チョロイン駄目リーマン、ホストに堕つ

藤掛ヒメノ@Pro-ZELO

文字の大きさ
上 下
18 / 51

十八話 またね

しおりを挟む


 朝日の下、脚を大きく開かれ、カノが孔を指で左右に押し拡げた。それを清は、真っ赤になって両手で隠そうとする。

「ちょっ! 何すんだよっ!」

「何って、清がガバガバになってないか、心配したんじゃん」

「だからって見んなよっ!」

「見なきゃ解らなくね?」

「見ても解らないだろっ」

「それはそう。でも」

 そう言って、カノがアナルに指をつぷんと挿入する。

「ひんっ!」

「指くらい楽に入るし。感度も良いし。ああ、でも適度に締まる・・・から、ガバガバじゃねえよ。良かったな清」

「よっ……、く、ないっ! 抜けって!」

 ビクビクと身体を震わせ、清が半泣きになる。その様子に、カノがニマリと笑った。

「その顔されると、抜きたくなくなるんだけど。もう一回しておく?」

「や、やだっ! 身体痛いんだからっ」

 泣きながら首を振る清に、カノは残念そうに指を引き抜く。清は軋む身体を起こして、ハァとため息を吐いた。

 昨晩は、何回泣かされたか分からない。一度目が終わったと思ったら、すぐに二回目に突入し、バックでも突かれたし、足を抱えて貫かれたし、抱きしめるようにして挿入された。結局、最初は半分も入らなかったカノの肉棒が、三分の二まで入るようになってしまった。それでも、三分の二なのだが。

「何回シた……? 一、二、三……」

「んー、五六回? オレはまだイケるけど、清、仕事だもんな」

「巨根で絶倫は勘弁しろよ……」

「大丈夫。ついてきてたじゃん」

「死ぬかと思った……」

 げっそりしている清を引き寄せ、カノが頬に口づける。

「っ……!」

 カァと頬を赤くして、カノを見る。カノはニヤニヤ笑っていた。

(くっ……。顔が良いから、許しちゃうっ……)

「お、俺そろそろ行かないとっ……」

 誤魔化すようにそう言ってベッドから抜け出す清に、カノが腕を掴んだ。

「っ……、な、なに?」

 振り返れば、カノが真面目な顔をして清を見ている。

「次、いつ店来る?」

 問いかけに、ドキリとした。当初の予定では、少し距離を置こうと思っていた。少なくとも、今週末は来ないつもりだった。それなのに、カノとこんなことになって、どうしたら良いか分からなくなる。

 でも。

「――わ、かんない」

 少なくとも、時間が必要だ。

 清の返事に、カノの唇が結ばれる。それから、小さく「そっか」と呟いた。

「まあ、会社休んだんだもんな。清くんも忙しいか」

「ま、まあ……」

『清くん』と呼ばれたことに、違和感を抱く。昨晩は、ずっと『清』と呼んでいた。あちらが素で、今は『ホストのカノ』なことは、言われなくとも解る。

(――…。考えてみれば、俺ってカノくんのこと、何も知らないんだよな)

 ホストなことは知っているけれど、本当の名前は知らない。誕生日もきっと、ホストとしての誕生日だろう。年齢は本当かも知れない。経歴は解らない。カノだって、清のことをろくに知らない。

(何だかなぁ……)

「あ、そろそろマジでヤバイ! 帰らないと!」

 考え事を打ち消し、軋む身体に鞭打って服を着る。始発はもう動いている。清は普段着なので、会社に直行は出来ない。一度寮に帰らなければ。

「じゃあ、泊めてくれてありがと! 行くね!」

「待って」

「へ」

 グイ、腕を引かれ、顔を寄せられた。唇が離れて行って、キスされたのだと解った。

「っ――」

「真っ赤。もっと凄いこともいっぱいしたのに」

「う、うるさいっ。仕方ないだろっ」

「行ってらっしゃい清くん。またね」

「――行ってきます」

 見送られるのは、何だかすごく、気恥ずかしかった。



 ◆   ◆   ◆



 走り去っていく清の背中を見送る。乾かさずに寝たせいか、昨晩の行為のせいか、髪がぴょこんと跳ねていた。

「……また・・ね」

 呟いて、扉を閉める。欠伸をしながらテーブルの上に置き去りだったタバコを手に取り、火を点けた。

 煙を吐き出し、ベッドに座る。乱れたシーツと、殆ど中身のないローションボトル。ゴミ箱に引っ掛かったコンドームを摘まんで捨て、カノはため息を吐き出した。

「……もっと、彼女気どりするかと思ったんだけど」

 意外に普通だったな、と煙を吐き出す。あからさまに、自分に好意を抱いているのが見え見えで、それが面白くて。キスすると決まって、驚いた顔をして。泣きそうな顔が、妙にそそった。

(まあ、彼女ではないか)

「ボトル入れた時は、こうなるとは思わなかったんだけどな……」

 とはいえ、小心者な性格も、怖がりなのも知っている。このままカノを怖がって、逃げる可能性も僅かにある。

「まあ、逃がさないけどね」

 ポツリ呟いて、カノはタバコの火を消した。





しおりを挟む
完結しました! 応援ありがとうございました!
感想 0

あなたにおすすめの小説

君は番じゃ無かったと言われた王宮からの帰り道、本物の番に拾われました

ゆきりん(安室 雪)
恋愛
ココはフラワーテイル王国と言います。確率は少ないけど、番に出会うと匂いで分かると言います。かく言う、私の両親は番だったみたいで、未だに甘い匂いがするって言って、ラブラブです。私もそんな両親みたいになりたいっ!と思っていたのに、私に番宣言した人からは、甘い匂いがしません。しかも、番じゃなかったなんて言い出しました。番婚約破棄?そんなの聞いた事無いわっ!! 打ちひしがれたライムは王宮からの帰り道、本物の番に出会えちゃいます。

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

「じゃあ、別れるか」

万年青二三歳
BL
 三十路を過ぎて未だ恋愛経験なし。平凡な御器谷の生活はひとまわり年下の優秀な部下、黒瀬によって破壊される。勤務中のキス、気を失うほどの快楽、甘やかされる週末。もう離れられない、と御器谷は自覚するが、一時の怒りで「じゃあ、別れるか」と言ってしまう。自分を甘やかし、望むことしかしない部下は別れを選ぶのだろうか。  期待の若手×中間管理職。年齢は一回り違い。年の差ラブ。  ケンカップル好きへ捧げます。  ムーンライトノベルズより転載(「多分、じゃない」より改題)。

秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~

めぐみ
BL
☆俺はお前を何度も抱き、俺なしではいられぬ淫らな身体にする。宿命という名の数奇な運命に翻弄される王子達☆ ―俺はそなたを玩具だと思ったことはなかった。ただ、そなたの身体は俺のものだ。俺はそなたを何度でも抱き、俺なしではいられないような淫らな身体にする。抱き潰すくらいに抱けば、そなたもあの宦官のことなど思い出しもしなくなる。― モンゴル大帝国の皇帝を祖父に持ちモンゴル帝国直系の皇女を生母として生まれた彼は、生まれながらの高麗の王太子だった。 だが、そんな王太子の運命を激変させる出来事が起こった。 そう、あの「秘密」が表に出るまでは。

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

【完結】相談する相手を、間違えました

ryon*
BL
長い間片想いしていた幼なじみの結婚を知らされ、30歳の誕生日前日に失恋した大晴。 自棄になり訪れた結婚相談所で、高校時代の同級生にして学内のカースト最上位に君臨していた男、早乙女 遼河と再会して・・・ *** 執着系美形攻めに、あっさりカラダから堕とされる自称平凡地味陰キャ受けを書きたかった。 ただ、それだけです。 *** 他サイトにも、掲載しています。 てんぱる1様の、フリー素材を表紙にお借りしています。 *** エブリスタで2022/5/6~5/11、BLトレンドランキング1位を獲得しました。 ありがとうございました。 *** 閲覧への感謝の気持ちをこめて、5/8 遼河視点のSSを追加しました。 ちょっと闇深い感じですが、楽しんで頂けたら幸いです(*´ω`*) *** 2022/5/14 エブリスタで保存したデータが飛ぶという不具合が出ているみたいで、ちょっとこわいのであちらに置いていたSSを念のためこちらにも転載しておきます。

【完結】愛執 ~愛されたい子供を拾って溺愛したのは邪神でした~

綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
BL
「なんだ、お前。鎖で繋がれてるのかよ! ひでぇな」  洞窟の神殿に鎖で繋がれた子供は、愛情も温もりも知らずに育った。 子供が欲しかったのは、自分を抱き締めてくれる腕――誰も与えてくれない温もりをくれたのは、人間ではなくて邪神。人間に害をなすとされた破壊神は、純粋な子供に絆され、子供に名をつけて溺愛し始める。  人のフリを長く続けたが愛情を理解できなかった破壊神と、初めての愛情を貪欲に欲しがる物知らぬ子供。愛を知らぬ者同士が徐々に惹かれ合う、ひたすら甘くて切ない恋物語。 「僕ね、セティのこと大好きだよ」   【注意事項】BL、R15、性的描写あり(※印) 【重複投稿】アルファポリス、カクヨム、小説家になろう、エブリスタ 【完結】2021/9/13 ※2020/11/01  エブリスタ BLカテゴリー6位 ※2021/09/09  エブリスタ、BLカテゴリー2位

完結・オメガバース・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン王から溺愛されました

美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!

処理中です...