24 / 96
1
二十四 ホテルにて
しおりを挟む駅の裏通りにあるホテルは、古くさい建物だったが中は比較的綺麗だった。慣れた様子で部屋に上がる吉永に、なんとなく過去を想像してモヤっとする。考えてみれば、ずっと付き合っているような気になっていたが、実際はここ二年ほどの付き合いでしかない。それまでの吉永のことは、俺はまるで知らないのだ。
「お風呂一緒に入ろうよ」
「え、あ、うん」
誘われ、戸惑いながら返事をする。ガラス張りの浴室に、丸いジャグジー風呂。何故か浴槽がライトアップされる仕様だ。
「電気消す?」
笑いながら言う吉永に、「いや」と返事する。
「見えないから良い」
「雰囲気よりそっち優先なんだ。まあ、航平らしいか」
「なんだよ、俺らしいって」
「ん? スケベ?」
思わず殴ろうとしたが、かわされる。笑う吉永に、ムッと唇を結んだ。
(くそ。泣かしてやる)
絶対に今日は泣くまでヤってやると、心に誓いながら服を脱ぐ。吉永の方を見ると、既に丸い尻を剥き出しにして、お湯の準備をしていた。
「……」
今、後ろから飛び付いて、あの丸い尻を揉みしだいたら、どうするだろうか。太股を撫でて、脚にしゃぶりつきたい衝動をこらえ、裸になる。
「寮だと、一緒に入れないしな」
「入ってはいるだろ」
「それは屁理屈だろ」
呆れたように言われて、「なんだよ」と返す。入ってるじゃん。大浴場とか。まあ、最近はシャワーが多いか。痕が消える間もなく、抱いている。
二人して浴槽に入る。洗うのはまあ、お楽しみだ。向かい合って湯船に浸かりながら、吉永が俺の首に腕を回す。
「誰が休憩とか言い出したんだろ」
伸ばされた舌に舌を絡めて、舌先で擽り合う。チロチロと舐め合うようにして、唾液を絡め合った。
「どっちかっていうと、運動だよな」
「ん、ぅ……」
はぁ、と息を吐き出し、唇が離れる。もう少しキスしたいのに。そう思って顔を引き寄せたが、吉永の指で唇を阻まれる。
「ダメ。まだ、お預け」
「……何でだよ」
「すぐ終わっちゃうだろ? お楽しみは、」
言いかけたのを、腕を引っ張って遮る。吉永を背後から抱き締め、首筋にキスをした。
「ちょっと、危ねえだろ」
そう言いながらも、吉永はクスクス笑っている。皮膚にキスしたり、まさぐったりしながらじゃれつく度に、お湯がちゃぷちゃぷと音を立てる。
(お湯が温いの、わざとか……)
のぼせないように、温くしたのだろう。いちゃつきたいのだと思えば、悪くない提案だ。
まあ、時間はたっぷりある。がっつく必要もない。
「おれが洗ってやるよ」
吉永がそう言いながら湯船から出る。まあ、そりゃあ、そんなこと言われたら、期待しちゃうもんね。
ニヤつく気持ちを押さえて、平静なふりを装い、椅子に腰かける。吉永は自分の身体にたっぷり泡を纏って、俺の身体に擦り付けた。
「うひひ。ちょっと面白い」
「自分ばっか擦んなよ」
「あ、ん」
太股を撫でてやると、ピクンと身体が跳ねる。こうして肌を擦っているだけだと言うのに、妙に心地良い。俺が富豪だったら、毎日こうして身体を洗わせるのにな。美女たちに。
(まあ、吉永は美女ではないんだが……)
女のような柔らかい身体ではないが、しなやかでハリのある肉体も悪くない。吉永は脚も綺麗だし。
全身を使って洗われていると、なんだか偉くなった気分だ。身体に手足を絡み付かせ、淫靡に洗われていく。良いな、これ。
(寮じゃ出来ねえな)
こんなに楽しいのに。まあ、またホテルに来れば良いか。
「吉永」
顔を向けさせ、唇を重ねる。
「んぅ……、ん」
「今度は、俺が洗うわ」
「あっ」
転倒しないよう支えながら、吉永をマットの上に寝かせる。泡を追加して、太股からふくらはぎへ手を滑らせた。
「っ、ん……」
「なんだよ。もう感じてんの?」
揉むように脚を弄くりながら、足首、足の甲、足の裏と、手を滑らせる。滑らかで、ほどよい肉付きのしなやかな脚。泡がなけりゃ、齧りついてたのに。
脚の指に自分の指を絡ませ、一本一本、丁寧に洗っていく。吉永を洗う日が来るとはな。
「あ、っ……航平っ……」
(脚に挟みてぇな……)
吉永をからかっているが、こっちも半勃ちだ。泡だらけの脚に挟んで擦ったら、気持ちいいだろう。
(いやいや、今はもっと、虐めてやんないと)
両足を掴んで、脚を開かせる。尻を上に向けさせ、ひっくり返してやった。
「お。吉永、身体柔らかいな」
「キツ……、いって」
恥ずかしそうに顔を朱に染めて、吉永が抗議する。多少、辛そうだが、まあ大丈夫だろう。
「すげー、良く見える」
「っ、ん……、あんま、ジロジロ……見んなって」
「今さらだろ。それに、見られて感じてるクセに」
笑いながら、俺は腿の付け根を擽った。吉永がビクッと身体を揺らす。
「は……、ん……」
「こことか、どうよ」
言いながら、アナルと性器をつなぐ、間の皮膚に指を這わせる。ゾクゾクと、身体を震わせる様子に、俺はいっそう、その場所を刺激する。
「あっ、ん……そこ……っ」
もどかしそうに腰をくねらせ、吉永がせつなげに悶える。直接触られない快感が、吉永を揺さぶっている。
「あ、あ……、ジンジン、する……ぅ」
俺は皮膚を擽りながら、アナルのヒダを親指で擽った。
「吉永のアナル、開いちゃってんじゃん?」
「あ、あ……」
指の先端を、柔らかい穴にちゅぷ、ちゅぷと出し入れする。何度も俺を受け入れているせいか、吉永のアナルはヒダが柔らかくなって穴が縦になっていた。俺のせいだと思うと、少し嬉しくなってしまう。
(俺専用だし)
俺以外の誰も、ここを使っていないと思うと、優越感が湧く。
「ここも、綺麗にしないとな」
「んぁ……っ」
ぬぷ、と指を挿入する。泡を塗り込めるようにじゅぷじゅぷと音を立て、アナルに指を出し入れする。吉永の腿がビクッ、ビクッと、小刻みに震える。
「あ――、ん……っ」
「イくなよ? 洗ってるだけなんだし」
「っ、航平っ……ん」
吉永の性器は勃起して、ぱんぱんに膨らんでいる。その先端から、先走りの粘液がトロリと溢れる。
「んぁ、……、こうへ、気持ち良く、なっちゃ……っ」
「弱すぎだろ」
揶揄しながら指を引き抜き、今度は直接的性器に触れた。
「っっ!」
ビクビクッ! と、大きく身体が跳ねる。
「ここも、洗わないとな」
「ん、あ、っ……」
小刻みに声を上げながら、吉永が震える。ビクビクと太腿が揺れるのがいやらしい。吉永も楽しんでいるのだろう、俺にされるがままに、手はだらりと力なくマットの上に垂れている。
竿をゆるゆると洗いながら、睾丸と先端を同時に弄る。先の方はぬるぬるしていた。
「あ、あ……、イっちゃ……」
「ダメだって」
ぐっと根元を押さえ、イかせないようにする。吉永はつま先をぴくんと跳ねらせ、俺を見つめた。濡れた瞳、唾液の零れた唇。まあ、俺もかなり限界なんだけど。
(ここで一発ヤっても良いけど)
じっくりベッドでしたい気もする。迷っていると、吉永が俺の腰に脚を絡めて、腕を伸ばしてきた。
「……ベッド、いこ」
「……そうするか」
誘いに、唇を重ねる。早く繋がりたい衝動をこらえながら泡を流して、くっつきあいながらベッドへと向かった。
11
お気に入りに追加
52
あなたにおすすめの小説
sugar sugar honey! 甘くとろける恋をしよう
乃木のき
BL
母親の再婚によってあまーい名前になってしまった「佐藤蜜」は入学式の日、担任に「おいしそうだね」と言われてしまった。
周防獅子という負けず劣らずの名前を持つ担任は、ガタイに似合わず甘党でおっとりしていて、そばにいると心地がいい。
初恋もまだな蜜だけど周防と初めての経験を通して恋を知っていく。
(これが恋っていうものなのか?)
人を好きになる苦しさを知った時、蜜は大人の階段を上り始める。
ピュアな男子高生と先生の甘々ラブストーリー。
※エブリスタにて『sugar sugar honey』のタイトルで掲載されていた作品です。
少年ペット契約
眠りん
BL
※少年売買契約のスピンオフ作品です。
↑上記作品を知らなくても読めます。
小山内文和は貧乏な家庭に育ち、教育上よろしくない環境にいながらも、幸せな生活を送っていた。
趣味は布団でゴロゴロする事。
ある日学校から帰ってくると、部屋はもぬけの殻、両親はいなくなっており、借金取りにやってきたヤクザの組員に人身売買で売られる事になってしまった。
文和を購入したのは堂島雪夜。四十二歳の優しい雰囲気のおじさんだ。
文和は雪夜の養子となり、学校に通ったり、本当の子供のように愛された。
文和同様人身売買で買われて、堂島の元で育ったアラサー家政婦の金井栞も、サバサバした性格だが、文和に親切だ。
三年程を堂島の家で、呑気に雪夜や栞とゴロゴロした生活を送っていたのだが、ある日雪夜が人身売買の罪で逮捕されてしまった。
文和はゴロゴロ生活を守る為、雪夜が出所するまでの間、ペットにしてくれる人を探す事にした。
※前作と違い、エロは最初の頃少しだけで、あとはほぼないです。
※前作がシリアスで暗かったので、今回は明るめでやってます。
獣人の里の仕置き小屋
真木
恋愛
ある狼獣人の里には、仕置き小屋というところがある。
獣人は愛情深く、その執着ゆえに伴侶が逃げ出すとき、獣人の夫が伴侶に仕置きをするところだ。
今夜もまた一人、里から出ようとして仕置き小屋に連れられてきた少女がいた。
仕置き小屋にあるものを見て、彼女は……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる