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五十四 念願の
しおりを挟むシャワーの音が浴室に響く。オレンジ色のライトに照らされた肢体は、なまめかしい。吉永をすっかり脱がせ、自分も脱いで一緒にシャワーを浴びる。キスをしながら泡のついた手で身体を撫でれば、ぴくぴくと身体が震える。
(そういや、前の時は身体で洗ってもらったっけ)
思い出して顔を緩ませると、吉永がムッと顔を顰めた。
「おい、誰のこと考えてんだ」
「え?」
「目の前におれが居んのに」
何を誤解したのか不機嫌になる吉永に、慌てて首を振る。
「な、なんだよ。誤解だって」
「おれの目がごまかせると思うのか?」
「違うって! ただ――、ちょっと、思い出しちゃって……前にホテルで……」
「はぁ?」
浴室から出て行きかねない勢いで不機嫌になる吉永に、慌てて腕を掴む。
くそ。恥ずかしい。
「だから、前にホテルで、身体洗ってくれただろ! それ、思い出したんだって!」
「――」
吉永が絶句して、次いで真っ赤になる。
「だから、誤解、だって」
「っ……、ばかっ……」
ポカっと胸のあたりを叩かれる。まあ、誤解は解けたようなので良いのだが。互いに赤面して、なんだか気恥ずかしい。
「なんでそんな、過敏に反応するかな……」
思わずため息を吐く俺の頬を、吉永がぎゅっと摘まんできた。
「いてっ」
「仕方ないだろ。お前、信用無いんだし」
「それは――」
それは、まあ。うん。
反省すべき所なのは分かっていたが、吉永は俺を信用していなかったらしい。ちょっと哀しい。
「こんな気持ち、お前にしかならないって……」
言いながら腰を押し付ける。既に堅くなっているモノを押し当てると、吉永はビクンと身体を跳ねらせた。
「っ……、また洗って欲しいの?」
「いや。それは魅力的な提案だけどさ」
言いながら泡で胸のあたりを撫でる。両手で揉むように胸を洗いながら、先端をきゅっと摘まみ上げた。
「んぁ、っ!」
「今日は、俺が洗うよ」
「っ……、ん」
浴槽の縁に座らせて、丹念に洗っていく。足は特に念入りに、楽しく洗わせてもらった。吉永は俺が丹念に足の指の間を洗うのを、顔を顰めながら恥ずかしそうにしていた。どうやら、俺が足で興奮するからか、足を弄られると羞恥心が湧くらしい。非常に良いと思う。
なめらかな脚をつま先から太腿まで撫で上げ、味わうようにゆっくりと洗っていく。いつか絹の靴下とか履かせてみたい。そんなものが存在するのかは知らないが。
「ぁ……、ん、航平っ……」
泡に埋もれていた性器が、むくりと起き上がっている。直接は触れていないが、既に腹につきそうなほど勃起していた。触れてやるとぬるぬると滑る。
「あ! あ、っん!」
「足拡げて。腰も浮かせて」
言われるままに、浴槽の縁から僅かに腰を浮かせる。足の間に手を差し込み、尻の方へと指を伸ばす。割れ目を丹念に撫で、窄まりに指を這わせて押し込むようにして洗ってやる。吉永はもどかしそうに膝を震わせながら、俺の肩に手を置いてしがみ付く。
「っ、く……ん」
ハァハァと、荒い息を吐き出す声に、耳の奥がざわざわする。泡の滑りを借りてにゅるりと指を挿入してやれば、びくんと大きく身体が揺れる。泡を纏っていた身体からゆっくりと泡が滑り落ち、肌を露出させる。僅かに見える肌色が、バラ色に染まっている。なまめかしく、色香がある。普段、寮では見せない顔に、頭がクラクラした。
「もう、イきそ?」
「ぅ、ん……っ」
息を吐きながら、吉永が瞼を震わせる。いつもの刺激に比べたら、ずっと弱いはずなのに。こんな風に乱れてくれるのは、状況がそうさせているのだろうか。
(それとも、俺だから、とか)
自惚れ手も良いんじゃないかと思えるくらいに、吉永は俺の手で蕩けていく。吉永は俺の肩に置いた手に力を込め、ビクビクと足を震わせた。ビクンと一際大きく身体を跳ねらせ、同時にぐったりと力を抜くと、俺にもたれかかってくる。
「んっ……!」
「おっと」
脚を滑らせそうになるのを支えて、身体を抱く。ぬるりとした粘液が、泡とまざって排水溝へと流れて行った。
「は、……は…っ。ん……」
軽くイったらしい吉永の髪を撫で、唇を寄せる。舌を絡ませながらシャワーに手を伸ばし泡を流していく。
「は……、はっ……」
「吉永、俺も」
今度は吉永にして貰う番だ。太腿に性器を押し付ける。このまま脚に挟んでも良いが。
「あー……、解った。そこ、座って」
言われるままに、浴槽に腰かける吉永の、目の前の床に座る。下から見上げるアングルでも、吉永の脚は綺麗だった。
俺は吉永の脚を手に取り、つま先にキスをする。
「っ、おい……」
「やってくれるんだろ?」
「……まあ、約束だしな」
そう言うと吉永はソープを足に塗りたくって、足の裏で性器を軽くこすり始めた。
「ぅっ」
思わず、反動で声が出る。柔らかくてすべすべした足裏が、性器を刺激する。足の裏を使って器用に愛撫する吉永に、目が釘付けになる。正面で俺のを弄っている姿は、必然的に足を開いてこちらに向ける形になる。視線に気づいたのか、吉永が赤い顔でじとっと睨みつける。
「あんま見るな……」
「かなり、良い眺め」
「くそ…」
悔しそうにそう言って、目を逸らす姿に、思わずにやけてしまう。足の愛撫はもどかしい感じもあるが、気持ち良い。ヌルヌルした泡のおかげで、想像以上に良かった。
「吉……、もう少し、強くても良い」
「…こう?」
「うっ、そ……そのくらい」
快感に、吐息を吐き出す。吉永が恥ずかしそうな顔をしながら、俺を見る。
「お前って、こんなんで興奮すんの……」
「するだろ、そりゃ……っ」
「変態」
「うるせえ」
ああ、もう。絶対に脚にかけてやる。そうだよ、俺は変態だよ。お前の脚にぶっかけたら興奮するんだよ。
「……でもお前だって、興奮してんじゃん」
吉永の足の間にあるものがはっきりと主張しているのを見て、そう言う。いつの間にか、再び勃起していたらしい。俺も吉永も触れていないのだから、状況に興奮したのだろう。
「うるせ……」
照れ隠しか、吉永がグッと足に力を込める。先ほどより強い力で扱かれ、絶頂が近くなる。
「っ……、く……!」
「っ」
一瞬引け越しになって、脚をどかそうとする吉永に、足首を掴んで引き留める。
「最後まで、やって」
「――」
ぐっと何かを呑み込むような顔をして、顔を真っ赤にして。吉永は俺から目を逸らせないみたいだった。
そのまま足をおずおずと動かし、刺激する。
「これ、結構、疲れる……」
「ハァ……頑張って」
疲れるばかりではないのだろう。勃起した自身が気になるらしく、もじもじと腰を揺らす。吉永は足を動かすのを早くして、刺激を強くし始めた。ぐちゅぐちゅと、濡れた音が浴室に響いた。
「――は、あっ……! 吉永っ……」
絶頂の瞬間、俺は吉永の足首と膝を掴み、抱き寄せるように脚にしがみ付いた。ビクビクと腰を揺らしながら、熱い粘液を足の甲に吐き出す。
「っ――、航平っ……」
ハァハァと息を吐きながら、膝に歯を立て、キスをする。
「――お前、脚のが好きだろ……」
「そんなことないけど」
「……」
吉永は頬を膨らませて、そっぽを向いた。多分信じてない。
(可愛い)
「まあ、約束守って貰ったし」
言いながら、吉永の身体を抱き寄せ、ひょいと抱え上げる。
「わっ! おいっ」
「今度は、俺がサービスする番な」
そう言うと、吉永は赤い顔で俯いた。
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