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「…噛んでるわけないだろ」
執務室を出たローレンスは、伯爵邸の赤絨毯が敷かれた廊下を歩きながら、ジュードの最後の顔を思い出し、ほくそ笑んだ。
そして、小さく呟く。
「あの二人、早く落ち着いてくれないと、そろそろまずい」
本気で、姫君を攫う悪党になりかねない。
いつの間にか、カリーナに対するローレンスの気持ちは、それ程までに大きくなっていた。
だから「ジュードは自分が相手で幸せになれるか」と問われた時、「なれる」という一言が言えなかった。
カリーナの憂いを断ちたいのなら、ジュードの本心を伝えれば良いだけの事。
それが出来ないのは、ローレンスがまだ割り切れていない証拠だ。
いずれは結婚して、仲睦まじく過ごすであろう二人のそばに居続けなければならないローレンスは、まだそれを受け入れるだけの覚悟が出来ていなかった。
「俺もまだまだガキだわ…」
ローレンスは頭を掻き、自嘲するように笑った。
執務室を出たローレンスは、伯爵邸の赤絨毯が敷かれた廊下を歩きながら、ジュードの最後の顔を思い出し、ほくそ笑んだ。
そして、小さく呟く。
「あの二人、早く落ち着いてくれないと、そろそろまずい」
本気で、姫君を攫う悪党になりかねない。
いつの間にか、カリーナに対するローレンスの気持ちは、それ程までに大きくなっていた。
だから「ジュードは自分が相手で幸せになれるか」と問われた時、「なれる」という一言が言えなかった。
カリーナの憂いを断ちたいのなら、ジュードの本心を伝えれば良いだけの事。
それが出来ないのは、ローレンスがまだ割り切れていない証拠だ。
いずれは結婚して、仲睦まじく過ごすであろう二人のそばに居続けなければならないローレンスは、まだそれを受け入れるだけの覚悟が出来ていなかった。
「俺もまだまだガキだわ…」
ローレンスは頭を掻き、自嘲するように笑った。
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