が多い。だからあなたから沢山教わりたい」
アイシャがそう言うと、ニックは嬉しそうな顔をした。
「とてもご立派ですよ。都会のお嬢様が旦那様の元に嫁いで来られると聞いて不安だったのですが、こんなしっかりした方なら安心だ」
こんな何もない土地に連れてこられたのに、それでも意欲的にこの地に馴染もうとするアイシャの姿にニックは安心したようだ。
この人なら我らが主君も、故郷も任せられると。
「旦那様も良かったですね。奥様がこんなに素敵な女性に成長されていて」
ニックはコソッとイアンに耳打ちした。ニヤニヤと揶揄うような笑みを浮かべて。
「うるさいぞ、ニック。彼女に余計なことを言うなよ」
「わかってますよ。さっき、テオが走ってきて『お前が一番口が軽いから気をつけろ』って釘を刺されました」
「間違いないな」
「しかしながら……。戦時中、瀕死の重傷を負うたびに『彼女に会うまでは死ねない』と毎度ゾンビの如く死の淵から生還していた隊長が懐かしいです」
「お前、ほんとうるさい」
「感慨深いなぁと話しているだけですよ」
「あら?内緒話ですか?」
「いいえ。ただ、可愛らしいお嬢様を妻にもらった旦那様は幸せ者だなと思いましてね」
「ふふっ。お上手ね」
「お世辞ではなく本心ですよ。旦那様は女性経験が皆無なので挙動がおかしいこともあるかもしれませんが、他意はないのでどうか誤解なさらないでくださいね、奥様」
「え、皆無……?」
「ええ、皆無です。女性とデート……いや、下手をすると手を繋いだことすらないんじゃないかなぁ」
「おい、ニック!余計なことを言うな!ほんと口軽いな!!」
イアンは慌ててニックの口を塞いだ。
女性に慣れていないとは聞いていたが、まさか戦争の英雄がそんなに初心だとは思いもしなかったアイシャは目を丸くした。
(……選り取り見取りだったでしょうに)
言い寄ってくる女と一夜限りの関係を持つことも許された立場だろうに、貞操観念のしっかりした人だとアイシャは感心した。
一方で、顔を真っ赤にしたイアンは余計なことばかり言うニックを締め落とした。ギブアップしたニックはへたりとその場に座り込む。
イアンはそんな彼を無視し、アイシャの手を引いて逃げるようにその場を後にした。
「まるで人を殺めて逃走する犯人のようですわ、男爵様」
「ニックはあの程度じゃ死なないから問題ない」
「でももし誰かがへたり込んだニックを見つけたら驚くと思います」
「みんな慣れているから平気さ」
「このお屋敷では日常なのですね。賑やかですこと」
「それ、嫌味?」
「いいえ?微笑ましいな、と」
イアンに手を引かれたアイシャはクスクスと笑った。
何だか昔、兄と遊んだ時のことを思い出してしまったのだ。
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