上 下
15 / 96

十五 シャワー室にて

しおりを挟む


「何だこれ」

 吉永の声に、意識を引っ張られる。身体が怠い。そう思ったところで、昨晩抱き合って、そのまま眠ってしまったことを思い出した。

(……シャワー、浴びてねえ……)

 散々抱き合って、二人ともべたべたなのにシャワーも浴びないままに寝てしまった。ふぁ、と欠伸をしながらのそりと起き上がる。

「何だよ。まだ四時じゃん……」

「何だよ、じゃねえよ。お前」

 恨めしい声を漏らす吉永に、目を擦りながらそちらを見る。

「うわ。ここもじゃん」

「あ? あー……」

 首も、胸も腰も、腹にも。脚にも。夥しい数のキスマークや歯形がついている。俺がしつこくしたのが一目瞭然だ。特に胸のあたりや太腿は、同じ場所に何個も赤い痕が重なってついている。

「服で隠れるだろ」

 首のとこはわからんけど。それを言うなら俺の背中とか爪痕やばそうだけど。

「風呂行けねえじゃん」

「シャワーで良いじゃん」

 あ、でも脱衣場で見られるか。吉永も気づいているらしく、顔を顰めている。

「まあ、良いんじゃね?」

「他人事~」

 えい。と額を小突かれる。別に怒っているわけではないようだ。

 吉永の腕を引いて、首筋に顔を埋める。

「あ、ちょっと……、ん」

 ちゅうっと首筋にキスをして、痕を増やす。

「あー、着いた着いた」

「オイコラ」

「良いんだよ。俺は着けんの好きなんだから」

「……お返し」

 そう言って、吉永が俺の首に噛みつく。ちゅうっと強く吸われる。多分、着いただろうな。

「っ、おい……」

「あんま着かねえな」

 不満そうにして、吉永はもう一度同じ場所にキスをして来た。なんだか、ムズムズする。

「どうすんの、二度寝する?」

 今更自分の部屋に帰る気にもならないので、欠伸をしながらそう問いかける。吉永はすっかり目が覚めてしまったようで、首を振った。

「シーツ洗いたいから出ろ。シャワー浴びて来る」

「ん。じゃ、俺も行く」

 ベッドから降りて、脱ぎ散らかした服を拾う。吉永はシーツをひっぺがして乱雑に丸め上げた。その尻にも、キスマークがついている。あんなとこキスしたっけ。まあ、したんだろな。盛り上がっていると色々と記憶がなくなってしまうのが良くない。まあ、泣き顔とかあれやこれやは覚えているんだけどさ。

 あまり音を立てないようにしながら、廊下に出る。まだ日が出ていないらしく、窓の外は薄暗い。明かりも点いていないので真っ暗だ。吉永の部屋は五階なので一番上の階だ。シャワーがあるのは一階部分である。

「まだ誰も起きてないのかな」

「どうだろ」

 コソコソと喋りながら階段を下りる。こんなに早い時間に起きることはほとんどない。起きても二度寝するし。どの部屋も寝静まっているのか静かだ。今日は休日なのだし、早起きしてくるのは一部の人間なんだろう。

 じゃれ合いながら洗濯機にシーツを突っ込んで、シャワー室へ向かう。シャワーは二十四時間利用可能だ。この時間にさすがに人は居ないと思うが。更衣室の扉を開き、中に入る。ひんやりした空気は、しばらく人が居ないのを物語っているようだ。適当にロッカーに服を突っ込み、裸になる。シャワー室の扉に手をかけて、吉永が振り返った。

「誰もいねえし、一緒に入る?」

「……入る」

 二人で使うには狭い気もしたが、それが良いかも知れない。シャワー室に入り込み、扉を閉める。密着するほど狭くはない。ただ、少し気恥ずかしい。

 吉永がシャワーを捻る。一瞬冷たかったが、すぐにお湯が出て来る。吉永がソープを手に取って、泡立てる。それを、俺の胸につけて来た。

「洗ってやろうか」

 笑いながら言う吉永に、俺も無言でソープを手に取り、泡を吉永にくっつける。じゃれ合いながら洗い合う。笑い声が、シャワーでかき消される。

「ははっ、ちょっ、くすぐったい」

「こうすんのは?」

「あっ、ん……」

 身体をくっつけ合い、互いに擦りつける。ソープの滑りを借りて、互いの身体を擦りつける。

「……」

 甘い声に、唇を寄せる。自然と、唇が重なった。啄むようにキスを繰り返し、舌を絡め合う。俺は泡を掬って背中を伝い、尻の方に手を伸ばす。指が、にゅるりと穴に入り込む。

「ん――、ん、あ……っ」

 ぴくんと、身体を揺らす。奥の方から、とろりと濡れた粘液が零れ落ちた。

(そういや、出したまんまだ……)

 中に出したままだとどうなるのか知らないが、良くはなさそうだ。掻き出した方が良いだろう。その方が楽しそうだし。

「んっ、ぅ……航平……」

「出せる?」

「っ……」

 恥ずかしそうに頬を染める様子に、嗜虐心が沸き上がる。出せるんだろうけど。恥ずかしいんだな。そう判断し、促す。

「出して」

「っ……。お前、良い趣味してるよ……」

「嫌なら一緒にシャワー使わなきゃ良かったじゃん」

「……まあ、そうだけど」

 唇を尖らせて、吉永は顔を背けた。指を引き抜き、吐き出すのを待つ。

「あ、待って」

「何だよ」

 怪訝な顔をする吉永の肩を掴み、うーんと唸る。

「顔と尻、どっち見てた方が楽しいかなって」

「あのなあ……」

 吉永が呆れた顔をする。

「大事だろって」

 俺には重要な問題だ。恥ずかしがってる顔もみたいけど、出す所も見たい。鏡でもあれば良かったのに。ラブホテルって良くできてるんだな。取り合えず、吉永が見て欲しくなさそうな方にするか。じゃあ、尻だな。

「後ろ向いて」

「……くそ」

 吉永は壁に手をついて、俺の方に尻を向けた。耳が真っ赤だ。

「良いよ。出して」

「っ……、ん……」

 ひくひくと、ひだが蠢く。力がぐっと入るのが解った。アナルが震えながら、僅かにくぱと収縮する。入口近くまで落ちて来た精液が穴の奥に覗いて見えた。空気を吸い込み、濡れた音がする。

「ん――っ……」

 とろり、粘液が穴から零れる。

「穴、拡げねえと出ないんじゃね? まだ入ってるだろ」

 奥の方にまだ残っているのが見える。吉永は俺の方をチラリと見て、それから観念したように両手で穴を押し拡げた。どろり、大量の粘液が零れる。太腿を伝って、精液は排水溝へと流れて行った。

「すげえ量」

「お前のだろ」

「そうだけど」

 笑いながらシャワーを掴み、穴に押し当てる。

「あっ……!」

「お湯入っても平気だよな?」

「……たぶ、んっ……」

 シャワーを当てながら、指でナカを掻きまわす。まだナカがぬるぬるしている。奥まで指を差し込み、内壁を引っ掻く。

「ん、んっ……、んぁっ!」

 吉永の膝がガクガクと震える。何度も指を抜き差しし、最後の精液を掻き出す。指に粘液が絡まる。我ながら、よくもまあこんなに中に注いだもんだ。

「あ、……はぁ……、はぁ……、航平……」

 吉永が俺の腕を引っぱる。シャワーヘッドが手からすり抜け、床に落ちた。湯が壁に当たる。

「あ、おい、んむ」

「んっ……」

 唇に噛みつかれ、そのまま舌に絡みつかれる。腹に吉永の性器が当たった。

「っ……、は…、なに、欲しいの? せっかく綺麗にしたのに」

「んぅ、ん……また、出せば良いだろ」

 荒い息を吐き出し、蕩けた顔で吉永が俺を見つめる。

(立ったままは、まだやってねえか……)

 太腿を掴み、脚を開かせる。半勃ちの性器を二三度扱いて、穴に押し付ける。一瞬、前からにするか後ろからにするか迷って、前から挿入する。吉永は俺の首にしがみ付いた。

「ひ、んっ……!」

 耳たぶに噛みついて、舌を這わせる。下から突きあげながら、耳元に囁く。

「誰か来る前に、終わらせねえと」

「んっ……、あ、あっ……」

 シャワーの音が響く。お湯と吉永の体温で、のぼせそうだった。







しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

山本さんのお兄さん〜同級生女子の兄にレ×プされ気に入られてしまうDCの話〜

ルシーアンナ
BL
同級生女子の兄にレイプされ、気に入られてしまう男子中学生の話。 高校生×中学生。 1年ほど前に別名義で書いたのを手直ししたものです。

受け付けの全裸お兄さんが店主に客の前で公開プレイされる大人の玩具専門店

ミクリ21 (新)
BL
大人の玩具専門店【ラブシモン】を営む執事服の店主レイザーと、受け付けの全裸お兄さんシモンが毎日公開プレイしている話。

出産は一番の快楽

及川雨音
BL
出産するのが快感の出産フェチな両性具有総受け話。 とにかく出産が好きすぎて出産出産言いまくってます。出産がゲシュタルト崩壊気味。 【注意事項】 *受けは出産したいだけなので、相手や産まれた子どもに興味はないです。 *寝取られ(NTR)属性持ち攻め有りの複数ヤンデレ攻め *倫理観・道徳観・貞操観が皆無、不謹慎注意 *軽く出産シーン有り *ボテ腹、母乳、アクメ、授乳、女性器、おっぱい描写有り 続編) *近親相姦・母子相姦要素有り *奇形発言注意 *カニバリズム発言有り

バイト先のお客さんに電車で痴漢され続けてたDDの話

ルシーアンナ
BL
イケメンなのに痴漢常習な攻めと、戸惑いながらも無抵抗な受け。 大学生×大学生

私の事を調べないで!

さつき
BL
生徒会の副会長としての姿と 桜華の白龍としての姿をもつ 咲夜 バレないように過ごすが 転校生が来てから騒がしくなり みんなが私の事を調べだして… 表紙イラストは みそかさんの「みそかのメーカー2」で作成してお借りしています↓ https://picrew.me/image_maker/625951

孤独な戦い(1)

Phlogiston
BL
おしっこを我慢する遊びに耽る少年のお話。

隠れSubは大好きなDomに跪きたい

みー
BL
⚠️Dom/Subユニバース 一部オリジナル表現があります。 ハイランクDom×ハイランクSub

処理中です...